派遣はやめた方がいい、働くなら正社員として働くべきだというのはしばしば言われることですが、これにはそれなりの理由があるからこそです。
派遣社員という働き方自体が全てだめというわけではありません。派遣の方が良いという人ももちろんいます。
しかし多くの人は将来のことを考えるならやはり正社員として働くことを意識するべきです。
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派遣はやめたほうがいいと言われる理由と実際のところ
正直言ってあまり評判が良くはない「派遣」という雇用形態。
もし正社員を辞めて派遣で働こうと思うと周りに相談したら、やめない方がいい、派遣はやめた方が良いと反対されるということも決して少なくはないはずです。
ではなぜ派遣はやめたほうが良いといわれてしまうのでしょうか。
その理由、そしてそれに対して実際にどうなのかという点について紹介します。
給料が低い、給料が上がらない
まず一つ目が給料が低い、そして正社員と違って上がっていかないという点。
ボーナスもない派遣社員はフルタイムで働いても年収が200万円から300万円程度というケースが多い為、正社員との賃金格差はしばしば話に上がります。
派遣社員の時給は職種にもよりますがだいたい1,200円から1,500円程度。1日8時間、月21日働いたとしても月収は20万円から25万円程度。年収にすると240万円から300万円程度にしかなりません。
また派遣社員の場合はそれほど給料が上がらないという点も挙げられます。
派遣の場合、長く働いても100円から200円時給が上がれば良い方。100円上がっても月収の上がり幅は16,000円程度です。また派遣には同じ職場で3年までというルールがある為、派遣先が変わり、仕事も変わった結果、時給が下がるなんてことも珍しいことではありません。
正社員であれば基本的には長く働くことができて給料も徐々に上がっていきますし、異動等で全く違う仕事になったとしてもそれで給料が下がるなんてこともありません。
では実際のデータではどうなっているでしょうか。
以下は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」による、正社員及び非正規社員の年齢別平均賃金(1ヶ月あたり)です。
年齢 | 正社員 | 正社員以外 |
20~24歳 | 23万9,000円 | 20万2,600円 |
25~29歳 | 28万1,200円 | 22万1,000円 |
30~34歳 | 32万1,400円 | 22万6,700円 |
35~39歳 | 35万2,400円 | 22万8,900円 |
40~44歳 | 37万8,300円 | 22万4,400円 |
45~49歳 | 40万6,500円 | 22万5,200円 |
50~54歳 | 43万0,600円 | 22万3,000円 |
55~59歳 | 42万7,100円 | 22万3,900円 |
正社員は年齢が高くなるにつれて昇給していく一方、正社員以外はほぼ変わらないという結果になっているのが見て取れます。正社員にはボーナスがあることも考えたら、差はかなり大きくなるのです。
派遣よりも正社員の方が必ず給料が高いと言えるわけではありません。特に若い人だと派遣の方が良いという場合もあるでしょう。
たとえば新入社員や未経験転職の場合なら初任給が18万円なんてこともありますが、派遣であれば22万円以上稼ぐことだってあります。
しかしそれも最初だけ。派遣社員は給料が少ない、そして給料が上がらないというのはやはり事実なのです。
キャリアアップ・スキルアップができない、次に繋がらない
派遣として仕事していてもキャリアアップができないというのも、派遣はやめた方が良いと言われる理由の一つです。
いつまでもたいした能力が身につかず、スキルアップもできない。それ故に転職等でキャリアアップができにくくなってしまうと言われています。
では実際はどうなのでしょうか。
派遣だからと言って、キャリアアップ・スキルアップが全くできないかと言うと決してそんなことはありません。
派遣会社はキャリアアップの為の様々な研修を行ってくれていますし、仕事を通して様々なことを身につけることも十分できます、資格だってとれるかもしれません。
たとえば何の仕事をしなかった人と、派遣でも数年仕事をしてきた人であれば、後者の方が圧倒的にスキルは身につくでしょう。
しかし、正社員と比べるとやはり厳しいものがあるというのは事実です。
正社員と派遣社員ではやはり仕事の内容は異なってきます。内容のみならず、責任の重さも違います。
派遣社員が契約通りに同じ仕事をしている間も、正社員はどんどん新たな仕事を経験し、多くのことを身につけていきます。
やはり成長スピードには差がつき、正社員の方がキャリアアップやスキルアップはしやすい傾向にあります。
仕事を失うリスクが高い
雇用期間に定めのある派遣社員という働き方は、しばしば不安定で仕事を失うリスクがつきまとうという懸念があります。
派遣社員として同じ職場で働くことができる期間は最大3年ですが、契約期間は基本的に3ヶ月程度で更新を繰り返していき仕事を続けていくことになります。
ただ必ずしも更新してもらえるという保証はなく、3ヶ月先も仕事があるということが保証されてはいないというわけです。
では実際本当に不安定なのでしょうか。
確かに派遣社員は更新してもらえずに仕事がなくなってしまう可能性は常にあります。しかし、もし更新がなかったとしても、多くの場合は派遣会社が次の仕事を紹介して貰える為、本当に仕事がなくなってしまうというわけではありません。
また正社員だからと言って安定かと言うとそういうわけではありません。リストラされるかもしれないし、倒産するかもしれない。いつ仕事がなくなるかは正社員だってわかりません。
ただどちらが安定しているかを比較するなら、やはり正社員の勝ち。
正社員はたとえ倒産等で仕事を失ってもこれまでのキャリアをいかして転職がしやすいし、不景気等で仕事を失うのが早いのは派遣社員。どこの会社の基本的にはまず正社員を切るのではなく派遣社員の雇用を取りやめます。
正社員を解雇するハードルは非常に高い一方で、派遣社員の雇用を取りやめるのは簡単ですから。
扱いがひどい
派遣社員は派遣先の職場で色々とひどい扱いを受けるなんてこともよく聞くことです。
契約範囲外の仕事を無理やりさせられたり、逆に全く仕事を与えて貰えなかったり、ひどいところだとバカにされたり、無視されたりなんてことも聞きます。
ただこれに関しては実際、それほどまでにひどいことが起こるというのはそれほど多いことではありません。
派遣社員の職場での満足度、働きやすさは実は意外なほど高いです。もちろん嫌な職場にあたってしまう人もいますが、多くの人がそこまで変な扱い方をされません。
ただ正社員とは違うというのは紛れもない事実である。その点は認識しておかなければいけない点でしょう。
派遣を選んだ方が良い人はどんな人?
給料・将来性・安定性を考えれば、やはり選ぶべきは派遣社員ではなく正社員です。
ただ派遣社員の全てがだめというわけではなく、派遣社員には派遣社員のメリットがあるということも忘れてはいけません。
たとえば自由度が高く融通の利いた働き方ができるということや、仕事が決まるまでが早いと言う点が挙げられます。
その点を考慮すると、以下の人は派遣という働き方はおおいにありだと思います。
短期間しか働くことができない
たとえば配偶者に転勤が多く、一つの職場で長期間働くことができないことが明確になっているのであれば、わざわざ正社員の仕事をするのではなく、派遣の仕事を選んだ方が良いでしょう。
すぐ辞めるのに転職活動で苦労するのはもったいないし、給料面で言っても特別なスキルが持っていない限りは派遣社員の方が高い為です。正社員は昇給するからこそ給料が高くなっていくわけですから。
また短期間で仕事を辞めることを繰り返すというのは、職歴としてもあまり良いことではありません。
それならば短期間しか働けない理由があって派遣社員として働いてきたという人の方が、後々正社員を目指すことになった時は有利になりやすいです。
フルタイムで働くことができない
正社員として働くなら、最低でも1日8時間・週5日勤務が必要となります。
しかし、人によってはこれができない、これが難しいという場合も大いにあるでしょう。
子育てなど家庭の事情や、体調面が理由もあるかと思います。
この場合、融通が利きフルタイムではなく短時間を選べる派遣の方が都合が良い働き方です。
とにかくすぐに仕事を見つけて働き始めなければならない
正社員として仕事を始めようと思ったら、実際に働きだすまでにはそれなりの時間がかかってしまいます。
しっかり選考が行われる正社員の一般的な転職活動の期間は2~3ヶ月で、早い人だと1ヶ月程度で決まる場合もありますが、長い人だと半年以上かかるようなケースもあります。
ただ中には金銭的な理由などかそこまでの期間は厳しいという人もいるでしょう。そんな場合に派遣は非常に有用です。
正社員のように選考を行わない派遣の仕事は、1ヶ月以内、早ければ数日で仕事を始めることもできます。
つなぎ派遣として一度派遣社員として働き、派遣を続けながら正社員の仕事を探すというのは一つの手段としてありです。
安易な理由で選ぶべきではないのは事実
上記のケースであれば派遣という働き方は大いにあり。しかし他の理由なら安易に選ぶべきではありません。
たとえば残業がしたくないから・プライベートを大事にしたいからという理由で派遣を選ぶ人もいるかもしれませんが、正社員でも残業がない仕事というのはそれなりにあるはずです。
給料が良いからという理由で派遣を選ぶのは、将来についてもっと目を向けるべきです。
色々な仕事を経験してみたいからという人もいるでしょう。
しかし派遣としてできる仕事は限られているし、もし派遣の仕事を続けているうちに年齢は高くなっていき、いざ正社員になろうと思ってもなれなくなってしまうかもしれないというリスクがあります。
もしやむを得ない事情、正社員ではどうしても実現できない事情を持っていないのであれば、まずは正社員を第一に考えるべきではないでしょうか。
将来を考えてしっかりと仕事選びを
1,2年しか働かないといのであれば今のことだけ考えれば良いかもしれませんが、ほとんどの人はそんなことないはずです。
おそらくまだあと30年も40年も働くことになるはずですから、それを踏まえなければいけません。
仕事は目先のことだけを考えて選んでしまうと、将来きっと後悔することになります。
ぜひあらためて、自分が選ぶべき働き方を考えてみて下さい。
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