退職は労働者の権利であり、周囲がとやかく言うものではありません。
しかし実際は退職が決まり上司に伝えると、上司だけではなく同僚などから嫌みを言われたり、嫌がらせを受け、退職まで辛い日々を過ごすことになったという人が多いのも事実。
そこで今回は実際にあった退職時の嫌がらせ事例や万が一嫌がらせを受けた時の対処法を紹介していきます。
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退職を伝えてから退職までに嫌がらせを受けた人は意外に多い
退職によって周りが被る影響は決して小さなものではなく、時には嫉妬心を持たれてしまう場合もある為、全員が心良く送り出してくれるとは限りません。
それでもまだ心の中で終わらせてくれれば良いのですが、残念ながら嫌がらせをしてくる人もいて、実際に何かしら嫌がらせを受けた人というのは意外に多くいます。
会社や同僚に迷惑をかけないように引継ぎの時間を考慮して早めに退職を伝え、できるだけ後任者が自分の仕事をスムーズにできるようにしっかり引継ぎを行うなど、円満退職の為にどれだけ気を使ったとしてもそれは起こりうることなのです。
嫌がらせはパワハラになる可能性もあり
退職するにあたって、嫌がらせを受けるようになって辛い、悲しい、けれどももう辞めるのだし上司や同僚のしてくることだから仕方ない、と考えてはいけません。
嫌がらせだろうと、パワハラとして扱われる可能性は十分にあります。
要チェック!パワハラになるのはこんな時
パワハラと訴える場合、気にしてしまうのが「どれがパワハラでどれがパワハラではないのか」ということです。
そこで、パワハラの6類型を紹介しますので、しっかりとチェックして、退職する時に嫌がらせを受けた時や、どうしても退職済の職場での扱いにひっかかることがあるといった事態に備えておきましょう。
1.身体的な暴力
これは当たり前ですね。どんな理由があったにせよ、暴力を受けた瞬間に、パワハラとして訴えましょう。
むしろ、パワハラとして訴えなければならない事例です。
例:暴力・傷害
2.精神的な攻撃
退職を決めてから受けるようになったパワハラと言うと、多くがこれにあたると考えられます。
暴言を吐かれた、陰口を繰り返したたかれたといった、精神への攻撃もれっきとしたパワハラだと覚えておきましょう。
例:暴言・侮辱・名誉毀損
3.人間関係からの切り離し
仕事を辞めるので、上司とは距離を置く方向になる、または距離を置かれるというのも少しくらいなら良いでしょう。
しかし、社員に話さないように命令したり、これまで誘ってきた飲み会にも参加させないようにするなどをすると、パワハラになります。
例:無視・隔離・仲間ハズレ
4.過大な要求
もう仕事の引き継ぎが終わり、やる仕事も多いので溜まっていた有給休暇を取ろうと申請し、その結果として却下されるというのもアウトになります。
同じように、退職が決まり、1人だけあまりにも大きすぎる仕事を押し付けられて、残業させられるのも同様にNGです。
例:残業強制・仕事の押しつけ
5.過小な要求
上で語ったこととは逆に本来の仕事からはあまりにかけはなれたもの、例えば退職が決まってからというもの、ごみ捨てや掃除しか任せてもらえないということになると、過小な仕事だけを押し付けているということになります。
例:仕事をさせない・雑用ばかり
6.個の侵害
退職する理由というのは人によってさまざまです。しかし、上司によっては人それぞれだと理解せず、親の介護が原因、結婚が原因、転職が原因だとすると、その原因を悪く言うということがあります。
例:プライバシーの侵害・私的なことへのしつこい口出し
パワハラは訴えることができる!
受けた仕打ちがパワハラだとわかった際には、きちんと訴えるようにしましょう。
訴える手段としては、上司や人事に直接、内容証明郵便、法的手段の順がおすすめです。
上司や人事にパワハラを止めてほしいと伝える
できれば上司に直接的に訴えてパワハラを止めるように伝えるのが理想ですが、それはあくまで理想です。
訴えてパワハラを止めてくれるのであれば、それに越したことはありませんが、聞いてくれない上司もいますし、こちらから上司に直接的に働きかけるのは怖いという方もいるでしょう。
直接の上司に伝えるのが厳しいと感じる時は人事部へ相談をするのもおすすめです。
人事部は職場全体の環境改善に務めるというのが仕事でもあるので、パワハラなどの相談があれば無下にするということは考えにくいです。
内容証明郵便を送る
そのため、内容証明郵便を上司に送ってパワハラを訴えるというのも有効です。
内容証明郵便は法的な手続きですので、多くの上司はここでやめてくれると考えられます。
しかし、それでも上司がパワハラを止めてくれない、またはそれでは気が済まないという場合は、法的に訴えましょう。
法的手段に出る
パワハラを止めるように伝えるのも、内容証明郵便を送るのも駄目となると、パワハラに対して法的に訴えるのを検討することになります。
法的手段を取るとなると、労働審判か裁判を行うことになります。弁護士がいなければ厳しいことになるので、弁護士事務所に相談するのが効果的です。
時効前なら退職後でもパワハラを訴えられる
退職をしてからでも、在職中に受けた不当な扱いに不満があるという場合は、パワハラとして訴えることができます。
パワハラに対して損害賠償請求をする場合、時効になるのは「被害者が損害および加害者を知ったときから3年」となっています。
時効になる前なら法的手段を取ることができますので、早い内に行動を起こし、弁護士に相談しましょう。
実際にあったこんな嫌がらせ事例
退職する場合、実際にこんな嫌がらせを受けたという事例があります。
決して自分勝手に退職するのではなく周りに配慮した上で退職するにも関わらずこんな目にあってしまうことも実際にあるのです。
面倒な仕事を押し付けられる
退職日の3ヶ月前に上司に退職を伝えてからというもの、明らかに面倒な仕事を押し付けられるようになりました。
休日に出勤せざるを得ない仕事、トラブルになることがわかっている仕事など、明らかにストレスの大きな仕事ばかり。
ちょうど年末年始を挟んでいましたが、12月31日、1月1日も私だけ仕事という悲惨な目にあいました。例年そういった仕事は複数で分担して行うのに今回は自分だけ。
見かねた先輩が手伝ってくれようとしたりしたのですが、上司から自分の仕事も終わっていないのに手伝うなと言い放って却下。
こんなことなら3ヶ月も前に退職するなんて言うんじゃなかったと後悔しました。
退職を伝えた後に嫌がらせをしてくる人で最も多いのが上司。部下の退職によって最も影響を被るからかもしれません。
嫌な上司だと、その立場を武器に色々嫌がらせをされる場合は多いでしょう。
顔を合わすたびに嫌味を言ってくる
私の場合、ほとんどの人は退職に対して変な嫌がらせをされることはありませんでした。
寂しくなるね、頑張ってねなどの声をかけてくれる人が多かったですし、仕事は普段通りでした。
ただ明らかに態度が変わった人がいたのも事実です。
顔を合わすたびに舌打ちをされたり、逃げるだの無責任だの言われたり、打ち合わせが一緒になるとどうせ関係ないだろと言ってきたり。
あまりにあからさまにやってくる人もいたので、極力距離を置くように心がけました。
退職することに対して快く思わない人はどうしてもいるものですが、ほとんどの人はそれぞれの自由であるとわかっているので受け止め、自分の本当の気持ちは隠して接します。
ただ中にはそれができずにあからさまに態度として出してしまう人もいるようです。
退職までの仕事量がとんでもないことに
退職まで1ヶ月をきったタイミングで与えられた仕事は到底終わるとは思えない仕事量。
さすがに終わらないとチームリーダーに言ったものの聞く耳を持ってくれずに退職までに終わらせろの一辺倒。
最後の1ヶ月休日出勤も多く、残業時間は80時間を超え、有給休暇も全然取れずに終わってしまいました。
会社で決められている1年間の残業規制が関係なくなるとは言えさすがにきつく、本当に辛かったです。
1年間の残業時間が決められている会社だと、仕事が多くても残業できずに仕事が残ってしまうという場合も多いです。
ただ辞めるとなれば退職後の残業時間なんてどうでも良くなる為、いくらでも残業させることができることになってしまい大変な目にあうこともあるみたいです。
仕事を全く振られなくなる
1ヶ月前に退職を伝えたところ、次の日には後任が決まり引継ぎが始まりました。
1週間ほどで引継ぎを終わらせましたが、そこから私の仕事は一切なくなります。
いくら引継ぎをしたとは言えすぐにスムーズに仕事をすることなんてできないと思っていましたからサポートで仕事を続けると思っていたものの、上司から手伝うな、一人でやらせろとの命令。
では何をすればいいのかと言うと、片付け等やってろとの指示。最初は色々と後処理をやっていましたがすることもなくなり、有給休暇をとることにしました。
ただ有給休暇をとると言う際も気楽でいいねだのなんだのと言われる始末。
周りは忙しいのに自分だけだらだらしているって割と辛いものがありました。
退職が決まってから仕事が振られなくなったという話は良く聞く話。
辞めることが決まっている為、長期間かかる仕事を与えるわけにはいかないし、人によっては一つ一つの仕事を無責任に適当に終わらせる人も多い為、上司の立場からすると与える仕事にも限りがでてくる為、仕方がない部分ではあります。
ただそんな理由ではなく単に嫌がらせ目的で何もさせないという人もいます。
与えないなら与えないでせめて有給休暇は快く承諾してほしいものです。
もし嫌がらせを受けたら
このような退職時の嫌がらせは退職する人全員が受けるものではありません。
就業規則通りに退職を伝え、引継ぎ等をしっかり行って退職する場合ならほとんど何の嫌がらせを受けることなく退職することができるでしょう。
ただ少なからずこういった嫌がらせを受けてしまう可能性があるというのもまた事実です。
ではもしこういった嫌がらせを受けてしまったらどうすれば良いでしょうか。
軽度なものは笑って済ます
退職まで1ヶ月を切った状態であり、一部の人から嫌味を言われるくらい軽度のものであれば笑ってすますか、そういった人と極力距離を置くなどで対処するのが良いでしょう。
無駄に反発したり対抗すると、より一層面倒なことになるので、腹が立つかもしれませんができる限り穏便に済ませる方が得策です。
また無理に納得してもらおうだとか、関係を取り戻そうと努力する必要もありません。
こちらが正当な退職手順を踏んでるのにそういった行為を及ぶ人と関係を修復しても良いことなんてありませんし、一度こじれた人間関係はそう簡単に解消できることでもありません。
あと少しの我慢と思い、今いる会社のことではなくその先のことを見据えて過ごしてください。
重度のものは誰かに相談
もし嫌がらせ行為があまりにひどく、精神的に辛すぎて退職まで我慢することができないという状態になれば誰か信頼できる人に相談してみましょう。昔の上司などできるだけ上の立場で力が強い人の方が良いですね。また人事の相談窓口等でも良いと思います。
この先も仕事を続ける場合だとその先のことを考えてしまうかもしれませんが、もう退職が決まっているのですから関係ありません。
どんどん相談して外部から嫌がらせ行為を止めて貰えるようにしましょう。
どうしようもなければもう会社に行かない
誰に相談してもダメという場合の最終手段は有給休暇を使ってもう会社に行かないことです。引継ぎ等が終わってなく迷惑をかけることになっても関係ありません。
多くの人はかなりの日数の有給休暇が残っていると思いますから、退職日までこれを使えばルール上はこちらに全く非がない状態で会社に行く必要がなくなります。会社も労働者が使う申請をした際に拒否することができません。
職場にとってはかなり迷惑がかかるかもしれませんが、そうなってしまったのは自業自得。
今後の退職者の為にもなるので、あまりにもひどいなら気にせず休んでしまいましょう。
退職を怖がるのは絶対だめ!
退職しようと思っても、今回紹介したような嫌がらせをされるかもと思うと中々勇気を持つことができずにずるずる働いてしまっている人もいるかもしれません。
しかし退職で大変な思いをするのは長い会社生活で一瞬だけですし、大半は何のトラブルなく退職することができます。
ですから決して退退職することが怖いから転職に踏み切れずにいるなんてことがないようにしてください。それは数年先に後悔する原因になります。
特に現在は転職市場がかなりの売り手市場。今より好条件で働くことができるチャンスが大きくなっています。
ぜひまずは転職活動を始めてみましょう。退職は絶対になんとかなりますから。
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