就職市場、転職市場でも人気の高い大企業。
3年以内離職率が大卒でも3割いるこの社会でも、10%未満どころか5%未満を切るような会社も少なくありません。
しかし、そんな大企業であっても転職する人は少なからずいます。
今回紹介するのは、その経験をした人の転職体験談です。
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大企業への入社、そして転職
私が新卒で就職したのはとある大手メーカー。
就職ランキングでも上位にいる入社難易度の高い大企業でしたが、理系で学校推薦もあった為、就職活動自体に苦労することなく入社することができました。
ただ内定を貰った時は嬉しかったです。
その会社で働けるというだけで周りからみればかなりの高収入を得られる、そして将来を考えても安心して働ける。そんなことを考えていました。
しかし、そんな喜びを感じることができていたのも入社するまで。
いざ入社した私は3年間悩みに悩み続け、結局その大企業を辞め、全く知名度のない中小企業に転職することになりました。
大企業に入社した3年間のこと
まずは私が3年間働いた大企業のことを少し話します。
入社した理由
なぜその会社に入社したのか。私にはその理由が正直ありませんでした。
知名度が高い、平均年収が高い、ホワイト企業との評判も高い。その程度です。
たまたま学校に推薦があり、その推薦を使うことができ、内定を貰ったのでその会社に入社した。
ただそれだけで、自己分析もしなかったし、企業研究もしなかったし、OB研究もしなかった。どんな仕事をするのかすらよく理解してはいませんでした。
そもそも仕事をするということが実際にどういうことなのかを、甘く見すぎていたんだと思います。
給料や労働条件のこと
会社自体は決して悪い会社ではありませんでした。
まず給料。たった3年しか働いていませんでしたので物凄く給料が上がったというわけではありませんでしたが、それでも年収は600万円近く。
30代中盤になれば1,000万円を超えるのが普通でした。
加えて年間休日は125日以上あったし有給休暇もほぼ100%取得可能。残業も年間360時間を守るように言われてサービス残業もありませんでした。
振り返ってみてもかなり恵まれている会社だったと思いますし、もし就職したい、転職したいという人がいたら普通におすすめします。
まあそんな会社を私は辞めてしまったわけですが。
仕事のこと
待遇に関しては不満が無かったものの、仕事に関しての不満は大きかったです。
なぜなら仕事自体は私にとっては正直言って面白いと思えるものではなかったからです。
細分化された狭い領域でしか仕事に関われないこと、技術職と言いながら仕事のほとんどが関係会社等をまとめていくことだったこと、マニュアル化され創造的な仕事ができなかったこと。
どんな理不尽なことでも上の立場が言った人に従わなくてはいけなかったこと、そのせいで時間が足りずに遅れたら文句を言われること。成果を出したところで正しい評価をされず、ごますりしなければ上には上がっていけないこと。
色々なことに不満を感じていました。
ただ大企業はつまらないと決めつけるわけではありません。
規模が大きい仕事にたずさわれるということ、自分がやったことが全国、いや全世界で使われているという実感、教育がしっかりしていてある程度までは誰もがそれなりに成長できる環境、明確になっている仕事をスムーズにこなせることができる環境。
大企業で働いているからこそできること、得られることは離れた今だからこそ大きかったなというのは感じています。
私が大企業を辞めた理由
はっきり言って私が入社した大企業はかなり恵まれている環境です。普通の人なら辞めないし、事実周りでも結婚や病気以外で辞めたという話は聞きませんでした。
私自身、待遇についてはかなり恵まれているという実感はあったし、そこを捨ててしまうというのはかなり勇気と覚悟が必要でした。
しかし今はその会社を辞めています。それには大きく2つの理由がありました。
仕事に対する不満
仕事を辞めた理由の一つが仕事に対する不満。
先ほど書いたように、仕事内容には大きな不満がありました。
正直、毎日つまらない、やりたくない、面白くない、違うことをやりたい。そんなことばかりを考えていました。
大企業ならではのメリットも確かにあります。大企業の仕事が皆にとってつまらないものなんて全く思ってはいないし、むしろそこに大きなやりがいを感じている人だって大勢います。
ただ私にとってはそれが魅力的なものではなかった、ただそれだけです。
将来に対する思い
たとえ仕事がつまらなくても、そのまま仕事を続けていくという選択肢ももちろんありました。
生活のことだけを考えたらやっぱり恵まれていましたから。
確実に高い給料を貰うことができ、普段は早く帰れて休みも多いのでプライベートも充実させることができる。
その点に魅力がなかったわけではありませんでしたし、本当に辞めるかどうかを最後まで悩み続ける理由にもなりました。
しかし、それでも私は結局辞めるという決断をしました。
なぜなら、将来について考えてみると、そういったことが私にとって本当に価値のあることとは思えなかったからです。
私が仕事を通じてこうなりたいと思うようになった形は、大企業で勤め続けたその先にはありませんでした。
待遇ではなく自分がなりたい姿に近づくことの方が大事なことでした。
そして私は転職するという決断をし、ホワイト企業であった大企業を辞めたのです。
大企業を辞めた時の出来事
いざ大企業を辞めるとなった時のことですが、特別トラブルとかはありませんでした。
上司に申し出たら多少引き止められたものの、次の仕事がすでに決まっていたこともあって強く言われることもなく、手続きもさらっと終わりました。
あまりのあっけなさに、こんな簡単に終わっちゃうんだと少し思ったのを覚えています。
ただ周りから辞めることについて色々と言われました。
もったいないという言葉は10回以上言われたと思います。
次の会社が普通の人なら知らないベンチャー企業だったこともあって、大丈夫なの?という言葉も何回か言われました。
おそらく悪意はないし、むしろ私のことを思って心配して言ってくれてたんだと思いますが、当時は正直わずらわしかったです。
大企業を辞めるということは、おそらく多くの人にとっては理解できない行為なんだと思います。それを実感しました。
転職したベンチャー企業のこと
大企業を辞めた私が次に入社したのはベンチャー企業。それも社員が10人程度の本当に小さなベンチャー企業でした。
入社した理由
最初からベンチャー企業が良いと考えていたわけではありませんでしたが、会社としてのビジョン、経営状態、私が実際にすることであろう仕事、仕事の目的といった部分に惹かれたことが今いる会社を選んだ理由でした。
また、実際にそこで働いている人に話を聞いた中で、会社としてしっかりしていること、ブラックベンチャー化していなかったということも大きかったです。
もちろん不安はありました。小さなベンチャー企業なんていつだめになるかわかりませんから。
給料や労働条件、労働環境のこと
転職後、給料自体は思ったよりも減らなかったとは言え、年収で100万円以上は減りました。
ただ残業はかなり増えました。月50時間くらいです。サービス残業も多いわけではありませんが、多少はあります。
年間休日は120日以上ありますが、有給休暇は全取得というわけではありません。
小さいベンチャー企業の中で見れば良いほうですが、待遇だけ見れば以前働いていた大企業に比べて圧倒的に悪くなったというのは間違いありません。
仕事のこと
仕事は大企業の頃と比べて一変しました。
範囲が広く、裁量も大きく、その分責任もある。自分の仕事が終わればそれでよしというわけではなく、ある程度全体も見渡しておかなくてはならない。
正直大変なことの方が圧倒的に多いです。
ただ、仕事に対して楽しいと思えること、やってて良かったと思えることは確実に増えました。
転職してから感じた素直な気持ち
ここからは、私が転職してから感じている素直な気持ちを少し話していきます。
後悔はない
一応今のところ、転職したことに対する後悔はありません。
確かに待遇を見れば悪くなりました。
しかし、仕事を楽しむことができるようになったこと、自分が思い描く将来像に徐々に近づくことができているという実感できることは、待遇が悪くなったこと以上に私に価値があることだからです。
前の会社の良さが身に染みる
ただ前の会社は良い会社だったなと思うことは、正直時々あります。
給料が高いこと、残業が少ないこと、仕事がやりやすかったこと、企業の看板を武器にできたこと。
大企業としてのメリットはやっぱりあるんだというのは、辞めた後になって強く思うことです。
今はまだ仕事に対するモチベーションが高いので、前の会社の方が良かったとか、戻りたいとか、転職しなければ良かったということは思いません。
しかし、もしこれから私の中で仕事に対するモチベーションが下がってしまった時、あの安定で高待遇な仕事を辞めたことを後悔する日が来るのではないかと多少恐れている部分もあります。
そしてこの気持ちとはおそらくずっと抱えていけないのかなとも思っています。
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