それなりに規模がある会社で働いていると、突然異動を命じられてしまうことは少なくありません。
そしてその異動は本人の希望が考慮されない場合がほとんど。さらに理由が本人にとって前向きなものとは限らず、人員不足の部署の強化など会社都合によって行われるものが多いです。
やりがいを感じている仕事から全く興味のない仕事に、これまでの経験をほとんど活かせない仕事に異動させられれば、不満を感じるのは当然のこと。今後のキャリアを考えている人の中には、異動してすぐに転職を考える人も少なくないと思います。
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異動してすぐに転職を考える人は多い
実際にマイナビの実施した「望まない人事異動の意識調査」では、異動を命じられた76%の人が「転職や退職を視野に入れた」と回答しています。
給料が少ない、残業が多いなど待遇による不満を理由に転職する人が多いのは周知のことかと思いますが、実は異動や転勤による不満が理由で転職に踏み切る人も多いのです。
その理由にはどんな背景があるのか、あなたの状況と照らし合わせながら確認していきましょう。
基本的に拒否ができない
会社から異動を命じられた場合、採用の時点で職種が限定されていない限り基本的に拒否することはできません。拒否できるのは介護や育児の関係で転勤を伴う異動ができないなど、特別な事情がある場合になります。
それにも関わらず頑なに拒否してしまうと、業務命令違反となり懲戒処分の対象となる可能性があります。
実際のところほとんどの会社では解雇にまで至りませんが、評価を下げられ出世できなくなったり、職場に居づらくなったりするリスクがあります。
全く違う仕事をせざるを得ない場合も
たとえ働く本人が今の仕事が好きであっても、やりたいことと全く違う仕事をしなければならない場合も出てきます。
仕事内容が近い部署に異動となればマシかもしれませんが、職種も扱うサービスも違う、知識も経験もゼロからスタートすることになれば気が滅入るのも当然です。
仕事内容が会社生活に及ぼす影響は甚大です。そこに不満があると、待遇が良くてもやる気が起きず、満足した会社生活は送れません。
キャリアへの影響も大きい
異動が必ずしもキャリアアップに繋がらないのも難点。戻り前提の異動であれば、視野を広げるための経験になるとして人事や上司があえて命じている場合もあるでしょう。
しかし単なる欠員補充など、完全な会社都合である場合はキャリアアップに繋がらないどころか、やりたくない仕事を一から学んでいかねばなりません。そうなってしまった時は、自分自身のキャリアへの影響がかなり不安なところです。
人事異動を行う理由
そもそも異動を理由に転職を考えてしまう人が多い一方で、なぜ異動は無くならないのでしょうか。あなたが現在勤めている会社以外にも、異動や転勤制度がある会社はたくさんあります。
それでも無くならない人事異動には、思っているよりも合理的な理由があり会社側だけでなく働く側にも少なからずメリットがあるからなのです。
社員育成のため
社員の能力を最大限に発揮させることは、会社側にとっても働く側にとってもプラスになることです。
働く本人が思っている以上に会社側は期待を寄せているかもしれませんし、逆にもっと他に適した仕事があるのではと考えている場合もあります。
自分が思っている性格と他人に見えているが性格が違うように、どうしても主観では把握しきれない部分があるのです。
その点を考えると、むしろ異動はそのきっかけを自動的に与えてくれる合理的なシステムと捉えることもでるでしょう。
マンネリ化・意欲低下の防止
人間誰しも、同じことを繰り返し行っていれば無意識に「飽き」を感じるようになります。
始めは学ぶのに必死、ついていくのに必死だった密度ある時間が、次第にダラけがちになって意欲も生産性も徐々に下がっていってしまいます。
会社側はそのマンネリ化を防ぐために、定期的に異動や転勤を行ってリセットするという手段をとっているのです。結果的にこれが組織全体の活性化にもつながっていきます。
企業戦略のため
新規事業の立ち上げや退職者の埋め合わせなど、組織の体制を変えたり整えたりるするために発生する異動もあります。
新規事業にエース社員を配置するといった能力を考慮した異動がほとんどですが、なかには「埋め合わせ」のような扱いをされてしまう可能性もゼロではありません。
つまり裏を返せば会社都合の偏りが強いため、望まない異動が生まれる最大要因であるともいえます。
異動を命じられたら考えるべきこと
望まない異動を命じられたら「嫌だ!」という感情の一点張りになってしいがちですが、一旦落ち着いて考えてみましょう。
なぜあなたは異動を命じられたのか、異動にも少なからずメリットがあるのではないか。
もし最終的に「やっぱり転職する」という決断に至っても、この思考のプロセスは後々転職理由考えるときに役立てることができます。
客観的に自分を見つめ直してみる
今の仕事が自分に最適、自分には充分なスキルがあると思い込んではいないでしょうか。
もちろん自他ともに頷ける方もいるかもしれませんが、そんな方はほんの一握り。
今一度自分を見つめ直し、異動することが実は成長につながるのではないか、自分の可能性を広げるチャンスになるのではないかと複数の視点から判断してみましょう。
「実際にやってみたら意外と楽しい」から始まる新たな道があるかもしれません。
同じ社内で他の仕事ができることをプラスに考えてみる
異動は社内でできる手軽な転職とも捉えることができます。本来転職には時間もお金も労力もかかりますが、異動なら段ボール箱1つで解決します。
また同じ姿勢のままでいると体が凝ってしまうように、同じ仕事をし続けていけると思考が凝り固まりやすくなってしまいます。
それをほぐす手段として、異動という手軽な転職を経験してみることは必ずしも悪いことだといえません。
自分のキャリアアップに繋がるか
自分の中で明確なキャリアプランを持っている人ほど、異動という言葉への打撃が大きいはずです。
もちろんずっと同じ職種にこだわって追求していくことも立派ですが、少し回り道をすることで些細なことが大切だと気づいたり、まったく違う職種の知恵がキャリアアップに活かせたりと思わぬ発見をする可能性もあるでしょう。
いつもの帰り道を変えてみたら素敵なお店や風景に出会えた、という感覚と同じです。
しかし年齢や状況によっては悠々としている時間がない方もいるでしょうから、そこは上手く自分と相談してどちらの道を行くか選んでください。
交渉してみる
それでも転職の選択肢が最優先、という方は最後に交渉に踏み切りましょう。
働く側に拒否権はないと前述しましたが、あまりにも嫌がる社員を無理矢理とばしたところで本人の成長や会社への貢献にはつながりにくいもの。
実際にマイナビの調査では、異動・転勤を命じられて交渉をした人の割合は65%に上ります。
黙っているよりは納得のいく理由を用意して交渉に踏み切った方が、後腐れなく次のステップに進むことができるはずです。
その他にも実際に異動をした先で人間関係がうまくいかないケース、仕事が自分に合っていなくて体調を崩してしまうケースもありますので、そのような場合も会社へ交渉をしてみて、だめなら退職を検討するという手段も考慮してみてください。
異動してすぐの退職はあり?なし?
いろいろ考えた上で「やっぱり転職したい」という結論に至った方、次は「異動してすぐに退職しても大丈夫なのだろうか?」という問題が浮上してくることと思います。
それについても触れていきましょう。
印象は悪くなる
異動してすぐ退職してしまうというのは、ずっと働き続けてきた人の退職と比べるとはっきり言って印象は悪いです。
異動して最初の1、2ヶ月は仕事を教えて貰うために誰かの時間を削っていることになりますし、その職場でもまだ貢献ができていない状態です。
ただそれは仕方がないこと。
申し訳なさのために自分の転職を先延ばしする必要はありませんし、すべきではありません。退職する際には色々と言われるかもしれませんが、たとえ嫌われたって結局はその職場からはすぐいなくなるわけです。
転職を決意しているなら職場の人にどう思われるかは二の次、長い目で見て自分のベストな道を選んでください。
異動を退職理由にはしない
退職を申し出る際に退職理由を聞かれることになりますが、その際に異動を退職理由とすることは避けてください。
なぜなら、もしそれを言ってしまうと強い引き止めに合う可能性が高いからです。例えば1年、2年で前の職場に戻すと言われ強く説得されることなどが挙げられます。
他にもすぐに前の部署に戻すなんてことを言われることもありますが、場合によっては会社の命令を受け入れなかった人、退職をするつもりだった人と認識され、出世できなくなるわ職場での居心地は悪くなるわで踏んだり蹴ったりです。
退職を申し出る場合は決意を固く、できるだけスムーズに行うことだけを考えて下さい。退職理由は嘘でもいいので、「他にやりたい仕事がある」「目標や目的がある」など無難なものにしておきましょう。
異動と転職はしっかりと天秤にかける
長い目で見れば異動がプラスに働くことはありますが、人によっては悪影響となることもあります。だからこそ異動をきっかけにすぐ転職することは間違ったことではありません。
もちろん、どんな会社に行っても再び異動させられる可能性はありますし、好きな仕事をやれる人なんてほんの一握りなんて言う人も少なくないでしょう。
ただ自分はこれがやりたい、自分はこうなりたいという思いが勝るのであれば、思い切った行動はむしろ自分にとって正解となるはず。
今の環境や希望をよく考えて、あせって転職することのないよう落ち着いて判断していきましょう。
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