ホワイト企業は待遇が良く労働環境も整っているため、離職率が低いです。
ただ、だからと言って誰もがその会社で働くことに満足しているわけではありません。
仕事内容に不満があったり、人間関係が上手くいかなかったりと様々な理由で辞める人が少なからずいます。
今回お話するのは、大手ホワイト企業の働き方に不満を感じて退職し、あえてブラック企業に転職した実体験。
なぜ、わざわざホワイト企業を辞めてまでブラック企業に入社したのか、転職してみたらどうだったかについてご紹介していきます。
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大手ホワイト企業からブラック企業へ
「給料が良くて、世間体も良い会社に入りたい。」
私が就職活動で考えていたのはそれくらいで、その頃は将来どうなりたいだとか、何をやりたいかなんてことは特に考えていませんでした。
そして就職したのはとある大手企業。業界トップで知名度も高く、知らない人はそういないところでした。
給料も良い、残業についても厳しい、絵に描いたようなホワイト企業で、就職活動としては十分成功でした。
普通の人なら辞めることなく働き続けるはずです。今でも私の知る範囲では、結婚や親の会社を継ぐといった理由以外で転職した人はいません。
しかし、この会社を私はたった1年で退職してしまいました。
転職したのはサービス残業万歳、毎日終電近くまで残業、仕事が終わらなければ無給で休日出勤というブラック企業。前の会社とは全く逆の環境です。
しかも私は、その事実があることを知りながら、あえてその企業を選びました。
ブラック企業に転職した理由
普通ならサービス残業なんてしたくない、毎日深夜まで残業したくない、休みだってしっかり取りたいと思うはずです。
転職したブラック企業でも同僚に、「なんで前の会社を辞めてまでこんな会社に転職したの?」とかなり疑問を持たれました。
では、なぜ私はわざわざブラック企業に転職したのか。それにはいくつかの理由がありました。
のんびり感に嫌気がさしていた
大手ホワイト企業では、入社して数ヶ月は集合研修、しかも話を聞くばかりで寝ている人も多数いました。
それが終わればようやく各部署に配属されるものの、今度は各部署でまた数か月の研修。ようやく実務となっても、新入社員という扱いでのらりくらり。
最初は楽でいいやという気持ちもあったのですが、徐々にのんびり感に嫌気がさすようになりました。
なんとなく他の会社の同年代に、どんどん置いていかれている気がしたからです。
一生この会社で働き定年を迎えることが出来れば何も問題は無いかもしれませんが、どれだけ大きな会社でもいつ潰れるかわからないご時世です。
このままではまずい、という不安な気持ちが強くなっていきました。
厳しい方が成長できると思った
じゃあどんな会社だったら成長できる?と考えてみた結果、少しくらい厳しい方が成長できるだろうという答えを出しました。
厳しい環境の方がバリバリ仕事ができるし、自分を追い込める。仕事をする量も必然的に多くなるので、その分経験値は高くなる。
そうして考えついたのがブラック企業です。
のらりくらい仕事をするより、絶対に良いとあの頃は思っていました。
やっていける自信があった
ブラック企業で働くことの大変さについては色々と調べていましたが、自分ではなんとかなるような気がしていました。
というのも、学生時代はバイトを掛け持ちして睡眠時間を削りながら深夜バイトをしていた経験もあり、メンタルもそれなりに強い方でした。
後はそこそこ良い大学を出て難易度の高い会社に入社できたことから、周りに比べて仕事もそれなりにはできるだろうと薄っぺらい自信があったのです。
給料が高かった
給料の高さも1つのポイントです。
前の会社もそれなりに高くはありましたが、それでも年功序列です。20代前半のうちは年収500万円もいかないし、30歳でようやく700万円程度。
それでも日本の初任給から考えたら相当高いものですが、ブラック企業の方では転職直後でも年収がアップする上、成果さえ上げれば年齢も関係なくさらに給料アップが目指せました。
このお金の面に惹かれてしまった部分は正直あると思います。
大手からブラック企業に転職してみた感想
そんな理由で、周りからの「もったいない」という言葉も無視してブラック企業に飛び込んだ私。
実際どうだったかというと、良かった部分がなかったわけではないが、やっぱり行くべきではなかったかなというのが正直な感想です。
ストレス耐性は強くなったと思う
ストレス耐性はかなり強くなったと思います。
上司から理不尽に怒られることも多く、ありえない量の仕事を与えられることもしばしば。しかも毎日終電まで残業し、体を休める時間なんてろくにありませんでした。
耐え切れずに辞めてしまう人も多く、ブラック企業は本当にメンタルが強くないとやっていけないなと実感しました。
お陰様で、今ではちょっと怒られたり理不尽なことを言われたりしても、全くへこまなくなりました。
思ったより成長できない
成長できるかもと思って入社したブラック企業でしたが、実際に成長できる環境であったかというと、正直そうではありませんでした。
確かに必死になって仕事と向き合う気持ちは大事ですが、必要なのはそれだけでありません。
結局は同じような仕事を根性論でやっつけていくだけで、単に労働時間が長くても経験できることは変わらなかったのです。
逆に前の会社では、最初こそのんびりだったけれど社員は確実に成長していました。
徐々に仕事を覚え、レベルに合わせて新しいことを経験し、後々は大手ならではの大きい仕事を経験できる。「ちゃんと考えられているんだな」と今更ながら思います。
お金がかなり貯まった
ありがたいことに給料は高く、残業代も半分くらいは出してもらえたのでお金はみるみる溜まりました。それにお金を使う時間も全然なかった、というのも大きな理由でしょう。
飲みに行ったり休日に遊びに行ったりする機会も減り、夜は上司や先輩が何かごはんを買ってくれていたので、もう貯まる一方でした。
しかし正直なところ、そこに一切幸せを感じなかったです。
慣れることはない、ずっとしんどかった
さんざん書いてきましたが、まとめると「とにかくしんどかった」の一言に尽きます。
結局4年くらい働いたものの、今振り返ってもあの頃はしんどかったという気持ちが一番に来ます。
怒られることに慣れたって怒られている時は嫌でたまらない、長時間残業は本当に辛かったです。早く帰りたい、もっと休みたい、もっと寝たいなんてことばっかり考えていました。
反対を押し切ってまで転職したからにはすぐ辞めるわけにもいかず、何とか耐えていましたが、決して長期間働くような環境ではありません。
ブラック企業での経験は有意義だった?
いつまでも働けるような環境でもなく、働き続けるメリットもないと感じたので、入社してから4年後に再度転職することにしました。
まだ20代だったこともあり、2回目の転職はあまり良くはないことだと思っていましたが、ブラック企業で4年も働いたという実績が意外にも高く、そこで成果を上げて役職も得ていたという理由もあって、そこそこ良い待遇で転職することができました。
大手を辞めたこと、そしてブラック企業に転職したことは全く無意味だったとは思いません。
大手ホワイト会社だったら経験できないこともたくさんあり、視野も広がりました。
ちょっとやそっとのことでへこたれないぐらい強さがつき、必死になって仕事をしてきたことが自信にもなっています。
ただ、もしまた昔に戻ったら、ブラック企業に転職することはまずありえないでしょう。それほど辛かったですし、そもそもブラック企業でなくても良かったという気持ちが強くあります。
それに3社目の方が、あらゆる面でよっぽど成長することができています。
ホワイト企業でも不満があるなら辞めてもいい、でもブラック企業に入るのはやめておいた方が良いというのが私の結論です。
とはいえ、私のように大手ホワイト企業を辞めて、わざわざブラック企業に入る人はそういないと思いますが、もし同じ思いを抱えいる方がいたら、今一度それで本当に良いのか考え直してみてください。
実体験については以上になりますが、ここからはブラック企業の種類、そして私と同じく「大手がつまらない」と感じている方に向けて、他の解決策をご紹介できたらと思っています。
同じブラックでも、大手とベンチャーでは状況が違う
私が転職したブラック企業はベンチャー系でしたが、中には大手でありながらブラックなところもあります。
一概にブラック企業といっても、既に大手でブラックなのか、 成長中のベンチャーでブラックなのかによっても状況が変わってくるのです。
大手企業の場合
残業ゼロと謳っていても、社内での残業が規制されているだけで実は持ち帰り残業が常態化していたり、歴史ある会社では上司の誘いは断れない、飲み会ではお酌が必須といった昔ながらの悪しき風習が残っていたりすることが多いです。
声を上げれば改善の余地はありますが、社員数が多く規模が大きいこともあり、すぐに社内風土や規則を変えることが難しい傾向にあります。
ベンチャー企業の場合
一方ベンチャーでは、企業の成長度合いに対して単純に社内整備が追いついていないケースがあります。しかし業務量や勤務時間がブラックでも、社員を育てる体制は整っているという企業もあるので、ブラック企業の線引きが難しいところです。
もし会社の方針として待遇改善に前向きであれば解決する可能性は高いですが、 「とにかく利益重視で他は知らない」という場合は難しいといえます。
大手企業の「つまらない」は変えられる?
結論から言うと、あなた次第で「つまらない」は変えられます。
私はとにかく大手から抜け出すことを考えていたので足早に退職してしまいましたが、後々思い返してみると、それ以外にも方法があったのではないかと思っています。
それは、大手企業という好待遇を活かして、成長する機会を自分でつくることです。思いつく限りでも4つ選択肢があるので、具体的にお伝えしていきましょう。
①プライベートの時間を勉強にあてる
大手ホワイト企業の特徴といえば、残業の少なさと有給の取りやすさ。プライベートの時間は充分なくらい確保できる環境です。
社内が退屈なら、プライベートの時間を使って資格の勉強をしたり、語学の勉強をしたりして、自ら成長する機会をつくれるはずです。
②小規模の部署へ移動する
花形部署や大きな部署は企業の柱であるため、必然的に経験豊富でそれなりの立場の人が集まります。
大きな部署に配属される若手は、活躍する先輩の補佐に回りがちで、なかなか裁量の大きい仕事を任せてもらえません。
そこで、あえて小規模の部署に異動することで自由度と責任が増し、社内での活躍度が上がる可能性があります。
③海外転勤をする
大手企業であれば、海外支社のある確率も高いはず。語学に自信がない人も、前述したように勉強を積んでから転勤を買って出るという方法もあります。
異文化の中で刺激を受けながら働くのは、成長するにもってこいの環境であり、一生活かせる経験にもなります。
④新規事業に参加
新規事業に参加するのは、大手企業かつ若手の立場だとなかなか難しいことですが、参加したいと意欲的な姿勢を見せる価値はあります。
積極性が今後の仕事につながるかもしれませんし、上司に顔を売るとチャンスにもなります。
最後に、これらを成功させるポイントを2つお伝えします。
- 普段から他部署とも交流して人脈を広げておくこと
- 常に自分でチャレンジする機会を作り出すこと
大手企業で若いうちから抜きん出るには、受け身の姿勢は厳禁です。むしろこちらから近寄って、仕事も上司の心も掴んでやるという心意気が大事です。
大手の安定性は誰もが手にできるものではありません。せっかく入社したのだから、今をうまく活かしつつ成長していきましょう。
今すぐできることから始めよう
ホワイトとブラック、天と地を知れたのは、人生において良い経験となりました。
もしも「大手ではもう限界」と思うときがあったら、一気に無法地帯のブラック企業に下げるのではなく、未来のあるベンチャー企業を選びましょう。
くれぐれも私の二の舞にならぬよう、慎重に転職を進めてくださいね。
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