仕事を教えることは避けては通れない
会社員として仕事をしていくと、毎年新入社員が入り、後輩がどんどんと自分の下に配置されます。
それだけでなく、ポジションに就くと後輩は部下となり、役職が上がれば上がるほど部下の人数は増えていくことになります。
会社に所属している以上、仕事を教えるということは常に必要な作業であり、避けて通ることはできません。
部下の育成は仕事の一つであり、社員の教育の結果が会社全体の売り上げや効率的な経営に繋がっていくため、教えることが苦手という言い訳は通用せず、教えることが上手い人は会社からの評価も高まります。
仕事を教えるのが上手い人が意識・実践していること
教えることが上手い人というのは、単にその才能があるというわけではなく、教えるために意識していることや実践していることなどのコツを理解して、活用しているという事が多いです。
背中から見て学べというのは効率が悪いことが多く、かといって逐一細かいことに手を貸すことも成長に繋がらないため、仕事を教えるということは簡単なことではありません。
そこで仕事を教えることが上手い人は、どのような指導を行っているのかという詳細を確認していきましょう。
全体の流れを理解させる
新しい仕事を教える時に、1から順番に教えるということがよくありますが、説明の最初の段階で仕事の細かい部分まで教えるよりも、まずは全体の流れを把握させることで、どのような仕事が行われていくのかということを理解することができます。
一度の説明でわかるようにと、最初から作業の注意点などのいちいち細かい部分を教えても、全てを覚えることなどは到底できません。
全体の流れを見通すことで、教えられる相手も説明されることを漫然と覚えるよりも、自分の作業を把握しやすく、キャパオーバーになりにくくなります。また、流れの中で今はどの作業をしているのかということが見えやすくなるため、次にやるべきことを自分で考えながら仕事に取り組むということもしやすくなるため、後輩や部下の成長に繋がりやすいです。
覚えやすい環境を作っている
仕事を教わる側は、教えてもらう時に「覚えなければ」という緊張感やプレッシャーの中にいることが多いです。
緊張をしていると目の前に提示されたことを覚えることに必死でもあり、聞きそびれてしまったことを積極的に聞き直すといったことができないという場合があります。
あれもこれも教えたくなってしまい、忙しい合間で指導を行うときには、詰め込むために早口で駆け足の説明になってしまうこともありますが、早口では説明を聞き取れないことや理解できないままに先に進んでしまうということがあります。
また、焦る気持ちが伝わってしまうため、部下や後輩も「早く覚えなくては」と気持ちが先走り、結局覚るまでに時間がかかるというリスクもあります。ゆっくりと穏やかな口調や表情で伝えれば、相手も落ち着いた姿勢で仕事を覚えることができます。
教えたんだからわかるだろうという意識でいると、わからなかったことを再度聞くことができないなど、成長の妨げとなってしまうこともあります。不安を少しでも軽減して、モチベーションを上げるなど、覚えやすい環境作りをするということも教える上で大事なことになります。
また、専門用語や一般的ではない用語を使うことは避けて誰にでも分かる言葉を使うか、事前に教えておくことで、説明自体がわからないということを防ぐことができます。
実際に自分でやってみる
学生時代に勉強するとき、授業を受けるだけで覚えるということは難しく、英単語などを何度も書いたり口にしてみて覚えていたのと同じように、口で教えるだけよりも実際に作業を行ってみることで覚えやすくなります。
説明をしてから、実際にやってみせることで説明をイメージ化することができ、教えた相手にも実際にやらせてみることで経験として覚えることができます。
実際にやらせてみることで、イメージ化するだけでは理解できなかったことや、実際に行ってみたときに躓いてしまう点を確認することができ、間違えている認識や手順、コツなどをすぐにフィードバックすることもできます。
間違えたまま覚えてしまうということを防ぐことにも繋がります。
なぜやるのかまで伝える
一見必要なさそうな作業やその先にどう繋がるのかわからない仕事が入ってくる場合、漫然と作業内容を教えるだけでは、覚えにくいことや実は重要なことであるのに手を抜いてしまうということもありえます。
ただ作業の方法を教えるのではなく、一つ一つのタスクにどういう意図があるのか、なぜ行うのか、後々どのように使われるのかということを一緒に教えることで、教わる側もタスクに対する理解を深めることができます。
どのような意味のある作業をしているのかと理解をした上で仕事を行うことで、ただ淡々と作業を行うよりも、こうしたらもっと捗るのではないかと自分で考えながら作業を行えるようになり、効率や仕事の質を上げることができる可能性が高くなります。
フィードバックを大切にする
教えたらそこでおしまいというのは、仕事の教育には少し足りないという場合があります。
仕事を教えることが上手い人は、教えた後も仕事の内容を確認し、つまずいていることはないか、上手くいっているところや修正箇所などを確認しています。
都度指摘するというわけではなくても、作業内容を確認しておくことで、前回と比べてどのように伸びているか、成長ぐらいなどを本人にフィードバックすることができ、やる気や仕事に対する姿勢を伸ばしていくことができます。
否定から入らない
説明中や実際に作業が始まった時、フィードバックをしている時など、なぜそうしたのかといった答えや相手の言動に対して、たとえ間違った理解をしていたとしても、否定から入ることで相手を頑なにさせてしまうことがあります。
相手の考えた事がたとえ間違っていたとしても、そういう考え方もあると共感したり新しい視点として評価してあげることが大事です。
考え方を認めた上で、上手くいく方法やなぜ教えた方法で行うことが大事なのかということを改めて教えることで、相手の仕事へのモチベーションを高めたまま指導することができます。
ミスを正す時にも否定をしないことで、よい関係性を構築していくことができ、結果的にその後の業務にもプラスに働いていきます。
仕事を教えるのが上手いことのメリット
会社員として仕事をしていく上で避けることのできない「仕事を教える」ということは、単に仕事の一つとして捉えていては損をしている可能性があります。仕事を教えることが上手くなるということは、単純にスキルが身に付くだけではなく、いくつものメリットがあることを確認しておきましょう。
部下からの人望が高まる
教わる側にとって、教えることが上手い人から仕事を教わることと、教えることが下手な人から仕事を教わることのどちらがいいかというと、ほとんどの方は教え方が上手い人に学びたいと考えるでしょう。
仕事を教わる上司や先輩は、その後も仕事でわからないことがあった時や躓いてしまった時には質問をしたり、フォローや指導を受ける相手になります。教え方が上手い人は、最初の印象がよいため、その後も慕われることが多くなります。
教え方が上手い人は、自分本位ではなく相手本位であるため、教わる人がどんなことを考えているかなど、いかに相手の立場に立って考えることができるのかということを大切にしています。
そのため、仕事を教える時だけではなく、いつも相手の立場に立って考えることができるため、部下や後輩も質問や相談をしやすく、慕われることが多いでしょう。
人望が厚いことで、仕事の頼み事をしやすくなったり、部下や後輩のモチベーションを高めることができるため、仕事の効率化や成功に繋げることができます。
業績アップにつながる
仕事の教え方が上手いことで、部下や後輩は業務の内容の理解を素早く深めることや、正確に捉えることができるようになります。
飲み込みやすい指導を受けることでスムーズに仕事を開始できることになり、業務の効率も質も高めることができます。
戦力が増えれば1人1人の負担を減らすことができたり、仕事の幅を広げたり、人手が足りずにできなかったことを深めたりということに繋がり、業績に大きな影響を与えるようになります。
教え方が上手いことで、新人や新しく部署に加入した人たちも即戦力となり得るため、チームの業績を上げることができ、会社の業績アップへと繋げることができるでしょう。
自身の評価が高まる
仕事を教えることが上手いということは、部下や後輩からの人望を集めたり信頼を高めることや、業績アップに繋がりますが、それによって自分自身の評価も高めることができます。
リーダーとして直接チームをまとめる役目に就いているというわけではなくても、サポートも重要な役割であり、指導力によって業務に貢献したことは評価の対象となります。
部下や後輩の育成が上手いということは、人事関連や新しい企画でのリーダー役などで重宝されたり、人材をマネージメントすることに長けていることで管理職としてもスキルを有用に発揮していくことができるでしょう。
仕事を教えるのが上手いことは自分にとってメリットしかない
仕事を教えるのが上手いというのは、仕事を行う上での一つのスキルですが、そのメリットは幅広い業務へ影響を及ぼします。
最初から教えることが上手いという人も中にはいますが、教えることは自分自身が意識を持つことで身につけることのできるスキルでもあるため、自分の教え方を振り返ってみましょう。
いきなり細かい仕事を教えるのではなく、全体像を捉えられるような説明から、イメージを具現化できるように実際にやってみせ、なぜこの仕事が必要なのかという意味を教えることで、自分の作業への理解を深めることができます。
教える際には、焦らずに聞くことのできる空気感を作ることが重要で、穏やかに教えることで、わからないことや理解の足りないことについて、後からも質問しやすくなり、結果的に効率のよい指導となることがあります。
1度教えたらおしまいというのではなく、その後も作業が滞りなくできているかどうかを確認し、フィードバックを行うことで、部下や後輩のモチベーションや意欲を高めることができます。
仕事を教えることが上手い人は、部下や後輩から信頼されることも多く、人材をマネージメントするスキルを上げることにも繋がり、管理職となったときに活用できる経験となります。また、指導をした部下や後輩の仕事が上手く回ることで業務の効率化や業績もアップし、会社に貢献することができます。
会社に貢献したり業績がアップするということは、給与やボーナスを上げることに繋がると共に、自分の評価を高めることができ、その後の出世や昇進、もしくは転職を考えたときにもアピールできるポイントとなります。
仕事を教えることが上手いというスキルは、部下や後輩が育って仕事が上手く回るようになるというだけではなく、巡り巡って自分の評価や人望を高めることができるなど、仕事を行う上で大きなメリットを生み出すスキルとなっていくでしょう。
仕事はいくつになっても勉強です。
役職について、部下ができれば、その部下を仕事ができる存在にもできれば、その逆の存在になる事もあります。
自分が教えるからこそ、できるようになる。そうなるためにも自身での勉強も欠かさず行っていきましょう。
