退職金がもらえない場合の事例や対処法。出るはずなら泣き寝入りはだめ。

転職までの生活資金、失業保険がでるまでの生活資金として、退職金をあてにしている人はそれなりにいると思います。

ですから、もしその退職金が実際に退職したのに貰えないとなったらかなり大変ですよね。

ただそれは実際に起こり得ること。

ではもし貰えるはずの退職金を貰えなかったらどうすればいいでしょうか。

関連:退職金が少ない!自己都合で中途退職したら全然貰えないかも

退職金はいつ支払われる?

まずは退職金のルールを確認しておきましょう。

退職金の支払い日は法律によって定められているわけではなく、会社の就業規則によって決められます。

1ヶ月経っても退職金が支払われない!と思っていても、会社が退職金の支払いを2ヶ月後と定めていれば支払われないのが当然です。

ただ支払時期が明確になっていない場合に関しては、労働基準法第23条「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。」に基づき、労働者側からの請求した日から7日以内に支払われる必要があります。

退職金が貰えない!と嘆く前にしっかり支払日を確認することがまずすべきことですね。

退職しても退職金が貰えない事例

では退職金が貰えないという場合はどういったことが起こっている可能性があるでしょうか。

いくつか事例を紹介していきましょう。

退職金制度がない会社で働いている人

退職金が支給されるのは、退職金制度を就業規則等でもうけている会社に限られます。

退職金制度がなければ、たとえ勤続年数が長くても退職金が支給されない場合がほとんどです。

現在は退職金制度がある会社は8割程度であり、残り2割の会社にはありません。

退職金制度があるかないかに関しては、採用時の雇用契約書や就業規則にて確認することができます。

退職金制度がある場合、それらに記載して明示する必要があります。もし記載がないなら、退職金制度はないということです。

ただ、稀ではあるものの退職金制度がなくても退職時に幾分かの退職金を支給するという会社も実はゼロではありません。私の知人でも退職金なしのはずが、200万円ほどもらっていました。

もしこれまで退職した人が貰っている場合はほんの少しだけ貰えることが期待できるかもしれません。

参考:退職金なしの会社の割合は意外に高い!老後はどうする?

懲戒解雇

多くの企業では問題を起こして懲戒解雇となった場合に退職金を支払わないとしている場合が多いため、その規則に従って不支給となっている場合があります。

ただ懲戒解雇の場合であっても、その理由によって退職金の全額不支給は不当であり一部は支払われるべきだとなった判例もあります。

逆に全額不支給が相当だという判例もあり、理由によって変わってくることになります。

またそもそも退職金を支払いたくないという理由で不当に懲戒解雇にするような企業もないわけではありません。

入社3年以内

公務員であれば入社から6ヶ月以上の勤務で退職金を支給して貰えますが、民間企業の場合は退職金は支給条件が入社後3年以上というケースが多くなっています。

全くないというわけではありませんが、1年目・2年目・3年目に退職して退職金が貰えるというというのはかなり稀です。

入社3年以内の離職率は非常に高く、大卒でも約3割が退職します。

そんな中でできるだけ3年以内の離職率を下げようという思惑があるのです。

また3年以内というのはまだまだ会社への貢献度として少ないというのも一つ。採用にかかった費用、入社から払い続けた給料を考えると、3年程度だとまだ会社にとってはマイナスかもしれません。

そういった状況だからこそ退職金は支払いたくないという思いもあるでしょう。

入社3年以内というのは第二新卒として転職できる年次であり、しかもその第二新卒が非常に転職しやすい状況にあるというところで、特に3年目の人は悩むかもしれません。

あと少し働けば多少なりの退職金は貰えるが、代わりに第二新卒として転職できなくなってしまうわけですからね。

参考:1年目、2年目、3年目だと退職金はない?

会社が倒産

退職金制度があって、支給条件を満足しているという場合であっても、会社が倒産してしまっては貰えない場合もあります。

退職金や給与は会社が抱えている他の借金よりも優先して支払われるものではあるんですが、倒産した時にはそれらも支払うお金がないことがほとんど。

いくら支払われる義務があっても、なければどうしようもないという状態になってしまい退職金は貰えない事態におちいってしまいます。

そうならない為にも、会社の先行きが怪しくなってきたらさっさ転職してしまった方がトラブルに巻き込まれることはなくなります。

退職トラブルによって

まともな会社ではありえないことなんですが、いわゆるブラック企業なんかでは退職を認めようとしなかったり退職しようとしたらあれこれと難癖をつけ、無理に退職したら退職金を支払って貰えないという事例もないわけではありません。

退職によって迷惑を被ったからその損害賠償と相殺だとか言ってくる場合もあります。

退職は労働者の正当な権利であり、認めないことも、それを理由に退職金を支払わないこともおかしなことではあるんですが、実際にそういった場合もあるのが実情です。

派遣社員

正社員型派遣ではなく登録型派遣などの非正規社員の場合、現時点では退職金を貰えることはほとんどありません。

ただ同一労働同一賃金により、派遣社員にも退職金を支給すべきだという通達がだされました。2020年から派遣社員でも退職金を貰うことができる人はでてくるでしょう。

ただ全ての派遣社員が退職金を貰えるというわけではおそらくありません。

同一労働同一賃金はあくまで正社員と同じ仕事をしているという前提。正社員と派遣社員では仕事が違うというケースは多い為、退職金支給の対象とはならないケースもでてくると考えられます。

時給に退職費用分(6%)を上乗せするのもありなので、退職時にまとめて退職金にはならないということもありえます。

契約社員

最近では、長期間勤務した契約社員に全く退職金を支給しないのは労働契約法20条の不合理な格差に当たるとして、支払いを命じた判決もありました(メトロコマース事件:東京地裁 H29.3.23)

また契約社員にも同一労働同一賃金は適用されますから、正社員と同じ仕事をしている契約社員の退職金事情は多少なりとも改善されるでしょう。

ただ現時点では契約社員だと退職金を貰えないケースが多いです。

退職金制度がある会社でも、対象者は正社員のみで契約社員は対象外となっている為です。

ただ絶対に貰えないかというとそうではなく、会社によっては契約社員でも一定条件(勤続年数3年以上など)を満たしていれば、正社員に比べると金額は少なくなるものの支給してもらえることもあります。

参考:契約社員は退職金をもらえない?無期雇用転換するとどうなるの?

参考:厚生労働省「同一労働同一賃金

退職金が貰えない場合の対処法

退職金制度がない、重大な理由において懲戒解雇となってしまった、退職金は勤続年数3年以上からなのに2年で退職したという場合に退職金が貰えないのは仕方がありませんし、それはどうしようもありません。

ただ本来貰えるはずの退職金を貰えないという場合には労働者側でしっかり行動していかなくてはなりません。

会社側に支払うように交渉する

まずは素直に会社側に退職金を支払うように交渉するところから始めましょう。

支払うべき退職金を支払わないのは会社側に問題があるのは当然で、法律を違反する行為でもありますから、その法律を武器に話をしてみましょう。

もし支払わないなら労働基準監督署に話をする、弁護士に話をするなどと言ってもいいと思います。

会社側は個人との間の問題に対してあまり動かなくても、労基署などが絡んでくることは避けたがるので支払いに応じてくれる可能性が高くなります。

労基署に相談する、弁護士に相談する

もし自分だけの力では不可能だった場合、労基署に相談するようにしてみましょう。

今後どうして行くのが良いかというアドバイスを貰うことができます。

ただそれでも解決できない場合もあり、そうなると裁判を行うことになります。無料相談できる弁護士に相談してみてください。

未払い賃金立て替え払い制度

倒産によって退職金が貰えない場合、会社から取ろうにもお金がないのでどうしようもありません。

ただそういった人を保護する為の制度として、未払い賃金立て替え払い制度があります。

この制度利用すると、給料や退職金の未払い分の一部を貰うことが可能です。

支払われる金額は未払いの給料、退職金の金額の8割。ただし上限(45歳以上で296万円、30歳以上で176万円、30歳未満で88万円)が定められており、これ以上は支払われません。

一部は支払ってもらえるので非常に助かる制度ではありますが、全額もらえるわけでは無いことに注意してください。

まとめ

退職金は労働者にとって生活の原資となるとても重要なお金。本来貰えるはずのものが貰えないなら泣き寝入りせずにしっかりとるようにしていきましょう。

とは言え退職金制度がなければどうしようもありません。

もし現在退職金制度がない会社に勤めている人は、しっかり貯金して老後の資金を貯めていくか、今からでも転職なりして退職金制度がある会社に勤めるかする必要があります。

転職では不満を解消できた人が8割と非常に多く、年収アップも難しいものではありません。

そして今はかなりの売り手市場、転職が成功する可能性はさらに高くなっています。

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