転職で年収アップはどれくらいまで可能? 上がりやすい業界・職種や年収を上げるための交渉術について

転職で年収アップを実現するには、年収の高い企業に転職するだけではなく、専門性の高いスキルや知識の必要な業界・職種や、スキル・知識・実績を高く評価してくれる企業への転職も有効です。

希望年収を了承してもらうためには希望額を提示した根拠を示すことと、伝え方や伝えるタイミングもポイントとなります。

年齢と業界・職種別の年収アップ率と、年収アップする理由としない理由を解説するので、年収アップできそうな企業選びと年収アップ交渉する際の参考にしてみてください。

そもそも平均年収っていくら? 

そもそも平均年収っていくら? 

年収アップを目的に転職したい方の中には、年収の希望額はいくらと答えれば良いのか気になる方は多いでしょう。

企業に納得してもらえる年収額を提示するには、年収の相場を知っておくことをおすすめします。

下記は○年度の平均年収を年齢別にまとめたものです。

〈年齢別平均年収〉

 男性女性
~19歳182万8,000円172万4,000円
20~24歳213万4,000円208万1,000円
25~29歳251万6,000円232万9,000円
30~34歳290万8,000円247万4,000円
35~39歳328万4,000円256万2,000円
40~44歳360万1,000円268万6,000円
45~49歳390万4,000円271万6,000円
50~54歳423万7,000円275万8,000円
55~59歳416万6,000円266万8,000円

【引用元】
令和元年賃金構造基本統計調査の概況(厚生労働省)(2020年8月17日調べ)

転職で年収アップするのか? 

転職で年収アップするのか? 

dodaエージェントサービスを利用して転職した6,000名のデータによると、年収アップ率が最も高かったのは28歳で、29歳、27歳の順に続きます。

年齢別に平均金額アップ率を見ていくと25~29歳が最も高く、30~34歳が2番目に高いという結果になりました。

データから、20歳後半から年収アップできる可能性が高いと分析できます。

仕事に慣れてきた20代後半は、仕事で身についたスキルや実績の有無が人によって異なるので、強みがあり、強みを評価してくれる企業に転職できると年収アップが叶うでしょう。

平均金額アップ率は30代後半から下がりますが、平均アップ額だけを見ると年齢が高いほど高くなる傾向にあるので、30代後半でもスキルや知識や実績を評価してくれる企業が見つかれば、現在の年収に対するアップ率は小さくても貰える年収は増えるでしょう。

【参考】

転職で年収アップするのはこんな人 年収アップ成功者に見る傾向と対策|転職ならdoda(デューダ)(2020年8月17日調べ)

転職で年収アップする理由

転職で年収アップする理由

ベース年収の高い企業に転職できると、現職より高い年収を得ることができるでしょう。

また、スキルや知識や実績が評価され、年収アップに応じてでも採用したいと判断されることも年収アップにつながります。

ベース年収の高い企業への転職だから

ベースとなる給与は企業が規模や業界の将来性などに基づいて独自に決められています。

新卒と異なり仕事に活かせるスキルも実績もある転職者は年収交渉の余地があることから、交渉で年収アップを図りたいと考える方は多いでしょう。

しかし、ベース年収が元々高い企業もあり、ベース年収に高い企業に転職できれば交渉不要で年収アップできるメリットがあります。

年齢よりスキルや実績を評価する企業への転職だから

同じようなスキル・実績があっても、年功序列型の企業と実力や実績が評価される成果主義の企業に勤めるかで年収は大きく異なります。

高いスキルや実績がある方が成果主義の企業に転職できると、大幅に年収アップできる可能性があります。また、営業成績に応じてインセンティブが支給されるなど、インセンティブの有無でも年収は変わります。

ただし、成果主義の企業では成績を出し続けないと収入を維持することが難しいというデメリットもあります。

企業が応募者のスキルを採用するメリットがあると評価したから

年収アップの可能性が高くなる要因に、企業からスキルや知識の専門性の高さを評価されることが挙げられます。

企業が求めているスキルや知識や実績がある、希少性のあるスキルを持っているといった場合は、企業に評価されて年収アップに応じてもらえる可能性が高くなります。

年収アップの実現には、企業が求める人材に一致する強みがあることと、強みをどのように活かして貢献したいか伝えることがポイントです。

転職しても年収アップしないケース

転職しても年収アップしないケース

応募者に高い年収に見合うスキル・実績がないと見なされるだけではなく、現在の年収がそれなりに高いと年収アップが難しいことがあります。また、年収アップできると考える根拠が企業に伝わらないことも、年収アップに応じられない原因です。

今の仕事・会社を辞めたいという理由だけの転職

今より自分のスキルを活かせる仕事をしたい、キャリアアップしたいといった理由で転職したい方であれば、志望動機も自己PRも分かりやすく説明でき、企業から評価されて年収アップの可能性があるでしょう。

しかし、今の仕事・会社を辞めたい、年収アップできればどのような仕事でも良いといった理由だけで転職を目指しても、企業は応募者の熱意、志望動機、転職してやりたいことなどが見えず、採用するメリットが分かりません。

自分の強みを分かりやすく伝えることができないと高い年収を提示される可能性は低く、年収アップは難しいでしょう。

スキルや実績が企業の求めるレベルに達していない

成果主義の企業は特に、転職希望者のスキル・知識・実績の高さを評価します。

第二新卒で大きな実績がないといった場合は、どの仕事にも必要なスキルや知識が仕事を通じて身についているか、熱意を感じられるかなどもチェックされます。

年齢が高くなるほど求められるスキルなどのレベルは高くなるので、企業に需要のあるスキルなどが身についていないと、高い年収での転職は難しくなるでしょう。

30代以降になるとリーダー的役割も期待されるので、プロジェクトリーダーの経験がある、役職に就いているといった経験の有無で評価が変わることも珍しくありません。

大手企業からの転職や年齢が高い方の転職

大手企業に勤務している方の中には、自分の力を活かして新しいことをやりたいとベンチャー企業への転職を検討する方もいます。

しかし、ベンチャー企業は設立間もなくて事業が軌道に乗る前ということも多く、応募者のスキルや実績を評価して採用したいと考えていても、大手と同じ水準の年収の支払いが難しいことは珍しくありません。

ただし、転職者にも既存の社員と同じ年収アップのシステムを適用するケースもあるので、大手企業に転職すればすぐに年収アップするとも限りません。

また、年齢が高い方は現在の年収が高いこともあり、大幅な年収アップが難しいばかりか、転職で年収が下がるケースもあります。

転職する時に年収アップするための交渉

転職する時に年収アップするための交渉

年収アップのための交渉自体はしてはいけないものではないので、年収アップが転職の目的で、提示された年収が希望より低ければ交渉しても良いでしょう。

ただし、転職の目的を年収アップのためと答えたり、希望年収を尋ねられた際に「いくらでも良い」といった企業に丸投げしたりすることは、モチベーションが低いと見なされて転職が不利となる可能性があります。

交渉するタイミングに注意し、年収アップを希望する理由と不快感を与えない伝え方のポイントを押さえた上で、希望年収を答えることが大切です。

根拠を示して希望年収を伝える

年収アップ交渉すれば応じてもらえるとは限りませんが、希望年収を聞かれたにもかかわらず希望を伝えないのは悪い印象を与えかねないので、年収についての話になった時には必ず希望を伝えましょう。

ただし、「自分の年齢・勤続年数の平均年収からすると、○万円は欲しい」など、金額を掲示した理由が誰にでも当てはまるものだと説得力に欠け、交渉が成功する可能性は低いでしょう。

 

企業は応募者のスキルや実績などに応じて年収を決めるので、企業側に納得してもらえる金額を提示することが重要です。

企業に納得してもらえる希望年収を伝えるために、自分の市場価値を知ることから始めましょう。

たとえば、転職者が同業他社で働いていて業界の知識があって実績も豊富なのか、業界・業種未経験で一から知識やスキルを習得する必要があるのかによって企業からの評価は異なり、年収にも差が生じます。

 

そこで、企業から評価されるスキルや知識や実績はあるか、専門性の高さはどれくらいかなどを分析し、強みや経験をどのように活かして貢献できるかを説明した上で、業界の年収相場や志望企業が求人に掲載している年収を参考に希望年収を算出して提示しましょう。

 

自身の市場価値以上の年収を提示して了承されたとしても、入社後の仕事の評価基準が高くなり、実力以上の仕事をこなさなければいけないことで転職して仕事が忙しくなったと後悔する可能性があるので、実力に見合う年収を提示できることは転職のメリットを受けるためにも大切です。

伝え方やタイミングに注意する

根拠に基づく希望年収を提示できても、適切な伝え方ができていない、ふさわしくないタイミングで交渉してくることがあれば、交渉は成功しないでしょう。そこで、伝え方や伝えるタイミングにも注意が必要です。

「年収○万円は欲しい」「年収アップを希望する」といった内容でも、伝え方で印象は異なります。

同業他社への転職であれば、即戦力となれるスキルや実績があることを伝えられるなら、現職(前職)より高めの年収を提示しても良いでしょう。

たとえば、最初は自分でも高いと分かる年収を提示した後に「最低でも○万円は欲しいです」と伝えるといった方法があります。

未経験の業界・業種への転職であっても、生活のことを考えると年収が下がるのは避けたいでしょう。

この時、「現職(前職)と同額を希望します」とだけ伝えても、企業側は未経験の方にスキルや実績を積んでアップした年収を支払うことに疑問を抱くことが懸念されます。

そこで、生活面を考慮すると年収は維持したいことを伝えた上で「本来なら未経験で経験者と同じ年収は難しいかと思いますが、これまでの仕事で身につけた○○というスキルや実績は貴社でも活かせて貢献できると考えているので、現在の年収を維持したいと思います」など、異なる業界や業種でも活かせるスキル・経験があることを説明するだけでも、年収維持や最小限の下げ幅に抑えられるでしょう。

どの業界・業種にも必要なスキルが身についていることや企業に貢献したい熱意を伝えることは、入社後の給与改定で年収アップにつながる可能性を高めることを期待できます。

また、採用意欲の高い企業に「複数の企業の選考が進んでいるので待遇面なども考えて検討したい」など、年収が転職の決め手の1つであることをほのめかす程度であれば、考慮してもらえることはあります。

しかし、「年収を○万円にしてもらえれば貴社に入社します」「提示された年収額は私を評価していないように思います」といった、年収アップだけが目的な発言、自分のことを客観的に判断できない人が会社に貢献できるのかなどと疑問を抱かれる発言は交渉で不利となります。

また入社後は強気に提示した金額に見合う働きはできるのか厳しく評価されたり、最悪のケースでは内定取り消しとなったりすることが懸念されるので、悪印象を抱かれかねない発言には注意しましょう。

 

年収交渉が問題ないとは言っても、希望年収を直接伝えるのは気が引けるとメールで伝える方がいますが、メールで年収交渉すると言いにくいことは対面で伝えられないのでは、コミュニケーション能力に問題があるのではと採用担当者に判断される恐れがあります。

メールはビジネスの場でもコミュニケーション手段として活用されていて、転職前にデリケートな話を直接するのは容易ではありませんが、年収交渉は対面で行いましょう。

転職者には年収交渉の権利がありますが、企業からの評価を下げず自然と年収の話ができるタイミングで行うことが大切です。

転職では交渉を前提にしていることがほとんどで、選考が進んだり採用を前向きに検討したりといったタイミングで企業から希望年収を聞かれることもあります。そのときは希望額を伝えましょう。

内定前は希望を伝える程度にし、実際の年収額を提示される内定後にポイントを押さえて年収アップ交渉を行いましょう。

年収アップが狙いやすい業界・職種ランキング

年収アップが狙いやすい業界・職種ランキング

営業職は成績を残すとインセンティブが支給されるなどで実力や実績が収入に反映される傾向にあることから、スキルや実績が認められて転職したのであれば年収アップは実現しやすいです。

しかし、金融関連や医療系や技術系といった専門性が求められる業界・職種もスキルや知識が求められ、高い専門性のある方が限られていることから、実力や実績などが認められると営業職以上の年収アップが可能です。

〈業界・職種別年収の平均金額アップ率TOP3〉

 職種アップ率アップ額
1位金融関連専門職種20.6%92.6万円
2位医療系専門職種(医療/介護/福祉)15.0%67.6万円
3位技術系職種(建築/土木/プラント/設備)14.9%65.2万円

【引用元】

転職で年収アップするのはこんな人 年収アップ成功者に見る傾向と対策|転職ならdoda(デューダ)(2020年8月17日調べ)

転職で年収アップするには実力・実績の評価が重要! 

転職で年収アップするには実力・実績の評価が重要! 

ベース年収の高い企業への転職でスムーズに年収アップできますが、転職による年収アップ率を年齢と業界・職種別に見ていくと、仕事に必要な専門性の高いスキル・知識・実績があるほど年収アップできる可能性が高いことが分かります。

現在の年収が平均年収よりも大幅に高いなど年収アップが難しいケースもありますが、実力と実績を詳細に説明して認められれば、希望年収で転職できるでしょう。

ただし、根拠に基づいて年収を提示したとしても、伝え方や伝えるタイミングを間違えると、交渉が不利になったり悪い印象を与えて内定が取り消されたりといったことが懸念されるので、伝え方とタイミングにも注意が必要です。