みなし残業40時間は違法ではないけどきつい。仕事内容や給料が割に合ってないなら転職を

普段から当たり前のように残業していると、自分の残業時間が一般的なのか分からなくなるでしょう。

中には、「いつも月40時間の残業があるけど普通なの」「月40時間の残業は違法では」と不安や疑問を感じる方もいるはずです。

そもそも、みなし残業の基準がどのくらいなのか分からない人も多いのが実情でしょう。

では、みなし残業40時間は法律で違法にならないのでしょうか?

本記事では、みなし残業40時間が違法なのか普通なのか解説します。みなし残業の上限などについてもお話するので、自分の残業時間が法律内なのか気になる方は参考にしてみてください。

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みなし残業40時間は違法なのか、普通なのか

みなし残業40時間は違法なのか、普通なのか

みなし残業とは、企業から支給される給与の中に一定労働時間分の残業代を含ませておく制度であり、固定残業代制とも呼ばれています。

そんなみなし残業が月40時間あるのは違法なのかという疑問を抱えている方は多いでしょう。

しかし、月40時間のみなし残業は決して違法ではありません。

また、月40時間のみなし残業は比較的一般的です。

実際、「Open Work調査レポートVol.4」が発表した残業時間に関するアンケートでは、全体の平均残業時間は約47時間という結果でした。

残業時間

割合

0時間

4.0%

3時間

1.7%

5時間

2.1%

10時間

7.2%

20時間

13.0%

30時間

14.5%

40時間

13.7%

50時間

10.0%

60時間

8.7%

70時間

3.6%

80時間

6.9%

90時間

1.6%

100時間

12.9%

出典:生きがい研究所 by openwork「Open Work調査レポートVol.4」

このようなアンケート結果を見る限り、月40時間のみなし残業は決して珍しくないと分かるでしょう。

ただし、40時間のみなし残業が違法になるケースも存在しています。では、どのような場合にみなし残業40時間が違法になるのか、次の項目で詳しく解説していきます。

みなし残業40時間が違法になるケース

みなし残業40時間が違法になるケース

基本的に違法ではない40時間のみなし残業ですが、条件次第では違法になるケースがあります。

その条件というのは、36(サブロク)協定が締結されていない場合です。

36(サブロク)協定とは、法廷労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた労働(残業や休日出勤)を例外的に認める協定です(*)。

従業員に残業させるためには、この協定を結んで労働基準監督署に届け出る必要があります。つまり、36協定を締結していなければ1時間の残業でも違法になるというわけです(*)。

ちなみに、36(サブロク)協定では残業時間の上限が以下のように定められています。

期間

一般労働者の残業時間の上限

対象期間が1年単位の変形労働時間制の残業時間の上限

1週間

15時間

14時間

2週間

27時間

25時間

4週間

43時間

40時間

1ヶ月

45時間

42時間

2ヶ月

81時間

75時間

3ヶ月

120時間

110時間

1年

360時間

320時間

原則、会社は上記の上限を超えた残業は禁止されています。

また、みなし残業代が適正ではないケースも違法になります。

では、どのようなケースが違法になるのか、社内でチェックするべき項目を紹介します。

就業規則や雇用契約書にみなし残業に関する記載がない

固定残業代部分が割増賃金であることが記載されていない

設定されたみなし残業時間が多過ぎる

残業に対する手当でないものを「みなし残業代」としている

みなし残業超過分の残業代が支給されない

これらの条件と照らし合わせて、該当する項目がある場合は違法になります。

例えば、みなし残業に関する内容が就業規則や雇用契約書に記載がなければ違法です。

また、固定残業代部分が割増賃金であると記載されていなかったり、設定されたみなし残業が多過ぎたりする場合も違法となります。

もちろん、みなし残業超過分の残業代が支給されていない場合も違法となります。

もし、あなたの会社で上記の項目に該当している部分がある場合は、労働基準監督署に相談するなど適切に対処してください。

参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」

みなし残業制度には特別条項があり残業時間の上限に幅がある

みなし残業制度には特別条項があり残業時間の上限に幅がある

36(サブロク)協定では、みなし残業は1日8時間・1週40時間以内とされています。しかし、みなし残業制度には特別条項があり、残業時間の上限には幅があります。

特別条項を付帯すれば、上限以上の労働をさせることも可能です。

ただし、この特別条項は特別な業務の繁忙などに応じた臨時的な措置としてのみ発動できるため、恒常的に適用させることはできません。

特別条項付きの36(サブロク)協定を導入する場合は、以下の条件が求められます。

  • 臨時的に残業をさせる必要があるもの
  • 対象期間が半年を超えない

そして、臨時的なものとして認められるのは以下のようなときです。

  • 予算・決算業務
  • ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
  • 納期のひっ迫
  • 大規模なクレームに対する対応
  • 機会トラブルの対応

それでも限度時間を超えて労働させる必要がある場合は、できる限り具体的に定めなければならない上、企業側は限度時間にできる限り近づけるように努める必要があります。

もちろん、限度時間が適用除外・猶予されている事業・業務についても限度時間を勘案し、働く人の健康と福祉を確保するよう定められています。

そのため、基本的には、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、この時間を超えられないと覚えておきましょう。

みなし残業40時間はきついのか

みなし残業40時間はきついのか

みなし残業が月40時間というのは違法ではありません。しかし、月に40時間のみなし残業というのは、やはりきついものなのでしょうか?

そもそも、みなし残業40時間というのは、週5日勤務なら1日2時間の残業があるという状態です。

当然、プライベートな時間は少なくなり、体を休める時間も短くなります。

ここでが、みなし残業40時間のタイムスケジュールを確認してみましょう。

  • 7~8時:起床・準備
  • 8~9時:通勤
  • 9~12時:所定業務時間
  • 12~13時:休憩
  • 13~18時:所定労働時間
  • 18~19時:時間外残業時間
  • 20~21時:帰宅
  • 21~22時:入浴・食事
  • 22~23時:自由時間
  • 23~7時:睡眠

このように月40時間のみなし残業をしていると、自由に使える時間はかなり短いのが分かります。

また、帰宅時間が21時になると家族と一緒に食事するのも難しくなるでしょう。

平日は毎日このような生活となるのが月40時間のみなし残業なので、肉体的なきつさはもちろん精神的なきつさもあるはずです。

ただ、これだけハードはスケジュールを送っているだけあって、残業代の金額は決して小さいものではありません。

みなし残業40時間の残業代

ここでは、月給別に月に40時間のみなし残業をした場合、どれくらいの残業になるのか紹介します。

 

月給20万円

月給30万円

月給40間年

残業代

1か月の残業代

6万2,500円

9万3,750円

12万5,000円

2年分の残業代

150万円

225万円

300万円

合計

1か月の額面

26万2,500円

39万3,750円

52万5,000円

1か月の手取り

19万6,875~22万3,125円

29万5,313~33万4,688円

39万3,750~44万6,250円

このように、きついと感じるほどのみなし残業をしていると、それ相応の残業代がもらえるというわけです。

もちろん、この金額を高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれでしょう。

また、これだけの金額がもらえるなら月40時間のみなし残業は苦ではないという方がいる一方で、もっと給料は少なくて良いから自由な時間が欲しいという方も存在します。

実際に働いてみて、その生活が自分に遅れるのか確かめた上で続けるか辞めるか考えた方が良いでしょう。決して無理だけはしないように注意してください。

みなし残業で発生しやすいトラブル

みなし残業で発生しやすいトラブル

ここでは、みなし残業で発生しやすいトラブルについて紹介します。

給与が最低賃金を下回っていた

1つ目は給与が最低賃金を下回っていたというトラブルです。

そもそも、みなし残業は残業代が支給される給与の中に含まれています。そのせいで、本来の賃金額がわかりにくくなる場合があるのです。

実際、企業側が正しく認識していなおらず、みなし残業代を除いた給与が最低賃金を下回っていたというケースがあります。

みなし残業代がいくらなのか把握しておくことが、トラブルを防ぐためには必要不可欠です。

残業が習慣化している

2つ目は残業が習慣化しているというトラブルです。

みなし残業では、時間外労働の有無を問わず残業代が支給されるため、時間外労働が習慣化してしまう恐れがあります。

会社全体で「残業は必要に応じて行うもの」という認識を深めておくことが、トラブル回避のカギとなります。

募集広告での賃金表記が分かりにくい

3つ目は募集広告での賃金表記が分かりにくいというトラブルです。

求人を探す際は、以下の点が明確に記載されているかどうか確認するようにしてください。

  • 固定残業代を除いた基本給の金額
  • 固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法
  • 固定残業時間を超える時間外労働に対して割増賃金を追加で支払うという説明

分かりやすい表記としては以下のような書き方があります。

  • 基本給(25万円)(固定残業手当を除く額)
  • 固定残業手当(時間外労働の有無にかかわらず、30時間分の時間外手当として6万円を支給)
  • 30時間を超える時間外労働の割増賃金は追加で支給

賃金の記載が分かりにくい求人に応募しないようにすれば、トラブルを避けられるようになります。

正しい労務管理がされていない

4つ目は正しい労務管理がされていないというトラブルです。

みなし残業制を導入している企業の中には、時間外労働に関する労務管理を怠っているところがあります。

実際、企業が認識していないうちに従業員の時間外労働が常態化し、みなし残業として規定された時間をオーバーしていたという事態が起きています。

日頃から現場のマネジメントがしっかり行われているか観察して、もし労務管理がしっかりされていないようなら、上司などに相談するようにしてください。

残業が慢性化している会社は改善が難しい

残業が慢性化している会社は改善が難しい

今回は、みなし残業40時間は違法なのかどうかについて解説しました。

基本的に、みなし残業40時間というのは違法ではありません。実際、月40時間のみなし残業をしているという方は大勢います。

しかし、一般的だからきつくないというわけではありません。人によっては、みなし残業40時間がすごく苦痛に感じるケースもあるでしょう。

また、みなし残業は残業代が給与に含まれているため、残業が慢性化しやすいというデメリットがあります。

そして、みなし残業が慢性化している企業は、会社全体が定時で退社するという考えが薄いため、なかなか残業せずに帰るというのが難しくなっています。

もし、月40時間のみなし残業がきつくて、尚且つ会社に改善の兆しが見られない場合は転職を検討した方が良いでしょう。

長すぎる残業は心身ともに健康を害す恐れがあるので、無理をせずに転職を考えてみてください。

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