必要な年収というのは人によって違うものですが、年収300万円というのは重要な目安と言えるでしょう。
それはなぜなのか。年収300万円というのは世間的にどれくらいなのか、年収300万円に到達するのは難しいのかについて紹介します。
特に現状で年収300万円に到達していない方々に読んでもらいたいページです。
年収300万円すら難しい?届かない人の割合
実際に年収300万円というのはどれほど難しいのでしょうか?
国税庁によると年収300万円台に届いていない方というのは人口のおよそ3割以上もいるので、10人に3人は年収が300万円に届いていないということになります。
内訳を解説すると年収100万円以下が8.7%、100万円超200万円以下が14.2%、200万円超300万円以下が14.9% となり、合計で37.8%が年収300万円台より下の方の割合です。
:国税庁「民間給与実態統計調査結果|調査結果の概要」
年収300万円の手取り額
実際に仕事をして給料をもらっても、年収の全部を自由に使えるわけではありません。
重要なのは毎月の分から必要な金額が引かれて残る手取りになります。
どういった企業に勤務しているのかにもよりますが、年収300万円の手取りは約240万円が目安になり、一ヶ月あたり約20万円の現金を実際に受け取る収入とすることが可能です。
この金額をどのように残して行くのかというのが、貯蓄をどれだけ残せるかにも繋がっていくのかを覚えておきましょう。
年収300万円の生活水準は?普通の生活すら難しいのか?
年収300万円の手取りの目安が約240万円だということはわかりました。
それでは、年収300万円ではどれくらいの生活ができるのかについて解説します。
配偶者なし・ありのそれぞれのパターンを紹介します。
配偶者なし
配偶者なしの方の場合は「実家暮らし」・「一人暮らし」で大きく分かれることになります。
実家暮らし
最もお金を貯めやすい職業なのが実家暮らしです。
毎月、実家にどれだけお金を入れるのかというのは人によりますが、毎月2万円〜5万円を入れている方が多くいます。
SUUMOジャーナルによると、毎月自由に使えるお金が一番多いのが30~34歳で、男性53,421円・女性57,272円になります。
そこから済む所によっては実家暮らしの方は車の維持費代などを引く必要も出てきますが、毎月自由に使える金額が20万円で実家に5万円を入れて残りを貯蓄や遊興費などに使えると考えると、特に問題なく生活ができるといえるでしょう。
一人暮らし
実家暮らしとは毎月の出費がまるで違うのが一人暮らしになります。
家賃の金額は住む場所、賃貸のグレードなどさまざまな要因で変わりますが、3〜10万円の範囲内だと考えておきましょう。
SUUMOジャーナルを参考にすると、通信費は毎月13,000円かかり、食費は毎月32,400円かかります。
毎月の手取りが20万円とし、そこから13,000円+32,400円→45,400円に家賃も載せた分が生活するために必ず引かないといけない金額と言えます。
毎月約10万円が手元に残り、1か月の生活で残った分を貯蓄にまわすことが可能ということになります。
一人暮らしなら十分に生活できると言えるでしょう。
参考:SUUMOジャーナル「毎月いくら? 実家暮らしの自由に使えるお金と貯金」
SUUMOジャーナル「一人暮らしのお金調査【前編】 家賃、水道・光熱費、通信費、いくらかかってる?」
配偶者あり
独身の方が年収300万円で生活するのは特に問題がないことがわかったので、配偶者を持つ方はどうなるのかについても解説していきます。
子供がいない
子供がいなくて配偶者のある場合、鍵を握るのは配偶者が共働きをしているのかどうかです。
家賃に変化がなくとも食費が大幅に上がり、配偶者の遊興費や交通費などが大きく上乗せされて毎月の出費が発生することになります。
配偶者が働いていない場合は健康保険料や年金の支払いもする必要が出てきます。
そのため、年収300万円の手取り約20万円では二人分の生活を支えるのは高いリスクが伴うようになります。
年収300万円の場合は配偶者にも働いてもらうのが必須だと言えるでしょう。
少なくとも、配偶者には毎月手取り約10万円を稼いでもらうようにすると、余裕のある生活が出来るようになります。
子供あり
子供の養育費は内閣府のデータによると毎月2万円以上3万円未満となります。
ここに子供を大学に入れるための貯金なども持っておく必要があり、配偶者か自分のどちらかが子育てに時間を割く必要も出てきます。
子育てそのもの出費は大したことがなくとも、子供の習い事、勉強、クラブに対するサポートも含めると共働きで年収300万に上乗せするのが時間的に厳しくなります。
お互いに支え合ったり実家の助けなどを借りることで共働きできる余裕を持つようにするのがおすすめです。
参考:内閣府「育児・教育費用負担の重さ」
配偶者なしの子供ありが一番危険!
年収300万円でも配偶者との共働きで乗り越えることが十分可能なのは説明しましたが、配偶者と死別・離婚している場合はそういうわけにもいきません。
厚生労働省によると令和4年度において母子家庭の世帯数は123.2万世帯、父子家庭の世帯数は18.7万世帯となっています。
また、母子家庭の平均年間収入が243万円、父子家庭の平均年間収入が420万円となっています。
このように、母子家庭世帯は年収300万円に届かないのが大多数であることがわかります。
そして、配偶者のいない子育てとなると年収300万円でも収入が心もとない上に、子供の面倒を見ることで働くための時間が無くなってしまいます。
実家にて両親の協力が得られるなら積極的に活用し、実家の助けを得るのが難しいという方は、自治体のひとり親支援制度を積極的に活用していきましょう。
参考:厚生労働省「ひとり親家庭等の支援について」
年収300万円では幸せになれない?
お金があるとできることが多くなり、お金がないととできないことがたたあります。
年収300万円の男性は自分の給料についてどう考えているのかと言うと、BIZ HITSによれば「満足」が5.0%、「まあ満足」が26.1%で満足側が31.1%とされています。
なぜ年収300万円に満足しているのかについてもチェックしてみましょう。
- 今の年収は低いが、年功序列の会社なので将来は年収が確実に上がるから(20代男性、航空機メーカーのカスタマーサポート)
- 年収は高くありませんが、残業はほとんどなく、拘束時間も短いのでまあ満足しています(30代男性、空港職員)
- 贅沢しなければそこそこ生活していけるから(40代男性、ITエンジニア)
引用元:BIZ HITS「年収300万円台の職業と転職で年収アップするための8つのポイント」
このように年収300万円で満足しているという男性は「贅沢しなければ十分」・「残業がなく時間を自由に使える」・「これから上がるとわかっている」というのが多いということがわかります。
それでは女性は年収300万円に満足しているのかと言うと「満足」が2.7%、「まあ満足」が36.7%です。
- 時間が9:30~14:30までで、その給料をもらえる仕事は他にないと思うから(20代女性、PC教室インストラクター)
- 収入は300万ギリギリで高いとは思いませんが、仕事内容が楽で楽しいため不満はありません(30代女性、飲食業)
- キャリアを積んでいない50代女性にしたらもらえている方だと思うから(50代女性、介護職)
引用元:BIZ HITS「年収300万円台の職業と転職で年収アップするための8つのポイント」
このように、女性で年収300万円に満足しているという方は「女性にしてはもらえている」・「フレキシブルな働き方をしている」などの理由を挙げています。
男女問わず、年収300万円で満足している人たちは確かにいるのがわかります。
参考:BIZ HITS「年収300万円台の職業と転職で年収アップするための8つのポイント」
貯蓄をしたい場合
年収300万円で満足することができるとしても「将来子供を持ちたい」・「子供のためにお金を貯める」という目標がある方は貯蓄をする必要があります。
総務省統計局によると「二人以上の世帯」の場合は一番多い貯蓄額の割合が「100万円未満」ですが、平均貯蓄額は1,791万円、中央値の貯蓄額は1,061万円となっています。
貯蓄額の目標の目安は「生活費の3倍」とされていますが、結婚と出産を視野に入れている方は子供も含めた家族全体のための貯蓄をすることを考える必要が出てきます。
「配偶者がいるけれども子供がいない」という家庭の場合は、共働きをすることで目標貯蓄額の達成がグッと速くなります。
独身世帯の方は、最低でも毎月3万円は貯蓄にまわすのを意識しましょう。
参考:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-」
年収300万円すら難しい場合の脱却方法7つ
年収300万円未満というのは決して珍しくありませんが、年収300万があれば独身・共働きの方は余裕のある生活を送ることができ、貯蓄をする余地も生まれます。
スキルアップを目指す
より高い給与を目指すという場合、重要なのが自分に合った適正を伸ばし、給与に見合う能力を得るというものです。
これは資格勉強もそれにあたるので、自分に何ができるのか、自分にはどんなことが剝いているのかをじっくりと考えましょう。
仕事というのは責任が大きい仕事を果たせば果たすほど給料が上昇するものなので、とにかく世人を求められる仕事をしっかりこなすスキルを身に着けるのが給料アップにも繋がります。
キャリアアップを目指す
今の職場で順調に出世街道を進んでいくというのも有効な作戦です。
仮に将来においてもっと良い給料を目指して転職をするとなっても、それまでにしっかりとしたキャリアを育んでおけばより高い給料の職場に転職できます。
また、キャリアアップをしていく過程で仕事に対する自分の理解をどんどん深めていくこともできます。
副業を始める
給料をすぐに始めるというのであれば副業を始めるのがおすすめです。
アルバイトでも内職でもすぐにいつもの給料に+アルファを載せることが可能です。
自分の心身がどれだけの労働をする余裕があるのかよく考えながら行う必要はありますが、手っ取り早くかつ有効な手段と言えるでしょう。
給与交渉
自分がスキルを上げたりキャリアをアップさせたりしていくのは重要ですが、上司などに直接「給料を上げてほしい」とお願いしましょう。この場合、どうして給料を上げて欲しいのかその理由が必要となります。
チームで一番業績を上げているから、育成に積極的に関わっているからなど具体的なことを伝えましょう。
上司は部下からの相談や要求を応えられなくとも、聞く義務はあります。
仮に給料を増やしてもらえなくとも「給料を上げるには仕事にどう取り組むのか」を教えてもらえる可能性があります。
正社員を目指す
派遣社員をしている方は、正社員を目指すという手もあります。
正社員なら収入が安定し、さまざまな保証がつくのに加えてボーナスも貰えることもあります。
今の会社で正社員の見込みがないときは、配偶者がいてこれから子供を持つ予定を考え、正社員の求人に応募するなどをしてみましょう。
転職する
今の仕事では収入に自信が無いという場合は、転職に踏み切るのも有効です。
転職先にはこれまでの職歴が活かせる同業他社をできるだけ選択した上で「自分はどの仕事なら高い年収を得られるようになるか、適正があるのか」というのも考えましょう。
転職エージェントは無料登録した上で職務経歴と履歴書をまとめて、面接までの段取りや給与交渉もしてくれます。
共働きする
配偶者がすでにいるのに専業主婦(夫)をしてもらっているという場合は、こちらの給料が上がるまで共働きをするのがおすすめです。
お金が無いというの精神的な負担が大変に大きく、生活にゆとりを持たせられるようにしておくことで自分のスキルアップ・キャリアアップに集中することが出来ます。
共働きであれば専業主婦(夫)に家を任せるのと違って、こちらも家事をこなす必要がでてくるのは覚えておきましょう。
年収300万円というのは決して珍しくありませんが、年収300万円がない方は余裕のある生活を送りにくくなります。
自分の生活スタイルや将来の展望とよく相談をして、このままの年収で良いのかを考えるのが重要です。