いくらあれば安定?日本の平均年収!
2021年12月に行われた日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」では、2021年の3月、6月、9月、12月現在の「景況感」「暮らし向き」と1年後の期待感が発表されています。
2021年の年末には多少「良くなった」のポイントが上がっていますが、50%以上の方が依然として「悪くなった」と答えており、1年後の景況感についても「変わらない」と経済への期待が感じられないことが表れています。
「暮らし向き」は、いずれのタイミングでも「どちらとも言えない」が50%を超え、これからの生活が豊かになるという希望がもてない現在、どれぐらいの収入があれば安定していると言えるのでしょうか。
平均年収をチェックしながら確認してみましょう。
参考:「生活意識に関するアンケート調査」(第88回<2021年12月調査>)の結果
国税庁が行った令和2年度分の「民間給与実態統計調査」によると、男女別の平均給与男性が532万円、女性が293万円となっており、男女合わせた平均給与は約433万円となっています。
雇用形態別に見ると、正規雇用の平均給与は496万円、非正規雇用の平均給与は176万円となっており、男性の正規雇用の平均給与は550万円、非正規雇用の平均給与は228万円、女性の正規雇用の平均給与は384万円、非正規雇用の平均給与は153万円となっています。
都道府県別の平均年収を見てみると、全国計は30.7万円となっており、一番高いのは東京都の約37万円、次いで神奈川県の33.5万円、大阪府32万円、愛知県31.4万円、京都府31万円の5都府県が全国計よりも高くなっており、30万円を超えているのは茨城県、埼玉県、滋賀県、兵庫県、一番低いのは青森県の24万円となっています。
年収がいくらあれば満足するかは住む地域によって変わる
男女別や地域の平均給与を確認しましたが、同じ年収であっても住む地域によって生活にかかる費用は変わってくるため、100万都市のある北海道、東京都、宮城県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の生活費を例として確認してみましょう。
消費者物価地域差指数
消費者物価地域差指数とは、全国の物価水準を100として物価の差を地域別に比較した指数で、100よりも数字が大きければ全国平均よりも物価が高く、数字が小さければ全国平均よりも物価が低いということがわかります。
総合的な物価が一番高い東京都と、100万都市のある北海道、宮城県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、そして総合的な物価が一番低い宮崎県の数字を見ながら、1人暮らしをするのにどれぐらいの費用がかかるのか確認していきましょう。
総合 | 食費 | 住居 | 光熱・水道 | |
北海道 | 100.3 | 100.2 | 86.1 | 116.6 |
東京都 | 105.2 | 103.4 | 134.5 | 94.7 |
宮城県 | 99.3 | 98.3 | 96.9 | 103.5 |
愛知県 | 97.6 | 97.8 | 95.0 | 93.5 |
大阪府 | 99.8 | 99.6 | 96.7 | 93.7 |
広島県 | 98.7 | 100.8 | 91.9 | 104.2 |
福岡県 | 97.4 | 96.8 | 90.0 | 104.6 |
宮崎県 | 95.9 | 96.0 | 88.1 | 102.3 |
東京は光熱・水道費が平均より低いですが、住居費が突出して高く、総合的な費用が高くなっており、住まいの費用をどれだけ抑えるかが、東京都で安定して暮らすことの鍵になることが考えられます。
1人暮らしをしたときのシミュレーション
東京都で1人暮らしをした場合、家賃に8万円、光熱・水道費に8,000円、食費に4万円、日用品費に7,000円と、最低限の生活費として13万5,000円かかることになり、その他に交通費1万円、交際費1万円、被服費1万円、保険・医療費に1万円、娯楽費1万5,000円などがかかると、1ヶ月で19万円の生活費が必要となる見込みになります。
手取りで20万円の給与があれば生活をしていくことができそうですが、生活費だけでギリギリになってしまうため、住居費や食費など、切り詰められるところをできる限り切り詰める必要があります。
宮崎県で1人暮らしをした場合、家賃に2万5,000円、光熱・水道費に1万円、食費に3万円、日用品費に5,000円と、最低限の生活費として7万円かかることになり、その他に交通費2万円、交際費2万円、被服費1万円、保険・医療費に8,000円、娯楽費1万5,000円などがかかると、1ヶ月で14万3,000円の生活費が必要となる見込みになります。
消費者物価地域差指数の総合が一番高い東京都と一番低い宮崎県では、1ヶ月に必要となる生活費に約5万円の差が出てくることもあるため、年齢や男女別の平均給与のデータだけではなく、どこに住んでいるのかということも安定した生活には大きく関わってくることになります。
いわゆる勝ち組と呼ばれる年収はいくらからなのか
競争社会で優位に立っている人のことを「勝ち組」といいますが、安定した生活を送ることができそうな、いわゆる勝ち組とはどれぐらいの年収の人を指すのかをチェックしてみましょう。
給与所得者数の上位5%
1,000万円プレイヤーという言葉があるように、桁がひとつ違う1,000万円という数字を目標とし目指しているということがありますが、年収1,000万円の給与所得者はどれぐらいいるのか、国税庁の民間給与実態統計調査をチェックしていきましょう。
| 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 |
1,000万円~1,500万円未満 | 3.1% | 3.3% | 3.6% | 3.5% | 3.4% |
1,500万円~2,000万円未満 | 0.7% | 0.7% | 0.8% | 0.8% | 0.7% |
2,000万円~2,500万円未満 | 0.2% | 0.2% | 0.3% | 0.2% | 0.2% |
2,500万円以上 | 0.2% | 0.3% | 0.3% | 0.3% | 0.3% |
1,000万円以上の割合 | 4.2% | 4.5% | 5.0% | 4.8% | 4.6% |
平成28年度から令和2年度の5年間の年収1,000万円以上の給与所得者のデータを見てみると、1,000万円以上1,500万円未満の給与所得者はどの年代も3%台、1,000万円以上の方は給与所得者全体の5%以内となっているため、年収が1,000万円を超えていると勝ち組と言えるでしょう。
平均的な年収の2倍
国税庁の令和2年度の民間給与実態統計調査によると、男女合わせた平均給与は約433万円となっていることから、その2倍の給与を得ているということは2人分の稼ぎを得ていると捉えることもできるため、勝ち組と考えられます。
年収の中央値を超えている
年収800万円は部長クラスであるとも予測ができます。20~30代の若年層が稼ぐには難しい金額ですが、若年層の「勝ち組」の認識は年収の中央値を超えているかどうかということが指標になることが多いです。
平均で年収を抽出すると、極端に高い金額があった場合に平均も高くなりますが、中央値とは小さい順にデータを並べたときに真ん中にくる数字であるため、年収の中心はどれぐらいの金額であるのかということを見ることができます。
国税庁の令和2年度の民間給与実態統計調査で計算をしてみると、男性の給与の中央値は458万円、女性の給与の中央値は283万円になるため、その値を超えていれば勝ち組とも言えるでしょう。
特に20~30代の若年層では年収の中央値である400万円台を超えた500万円を勝ち組とする指標もあります。
年収アップを目指す方法5つ
①昇進する
会社には満足していたり環境を変えたくはないという場合は、昇進をして基本給のアップや手当の付く役職を目指すことが年収を上げることが効率的で、将来にわたって安定して稼いでいくことのできる方法です。
昇進するためには実績を作ることが大切になり、営業などの実績が数字で出る場合はわかりやすいですが、そうではない仕事の場合は、仕事に必要な資格を取ることやスキルを身につける、社内でのコミュニケーションを高めるなどの方法があります。
取得する資格は、MOSや簿記など一般的に人気な事務スキルもあります。
保険業界でのファイナンシャルプランナーや不動産業界の宅建、建築業界のCADなど、今の仕事に必要な資格を選ぶことで、資格手当がもらえたり、資格を生かして働く経験値を身につけるなど、年収アップに繋げることができます。
営業のように目に見える数字がない仕事では仕事を真面目に行うことはもちろん、上司が相談しやすい、後輩から頼られるといった人材を目指すことで、上司として部下を導いていけるといった評価が得られ、社内のコミュニケーションを上手に使うことが出世に繋がることがあります。
②副業を始める
現在の職場ですぐに昇進するのも難しそうだという時やすぐに収入を得たいという時には、副業を始めることが手っ取り早く年収を上げることができます。
終業後にコンビニや居酒屋などのアルバイトを入れることや、アフィリエイトやブログ、YouTubeなどのネットでの活動、ライターやデータ入力などのクラウドソーシングを受けるなどの副業があります。
本業を疎かにすることなく、自分のスキルを生かすことのできるものを選ぶことが効率的です。
現在ではクラウドソーシングのように提案された仕事を引き受けるだけではなく、自らスキルを販売するスキルシェアマーケットもあるため、自分の得意なことや仕事で培った知識を副業にするという方法もあります。
③独立する
スキルがあるのならば、起業することで年収が上がる可能性があるため、自分の能力に比べて年収が低いと考えたときにはフリーランスとして独立することも検討してみましょう。
フリーランスや起業をするのに必要なのは、現在身につけているスキルだけではなく、営業の努力や交渉力、新しい情報や技術を自ら学んでいくことが大切になります。
経費や税金などの金銭管理や自らの労務管理などの事務仕事も自ら行うことになりますが、うまく軌道に乗せていくことができれば、サラリーマンよりも年収をアップさせることができます。
④共働きをする
結婚していてパートナーが仕事をしていない場合、自分1人で頑張るだけではなく、パートナーに仕事をしてもらうことで世帯年収を上げることができるため、家庭に無理のない範囲で働いてもらうことを検討してみるのもいいでしょう。
世帯主の扶養のまま働く場合には、103万の壁、106万の壁、130万の壁、150万の壁といった配偶者控除が使えなくなったり社会保険料を支払う必要のある「収入の壁」があるため、働き方によっては損になってしまうこともあります。
パートナーの年収がどれぐらいであれば世帯年収を増やせるのかを確認しておくことが重要です。
⑤転職する
コミュニケーション能力や仕事に実績を出していても、理不尽に嫌われることや能力を認めてもらえず、出世や昇進ができそうにないといった場合は、現在の職場に見切りを付けて転職をしてしまう方が年収を上げることができることもあります。
転職で年収がダウンするというケースもありますが、実績や経験値、スキルが認められると年収がアップする可能性も充分に考えられます。手取りの月収だけではなく、賞与や手当が付くかチェックをしておき、今後成長していく企業や給与の規定水準の高い会社に転職することが転職後の年収アップに重要です。
まず現実的な方向は転職をすること
年収アップを現在の職場で着実に行うこともいいですが、手っ取り早く年収アップをしたいなら転職を検討するのが最も現実的な策になりますが、異業種に転職する際や転職時に役職やポジションが下がることで、年収が下がるという可能性があります。
現在よりも年収を上げることができるかどうかは交渉することが必要となりますが、転職エージェントを利用することで、直接自分が交渉を行わなくても、角が立たないように交渉力に長けたエージェントが行ってくれます。
転職エージェントには非公開求人なども寄せられており、転職全般について相談することもできるため、通常の転職サイトよりも年収アップを狙いやすくなるため、転職エージェントをうまく活用していきましょう!