正社員と派遣の生涯年収の差は少なくとも1.8倍以上! 派遣をずっと続けて大丈夫なのか正社員と派遣社員の生涯年収は少なくとも1.8倍はあります。

そのため、将来や老後に不安を抱えている派遣社員は正社員を目指した方が良いのです。

あなたは正社員と派遣社員の生涯年収がいくらか知っていますか?

正社員と派遣社員の年収が違うのは何となく理解しているけど、「生涯年収がいくらぐらいなのか」「どのぐらいの差があるのか」といった部分いついては、分からないという方が大半でしょう。

しかし、実は正社員と派遣社員では生涯年収に大きな開きがあるのです。金額的にもかなりの開きがあるので知っておいた方が良いでしょう。

そこで今回は、正社員と派遣社員の生涯年収について解説します。

厚生労働省が発表したデータを基に具体的な金額などもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

生涯年収とは?

生涯年収とは?

生涯年収とは、人間が働いて一生涯に得る賃金・賞与の総額を意味しています。

しかし、「生涯年収=一生涯に自由に使えるお金」という訳ではありません。そもそも年収や月収と呼ばれる収入は、税金などが引かれる前の金額を意味しています。

【法廷控除の項目】
 厚生年金保険
 健康保険
 雇用保険
 源泉所得税
 住民税

つまり、生涯年収から法廷控除が引かれた金額が自由に使えるお金という訳です。

ちなみに、税金などが差し引かれた金額のことを所得や手取りなどと表現します。

年収

給与とボーナスを含めた1年間の収入。税金などが引かれる前の金額

所得

年収から給与所得控除を差し引いた金額のこと

手取り

会社から支払われた支給額のうち実際に受け取れる金額のこと

収入

会社から支給される給与を意味していて月収や年収がある

サラリーマンの手取りはどうやって計算するのか?

サラリーマンの手取りはどうやって計算するのか?

サラリーマンの手取りがどのように計算されているのか確認していきましょう。

ここでは、大卒における男女の平均初任給20万3,000円を基に計算します。

月収から引かれるのは主に税金と社会保険です。

【額面金額20万3,000円】

  • 健康保険料:1万円程度(額面の約5%)
  • 厚生年金:2万円程度(額面の約9%)
  • 雇用保険:600円(額面の約3%)

合計すると3万1,000円程度の社会保険料が差し引かれる計算です。

ここに所得税が課税されます。ちなみに、所得税は所得が高くなるにつれて税金が高くなるといった制度を導入しています。

また、扶養家族がいるかどうかで変わってきます。

今回は大学を卒業したばかりの大学生なので税金は2%程度が一般的です。

  • 20万3,000円-3万1,000円=17万2,000円
  • 17万2,000円×2%=3,440円(所得税)

以上のように、20万円3,000円から社会保険と所得税として3万5,000円程度が差し引かれる計算となりました。

手取りは17万円程度となることが理解できたでしょう。

加えて、2年目からは、前年度の所得に応じた住民税が発生します。

そのため、昇給ができたとしても手取りは思ったよりも増えないと感じる可能性があるのです。

生涯年収の計算方法・データの参照

生涯年収の計算方法・データの参照

ここでは、どのようにして生涯年収を計算すべきなのか、参考にすべきデータと併せて紹介します。

やはり、生涯年収を調べるのに参考となるのは「厚生労働省」が発表するデータです。

具体的には、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基に生涯賃金が調べられます。

また、「ユースフル労働統計2019―労働統計加工指標集―」でも生涯年収が確認できます。

まずは、後者のデータを使って学歴別の生涯年収を確認していきましょう。

学校卒業後、フルタイムの正社員を続けた場合、学歴によって以下のような生涯年収となっています。

学歴

男性

女性

中卒

2億円

1億4千万円

高卒

2億1千万円

1億5千万円

高専・短大卒

2億2千万円

1億8千万円

大学・大学院卒

2億7千万円

2億2千万円

続いては、「賃金構造基本統計調査」の年代別の賃金から、40年働くと仮定した場合の生涯年収を雇用形態別に計算してみましょう。

正社員の賃金は321.6千円なのに対して非正規は210.8千円です。この賃金で40年間働いたとして生涯年収を算出してみましょう。

正社員

非正規

1億2千864万円

8千432万円

このように、正社員だと生涯年収が1億円を超えるのに対して、非正規だと1億円を下回るという結果でした。

また、正社員は年齢が上がるごとに昇給やボーナスも増えるので、年収は平均よりも高くなり生涯年収も上記のデータよりも高いケースが多くなるのです。

以上が生涯年収の計算方法と参考にすべきデータになります。

今回は、労働時間や働き始める年齢など細かいデータは省略して計算しているので、もしも詳しい生涯年収が気になるなら、それらのデータも含めて計算してみてください。

生涯年収は派遣社員と正社員でどの程度変わるのか?

生涯年収は派遣社員と正社員でどの程度変わるのか?

派遣社員と正社員の生涯年収はどのぐらい変わるのでしょうか。

派遣社員を正社員意外として月当たりの賃金を調べると、すべての世代で正社員以外の方が低い賃金で推移する結果となっているのです。

年齢

正社員

正社員以外

20~24歳

209,800円

183,700円

25~29歳

244,300円

199,600円

30~34歳

281,000円

210,600円

35~39歳

313,000円

210,500円

40~44歳

343,100円

209,600円

45~49歳

373,700円

207,000円

※参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

このように、正社員と正社員以外の賃金を比べてみると、その年代でも正社員の方が高い賃金の推移となっています。

また、20代頃は大きな開きがないものの、年代が上がるにつれて正社員と正社員以外の賃金に開きが出てきているのが分かるでしょう。

やはり、正社員には昇進や昇給・賞与といったものがあるので、長く勤務することで賃金が上がりやすい傾向にあるようです。

ただし、正社員以外の方には派遣以外にも、賃金が安いアルバイトやパートなどが含まれているので、なかなか正確なデータによって比較するのが難しいのが実情です。

それでも、2005年の時点は正社員と非正社員では生涯年収が1.7倍、2016年になると生涯年収は1.8倍の差があると判明しています。年々生涯年収に差が出ている正社員と非正社員なので、2020年の現時点ではそれ以上の差が出ていると考えられるでしょう。

※参考:内閣府「正社員・非正社員の賃金差の現状」

業種別の平均年収と生涯年収

業種別の平均年収と生涯年収

ここでは、業種別の平均年収と生涯年収について解説します。

まずは、業種別に見る平均年収を確認していきましょう。

順位

業種

平均年収

第1位

メーカー

454万円

第2位

総合商社

448万円

第3位

IT/通信

446万円

第4位

金融

436万円

第5位

メディカル

427万円

第6位

建設/プラント/不動産

417万円

第7位

インターネット/広告/メディア

406万円

第8位

専門商社

403万円

第9位

サービス

367万円

第10位

小売/外食

351万円

※参考:doda「平均年収ランキング 最新版 【業種別】」

業界別の平均年収で見ると、メーカーがトップの454万円でした。

その次に総合商社の448万円、IT/通信の446万円が続きます。

一般的に年収が少ないとされるサービス業や外食業界は、400万円に満たない年収という結果です。

では、これらの業種の生涯年収について確認していきましょう。

順位

業種

生涯年収

第1位

メーカー

2億4,654万円

第2位

総合商社

2億7,409万円

第3位

IT/通信

2億5,579万円

第4位

金融

2億4,350万円

第5位

メディカル

2億3,758万円

第6位

建設/プラント/不動産

2億1,325万円

第7位

インターネット/広告/メディア

2億1,667万円

第8位

専門商社

2億2,224万円

第9位

サービス

1億8,661万円

第10位

小売/外食

1億8,687万円

※参考:doda「平均年収ランキング 最新版 【業種別】」

ランキングの順位に関しては、年収が高い方が生涯年収も高くなるので、先に紹介した平均年収の順位と同じです。

そして、平均年収が400万円を下回っていたサービス業と小売/外食業だけは、生涯年収が2億円に届かないという結果でした。

一般的に、生涯年収は2億が平均とされていますが、その2億に到達するかどうかの年収の分かれ目は400万円ということが理解できたでしょう。

実際、平均年収で第8位の403万円となっている専門商社では、生涯年収が2億2,224万円と大台の2億円を超えています。

もちろん、若い方は現在の年収が400万円以下でも、昇給や賞与などによって年収アップは期待できるので、そうなれば生涯年収も上がっていくでしょう。

ただし、正社員以外の雇用形態になると昇給や昇進が難しいので、現在の収入が継続する可能性が高くなります。

やはり、生涯年収を増やすには正社員を目指した方が良いのでしょうか。次に項目で詳しく解説していきますので参考にしてみてください。

生涯年収アップには正社員と正社員以外のどっちが良い?

生涯年収アップには正社員と正社員以外のどっちが良い?

ここまで、様々なデータを基に正社員と正社員以外の生涯年収を比較してきました。

やはり、生涯年収をアップさせたいのであれば正社員を目指した方が効率が良いといえるでしょう。

そして、正社員を目指す場合はもちろん、正社員としてステップアップするためには、専門的な知識を身に付けたり、普通の人にはできない技術を身に付けるなど努力が必要になってきます。

ただし、妊娠や出産・子育て・介護といった生活環境によっては、務めている会社でサポートする体制が整っていない可能性があります。この場合は、非正社員の方がライフバランスは良いケースがあるでしょう。

正社員と派遣などの非正社員は、確かに生涯年収が1.8倍以上も差があります。しかし、20代のうちは派遣社員として働き、30代になってから正社員になる方も多いので、すべての派遣社員が低年収とは限りません。

派遣社員では退職金がもらえない

派遣社員では退職金がもらえない

派遣社員などの非正社員は年種が少ないだけではなく、退職金も基本的にはもらえません。

ちなみに、大卒で管理・ジム・技術職などとして20年以上勤務して、45歳以上で退職した場合の平均退職金は2,280万円とされています。

この退職金は、老後の生活費としても重要なウエイトを占めているので、非正社員として働いて退職金がもらえないとなると、老後に大きな不安が残ることになります。

ただし、実際正社員として働いていても日本企業の約15%は退職金を支払っていないとされています。

それでも、正社員の方が退職金はもらえる確率が格段に高いので、老後の生活費などを考えるとやはり正社員を目指した方が良いでしょう。

まとめ

まとめ

今回は、正社員と派遣社員の生涯年収について解説しました。

正社員の方が派遣社員よりも1.8倍以上も生涯年収が多いと理解できたでしょう。

また、業界によっても平均年収や生涯年収は大きく異なるという結果でした。

学歴によっても違ってくるという事実は、学歴にコンプレックスがある方にとってはショックな内容だったかもしれません。

しかし、学歴が低くても正社員を目指して頑張れば、十分に平均的な生涯年収を獲得できるでしょう。

退職金の有無もあるので、よほどの理由がない限りは正社員を目指すことをおすすめします。

ぜひ、専門的なスキルや特殊技術を身に付けて、正社員を目指してみてください。

もちろん、妊娠や出産・子育て・介護などの生活環境によっては、正社員が働きにくいという可能性もあるので、その場合は生活スタイルに合わせて雇用形態を選んでみてはどうでしょうか。