仕事に求めるものは人それぞれであり、給料さえ多ければ良いなんてことはありません。
ただそうは言っても、やっぱり給料はできるだけたくさん貰いたいですよね。
それなりにゆとりがあり、貯金もできる生活は誰もが望むところだと思います。
そして今回注目するのは20代で手取り23万円という人について。
一般的に見て貰っている方なのか、それとも少ない方なのか、転職すれば収入アップできる見込みは高いのかなどの点について紹介していきます。
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20代で手取り23万円は平均から見るとどれくらい?
学生時代のバイトを考えれば、手取りで23万円というのはかなり大きな金額です。
ただ、社会人として親から援助してもらわず、将来に向けて貯蓄もしようと考えればそこまで贅沢はできません。
また、20代後半になると結婚して子供ができる人も多いため、生活はさらに厳しくなります。
では、この手取りは平均から見るとどれくらいの層にいるのでしょうか。
手取り23万円の場合の総支給(月給)
手取り23万円の場合、家族構成などによっても変わるものの、月収は28~29万円程度が一般的です。
所得税・住民税・社会保険料などが引かれてこの金額となります。
会社によっては団体保険料、住宅費(社宅)、財形貯蓄といったものが天引きされるので、手取り23万円でも総支給額が30万円を大きく超える人もいます。
ただ、その場合は生活費の圧縮や将来への貯蓄となっているため、税金等で手取り23万円という人とは状況がかなり異なります。
ですから、基本的に収入を比較する場合は手取りよりも総支給額で比較しなくてはなりません。
今回は単純に所得税・住民税・社会保険料などが引かれている総支給29万円、手取り23万円の人を対象に平均との比較を行っていきます。
20代の平均賃金との差
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」から平均賃金との差を確認してみましょう。
ただし、この「賃金」はあくまで残業代などの超過勤務手当を除いた金額です。
男女別に見た平均との差
この資料によると、全年齢に絞った1ヶ月あたりの平均賃金は30万4,300円です。
これを20代の男性・女性別に見ると以下の通り。
- 20代前半男性:21万500円
- 20代後半男性:24万8,100円
- 20代前半女性:20万2,500円
- 20代後半女性:22万5,900円
総支給額が29万円とすると、平均よりもかなり上回っているとわかります。
ただ、上記の金額はあくまで残業代を除いた金額のため、29万円のうち例えば残業代が5万円あるとすると、20代後半男性なら平均を下回ることになります。
残業が30時間もあれば残業代は5~6万円程度になりますから、手取り23万円だからといって一概に平均以上とは言えません。
ちなみに残業代を30時間分として、それを加算した平均賃金額は以下の通りです(1日8時間、月21日稼働として算出)。
- 20代前半男性:25万7,500円
- 20代後半男性:30万3,500円
- 20代前半女性:24万7,700円
- 20代後半女性:27万6,300円
残業代を考慮して考えると総支給29万円、手取り23万円でも決して高いとは言えない金額だとわかります。
正社員に限定した場合
上記の金額は正社員に限定されず、派遣社員や契約社員といった非正規雇用者の人も含まれた数字になっているので、正社員に限定した場合についても見てみましょう。
正社員に限定した20代前半の平均賃金は以下の通りになっています(かっこ内は非正規社員の平均賃金)。
- 20代前半男性:21万2,900円(18万9,800円)
- 20代後半男性:25万2,000円(20万9,600円)
- 20代前半女性:20万6,300円(17万8,700円)
- 20代後半女性:23万2,500円(19万1,300円)
30代・40代に比べると正社員と非正規社員の差は少ないものの、それでもそれなりには差があります。
これに先ほどのように残業30時間分を加えた金額は以下の通りです。
- 20代前半男性:26万400円
- 20代後半男性:30万8,300円
- 20代前半女性:25万2,300円
- 20代後半女性:28万4,400円
残業時間30時間で手取り23万円だと、20代後半男性の平均よりもわずかに低くなります。
学歴別に見た場合
参考までに学歴別に見た平均賃金データも紹介します。
【大学・大学院卒】
- 20代前半男性:22万7,000円
- 20代後半男性:26万3,900円
- 20代前半女性:22万400円
- 20代後半女性:24万4,600円
【高専・短大卒】
- 20代前半男性:20万4,200円
- 20代後半男性:23万5,600円
- 20代前半女性:20万1,200円
- 20代後半女性:22万1,900円
【高校卒】
- 20代前半男性:20万1,000円
- 20代後半男性:22万9,000円
- 20代前半女性:18万3,300円
- 20代後半女性:19万3,600円
新卒と比較した場合
厚生労働省が発表したデータによると、新卒の初任給は以下のようになっています。
- 高卒:16万7,400円
- 高専・短大卒:18万3,900円
- 大卒:21万2,000円
- 大学院卒:23万8,900円
出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」
ここから税金や社会保険料などが差し引かれるため、新卒の手取りは額面給料の80%程度です。
そのため、高卒なら12万円程度で大卒なら16万円程度の手取りなります。
手取り23万円は、新卒と比較したら高いということが分かります。
20代の平均年収との差
続いて国税庁の「民間給与実態統計調査」のデータを基に平均年収の面から見ていきましょう。
この資料によると、全年齢の平均年収は441万円で20代は前半が267万円、後半が370万円です。
男女別に見た場合の平均年収は以下の通りになります。
- 20代前半男性:284万円
- 20代後半男性:404万円
- 20代前半女性:249万円
- 20代後半女性:326万円
先ほどの賃金を12倍した数値より大きな額となっているのは、残業等の超過勤務手当に加えてボーナスも加わっているためです。
もし毎月の総支給が30万円で平均以上だとしても、ボーナスがなければ年収は360万円です。
20代後半男性の平均には届きません。
手取り23万円、総支給29万円とした場合、20代後半男性の平均年収となるにはボーナスが年間で35万円は必要です。
手取り23万円から収入アップを目指して転職する場合の注意点
これらのデータを見ると「残業代がどの程度あるのか?」「ボーナスがどの程度あるのか?」によって違うものの、手取り23万円という水準は決して高いものではありません。
そのため、さらに収入アップを目指して転職を考えるのも一つの手です。
その際に、いくつか注意点があるので下記で紹介していきます。
手取り以外で重視しなくてはいけないポイント
まず手取り賃金以外で重視しなくてはいけないポイントからご紹介します。
単に毎月の手取りがいくらかだけではなく、以下の点については必ずチェックする必要があります。
ボーナスの有無
まずはボーナスの有無です。
同じ手取り額であっても、ボーナスがあるかないかで年収は大きく変わります。
「ボーナスはどの程度あるのか?」もしくは「ボーナス込みで年収はどの程度になるのか?」については必ずチェックしなければいけない点です。
ただし、ボーナスが多いからOKと簡単に判断しないよう気を付けてください。
ボーナスは基本給と違って毎年変動するものであり、例えば今年50万円貰えても来年には10万円しか貰えないなんてこともありえます。
毎月の手取りは減るけれど、ボーナスが増えるからと転職に踏み切ってしまい翌年にボーナスが大幅減。結果的に年収が下がるケースもあるので、ボーナスがどの程度安定して貰える会社なのか確認できる範囲でしておいた方が良いでしょう。
基本的に収入アップを目指すのであれば、年収だけでなく基本給も減らない方向で動くようにしてください。
残業の有無
残業がどの程度あるかについても要チェックです。
例えば月収35万円と書かれていても、実は50時間分の残業代込みという場合もあります。
年収として書かれている場合も残業代込みであるケースが多いです。
いざ転職したら大幅に残業時間が増えて、残業代のおかげで多少給料がアップしたものの、精神的ストレスも増加して後悔するという人もいます。
残業時間がどの程度か、基本給はいくらなのかという点は転職前に必ずチェックしなくてはなりません。
退職金の有無
退職時に貰うことができる退職金ですが、近年ではもらうことのできない会社が増えています。
退職金の平均額は大卒の場合に2,000万円程度です。
勤続38年だとすると、毎年52万円程度が給料とは別に会社に積み立てられているとも考えられます。
そのため、もし退職金がある会社からない会社に転職するなら、年収を上げなければ実質損すると頭にいれておきましょう。
参考:退職金の平均や相場はどれくらい?公務員の場合と民間の場合。
転職による収入アップの可能性
手取り23万円というのは20代なら平均から見て決して悪くはない金額。平均より高いか平均並みです。
その為、例えば手取り13万円しかない人が転職すれば大半の人は収入アップすることができますが、手取り23万円からさらなるアップを狙うともなれば、ある程度の条件は必要であり、誰でも叶うというものではありません。
もしあなたが転職で収入アップを狙うのであれば、以下の点については確認しておいた方が良いでしょう。
経験有無
手取り23万円からさらに収入アップを狙うのであれば、経験者としての実績をアピールするのが基本です。
未経験でも不可能ではないものの、歩合制の仕事など選択肢がかなり狭まります。
もしくは残業がとてつもなく多い会社や、ブラック企業といった可能性も増えるので注意してください。
給料に目がくらんでそういった会社に入っても後悔するだけです。
もし経験が2~3年以上あるなら、その経験を武器にして収入アップを目指した転職ができる可能性は十分あると言えるでしょう。
地域による差
給料は全国それぞれの地域によって大きく異なります。
全国平均30万4千円であるのに対して、東京(37万8千円)や神奈川(33万0千円)、大阪(32万6千円)、愛知(31万8千円)など平均を大きく上回っている地域がある一方で、大きく下回る地域もあります。
上記で紹介しているのはあくまで全国を対象にした場合の20代の平均賃金・平均年収であるため、もし全国を対象にして転職活動を行うなら手取り23万円からさらにアップできる可能性は十分にあるでしょう。
ただ地域を限定し、かつその地域の平均年収が低い場合だと難易度はかなり高くなってしまいます。
地域によっては、20代で手取り23万円でも高い場合がありますからね。
例えば青森の平均賃金は23万4千円で、ここに残業代が入っても総支給27万円程度となり手取りなら22万円を切ります。
全年齢の平均がこれですから、年収の低い20代だと手取りで23万円は相当高い水準です。
業界を変えるメリット
転職するなら業界を狭めずに幅広く考えたほうが収入アップに繋がる可能性は高まります。
業界それぞれに年収相場があるので、業界を変えるだけで年収が増える可能性もありますし、幅広い業界をターゲットにすることで選択肢も広がります。
特に年収相場が低い業界にいる人はぜひ違う業界へと転職することを頭にいれておきましょう。
収入アップを狙うなら転職エージェントは利用しておいた方が良い
収入アップを目指すのであれば、転職活動で転職エージェントを利用しましょう。
現状の手取り23万円は、平均から見ても20代なら悪くない金額です。
それ以上を狙うのであれば、転職エージェントを利用しなければ応募できない非公開求人を活用する必要があります。
また、できるだけ高い年収で転職できるように年収交渉する必要もあります。
さらに先ほど注意点として挙げた残業・ボーナスといった点も、転職前にエージェント経由でしっかり確認できるというメリットもあります。
とりあえず転職活動をしてみるだけもあり
転職活動は在職中に進められるので、とりあえずやってみるというのも大いにありです。
自信がなくても、とりあえずやるだけやってみたら思わぬ好条件の会社から内定を貰えたなんて話もよくあります。
そしてダメなら転職を諦めて、また次のチャンスに向けて今の仕事を頑張ればいいだけです。
手取り23万円は十分に可能性のある金額なので、やってみる価値は十分にあると思います。
ですから、もし今収入に不満があるなら、ぜひこの機会に転職活動を始めてみて下さい。
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