社会人2年目になって初めての昇給。あなたはどれだけ昇給しましたか?
おそらく多くの人は数千円程度と、決して満足できるほどの昇給額ではなかったでしょう。
では、もし昇給額が少なかった場合、その会社はさっさと見切りをつけて転職した方が良いのでしょうか。
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2年目の昇給が少ない!手取りも減った!実はこれって当たり前
新卒2年目で数千円程度しか昇給しなかったという話はよく耳にしますが、その昇給額の少なさに驚き失望する人もいることでしょう。
ただ、実際に社会人2年目では、そこまで大幅な昇給は期待できないのが現実です。
はじめに、昇給平均額と社会人2年目の昇給額の現実から見ていきましょう。
昇給額の平均とその内容
厚生労働省の「令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、令和3年の昇給平均額は4,695円、給料に対する昇給率は1.6%となっています。
また、企業規模別に昇給額および昇給率をみると、大企業になるほど昇給額は上がるものの企業規模による昇給率に大きな差はないことがわかります。
昇給平均額 | 昇給率 | |
5,000人以上 | 5,202円 | 1.6% |
1,000~4,999人 | 4,937円 | 1.7% |
300~999人 | 4,753円 | 1.6% |
100~299人 | 4,112円 | 1.6% |
昇給率が1.6%で考えると、初任給が20万円の人は20万3,200円に昇給する計算になります。
昇給しているといっても、わずか3,200円しか上がらないのです。
1万円も昇給するケースはごく稀で、半額の5,000円の昇給だったとしても平均以上になります。
また、上記の平均額は年齢が上がった分の定期昇給額だけではなく、役職が上がるなど昇格分の昇給額も含まれた平均です。
例えば、ある会社で次のように昇給額が分かれているとしましょう。
- 昇格なしの人の昇給額:3,000円
- 昇格ありの人の昇給額:20,000円
昇格なしの人が90人で昇給ありの人が10人だとすると、その会社の平均昇給額は4,700円となります。
会社の規定に2年目での昇格がない会社の場合、昇給額が2,000円や3,000円でも、実は周囲より少ないわけではないのです。
2年目の昇給額の現実
社会人2年目の昇給額は、実際のところどのくらいの金額なのでしょうか。
昇格の有無で分けて見ていきましょう。
昇格がある場合
会社の規定により2年目で何かしらの昇格がある場合、会社全体の平均昇給額よりも高額の昇給になるケースが多いです。
たとえば、その会社の平均昇給額が5,000円だとすると7,000円~8,000円といったように、数千円でも昇給額が高くなる傾向があります。
中には1万円以上、もっと多いと3万円~5万円以上昇給する会社もあります。
ただ、2年目で昇格があった場合は3年目以降で昇格がないケースもあり、翌年以降の昇給額が少なくなってしまう可能性はあります。
昇格がない場合
社会人2年目で特に昇格がない場合は、会社全体の平均昇給額よりも少ない昇給額になることがあります。
平均昇給額が5,000円でも2,000円や3,000円、会社によっては1,000円程度しか昇給しないケースもあります。
入社して2年目でいきなり昇格させる会社は多くはないことや、2年目はまだまだ新人でできる仕事が少ないことも関係しているでしょう。
これらの理由を含めると、2年目の昇給額は2,000円~3,000円なのが一般的、昇格がなければ目に見える昇給は期待できないと考えていて良いといえます。
ただ、業種や業態によっては、独自の人事評価制度を導入して昇格がなくても高めの昇給額が期待できる会社もあります。
これは、近年活発化している働き方改革によって、個々の能力や意欲に対しバランスの取れた給与を提供する会社が増えているためです。
住民税による手取りの減少
昇給があまり期待できないにも関わらず、社会人2年目からは住民税が引かれるようになります。
1年目の年収(4月から12月)が250万円だったとすると、住民税はおよそ9万円で1ヶ月あたり7,500円です。
昇給が3,000円なのに住民税で7,500円引かれてしまうと、当然ながら手取りが少なくなります。
住民税は前年度の年収により決まり、2年目は1年目の年収を対象に計算し、3年目は2年目の年収を対象に計算するためさらに手取り額が減る可能性が出てきます。
2年目の住民税は1年目の年収によって決まり、4月から12月の9か月分でボーナスも冬の分のみ入るので、年収自体も少ないです。
3年目の住民税は2年目の年収によって決まり、1月から12月の12か月分でボーナスは夏と冬の分なので年収自体も増えます。
月20万円で1回のボーナスが50万円の場合で2年目と3年目の年収を比較すると、2年目は年収230万円、3年目は年収340万円となり100万円以上も差があることがわかります。
年収をもとに2年目と3年目の住民税を計算すると3年目には月に4,000円も増える計算になります。
昇給額が少ないことで、社会人2年目、3年目の人には住民税の影響により手取りが少なくなると感じられるでしょう。
そうは言っても手取りを増やしたい! 2年目で昇給額アップの方法は?
入社して1年頑張ってきたのに「2,000円しか昇給しなかった」「3,000円しか昇給しなかった」となると、こんな昇給額では「これから先も年収が上がらないのでは? 」と不安を抱く人もいることでしょう。
昇給がわずかな金額で給与がなかなか増えない状態が続くと、正社員として働いていてもわずかな生活費しか保てないワーキングプアに陥る可能性も出てきます。
働いても働いても生活に余裕がないままでは、仕事そのものに対するモチベーションの維持にも影響してくるでしょう。
ここでは、少しでも社会人2年目以降の手取りを増やすための方法を紹介していきます。
昇給交渉をしてみる
社会人2年目でも手取りを増やすには、昇給交渉で給与そのものを上げるのも1つの方法です。
昇給交渉は、昇給に関する権限を持つ人に相談することと事前の準備が重要です。
はじめに、今の仕事における自分の役割に対し、給与とのバランスを考えてみましょう。
ネット上で自分と同じ職種の相場を調べたり、同じ業界の友人・知人に聞いたりして相場と比較してみてください。
また、自分が会社にとって替えのきかない優秀な存在であることをアピールするために、自分ができることやしてきたことをまとめておきましょう。
自分の強みを詳しく分析して決定することで、昇給交渉の際にアピールしやすくなります。
実際の交渉の前に、どんな風に話すのか練習しておくと説得力ある話し方や成功率を高めることが期待できるので、できるだけ信頼できる友人や知人を相手に練習しておくことをおすすめします。
昇給に関する権限を持つ人との交渉の場では、自分の仕事上の役割や成果などを述べて、回答に時間がかかることへの理解も示すことがポイントです。
会社では給与に関する権限を持つ人が多くはないため、検討する時間が必要なこともあるからです。
もしも、すぐの昇給が認められそうにない場合は、昇給が期待できる資格取得の情報・技術や各種受講機会について相談することをおすすめします。
業種や業態によっては資格取得により昇給する会社もあるので、交渉と同時に情報収集しておくと良いでしょう。
ただ、昇給交渉は一概にプラスに作用するとは限らないので注意が必要です。
交渉相手との関係性や会社の経営状態によっては、タイミングが良くないことも考えられます。
社内に昇給交渉したことが知られてしまえば、他の社員との人間関係に影響することもあるでしょう。
転職を考えた方がよいケースとはどんな場合?
昇給額に納得できないときや、昇給交渉が難しい場合は転職を検討することも必要です。
ただ、昇給額に納得できないというだけで転職するのではなく、3年目以降の昇給も含めて検討することが大切です。
ですが、2年目の昇給額に不満があるとき何を基準にすれば良いかわからない人もいることでしょう。
ここでは、どんなケースなら転職した方が良いのか具体的な例を挙げて解説していきます。
一切昇給がない、もしくは1,000円未満
2年目の昇給がなかった方は、そもそも今の会社に昇給制度があるか確認してみてください。
会社に勤めると毎年昇給するのが当たり前のように感じますが、中には昇給制度がない会社も存在しています。
令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況によると、一般職の会社で昇給制度がない会社は全体の16.9%とわずかながら存在しています。
もしも、昇給制度がない会社に勤めているなら、3年目以降も昇給は全く期待できないので昇給制度がある会社に転職する方が良いでしょう。
また、昇給制度があるのに2年目の昇給が1,000円未満と少なかった方は、その会社の経営状況が良くない可能性があります。
平均値から考えても少なくとも2,000円から3,000円の昇給が見込まれるため、会社の経営状況や他の人の昇給について探ってみましょう。
経営が傾いている、もしくは他の社員の昇給もわずかだった場合は、早めに見切りをつけて転職を考えることをおすすめします。
会社の平均昇給額が少ない
会社の平均昇給額が高ければ、たとえ2年目での昇給額が少なかったとしてもいずれは大幅な昇給が期待でき、年収も年齢が高くなるにつれて上がっていくと予想できます。
一方、平均昇給額が低ければ昇格しても昇給は期待できず、10年後・20年後の年収も期待できません。
下の表は平均昇給額が3,000円と7,000円のケースの給料モデルです。
3,000円 | 7,000円 | |
22歳 | 200,000円 | 200,000円 |
30歳 | 224,000円 | 256,000円 |
40歳 | 254,000円 | 326,000円 |
50歳 | 284,000円 | 396,000円 |
60歳 | 314,000円 | 466,000円 |
昇給額は昇格のタイミングによっても変わるものの、平均として考えるとこのようになります。
平均昇給額が4,000円違うだけで定年時には1.5倍、15万円以上の差が出るわけです。
昇給額がその年の会社の経営状態等によって変わるとはいえ、業績が悪くないのに昇給額が少ないなら転職を検討した方が良いでしょう。
長い目で見ても昇給が期待できない
上司や先輩の昇給額は、3年目以降の昇給モデルとして参考にすることができます。
職場にもよりますが主任以上の昇給額は、日ごろの会話の中で聞き出して、大体でも良いので把握していきましょう。
例えば、昨年に比べて〇%アップしたというなら、少額でも確実にアップしていることがわかります。
上司や先輩のみんながアップしているなら、あなたの今後の昇給も期待できるでしょう。
ただ、具体的な金額や数値はなかなか教えてもらえないと思うので、そこは上手く引き出してみてください。
おおよその昇給額でも全体的に低いなら、長い目で見て大幅な昇給は期待できないと判断できます。
全体に昇給額が低く3年目以降の昇給にも期待できない場合は、転職に向けてシフトする方が良いでしょう。
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20代でも大幅な昇給が見込める職種
2年目の昇給額が少なかったからと言って、すぐに転職を考えるのは早計となる場合があります。
なぜなら、次の昇格タイミングでの昇給率が上がり、給料が上がる可能性があるからです。
しかし、上司や先輩の話から将来的に自分の給料がどのように上がっていくのか把握した結果、給料が上がらないと判明したのなら転職を考えた方が良いでしょう。
転職を考える場合は、20代の若手が活躍できるか若手の人材育成に力を入れている業界がおすすめです。
例えば、IT系・金融系・コンサルティング業界・人材サービス業界は、新卒からどんどん仕事を任せる傾向があり、必須のオンライン研修なども充実しています。
業界により考え方やスピード感は異なるものの、社会人としてのリテラシーが高まり結果を求められる分、責任を持って仕事に取り組むことができます。
特に入社2年目なら、第二新卒として転職活動を進められるメリットがあり、前職での経験や知識を活かせるアドバンテージもあるでしょう。
第二新卒は転職市場での需要が非常に高い人材であるほか、20代から人材育成を強化している業界ならより一層自分の市場価値を高めることに貢献します。
そのため、第二新卒というブランドを活かすことで、今の会社よりも良い待遇の会社に出会える可能性は高まるでしょう。
転職か留まるか、良く見極めることが重要
2年目の昇給額に納得できず、転職するか今の会社に留まるか迷っているなら、1つの目安として第二新卒に該当するかどうかで考えてみてください。
第二新卒とは、大学卒業後に新卒で入社して社会人経験が2~3年未満の人を指します。
第二新卒だと、転職先に長く務められない印象を与えるのでは? と不安になる方もいると思いますが、企業側では第二新卒を積極的に採用する企業もあるのです。
特に、若手育成に力を入れている業界なら教育制度はもちろん昇給制度もしっかりしているでしょう。
なぜ、新卒ではなく第二新卒なのかというと、第二新卒ならビジネスマナーなどを一から教育する手間が省けることや、新卒よりも業界や職種への理解が進んでいること、他の転職者よりも年齢が若く今後の成長に期待するところがあるからです。
マイナビジョブのアンケートによると、第二新卒の採用に関して回答した企業のうち62・2%が「積極的」と回答しています。
アンケート結果からもわかるように、第二新卒への注目度・需要はともに高いため、納得の昇給が期待できる会社に転職するなら第二新卒のうちがおすすめなのです。
しかし、いくら注目度が高い第二新卒でも、転職活動の進め方を間違えるとなかなか内定をもらえないケースもあります。
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実際の交渉では、よほどの実績を上げない限りデメリットの方が大きくなる恐れがあるので、昇給交渉は慎重かつ十分な準備を重ねてから行うことをおすすめします。