1日の労働時間の上限は8時間と決められていますが、労使間で36協定を結んでいる、かつ超過勤務手当や深夜勤務手当が支払われている場合、それ以上に働くことも可能です。
そのため、通常勤務8時間に加え残業を8時間。合計で16時間も働いている方も少なくないようです。
しかし、いくら合法といってもそんなに長時間働き続けることは異常ですし、身体を壊してしまう心配もあります。
今回は、16時間労働が労働者に与える影響や16時間労働の体験談などを紹介します。掛け持ちや夜勤で現在16時間労働をしているがこのままで大丈夫か不安な方、休憩時間など労働環境が適切なのか疑問を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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1日16時間も働くのは異常
1日16時間が仕事で終わる。
そう聞いただけでもぞっとしますが、実際にこのような働き方をしている人も少なくありません。
突然のトラブル対応などで1年に数回程度であったり、その分休みを増やしてくれたりするのであればまだしも、16時間労働が習慣化しているのであれば、「このまま働き続けて良いのかどうか」を考える必要があるでしょう。
そもそも1日16時間も働いていれば、残りはたったの8時間。しかも、その8時間のうちの1時間は休憩時間であり、結局会社で過ごしていますので、自由な時間は実質7時間です。
さらに、通勤時間を片道1時間とすると、残りはたったの5時間。その5時間の中で、食事やお風呂など生活に必要なことをするわけですから、睡眠不足になるのも当然です。
ここまでくると、いくら仕事にやりがいがあろうが、成長につながろうが、職場の人間関係が良かろうが、関係ありませんね。
そんな働き方違法ではないの?
身体への負担が大きすぎる16時間労働は、違法ではないのかと思う方もいるでしょう。
しかし、下記の条件をクリアしていれば、残念ながら合法です。
- 特別36協定が結ばれている
- 休憩時間が確保されている
- 残業手当・深夜勤務手当が支払われている
1時間でも残業をする場合、労働基準法第36条に基づいて、労使間で36協定を結ばなくてはなりません。
ただ、この36協定だけでは残業に上限(1ヶ月45時間、1年間360時間)があり、1日8時間の残業ではその上限を超えてしまいます。そこで、その上限を撤廃する場合は、特別条項付きの36協定を結ぶことになります。
また、16時間労働の場合、業務中に1時間以上の休憩時間を与えることが必要となるので、16時間休憩なしの労働を強制すると法律に違反していることになります。
加えて、適正な割増率で計算された残業手当や深夜勤務手当を払うことも義務です。
割増率 | |
1日8時間または週40時間を超えて労働した場合 | 25% |
法定休日に休日出勤を命じられた場合 | 35% |
残業時間が60時間を超えた場合 | 50% |
深夜22時~早朝5時の間に労働した場合 | 25% |
ちなみに、この割増賃金は重複して発生します。例えば、深夜22時以降に残業をした場合、「残業25%+深夜25%」で50%の割増になります。
これらのことを守っていれば、1日16時間勤務も違法とはなりません。
ただ、実際のところ、1日16時間という健康に害を及ぼすような働き方が常態化しているような会社では、残業代や深夜勤務手当代をごまかしていることも少なくありません。
月150時間以上も残業しているのに、その残業の大半がサービス残業となっていて、給料が全然増えないという方もたくさんいるのではないでしょうか。
掛け持ちで16時間労働はOK
また、職場を掛け持ちをしている方が、合計で1日16時間労働することも違法ではありません。
一つの職場で8時間、もう一つの職場で8時間働けば、合計16時間になります。この場合、どちらの職場でも規定内の労働時間におさまっていますので、違法にはなりません。
ただし、16時間働くというのは身体的・精神的な負担が大きいので、本当にお金が必要で切羽詰まっているのでなければ避けた方がいいでしょう。
16時間労働が引き起こす弊害
16時間労働は違法ではありませんが、様々な弊害があることを忘れてはなりません。
精神的な影響
- 忍耐の末、ストレスで精神疾患にかかる可能性が高い。
- 心に余裕がなくなり、常にイライラしてしまう。
- せっかく家族や友人と過ごしていても、心から楽しめなくなる。
- 他人の幸せを喜べなくなり、家族や友人に八つ当たりをすることが多くなる。
身体的な影響
- 食事を摂る気力がなくなって激ヤセしたり、ストレスによる暴飲暴食で激太りしたりする。
- 慢性的な睡眠不足で、頭痛や腹痛など身体に様々な不調が起こる。
- 心臓に負担がかかり、寿命が短くなるとも言われる。
16時間労働が引き起こす弊害は大きい
16時間労働は精神的・肉体的負担が大きく、労働者にとって好ましい環境ではありません。
労働時間分の給料が増えたり、短期間でスキルを身に着けられたりするといったメリットもありますが、弊害が大きいということは忘れないでおきましょう。
16時間労働の経験談
ここでは、1日16時間労働を体験し、転職を決めた方々の経験談を紹介します。どれほど過酷な労働であったのか、いっしょに確認してみましょう。
地獄の繁忙期
私が以前働いていた会社では、毎年1月から3月が繁忙期で、この期間がとにかく地獄でした。
毎日、朝8時から仕事をして、夜帰るのは早くても翌1時。遅いと翌3時くらいになります。3時に終わった日なんて家に帰ってシャワーをあびてなんだかんだしているうちに4時。また、7時には起きなくてはいけないので、どんだけスムーズに眠ることができても、3時間しか睡眠時間がとれませんでした。
しかも、働くのは平日に限りません。土日のどちらかは出勤するのが暗黙のルールでした。
おそらく残業は200時間を超えていたと思います。「おそらく」というのは残業代を全額貰えていなかったからです。最大でも60時間までしか貰えなかったので、実際にどれだけ働いていたかは分からないんですよね。
閑散期は比較的余裕のある職場だったので、人を増やしてもらうこともできなくて、その3ヶ月間は耐えることしかできませんでした。
結局、私は耐えきれずに3年で退職。1年に3ヶ月間だけと言っても、このまま働き続けるのは無理でした。
心も体がボロボロに
残業毎月150時間以上、1日の労働時間は12時間から16時間。入社してからずっとそんな生活だった私は、2年で心も体もボロボロになりました。
入社したのはいわゆるブラック企業。入社しても1年で半分以上が辞めていくような状況だったんですが、せっかく入社したから3年は働きたいと思い、つい無理をしてしまいました。
自分が無理だと判断したら、早めに見切りをつけた方がいいと思います。
他人事だと思って適当なことを言ってきたり、自分の状況を知らずに理想だけを言ってきたりする周囲を気にする必要なんてなかったんですよね。
何よりも大事なのは自分自身。今、すごくそう感じています。
16時間労働に限界を感じているなら
仕事は人生を豊かにする為に行うことですので、その仕事によって健康を損ない、貴重な人生の時間を失ってしまっているようでは本末転倒です。
そのため、もしあなたが現在無謀な働き方を強いられているのであれば、改めて「今の働き方のままでいいのか」、「本当にこのまま何年も働き続けていくべきなのか」をしっかりと考えてみてください。
同じ給料で勤務時間が減るだけでも、時給換算した時の金額は跳ね上がりますし、 いきなり年収アップは難しくても、仕事とプライベートの時間をしっかり分けられるようになれば、現在抱えているストレスが軽減されるはずです。
転職は決して「逃げ」ではありません。何よりも大切なのは「あなた自身」ですので、限界を感じているなら、無理をせずに転職を検討してくださいね。
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