役職なしは何歳までOK?昇進年齢と昇進スピードの実態を徹底調査

日本はまだまだ年功序列が強い国です。そのため、年齢が上がるにつれて役職に就く人が増えていきます。

では、日本では何歳まで役職なしでいても問題ないのでしょうか?

例えば、20代で役職がないのは普通でしょう。それなら「30代になっても役職なしは普通なのか?」と問われると分からないという方が多いでしょう。

そこで今回は、日本では役職なしは何歳までOKなのか解説します。また、役職なしから脱却する方法についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

一般的な役職への昇進年齢

一般的な役職への昇進年齢

ここでは、人事労務の専門情報誌などを発行する「一般財団法人 労務行政研究所」は実施した調査を基に、一般的な役職への昇進年齢について解説します。

こちらでは、全国の上場企業を中心に調査を実施しています。

その結果、各役職への昇進年齢の平均は以下の通りです。

  • 係長昇進:平均32.7歳
  • 課長昇進:平均39.4歳
  • 部長昇進:平均47.0歳

最も下の役職である係長昇進は32歳となっているため、大半の方は30代になってすぐに役職に就いているというわけです。

また、上記の年齢はあくまでも平均なので、早い人はさらに若い年齢で昇進しています。

同調査によると、最短の昇進年齢は以下の通りです。

  • 係長昇進:最短29.5歳
  • 課長昇進:平均33.9歳
  • 部長昇進:平均40.1歳

これは業界によっても差が出る内容なので、あなたの会社でも同じというわけではありません。

しかし、早ければ29歳くらいで昇進する方がいるというのも事実です。もし、あなたが昇進の年齢を気にするのであれば、上記の年齢を目安にしてみると良いでしょう。

出典:一般財団法人 労務行政研究所「役職別昇進年齢の実態と昇進スピード変化の動向」

役職なしは何歳までがボーダーライン?

役職なしは何歳までがボーダーライン?

前の項目で解説した通り、早ければ29歳で役職に就く方がいます。そして、平均年齢をみても33.9歳には役職に就くという事実が分かりました。

つまり、平均的に考えるなら34歳くらいまでなら役職なしでもOKというわけです。35歳になっても役職に就いていないと少し普通より遅いといった認識で良いでしょう。

もちろん役職ありだから良い、役職なしだから悪いというわけではありません。また、業種や職種、社風などによっても役職に就く年齢は変わってきます。

役職のありなしにこだわるのではなく、自分ができる仕事を精一杯こなすことの方が大切なのです。

ただし、役職のありなしによって待遇には差が出るので、その点は理解しておいてください。

役職ありになった場合の手当

役職に就くと、役職手当と呼ばれるものが支給されます。これは会社での役割や、それに準じた責任の重さに応じて支給される手当を意味します。

一般的に役職手当は、係長・課長・部長といった役職に対して支払われます。

では、役職手当はいくらくらい支給されるのか、「中小企業の賃金事情(令和元年度版)」で発表されたデータを見てみましょう。

業種

係長

課長

部長

建設業

19,145円

52,938円

87,352円

製造業

28,181円

53,840円

86,422円

情報通信業

36,687円

55,839円

101,646円

運送業、郵便業

27,034円

55,386円

87,926円

卸売業、小売業

23,269円

57,144円

87,405円

金融業、保険業

26,127円

67,444円

89,064円

不動産業、物品賃貸業

32,171円

95,152円

178,684円

学術研究、専門・技術サービス業

19,949円

66,823円

102,839円

宿泊業・飲食サービス業

25,633円

57,500円

88,333円

生活関連サービス業、娯楽業

16,030円

57,931円

97,581円

教育、学習支援業
(学校教育を除く)

14,710円

28,234円

73,504円

医療、福祉

27,628円

38,571円

80,683円

その他のサービス業

45,154円

72,817円

109,768円

調査産業の平均

27,576円

57,919円

95,469円

参考:東京都産業労働局「中小企業の賃金事情」

このように役職に就くと、かなり大きな金額の手当が支給されています。中でも部長クラスになると、平均で10万円近くの役職手当が支給されているのです。

何度もお伝えしているように、決して役職に就いているから良くて、役職に就いていないから悪いわけではありません。

しかし役職あり・なしでは、これだけ待遇に差があるという事実は理解しておいた方が良いでしょう。

役職なしから脱却する方法5つ

役職なしから脱却する方法5つ

続いては、役職なしから脱却する方法について解説します。

他の社員と密にコミュニケーションを取る

1つ目の役職なし脱却方法は、他の社員と密にコミュニケーションを取ることです。

会社では、どんなに一人で頑張っていても、大勢で頑張る組織の力には遠く及びません。せっかく会社という形で多くの人々が協力関係にあるのだから、それを使わない手はないでしょう。

また、積極的に他の社員とコミュニケーションを取っていれば、周囲からの信頼を得られるため、昇進への道が開けるようになるはずです。

役職を与えられれば、より密なコミュニケーションを図る必要があるため、早いうちから他の社員と協力するというスキルを身に付けておいてください。

分からない点は積極的に周囲に相談する

2つ目の役職なし脱却方法は、分からない点は積極的に周囲に相談することです。

1つ目の方法でも解説した通り、組織は協力するから意味があります。そのため、分からない点があるなら、自分一人で抱え込まず他の社員に相談してください。

悩んでいる時間がもったいないというのはもちろん、自分では考えもつかないアイデアを教えてくれるかもしれません。

周囲との関係性が良くなるだけでなく、仕事に関する考え方やスキルなども身に付くでしょう。

上司にアピールする

3つ目の役職なし脱却方法は、上司にアピールすることです。

役職はあなた自身が決めるのではなく、上司が決定します。そのため、同僚などと良好な関係を築くだけでは意味がありません。

役職を決める上司に認められなければならないため、積極的に上司にアピールしてください。

ただし、間違っても上司に気に入られようとして、他の社員を蹴落とすような行動はしないようにしてください。かえって、あなたの印象が悪くなる恐れがあります。

仕事に対する積極的な姿勢はもちろん、他の社員兵の気遣いや助け合いの姿勢なども見せると良い印象を与えられます。

後輩や同僚の面倒をしっかりみる

4つ目の役職なし脱却方法は、後輩や同僚の面倒をしっかりみることです。

確かに、あなたの役職に就けるべきかどうか判断するのは上司ですが、上司は自分に対する態度だけで役職を与えるべきか判断しているわけではありません。

「会社全体の役に立つ行動を取っているのか」「他の社員を引っ張っていくだけの力があるのか」などを総合的に判断しているのです。

あなたが積極的に後輩や同僚の面倒を見ていれば、その事実を上司はしっかり見てくれます。

また、協力し合いながら仕事を進められれば、あなたが関わった仕事は良い成果が出るので、過程と結果を含めて評価してくれるのです。

仕事する際は上司に気に入られるだけでなく、同僚や部下からも信頼されるよう心掛けてください。

与えられた以上の仕事をする

5つ目の役職なし脱却方法は、与えられた以上の仕事をすることです。

というのも、役職に就くような社員というのは、積極的に仕事に取り組み、常に新しいアイデアや働き方を考える必要があります。

そして、それを実現するには、与えられた仕事以上の働きをしなければなりません。

与えられた仕事以外の作業に取り組んではじめて、「どうやって仕事の効率を上げようか?」「もっとこうすれば仕事がスムーズになる」といった思考が身に付くのです。

また、与えられた以上の仕事をしていれば、上司や同僚からも一目置かれるようになって、昇進への道が開けるようになるでしょう。

役職に就いている人は役職定年があるかチェック

役職に就いている人は役職定年があるかチェック

役職定年とは、役職に就いている社員が一定の年齢を超えた時点で役職を制度です。

この制度は、会社によってある場合とない場合があります。もし、あなたの会社に役職定年があるなら、その後の仕事内容な待遇がどのくらい変わるのか把握しておいた方が良いでしょう。

役職定年は何歳からなのか?

役職定年を設けている企業も設けていない企業もあります。そのため、役職定年になる年齢も企業によって様々です。

しかし、一般的な観点からみると、大体50後半~60歳くらいが多くなっています。

実際、部長クラスに役職定年を設定している企業の91.1%55~60歳と設定しています。課長クラスでは、同じく55~60歳に設定している企業が96.1%と高い割合です(*)。

もし、あまり役職に就く年齢が遅いと、何年も経たないうちに役職定年を迎える可能性があります。

*出典:人事院「平成29年民間企業の勤務条件制度等調査」:「第8-1表」、「第9-1表」

役職定年を迎えると給料が減る

役職定年を迎えると、役職手当がなくなります。つまり、給与は下がる可能性が高いというわけです。

実際、「三菱系研究財団」の資料によると、役職定年を迎えた後に給与が減った割合は90%以上でした(*)。

そして、減った金額は年収の25~50%減という方が最も多くなっています。中には、年収が役職時の50~75%もダウンした方がいるほどです(*)。

反対に年収が変わらなかったという方は、全体の20%程度にとどまっています。

やはり、役職定年を迎えると役職手当がなくなるため、給与はガクッと下がるようです。

もし、あなたの会社に役職定年があるなら、年齢はいくつなのか、待遇はどのくらい変わるのかという点について理解しておいた方が良いでしょう。

また、役職定年を迎えた後は、仕事に対するモチベーションが下がる方が多いようです。どうしても、役職定年前より仕事に対するモチベーションが上がらないなら、思い切って転職するのも良いのではないでしょうか。

*出典:公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団「50代・60代の働き方に関する調査報告書」

転職も役職に就く方法の1つ!

転職も役職に就く方法の1つ!

役職なしの状態が続いている場合や、役職定年を迎えて仕事へのモチベーションが下がっているなら、転職するのも解決方法の1つです。

実際、転職したことをきっかけに、今まで役職なしだった方が役職に就けるというケースがあります。

特に、中小企業やベンチャー企業のような小さな会社なら、年功序列の傾向が弱いため、あなたの頑張り次第で何歳でも役職を与えてもらえます。

年齢が若い方はもちろん、役職定年を迎えた50代や60代であっても、役職に就いてバリバリ働いている方は大勢います。

もし、あなたが役職に就けずに悩んでいるなら、思い切って転職を考えてみてください。