時期で見る転職事情について
解禁時期の決まっている新卒採用とは違い、転職市場では時期によって求人数の増減があります。
どのような時期が人気なのか、どういう理由によって求人が増えたり減ったりするのでしょうか。それらについて確認していきましょう。
企業の採用が増えるシーズン
転職のシーズンは、基本的には3月〜4月と9月~10月となっています。
一般的にボーナスが支給された後の夏と冬に退職者が増えることが多く、その穴を埋めるためにも春と秋には求人が増える傾向にあります。
3~4月
新卒に併せて4月に入社させ、同時にスタートさせることで、基礎的な研修を効率的に済ませてしまうということや、決算月である3月に予算を使い切るために3月中に求人募集を終わらせるという企業もあります。
3月は期末であり年度末でもあり、キリよく退社するという方も多いため、採用が増えやすい時期になります。
9~10月
夏のボーナスが支給されて退職者が増えるとともに、9月に上半期が終わり、10月の人事異動シーズンに合わせて退職するという方もいます。
また、8月のお盆休みで連休に入るため、その後から採用を始めるという企業も多いため、秋口に採用が増えていくことになります。
採用の多い時期が転職に向いているのか
3~4月、9~10月は、大手の求人も増え、採用人数も多い場合があり、転職のシーズンといえるでしょう。
ただし、これらの時期に求人が増えるということは周知されたことであるため、シーズンを狙って転職活動を始める方も多くなります。求人の多い時期ではありますが、同時にライバルの転職者も多い時期になるといえます。
求人数が多くてもライバルが多いということは、転職が成功しやすい穴場の時期ということは言えません。
転職の穴場時期について
転職活動の穴場となるのは、新卒採用や新年度の採用が落ち着いた後の5月~6月となります。
5~6月頃には、新社会人としての理想と現実のギャップに耐えきれず4月に入社したばかりの新卒社員の中から早くも退職という決断を行う人や、新年度に思ったような採用ができなかった企業が出てきます。育てていくはずだった新卒社員がいなくなってしまったことで、採用活動を再開せざるを得なくなる企業も増えてくるため、転職希望者にとっては格好のシーズンとなります。
また、求人数が増える3月〜4月と9月~10月に転職活動を行う求職者が断然多いため、当然のことながらその時期よりもライバルは少ないという傾向にあり、穴場の時期になるといえるでしょう。
新年度が始まると、新卒社員も入り、新たな業務で忙しくなりがちな時期ではなるため、在職中の人は転職の準備がしにくいということもあります。忙しくてもこの時期にしっかりと転職の準備を進めることで、他の転職希望者に差をつけることができ、スムーズに転職を決めることができる可能性が高まります。
また、転職に春と秋が向いているということには、服装のポイントも関連しています。
夏真っ盛りの時期には、面接のためのスーツは暑くて汗がひくまで会場の近くで待機したり、逆に冬には外気と室内の温度差が大きく、着ぶくれしてしまうとみっともなかったり、感染症が多い時期であるため、体調管理が難しいという問題が発生します。
春や秋であれば肌寒くても薄いコートを羽織れば済む程度であったり、服装のビジネスマナーを守ることも容易になります。5~6月の転職に向けての活動では、まだ汗だくになるほどの暑さの日は少ないため、比較的活動しやすい時期ではありますが、雨対策は必要となっていきます。
5~6月の入社を目指して活動を始めるとボーナスをもらうことはできない可能性は高いですが、採用多いシーズンではないからこそ、企業の採用に向けた意欲も高く、採用を急いでいることも多いです。タイミングの合った応募者から決めていくということもあるため、自分にとってめぼしい求人に対して、すぐに応募できるように準備しておくといいでしょう。
穴場時期だからといって油断してはいけない
求人数が再び増加し、かつライバルの少ない穴場の時期であるとはいえ、油断をしてろくな準備もせずにがむしゃらに企業に応募しても、転職を成功させることはできません。
穴場の時期だからこそ、ポイントを押さえてしっかりと準備しておくことで、他の時期の転職活動よりも理想の会社を見つけ、採用に勝ち進んで転職できるという確率を高めていくことが大切になります。
穴場の時期に転職を成功させるには、どのようなポイントを抑えた準備を行えばいいのかをチェックしておきましょう。
自己分析をしっかりと行う
これまでのキャリアや身につけたスキルをすぐに挙げることができても、より深く自己分析を行うことで、面接時に思わぬ質問を受けてもスムーズに答えることができるようになります。
また、仕事以外でも自分がどんなことに興味を覚えて、楽しいと思うのかを見直すことで、仕事に活かすことのできるものが見つかることもあるでしょう。面接時の応答はポイントを抑えて短めに答えることが大事なため、自分の芯をとなるものを改めて見つけておくことで、何を聞かれてもぶれない受け答えをすることができます。
退職理由をポジティブに変換して用意しておく
転職を決めたからには、前職に何かしら不満があるということが多いですが、退職の理由として愚痴や不満を告げてしまうと、面接時にマイナスなイメージを与えてしまいます。不満があると、面接で聞かれたときに咄嗟に答えることが難しくなるため、しっかりとポジティブな伝え方ができるように考えておくことが大事です。
退職の理由を前向きな考えとしてどのように言い換えていけばいいのか、詳細を確認しておきましょう。
給与が少ない
転職の理由として挙げられることの多い給料や待遇の悪いという理由は避けるべきでしょうか。
単なる愚痴や給料が低かったからと直接的な言葉にしなければ特段問題はありません。
例えば昇給となるポイントが不明確で、結果を出しても昇給が望めなかったため、モチベーション維持が難しくなりました。というような給料が安いというよりも、会社と自分でズレがあったことなどを伝えるのも良い例になります。
大切なのは、給料が上がることでどのような仕事ができるようになるか、給料を上げるためにどのようなスキルを身につけて活かしていくのかを示すことです。給料アップは自分の成長に伴うものとしてのビジョンを見せるようにしましょう。
やりがいのある仕事がしたい
今までの仕事内容に不満がある時は、今までに行ってきた具体的な仕事やその改善例などを挙げ、それを通して自分がどんな点にやりがいを覚えることを見つけたのか、やりがいのためにどんな知識やスキルを身につけ、入社したら今後どのように活かしていきたいのかを伝えましょう。
ライフワークバランスを整えたい
残業や休日出勤が多いなどの労働時間に対する不満や、それによって体調を崩したことなどはネガティブな理由として受け止められやすく、伝え方によっては働く意欲が低いとみられてしまうことがあります。
職場の環境における現状や改善するために行ったことなどの具体例や生活の変化に併せてどのような働き方をしていきたいのか、新しい環境へのポジティブな展望を伝えることが大事です。
最も重視したい条件を明確にしておく
転職において、何を最優先の条件として決めるのかという優先順位を決めておくことも自己分析に重要なポイントとなります。
最も重視したい条件を明確にしておくことで、企業選びや面接でなぜこの会社に入社したいのかとはっきりと伝えるための手がかりとなり、入社後に「こんなはずではなかった」といったミスマッチを防ぐことができます。
また自分の軸を持っておくことで、同時期に内定が出た場合、重視するポイントを決めておくことでどちらに決めるかを迷わないし、転職活動が思わず長引いてしまったときにも「なぜ転職をしたいのか」ということを見失わずに活動を続けることができます。
入社後の自分のなりたい姿もイメージする
転職活動では、自己分析や企業選びなどの準備や、書類や面接などの選考に通過することに気が取られがちですが、入社後にどのようにキャリアアップしていきたいかという姿をイメージしておくことも重要になるでしょう。
企業に対して、自分を採用することでどのようなメリットがあるのか、どのような人材として成長していくのかというビジョンをアピールすることで、採用に対して前向きになってもらうことができるでしょう。また、こうなるぞというイメージを浮かべておくことで、自分自身の転職に対するモチベーションにもすることができ、転職活動を辛いと感じたときにもくじけずに続けることができます。
企業の求める人物像に自分が当てはまっているか
新卒の穴を埋める場合は、高いスキルを求められていることは少なく、未経験や浅い経験であっても応募基準を満たしているという場合もありますが、逆に伸びしろのある若手をほしいと思っている企業に対し、それなりの経験のある希望者が応募をしても、企業が持て余してしまうことになり、採用されないということになります。
自分の経験やスキルが企業の求める人物像に当てはまっていないと、いくら素晴らしい人材であっても選考に通らない可能性があるため、しっかりと確認しておくことが必要です。
穴場時期の転職の成功率をさらに高めたいなら転職エージェントの利用を
穴場時期での転職成功率をさらに高めたいのであれば、転職エージェントを活用することがおすすめです。
転職エージェントは、担当のキャリアアドバイザーが利用者の経歴や希望条件を考慮した上で、最適な企業を紹介してくれます。
応募する企業を決めたら、履歴書や職務経歴書の書類の添削や面接の練習など、採用選考に必要な対策のサポートも行ってくれるため、1人で転職活動を行うよりも通過率が上がる可能性も高まります。内定後は入社後の給与や待遇、入社日のスケジュール調整などの交渉事も表に立って行ってくれるため、自分では言いにくい交渉事も上手く立ち回ってもらうことができます。
加えて、企業のことをよく知る転職のプロである転職エージェントを利用することで、マッチ度の高い企業に出会えることに繋がるとともに、上手い言い回し方を教えてもらうことや面接のポイントなどを聞くことで選考に通過しやすくもなるでしょう。
企業の紹介から内定後まで手厚いサポートを受けることのできる転職エージェントですが、ほとんどの転職エージェントは利用料無料で活用することができるため、初めて転職を行う方も、以前の転職でしっくりこなかったという方も、一度利用してみることをおすすめします。