お金が無いけど転職活動して大丈夫なのか。貯金が全くないと厳しいかも

お金が無くても転職するのは可能

お金が無くても転職するのは可能

転職を行うときには、新卒の就職活動に比べて必要となる経費は少ないことが多いですが、交通費やスーツなどの面接に必要な服装を新調する費用がかかります。転職をする際の一番の問題が、会社を辞めてから次の会社へ勤め、給料がでるまでの間の生活費と税金ではないでしょうか。

仕事でスーツを着ているといった場合には転職にかかる費用を抑えていたとしても、一人暮らしの場合は住居費や食費などに大きなお金が必要となるため、現在の仕事と次の仕事の空白期間をできるだけ抑えることが必要となります。

空白期間をできる限りなくすためには、仕事を続けながら転職活動を行うことになりますが、いつも通りの仕事をしながらの転職の活動が増えるというのは時間や体力的な負担も増え、両立することは大変で、思ったようにいかないということも出てきます。

上手く転職活動が進まないことはストレスになり、現在の仕事をすぐに辞めたいと思って転職を検討している方にとっては、転職先が決まる前に辞めたくなってしまう気持ちも強くなってしまいます。

そこで、空白期間の間の生活費を保つだけの貯金がない場合、転職先が決まる前に現在の仕事を辞めてしまうとどんなことが起こりえるのか、転職の流れを確認しながら考えていきましょう。

退職してから転職活動をするとどうなる

退職してから転職活動をするとどうなる

在職中に転職先が決まれば、有給を上手く活用するなどで空白期間を作らずに転職することも可能ですが、退職をしてから転職活動を始めると空白期間は必ず発生することになります。どれぐらいの金額があれば安心して退職することができるのか、転職にかかる期間を確認しておきましょう。

転職するまでにかかる平均的な期間

転職にかかる一般的な期間は3~6ヶ月と言われています。

内訳としては、転職活動を始めるにあたり転職の方向性を決めたり、キャリアの棚卸しや自己分析を行う転職の準備期間として約2週間~1ヶ月程度、方向性に沿って企業の研究や選定を行い、応募し、内定が決まるまでに約2ヶ月、退職の交渉や引き継ぎを行って実際に退職をするまでに約1ヶ月~3ヶ月程度ということになります。

行動によっては短い期間で転職活動を終えることもできます。ただ、求人状況や選考の通過状況、志望する会社によっては面接が多いということもあり、必ずしも自分のスケジュール通りにいくとは限りません。

また、転職の根幹となる「なぜ転職をするのか」「転職に求める最低ライン」「キャリアプラン」などの自己分析を疎かにして、見切り発車で活動を始めてしまうことで遠回りになってしまう、転職に失敗してしまう可能性が高まるため、準備はしっかりと行う必要があります。

転職までにかかる負担

人それぞれに生活水準が異なるので、転職前に退職をする場合はいくらあればいいのかという明確な基準の金額はありません。

一般的に3~6ヶ月程度かかる転職活動期間の生活費を賄える貯金がないのであれば、退職後に転職活動を行うというのは厳しい状況となります。まずは自分の生活でひと月にどれぐらいの金額があればやっていけるのかを確認しておくことが大事です。

どうしても退職してから転職したいけど貯金があまりないという場合で、現在一人暮らしで家賃を払うのが難しくなりそうだという時には、一時的に実家に帰ることなど出来るだけ費用を抑える方法を視野に入れる必要があります。

しかし、基本的には3~6ヶ月程度、収入がなくてもやっていける見込みがないと転職活動どころではなくなってしまい、早く決めなくてはと焦ることで希望の転職が行えなくなってしまうという可能性も考えられます。

失業保険はすぐにもらえるわけではない

失業保険はすぐにもらえるわけではない

空白期間に失業保険をもらえれば大丈夫と算段している方は、失業保険の詳細を確認しておくことが必要です。

失業保険とは

失業保険とは、正式には雇用保険と言い、自己都合での退職や失業した時に失業手当を受け取ることのできる公的制度です。

失業した方が安定した生活を送りつつ再就職をする支援のための給付金であり、新しい仕事に就くまでの経済的な支えになる制度ではありますが、離職した全ての方がもらえるというわけではなく、手続きをしてすぐにもらえるというわけでもありません。

また雇用保険に加入するためには条件があるので、退職したものの使えなかったということがないように事前に給与明細で加入されているのかを確認しておくべきです。

失業保険を受け取ることのできる条件

キャリアアップや待遇改善を目的に転職を目指す場合、離職以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算で12ヶ月以上あることとなっています。

失業や家庭の事情をはじめ、急な変化など自分の意志に反する正当な理由のある離職に対しては、特定受給資格者や特定理由離職者として、離職以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算で6ヶ月以上あることで、受給資格を得ることができます。

もらえるまでの期間

失業手当は、離職後にハローワークで手続きを行うことで受給できますが、離職票の提出と休職の申し込みを行った「受給資格決定日」から7日間は待機期間となり、受給の対象外の期間となっています。

特定受給資格者や特定理由離職者は7日間の待機期間の終了後から失業手当が支給されますが、それ以外の一般の離職者は7日間の待機期間の後、更に2ヶ月の制限制限が設けられているため、その期間は失業手当を受けることができません。

自己都合による退職のときは受給まで2か月かかり、給付日数は90日から150日となるのですぐに生活費が必要である場合は、失業手当の支給を当てにすることができません。

受給できる期間

一般的な離職者の場合、全年齢の方が対象となり、被保険者期間が1年~10年未満で90日間、10年~20年未満で120日間、20年以上で150日間支給されます。

 

被保険者であった期間

 

1年未満

1年~10年未満

10年~20年未満

20年以上

全年齢

なし

90日間

120日間

150日間

特定受給資格者と特定理由離職者は、被保険者期間が1年未満の場合以外は年齢によって給付期間が異なっています。

 

被保険者であった期間

 

1年未満

1年から5年未満

5年~10年未満

10年~20年

20年以上

30歳未満

90日間

90日間

120日間

180日間

なし

30歳~35歳未満

120日間

180日間

210日間

240日間

35歳~45歳未満

150日間

240日間

270日間

45歳~60歳未満

180日間

240日間

270日間

330日間

60歳~65歳

150日間

180日間

210日間

240日間

どのくらいの金額を貰えるのか

失業手当の受給額は、失業手当の1日の給付額である「基本手当日額」と、離職者の「賃金日額」を基にした計算式で算出されたものとなります。

基本手当日額→賃金日額(退職前6カ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%)

給付率は60歳未満の方は50~80%、60歳以上の方は45~80%となっており、賃金日額が高ければ割合が低く、賃金日額が低ければ高い割合になります。

賃金日額と基本手当日額には上限額と下限額が設けられており、その範囲内で支給されることになっており、上限額と下限額は毎年8月に改訂されます。

賃金日額と基本手当日額の上限額(令和4年8月1日時点)

 

賃金日額の上限額

基本手当日額の上限額

30歳未満

13,670円

6,835円

30歳~45歳未満

15,190円

7,595円

45歳~60歳未満

16,710円

8,355円

60歳~65歳未満

15,950円

7,177円

 

賃金日額と基本手当日額の下限額(令和4年8月1日時点)

 

賃金日額の下限額

基本手当日額の下限額

全年齢

2,657円

2,125円

例えば、29歳で7年間勤務しており、月収29万円の給料をもらっている場合で、自己都合による退職をしたケースの計算をしてみましょう。

・賃金日額:29万×6ヶ月÷180日→約9,666円

・基本手当日額:賃金日額(約9,666円)×給付率(50~80%)→約5,903円

・受給額:基本手当日額 (約5,903円)× 給付日数(120日間)→約708,360円

参考:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更 基本手当日額の計算式及び金額」(令和4年7月22日)

満額で約71万円の失業手当がもらえることになりますが、ハローワークで定期的に求人をチェックして、応募するといった転職活動を行っているという実績に応じて、4週間に1度ずつ一定額の給付を受け取ることになり、就職が決まった段階で失業手当の給付は終了となります。

正確な基本手当日額を算出するには複雑な計算式が必要となるため、実際の給付額を知るにはハローワークで問い合わせる必要があります。

申請から3ヶ月ほどで一定の失業手当を受け取ることができますが、それまでの期間は収入が0円となってしまい、失業手当もそれまでの給料よりも低い金額であるため、どちらにせよ数ヶ月くらいは生活できる貯金が無いと厳しいという状況になります。

参考:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(令和4年7月22日)

失業保険をあてにする時のその他注意点

失業保険をあてにする時のその他注意点

失業保険を最初からあてにしてしまうことで転職活動が長くなってしまうデメリットが考えられます。

失業保険は申請から給付までに約3ヶ月はかかってしまうため実際に手元に来るまでに時間がかかり、仕事をしなくてもお金が入ってくる状況が生まれてしまうと、転職へのモチベーションが低くなっていき、転職が長期化してしまうという可能性があります。

失業保険の制度を利用すること自体は問題ないが、受給できたことへの安心感で「ゆっくり転職に取り組めばいい」と考えてしまうと、なかなか転職先が決まらないままに失業保険の給付期間がやってきてしまい、終了間際になって急に焦って活動を開始しなくてはいけなくなるということもあります。

失業保険を受け取ることができても、そこで気持ちを緩めるのではなく、それまでと変わりなく転職活動を進めていくことが大事です。

また退職日から国民年金の支払いが始まります。貯金がないときは失業保険の受取金額から支払うことになっているので、忘れずに納付しておきましょう。

お金がなくても転職はできる。でも働きながらするしかない

お金がなくても転職はできる。でも働きながらするしかない

貯金がない場合は、在職しながら転職活動を行うことが必要となるため、仕事と併行して自己分析や企業の選定、書類作り、面接などの選考を進めていくことになります。重荷終業後や休日を使って活動することになるため、効率よく進めていくことが転職を成功させる鍵となっていきます。

働きながらの転職は、効率的に進めることが大事

転職にはハローワークの他に、転職サイトや転職エージェントを活用することを検討してみましょう。

転職サイトでは求人情報を探すだけではなく、履歴書や職務経歴書などの書類をまとめるフォームやテンプレートを用意されていることが多いため、1人で書類を作るよりも経歴をまとめやすくなります。

転職エージェントでは、転職先の紹介だけではなく、書類の添削や面接対策も行ってくれるため、転職に慣れていない方は心強いサポートを受けることができます。担当のキャリアアドバイザーと転職活動を一緒に進めていくため、自分だけのペースで行うことはできませんが、失業保険が入ってつい気を抜いてしまいそうな方はペースを崩さずに活動を進めていくことにも繋がります。

転職活動自体は面接などの交通費だけで済むという方の場合でも、活動の間の生活費はどうしても発生することになるため、空白の期間をできるだけ短くしないと収入はないのに出費がどんどん増えていくということになってしまいます。

貯金がない人は働きながら転職活動を行わないと生活が厳しくなってしまう可能性が高いですが、転職サイトや転職エージェントの登録料金は無料のものがほとんどであるため、自分に合ったサポートを受けながら、効率的な転職活動を行っていきましょう。