会社の飲み会が強制なら残業代が出る!? パワハラ認定されるケース・強制を立証する証拠・上手な断り方を徹底解説!

あなたは会社の飲み会に強制的に参加させられて困っていませんか?

実は会社の飲み会に強制的に参加させられたら、残業代が出るケースがあります。

また、強制的な飲酒などがあればパワハラとして訴えることも可能なのです。

実際、会社の飲み会に強制的に参加させられるというケースは多くあります。断りたい気持ちがあっても不参加になると、後々の仕事に影響が出そうで心配になるでしょう。

しかし、会社の飲み会は嫌なら参加しなくても問題ありません。万が一、不参加によって不当な扱いを受けるようなら、正しい対処をすべきなのです。

そこで今回は、会社の飲み会に強制参加について解説します。パワハラとして認定できるのか・強制を立証する証拠・上手な断り方などについてもまとめてみました。

強制的な飲み会への参加は断っても良いのか?

強制的な飲み会への参加は断っても良いのか?

会社による強制的な飲み会は基本的に断っても問題ありません。

そもそも、飲み会の多くは業務時間外に開催されるため、参加が義務ならその飲み会は時間外労働となり、場合によっては残業代の支払いが必要となります。

ただし、以下の項目に該当する場合は飲み会に参加しないといけない可能性があるのです。

✔ 飲み会に明らかに業務に該当する行事が含まれている
✔ 時間帯に該当する給与を会社が支払っている
✔ 飲み会の費用を会社が負担している

これらのケースに該当する場合は、参加しないといけない可能性が高くなります。この他にも、あなたが飲み会の幹事を任されていて、参加しなければ飲み会が成立しないなどの理由がある場合も不参加は認められないでしょう。

反対に言えば、これ以外の飲み会であれば、強制的に参加させられそうになっても断っても大丈夫です。また、断ったせいで社内で不当な扱いを受けた場合は、正しい方法で対処してください。対処法については後の項目で解説します。

会社の飲み会への強制参加はパワハラになるのか?

会社の飲み会への強制参加はパワハラになるのか?

会社の強制的な飲み会は、場合によってはパワハラとして認定できる可能性があります。

もちろん、普通に飲み会への参加を促しただけでパワハラとして認定されるケースは稀です。しかし、以下の行為が行われた場合はパワハラになり得るでしょう。

  • 給与の減額や降格などの不利益をもたらされた
  • 社内で無視される・罵倒されるなど行為を受けた
  • 業務命令と称して幹事を任されて不参加できない状況が作られた
  • 飲み会で強制的な飲酒をさせられた

これらの行為があった場合にはパワハラとして見なされる可能性があるのです。

また、この他にも法定残業時間を逸脱した長時間の飲み会や、社員の心身に悪影響を及ぼすほどの飲み会頻度・時間などもパワハラとして該当するケースがあります。この点は、労働契約法第5条でも定められているものなので、会社側は訴えられる可能性すらあるという訳です。

労働契約法第5条

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

参考:厚生労働省「労働契約法のあらまし」

このように、会社は社員の健康を損なうような行動は禁止されています。そのため、無理な飲酒といった心身に異常をきたすような行為があれば、パワハラとして認定される可能性があるという訳です。

強制的な飲み会に残業代は出るのか?

強制的な飲み会に残業代は出るのか?

強制的な飲み会に参加した場合、その時間が労働時間にあたるかどうかで、残業代の有無が変わってくるのです。

そもそも労働時間とは、労働基準法32条第1項には以下のように記述されています。

労働基準法32条第1項

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

参考:e-Gov「第三十二条 (労働時間)」

ここで言う労働時間とは、一般的に「労働者が使用者の指揮・命令下に置かれている時間」です。

つまり、企業の飲み会が強制であれば、それは使用者の指揮・命令下に置かれている時間として見なされる可能性があります。

具体的には、企業が社員に対して“業務として参加を命じたかどうか“です。通常の業務とは無関係であっても、参加を使用者として労働者に強制していたなら、”使用者の指揮・命令下に置かれている“と考えられるので、労働として認められる可能性が高くなるでしょう。

これは飲み会だけに限らず、社員旅行・社内行事といった内容でも、参加が強制なら業務と見なされる可能性があるため、社員は残業代の請求ができるという訳です。

残業代を請求するなら証拠が必要

残業代を請求するなら証拠が必要

あなたが強制的な飲み会の残業代を請求したいなら、その飲み会が強制的だったという証拠が必要です。

やはり、どんなに無理強いをさせられたとしても、それを証明するだけの証拠がなければ、後からどんなに強制だったと訴えても意味がありません。

では、具体的にどのようなものが証拠として効果があるのでしょうか。

以下のようなものを証拠として集めてください。

 上司から飲み会やイベントへの参加を強要する命令をされた内容のメール・LINE
 不参加によってパワハラ・人事処分・評価などの不当な扱いを受けたと証明するもの

この他にも、業務日誌・日報、FAXの送信履歴などにも、飲み会への強制参加が証明できる内容が含まれていれば証拠として有効です。飲み会への参加を促す会話を録音するなどの方法も効果があるので、強制的な参加だった場合は、必ず証拠となるものを集めましょう。

ただし、残業代の未払いを請求するには、飲み会があった日から2年間(24か月)しか遡れません。それ以上前になると時効が成立するので注意が必要です。

飲み会への強制参加で慰謝料の支払いが認められた実例

飲み会への強制参加で慰謝料の支払いが認められた実例

飲み会への強制参加によって裁判所が慰謝料の請求を認めた実例があります。

これは極めてアルコールに弱い部下に対して、上司が飲酒を強要させたとして部下の社員から損害賠償を求められた裁判です。

2013年2月27日の東京高裁判決では、部下の訴えを認めて損害倍書150万円の請求を上司に命じました。

具体的には、第一審の東京地裁では飲酒の強要を違法とは認めない判決だったのです。しかし、第二審の東京高裁では、部下が少量の飲酒でも嘔吐している事実があり、上司は部下がアルコールに弱いと認識できたと判断しました。

また、嘔吐しているにも関わらず「お酒は吐けば飲める」と言い無理やり飲ませた行為は違法性があると判断し損害賠償150万円という支払いを命じたのです。

このように、飲み会での無理強いが裁判にまで発展して、違法性が認められている事実は意外に多くあります。飲酒の強要以外にも、飲み会への強制参加という事実だけで裁判が行われたケースもあるので、あなたが強制的な飲み会への参加を強いられたなら、泣き寝入りせずに戦うのも一つの選択肢でしょう。

強制的な飲み会の上手な断り方5つ

強制的な飲み会の上手な断り方5つ

ここでは、強制的な飲み会への参加を強いられた際の上手な断り方について解説します。

  1. はっきりと断る
  2. 病院に行く予定がある・体調不良
  3. 急ぎの仕事を終わらせたい
  4. 子供の世話がある
  5. 飲み会がある週はまとめて休む

上手な断り方1.はっきりと断る

上手な断り方1つ目ははっきりと断り方という方法です。

参加したくない時は、はっきりと断るのが一番簡単で良い方法となります。きっぱりと「お酒が飲めない」「飲み会が苦手」と伝えましょう。

ただし、あまりにも強く言いすぎると、その場の空気が悪くなったり、後々仕事に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。断る際は言葉選びに注意してください。

具体的な断り方の例文としては以下のようなものがあります。

「お誘いいただき嬉しいのですが、飲み会はあまり得意ではないんです。申し訳ありません。」

「お誘いは嬉しいのですが、お酒に弱く周囲の方に迷惑をかけるので、今回は申し訳ございません。」

できるだけ角が立たないような言い回しで伝えましょう。

上手な断り方2.病院に行く予定がある・体調不良

上手な断り方2つ目は病院に行く予定がある・体調不良と伝える方法です。

上手な断り方3.急ぎの仕事を終わらせたい

上手な断り方3つ目は急ぎの仕事を終わらせたいと伝える方法です。

実際には元気なのに嘘をつくというのは抵抗があるという方が多いので、その場合は、歯の定期健診や身体の検査など、実際に病院へ行く予定を作ってしまいましょう。

実際、歯や身体の定期健診はしておいた方が良いので、定期的に行くようにして飲み会がある日は、そこに合わせて予約を入れるようにしてください。

また、本当に体調が悪い時には、その事実を伝えればOKです。体調不良なのに参加を強制されることはまずないでしょう。

ただし、この方法は何度も使える手段ではないので、いずれは飲み会が苦手という本心を伝える必要があります。

上手な断り方4.子供の世話がある

上手な断り方4つ目は子供の世話があると伝える方法です。

あなたの家庭に子供がいるなら、子供の世話をするという断り方は、最強の理由になるでしょう。女性社員はもちろん、男性社員であっても子供の世話をするのは当たり前なので使えます。

もしも子供がいないなら、親の世話・介護といった理由を伝えるのも効果的です。家庭の事情は深入りしにくい内容なので、それ以上の追及はされないでしょう。

上手な断り方5.飲み会がある週はまとめて休む

上手な断り方5つ目は飲み会がある週はまとめて休むという方法です。

この方法は、事前に忘年会などの日にちを把握しておいて、飲み会がある週をまとめて休むという対策になります。休む際は有給休暇を消化すればOKです。忘年会や新年会といった、開催時期が読みやすい時期の飲み会に使いやすい方法となります。

ただし、まとめて休む理由は旅行や帰省になってくるので、結局はお土産を用意するなど気を使う羽目となります。

理由を伝える際は「申し訳ございませんが」と一言添えるとスマートな断り方ができるでしょう。

まとめ

まとめ

今回は会社の強制的な飲み会について解説しました。

基本的には強制的な飲み会に参加する義務はなく、万が一義務として会社が開催しているなら、残業代の請求ができるというのが理解できたでしょう。

また、強制的な飲み会に参加や飲酒の強要などは、裁判によって違法性が認められるケースもあると確認できました。場合によってはパワハラとして認定される可能性もあるほどです。

そして、どうしても出席したくない飲み会がある場合の断り方についてもお伝えしました。今回は5つの断り方を紹介しましたので、状況に合わせて使ってみてください。

飲み会への参加を断ると後々仕事がやり辛いなどの不利益が発生する可能性があるので、上手に断るのが大切です。以下のような言葉を使って簡潔にビシッと拒否するのも長い目で見ると良いでしょう。

 「どうしても都合が悪い」
 「外せない用事」
 「
別の予定がある」