化粧品業界は、他の業界に比べて比較的安定している業界ですが、現在は社会情勢の変化により採用に慎重な企業もあります。
専門的な知識を必要とする業界でもあり、化粧品業界への転職は難しい・厳しいといったイメージを持つ人もいるでしょう。
化粧品業界への転職を希望する場合、他業種から未経験でも転職できるのか、転職に性別は関係するのかなど気になるところです。
今回は、化粧品業界への転職について職種や難易度、有利になる資格やスキルを紹介していきます。
化粧品業界に興味がある方はぜひ参考にしてください。
化粧品業界の仕事と職種
化粧品業界とひと口に言っても国内メーカーや外資系メーカーがあり、外資系メーカーではフランス・アメリカ・韓国などが話題になることが多いです。
国内メーカーを見ても、ドラッグストアで購入できるプチプラの一般品から専門店まであり、幅広い化粧品の扱いがあります。
はじめに、化粧品業界への転職を視野に入れ業界内の仕事と職種からチェックしていきましょう。
仕事内容について
化粧品業界の仕事は、化粧品の製造・販売が主な内容です。
扱う商品は幅広く、日常的に使用する化粧水や乳液などのスキンケア用品、メイクに関するメイクアップ用品、シャンプーなどのヘアケア用品、ボディシャンプーなどのボディケア用品があり、中には香水などフレグランス用品を扱う会社もあります。
毎日の生活の中で使用するものを広く扱うため、一貫して企画・開発から製造・販売まで手掛ける会社が多い傾向があります。
職種について
美容部員
化粧品業界の職種でまず思い浮かぶのは美容部員です。
自社の化粧品を接客販売する仕事になります。よくある例として、ショッピングモールの化粧品メーカーテナント内で、制服を着て化粧品全般を接客販売することが挙げられます。
商品知識や美容知識を常に学びきめ細やかなサービスを提供し、顧客管理や仕入れ・陳列なども業務に含まれ、1日中立ちっぱなしのハードな仕事です。
商品企画・マーケティング
新商品・リニューアル商品の企画や立案を行います。市場調査を行い商品の販売戦略を検討しターゲット層を見極めて商品開発をする、企業にとって重要なポジションです。
商品やマーケティングに関する知識だけでなく、景気や流行り、消費者の関心に対して敏感であることや経験が豊富な方が有利でしょう。
研究・開発
研究・開発は、新しい商品の開発や研究を行う部署です。有効成分の発掘・既存商品の改良なども手掛ける理系専門職と言っても良いでしょう。
化粧品に使用する成分の中には組み合わせると危険なものもあり、危険物関連や化粧品関連の専門資格が必要なこともあります。
また、人の肌に直接触れる商品を作る部署であり、万が一トラブルがあればユーザーの生活に影響を与えることもある重大な役割を担う部署でもあります。
営業
化粧品業界の営業は、美容部員のように消費者に対する営業のほか、百貨店・大型スーパー・ドラッグストア・小売店など自社の化粧品を置いてくれる店舗にも営業を行います。
また、流通経路別に営業することもあり、近年ではオンラインでの営業も増えています。
生産・品質管理
化粧品の生産や品質管理を行う部署です。生産に必要な素材の調達や製造ラインの管理をはじめ、過剰な生産や品切れを防ぐための調整なども行います。
また、いつでも消費者が安心して化粧品を使えるよう、商品に記載されている通りの成分が入っているか、薬事法に触れていないかを確認する品質管理も行います。
ユーザーからの信用を守る部署といっても良いでしょう。
総合職
事務系・技術系の総合職があり、事務系は化粧品の広告やパッケージのデザイン、キャッチコピーなどを作成します。技術系は、研究・開発に加え品質管理検査などを行います。
技術系ではそれぞれの分野に精通する専門知識や広い視野が求められます。
化粧品業界の年収について
化粧品業界の年収は美容部員で考えると、賞与2回/年、正社員雇用といった条件の求人が多い傾向があります。
インセンティブを含まない給料12ヵ月分で見ると250万円~300万円ほど、高いメーカーでは340万円~400万円ほどとなっています。
メーカーにより売上に応じたインセンティブ制を採用しているところもあるので、この年収額よりも多く貰っている可能性があるでしょう。
化粧品業界で働く魅力について
化粧品業界は、不況や社会情勢の変化に強く、比較的安定した収入を得られる業界です。
扱う商品は消費者が日常的に使用するものがほとんど、近年では女性の社会進出が増えていることから、業績が極端に下がることなく安定した状況で働くことができます。
また、ワークライフバランスを取りやすいことも魅力の1つで、美容部員や営業を除くと基本的には土日休みで有給も取りやすい傾向があります。
近年では、男性向けの化粧品も注目を集めており、男女ともに美意識向上が期待できることも挙げられるでしょう。
化粧品業界は未経験で転職できるのか
化粧品業界は未経験でも転職することはできます。
ただ、美容部員・営業・企画などの部署は、化粧品に対する商品知識や専門知識が必要なのでそれなりの勉強が必要になるでしょう。
異なる業界からの転職ができないわけではありませんが、入社すぐの即戦力を期待することは難しいです。
第二新卒ならポテンシャルを見込まれて採用されることもあり、その場合は未経験でも転職できる可能性が高くなります。
化粧品業界に男性が転職する場合
化粧品業界というと、女性スタッフが多いイメージがありますが男性も転職することは可能です。
マイナビエージェントによる調査では、化粧品業界の男女比は7割近くが女性、男性は約3割といったところです。
近年では男性向け化粧品の人気が高まりメンズコスメ開発・メンズケア用品の分野では十分需要があると考えられます。
また、女性向けの商品開発の際に男性の意見は重要な資料となることも考えると、男性だからという理由で化粧品業界を避ける必要はないでしょう。
ただ、化粧品業界を選んだ志望動機など、メーカーによっては面接で細かく聞かれる可能性があります。
どのような質問をされても答えられるよう、面接対策はしっかりしておくようにしましょう。
化粧品業界への転職を成功させるために
化粧品業界に転職したい方は、少しでも成功率をアップさせるためにいくつか対策を取ることをおすすめします。
業界・メーカーの研究はもちろんですが、化粧品に関する専門的な知識の習得やスキル・資格を持っていると有利になるでしょう。
ここでは、化粧品業界に転職する際に持っておきたいスキルや資格について紹介していきます。
化粧品業界への転職で有利になる資格
日本化粧品検定(コスメ検定)
日本化粧品検定は文部科学省が後援する公的資格で、美容関係者をはじめ一般の方や学生などを対象に化粧品や美容に関する知識の向上と普及を目指したものです。
化粧品業界では認知度が高く公的資格であることから信頼度も高いことが特徴です。
1級~3級があり、最上位の1級を取得すると化粧品の専門家として転職時のアピールにつながります。
JMAメイクアップ技術検定
JMAメイクアップ技術検定は、一般社団法人JMA日本メイクアップ技術検定協会によるメイクアップアーティスト育成のための資格です。
メイクアップ技術の全国基準統一化に取り組み、今では美容専門学校などの美容系教育期間で教材が採用されるほど認知度が高いことが特徴です。
資格は1級~3級があり、3級ではメイクの基本を学び、1級ではモデルなど見られる職業の方の悩みや要望に合わせたメイク技術の習得が可能、大舞台の補佐役として活躍する人もいます。
美容部員を目指したい方は持っておいて損はない資格といえるでしょう。
コスメ薬機法管理者
コスメ薬機法管理者は、化粧品や薬用化粧品に特化した薬機法資格で、化粧品業界でも営業やマーケティング分野を希望する方におすすめの資格です。
商品開発や広告出稿などにも法規抵触を予防でき、専門知識として備えることで転職の際にも有利になるでしょう。
eラーニングで学べるのもおすすめポイントです。
化粧品業界ならではの求められるスキル
美意識の高さやトレンドへの敏感さ
化粧品業界は消費者を美しくすることや生活で必需品を提供する仕事のため、美意識の高さやトレンドへの敏感さが大切です。
日ごろから美しいものに触れたり、海外のメイクなどの研究をすることで、一般の消費者にいつでもフレッシュな情報提供ができるでしょう。
また、消費者のニーズやトレンドにアンテナを高くすることで、商品の開発や製造にもつなげることができます。
マーケティングや生産管理のスキル
化粧品業界への転職では、マーケティングや生産管理部門なら経験者が優遇されます。
異業種からの転職でもこれらのスキルがあれば好印象になるでしょう。
また、近年では実店舗で商品を購入する人と通販で購入する人、その両方を活用する人がいます。
こうした消費者のデータ管理・分析も戦略上重要な役割を担います。
マネジメントスキル
転職する際に管理職経験がある、人材管理の経験がある場合は有利になります。
単に業務をこなすのではなく、数字を把握した上で売上や市場の拡大について考えられるならなお良いでしょう。
また、部下の育成に関するマネジメント能力や経験があれば、より一層有利に転職を進めることができます。
コミュニケーションスキル
化粧品業界は約7割が女性の業界です。女性同士のトラブルが発生する可能性が高く、そのサポートやトラブル予防のための対策なども必要です。
さまざまな女性に対応できるコミュニケーションスキルは必須、また消費者の悩みを上手く汲み上げて対応することも重視しておきたいところでしょう。
営業経験があるとなお良い
化粧品業界でも営業を希望する場合は、営業経験が問われることがほとんどです。
〇年以上などと条件が付くことも珍しくないので、営業経験がある方は即戦力になれることをアピールすると良いでしょう。
また、営業経験がなかったとしても他の部署で活躍できる機会はあります。
ただ、化粧品業界全体を見ると営業経験に加え、交渉力や提案力なども必要なスキルです。
そういった意味ではやはり、営業経験がある方が転職を有利に進められるといえます。
どのように転職を進めれば良いのか
化粧品業界への転職は商品や化粧品に対する知識、資格などがある方が有利になりますが、転職を進める際には業界の把握が重要です。
希望する化粧品会社がどのような化粧品を製造・販売しているかはもちろん、どんな戦略を実行しているか成果はどうかというところも確認しておきましょう。
また、志望動機を明確にして業界・企業・職種についてズレがないように用意しておいてください。
面接の際には入社後どのように会社に貢献できるかも発言できるようにしておくとなお良いでしょう。
ただ、これだけの準備を1人でするとなると労力や時間をかなり費やします。
そのため、1人で準備する際は十分な時間をかけてじっくり準備するとともに、情報収集や知識・資格の習得も最新の状態にしておくことをおすすめします。
化粧品業界は日常生活を支えている
化粧品業界は華やかな業界に映ることが多いですが、化粧品以外にも各種ケア用品など日常的に使うものを日々研究・開発する業界です。
消費者の生活を支え、より良い商品を世に送り出すという非常にやりがいのある業界です。
時に、難易度の高さや厳しさを感じることがあったとしても、社会貢献度の高い業界として誇れる仕事ができるでしょう。