24時間体制をとる工場勤務の現状について。二交代制・三交代制の辛さと勤務時間とは

工場勤務では24時間体制をとるところが多くなっています。

しかし、近年は働き方改革などでレストランなどでも24時間営業を止めるところが増えました。それにもかかわらず、工場はなぜ24時間体制をとるのでしょうか。

また、24時間体制の工場勤務の辛さはどの程度なのか気になるところでしょう。

その他にもスケジュールや勤務時間、どのような仕組みで成り立っているのかなど、他の会社で働いていると分からない点が多々あります。

そこで今回は、24時間体制をとる工場勤務の現状について解説します。二交代制や三交代制の辛さや勤務時間などもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

工場勤務はなぜ24時間体制なのか

工場勤務はなぜ24時間体制なのか

まずは、なぜ工場勤務が24時間体制にするのか確認していきましょう。

そもそも、24時間体制で工場勤務する理由は、24時間体制で何かしらを製造する必要があるからです。そのため、職種によっては24時間体制が当たり前というところがあります。

具体的には以下のような職種が24時間体制です。

  • 24時間営業に卸す飲食物:コンビニ弁当、24時間営業のファミレスの食材など
  • 自動車工場、プレス工場、製鉄工場、半導体工場など

中でも、生産ラインが少ない工場では、納期に間に合わせるために24時間体制が一般的です。加えて、設備の都合上24時間体制をとる工場も少なくありません。

例えば、製鉄工場なら溶鉱炉の火を保つために人員を配置する必要があります。また半導体工場では、常に通電状態を維持する必要があるので24時間体制です。

ちなみに、工場以外にも入院患者のいる病院や介護施設などは夜勤があるので24時間体制となっています。警備員なども24時間体制なので、意外に深夜勤務がある職種は多くあるのです。

二交代制のスケジュール・勤務時間について

二交代制のスケジュール・勤務時間について

二交代制で工場勤務をする場合、24時間を2つの時間帯に分割します。

一般的には、日勤と夜勤の2つの時間に分かれているのです。

スケジュールは以下の2つとなるケースが多くなっています。

  • 7:00~19:00
  • 19:00~7:00

もちろん、必ずしも均等に分けるとは限りません。日勤が短くて夜勤が長いというケースもあります。

また、時間帯も7:00~19:30と19:00~7:30といった形で、ずらして勤務時間を設定する工場も多くあるのです。

中には、日勤・夜勤の間に工場をストップさせる時間帯を設けて、各8時間労働となるケースもあります。

12時間拘束の工場では、休憩時間を30分や1時間設定し、合計の労働時間を10時間30分として2時間30分の残業を付ける場合も見受けられます。

休日は週休3日(4日勤務3日休み)の工場や、週休2日で2週間ごとに昼夜が交代する工場も存在するのです。

以上が二交代制のスケジュールになります。

三交代制のスケジュール・勤務時間について

三交代制のスケジュール・勤務時間について

三交代制で工場勤務をする場合、各8時間で3つの時間に分割します。

スケジュールは以下の3つです。

  • 8:00~16:00
  • 16:00~24:00
  • 24:00~8:00

夜勤の方が引き継ぎなどの時間が必要となりやすいため、少し長めに時間を確保する工場も存在します。

ちなみに、三交代制を導入する工場は、24時間工場を稼働させるところが大半です。夜勤では、翌日販売する商品の製造が多くなっています。

休日に関しては、夜勤の翌日が休みになるのが基本的です。しかし、勤務時間の設定によっては日付をまたいだ翌日も勤務するケースがあります。

例えば、16:00~24:00で勤務した後、翌日の24:00~8:00などで勤務すると、1日8時間以上に達しないため労働時間法の違反とはならないのです。

もちろん、1日で8時間を超える労働ができないとされているため、その範囲内でスケジュール調整するのが一般的となっています。

法定労働時間(法第32条)

l  使用者は、1週間に、40時間を超えて労働させてはならない。
l  使用者は、1日に、8時間を超えて労働させてはならない。

参考:厚生労働省「労働基準関係法令等について」

工場勤務の24時間体制はどのような仕組みで成り立っているか以上が三交代制の工場勤務におけるスケジュールです。

24時間工場を稼働させるには、当然24時間常に人を配置する必要があります。そのような仕組みを成立させるために日勤・夜勤といった形で時間を分けて、常に工場の稼働がストップしないように交代するのです。

特に、何かしらの製品を作る工場では、品質を落とさず製造する必要があるので、日勤だろうと夜勤だろうと同じペースで工場が稼働させることが大切となります。

しかし、闇雲に社員の労働時間を増やして良いわけではありません。前の項目でも解説した通り、働く人の労働時間は1日8時間、週40時間になるよう調整しなければならないのです。

もし、これ以上の労働が必要となるなら、新たな人材確保をして時間内に収めるか、もしくは、時間外労働などの対応をとる必要があります。

ちなみに、時間外労働に関しては以下のように定められているのです。

時間外及び休日労働(法第36条)

使用者は、過半数組合又は過半数代表者と労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、時間外又は休日に労働させることができる。

l  厚生労働大臣は、時間外労働の限度について、基準(限度基準告示)を定めることができる。
l  労使協定の内容は、限度基準告示に適合したものとなるようにしなければならない。
l  労働基準監督署は、限度基準告示に関し、必要な助言及び指導を行うことができる

参考:厚生労働省「労働基準関係法令等について」

時間外、休日及び深夜の割増賃金(法第37条)

l  使用者は、時間外又は深夜(午後10時から午前5時まで)に労働させた場合は、通常の賃金の2割5分以上(1ヶ月60時間を超える時間外労働については、通常の賃金の5割以上※中小企業は当分の間、適用猶予。)の割増賃金を支払わなければならない。

l  使用者は、休日に労働させた場合は、通常の賃金の3割5分以上の割増賃金を支払わなければならない。

参考:厚生労働省「労働基準関係法令等について」

以上が、24時間体制で工場を稼働させる仕組みです。このような規定があるため、正しい手段を使えば1日8時間以上の労働も可能です。もちろん、社員の健康に配慮したうえでの話になります。

24時間体制の工場勤務の辛さ

24時間体制の工場勤務の辛さ

いくら、労働基準法の範囲内で働いているとは言え、やはり夜中に働く日と日中に働く日が混在している働き方は辛いものがあります。

特に、人間には体内時計というものがあり、その時計が狂うと様々な不調が現れるのです。

代表的な症状や病気としては以下のものが挙げられます。

  • 体内時計の乱れで起きる症状
    不眠、疲労感、倦怠感、食欲不振、集中力の低下、肌荒れなど
  • 体内時計の乱れで発症する病気
    高血圧、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝、肥満症、がん、自律神経失調症、うつ病など

日々、寝る時間と起きておる時間がバラバラになる人は、これらの症状や病気を発症するリスクが高くなります。

特に、三交代制で16:00~24:00勤務後、翌日の24:00~8:00といったシフトになると、日中に睡眠をとっているため休んだ気になりにくいでしょう。

確かに、夜勤は日勤より賃金が高く稼げるイメージがあります。しかし、それで身体を壊していては意味がないので、しっかりと自己管理ができる環境で働くことが大切です。

24時間体制の工場勤務は体こそ辛いが日勤だけより稼げる可能性大

24時間体制の工場勤務は体こそ辛いが日勤だけより稼げる可能性大

24時間体制の工場勤務は、身体こそ辛いものがあるが、全くメリットがないわけではありません。そのメリットとは、大きく稼げる可能性があるという点です。

日勤と夜勤の日給差

日勤と夜勤だと日給に大きな差が生まれます。

今回は分かりやすく解説するため、基本給が時給1,000円と仮定してみていきましょう。

通常であれば、8時間労働なので日給は8,000円です。

そして、二交代制で休憩を1時間挟み17:00~26:00まで働いたとすると、22時以降の4時間は深夜勤務手当によって25%増となります。つまり、日給は「250円×4時間=1,000円アップ」となり合計9,000円です。

また、三交代制で16:00~25:00までのシフトだと日給は8,750円になります。もし、0:00~9:00のシフトなら朝5時まで深夜手当が付くため日給は9,250円です。

このように、24時間の工場勤務は身体に大きな負担をかけます。しかし、その分大きく稼げるのも事実です。

1年間夜勤のありの工場勤務をした場合の手当

もし、夜勤のある工場勤務を1年間続けた場合、手当の金額がどのぐらいになるのでしょうか、確認していきましょう。

まず、二交代制で24日勤務なら、その半分の12日は夜勤となるため手当が1,000円付きます。1か月で12,000円の手当となるため、年間で144,000円の手当がもらえる計算です。

続いて三交代制の場合、16:00~25:00勤務が8日間で6,000円の手当が付きます。加えて、0:00~9:00が8日間あるため10,000円の手当が支給されるのです。1か月で16,000円増となるため、年間で196,000円の収入アップとなります。

このように、日勤だけの仕事よりも大幅に給料が増えると分かるでしょう。今回は、時給1,000円と仮定した計算なので、時給が高ければ更なる増加も期待できます。

24時間体制の工場勤務を続けるポイント

24時間体制の工場勤務を続けるポイント

最後は、24時間体制の工場勤務を続けるポイントをご紹介します。

やはり、仕事は健康な身体があってこそなので、最も大切なのは健康管理・自己管理です。

日勤と夜勤が交互に訪れる環境でも、正しい生活パターンを作り上げれば健康を維持しつつ工場勤務が続けられます。

例えば、通常勤務から夜勤に入る場合、何も考えず切り替えると初日は眠たくてしょうがないでしょう。それなら、あらかじめ睡眠時間を多めに確保して、しっかりと睡眠をとってから夜勤に入ると元気な状態できます。

二交代制の工場勤務では、いかに睡眠時間を効率良く確保するかが大切です。

また、食事に関しても気を配ってください。体力維持には良質なタンパク質が欠かせません。大豆製品などを多めに食べるようにしてみてください。

このように、24時間体制の工場勤務の場合、睡眠時間の確保と規則正しい食生活が欠かせません。

給料が高いからと無理をして身体を壊してしまうと、結局治療費などがかさむだけです。そうならないためにも、自分自身の健康管理は徹底して2時間体制の工場勤務をしてみてください。

そして、どうしても身体が辛いと感じた場合は、決して無理をせず会社に相談しましょう。配置転換で夜勤がない部署に変えてもらえる可能性があります。配置転換などをしてもらえないなら、転職という選択肢も良いのではないでしょうか。