法律でも義務付けられている有給休暇ですが、満足行くほどの消化できている人は少ないのではないでしょうか。
おそらく多くの人が、毎年付与された日数を下回る分しか消化できてはいないでしょう。
では消化しきれなかった有給休暇はどうなるのでしょうか。
今回は有給休暇が消えてしまうタイミングや、消化の順番に関する盲点を紹介していきます。
有給休暇は使わなければ消えていく
有給休暇は基本的に使わないと消えていきます。
毎年毎年残った分が蓄積されていくというわけではありません。
付与された有給休暇が消えるタイミング
有給休暇の時効は2年間と労働基準法第115条によって定められています。
昨年付与された分はまだ繰り越されて残っていますが、一昨年より前に付与され使わなかった分はもう消えていても文句を言うことはできません。
ですからずっと有給休暇を使ってなくて退職時に一気にとろうと思っても、多くても今年分と昨年分を合わせた40日分にしかならないということ。
使わなければ使わなかっただけ、ただ消えていくだけになります。
労働基準法第115条
この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する。
会社によってはそれ以上繰り越すことも可能
ただし2年というのはあくまで最低条件であって、それぞれの会社でそれ以上とすることは可能です。
たとえば3年として一昨年分までは繰り越し可能としている会社も少なくはありません。
結局使えないのであれば消えて行くことには変わりないので意味はありませんが、病気やケガで長期離脱せざるを得ない時などを考えると多く残しておけるというのはかなりメリットがあることです。
有給休暇消化時の順番
たとえば昨年付与された有給休暇の残日数が10日、今年付与された有給休暇の残日数が20日あったとします。
その時に1日有給休暇をとったら残日数はどうなると思いますか?
普通なら昨年分が9日で今年分は20日となるのが当たり前と考えるんですが、実はそうとも限りません。
有給休暇は繰り越し分から使っていかなくてはいけないという義務はないのです。
新たに付与された分から消化していくことも可能
先ほどの例で有給休暇を使ったとした場合、繰り越し分ではなく今年付与された分から消化していくことも可能です。
すなわち残日数は昨年分は10日、今年分は19日とすることも可能。
20日とっても昨年分は1日も減らずに時効が来たら消えていくだけになります。
そしてどちらを優先的に消化していくことになるかは会社側が指定できることです。
どちらが優先的に消化されるかにより残日数は大きく変わる
どちらが優先的に消化されるのかによって、残日数は大きく変わります。
たとえば昨年分が20日、今年分が20日残ってたとします。そこで1年間で20日有給休暇を取ったらどうなるでしょうか。
昨年分が優先的に消化されれば、今年分はまるまる残り、来年付与される分も含めると40日残ります。
しかしもし今年分が優先的に消化されてしまうと、昨年分は時効で消滅されてしまい、残りは来年付与される20日だけになります。
繰り越し分ではなく今年分を優先的に消化していく形になっていると、その分消滅する日数は増えてしまう為、労働者側にとってはかなり不利です。
消化しきれなければどれだけ損をするのか
一度消えてしまえば、もうその有給休暇分を使えることはありません。
会社側にとっては得ですが、労働者側にとってはただ損するだけで終わります。
本当なら給料は変わらず休みをとることができたはずなのに、それをしなければただ働きしているようなものですからね。
たとえば時給1,500円で働いているとしましょう。1日8時間とすれば1万2,000円です。
もし1年で15日使えずに消えていたとしたら18万円にもなります。そしてそれが20年続くと360万円にもなります。
それだけのお金分、ただ働きしているのと同じになってしまっているということです。
やはり有給休暇が取りやすい会社で働くべき
有給休暇を取りやすいか、それとも取りにくいかはやはり働く上で非常に大切です。
取りやすいというだけで休日数が全然違ってきて体の疲れ具合も違いますし、風邪ひいているのに無理して会社に行くなんてことも少なくなります。
旅行にも行きやすくなりますし、プライベートが充実します。
そしてその結果、仕事に対するやる気、モチベーションのアップにもつながり、仕事が楽しいと思えるようにもなってきます。
毎年ほとんどの有給休暇を使わず消滅させてしまっているならば、本当に今の会社で働き続けても良いのかをぜひ考えてみて下さい。