企業の成長に必要不可欠な存在なのが管理職です。

そのため、管理職には一般社員とは異なる能力や立ち回りが求められます。

しかし、日本はまだまだ年功序列の傾向が強い国なので、管理職としての能力がないのに役職を与えられている人が多いのも事実です。

だからといって、自分自身が管理職になった時に必要な能力が足りず、部下などに迷惑をかけるわけにはいかないでしょう。

そこでここでは、管理職に求められる能力や立ち回りについて解説します。

求められる能力やスキルを身に付ける方法についてもお話するので、すでに管理職に付いている方はもちろん将来的に管理職を目指す方も、ぜひ最後まで読んでみてください。

管理職とは?一般的な種類

管理職と言っても種類が色々あり、それぞれに異なる役割が与えられています。

まずは、管理職とはどのような役職なのか理解を深めておきましょう。

係長・チームリーダー・チーフ

1つ目の管理職は係長・チームリーダー・チーフです。

役職としては最も下のランクに位置しているポジションで、組織における最小集団を指揮します。

また、この管理職は実務上の責任者である場合が多くなっています。

課長・マネージャー

2つ目の管理職は課長・マネージャーです。

2~3つのチームやグループを管理するポジションで、部門の意思決定に影響力を持っています。

また、会社の規模によっては労働基準法上の管理監督者として扱われます。

部長・ジェネラルマネージャー・ディレクター

3つ目の管理職は部長・ジェネラルマネージャー・ディレクターです。

2~3つの課を統括するポジションで、多くの企業で管理監督者として扱われています。

また、この管理職は関連部門の総責任者となっているケースが多い、経営上の意思決定にも大きな影響を及ぼします。

管理職に求められるもの5つとは?

続いては、管理職に求められる能力について解説します。

責任と権限を理解し、権限を使って責任を果たす力

1つ目の管理職に求められる能力は、責任と権限を理解し、権限を使って責任を果たす力です。

一般社員の頃は「権限」と「責任」の両方がないのに対して、管理職になると「権限」と「責任」の両方が求められるようになります。

中でも、計画の設計や遂行に関する管理は厳格に行う必要があるため、その管理能力は必須のスキルと言えるでしょう。

加えて、計画を達成するための責任も欠かせない力です。

会社から与えられた業務を厳格に管理して、確実に遂行させる能力が必要となってくるでしょう。

組織で達成すべき目標と計画を立案する力

2つ目の管理職に求められる能力は、組織で達成すべき目標と計画を立案する力です。

明確かつ的確な目標設定するには、次のような情報を収集する必要があります。

  • 市場
  • 競合
  • 自社の商品力
  • 実行する組織のリソース

そして、集めた情報を分析して「組織ベースで実行可能かどうか?」という判断力が求められます。

もちろん、集めた情報を基に達成可能な計画の立案力も必要です。

計画を実行し目標を達成する力

3つ目の管理職に求められる能力は、計画を実行し目標を達成する力です。

目標の達成には、管理者の頑張りだけでなく、部下に適切かつ迅速な指示ができないといけません。

また、部下だけでなく他部署に協力を仰いだり、取引先を開拓したりする力も求められます。

管理職になると、人を説得して動かして目標達成を目指す必要があるので、部下や取引先の人と上手に付き合っていける能力が求められるのです。

部下を採用、評価、育成し、組織力を高める力

4つ目の管理職に求められる能力は、部下を採用、評価、育成し、組織力を高める力です。

組織力の向上は決して短期間ではできません。

そのため、中長期的に見て組織力の向上を図れる能力を求められます。

また、管理職は組織全体の知識やスキルだけでなく、マインドやモチベーション維持・向上もマネジメントして、部下が高いパフォーマンスと発揮できるように管理する必要があります。

サービスや業務を改善し、売上と費用対効果を高める力

5つ目の管理職に求められる能力は、サービスや業務を改善し、売上と費用対効果を高める力です。

もちろん、短期的な売り上げ目標を達成するのは当然として、管理職には継続的な売り上げ達成の能力が求められます。

それには、目の前の売り上げと利益に直結しない中長期的なサービスの改善、オペレーションの改善、コスト削減、新規サービスの開発、新規取引先の開拓などを行う必要があるのです。

特に大変なのが中間管理職

管理職の中でも特に大変なのが中間管理職です。

中間管理職は、部下だけでなく上司もいて板挟み状態にあります。

では、中間管理職に求められる能力とは何なのでしょうか見ていきましょう。

コミュニケーション能力

1つ目に求められるのはコミュニケーション能力です。

上司からの指示や考えを部下に正しく伝えるのはもちろん、部下との関係構築や部署間の調整を円滑に行うためにも高いコミュニケーション能力が求められます。

特に、新人社員が別の部署から異動してきた社員に対しては個別のフォローをしたり、他の社員が協力してサポートしてくれるような環境づくりを促したりするのも大切な仕事です。

課題解決能力

2つ目に求められるのは課題解決能力です。

現状の課題を明確化して、解決に導く能力は中間管理職に必須の能力となっています。

特に、中間管理職は課題が生じた時に、俯瞰的な視点でとらえられる能力を求められます。

加えて、課題が生じた時に背景まで考えて、根本的な解決策を講じる能力がないと務まらないでしょう。

広い視野で状況を把握して、何を優先すべきか考えて適切な判断を下す能力が求められます。

決断力

3つ目に求められるのは決断力です。

業務の遂行や課題解決では、数え切れないほどの決断を迫られます。

例えば、顧客からの要求が部下の裁量を超えていた時には、スピーディーかつ冷静な意思決定の能力が求められます。

また、個人的な感情や過去の成功例に基づいて判断するのではなく、論理的な思考を持って決断を下すのも中間管理職の大切な仕事です。

人材育成能力

4つ目に求められるのは人材育成能力です。

部下に業務を割り振った後は、仕事の進捗状況を逐一確認していく必要があります。

そして、部下が課題にぶつかっていたらサポートし、フィードバックして部下の成長を促さなければなりません。

また、業務の管理だけでなく部下の精神状態の管理にも気を配る必要があります。

管理職に求められる能力・スキルを身に付けるには?

続いては、管理職に求められる能力・スキルを身に付ける方法について解説します。

テクニカルスキルを磨く

管理職に求められる能力・スキルを身に付ける方法1つ目は、テクニカルスキルを磨くことです。

テクニカルスキルとは、特定の業務を遂行するために必要な知識や技術を意味します。

例えば、WEBプログラマーとして働くなら業務で使用するプログラミング言語に関する知識が求められます。

他にも、マーケティング業界で働いているなら、マーケティング知識や製品知識・市場理解といったテクニカルスキルがないと務まりません。

同じ業界でも会社が違えば求められるテクニカルスキルは違ってきますし、同じ会社でも部署が変われば求められるテクニカルスキルは異なります。

自分の専門性を象徴するとも言えるのがテクニカルスキルです。

特に管理職ともなれば、他の社員よりも高いテクニカルスキルが求められるので、相当な努力を継続する必要があります。

ヒューマンスキルを磨く

管理職に求められる能力・スキルを身に付ける方法2つ目は、ヒューマンスキルを磨くことです。

ヒューマンスキルとは、人間関係を円滑にするために求められる情報伝達能力を意味します。

そして、ヒューマンスキルには大きく分けて次の3つがあるのです。

自分の考えや思いを伝える能力

自分の考えを正確に伝えるには、物事を体系的に把握する能力と正しい言葉で説明する能力が必要です。

当然、日本語力も求められるので、管理職を目指すなら正しい日本が使えるようにする影の努力も求められるでしょう。

相手の考えや課題を理解する能力

コミュニケーションは双方向に行われるものなので、一方的に発信するだけでは成立しません。

相手の伝えたい内容を正確に聞き取る「傾聴力」が求められます。

また相手の言葉の中から、本当の課題や本質的な問題を把握するための「質問力」などもないと、管理職は務まりません。

良好な関係を構築する能力

管理職は、社内の人間だけなく取引先の人となど多くの人と接する機会があります。

多種多様な人と接するわけなので、その中で良好な関係を築く能力が求められます。

コンセプチュアルスキルを磨く

管理職に求められる能力・スキルを身に付ける方法3つ目は、コンセプチェアルスキルを磨くことです。

コンセプチュアルスキルとは、日本語で「物事の本質を把握する能力」を意味しています。

知識と情報を組み合わせて、問題や課題の本質を把握する能力で、論理的思考や課題解決力といった一般的に「地頭」と呼ばれるスキルです。

管理職は、事業における複雑な課題を適切に把握して、専門的な知見や自部門内のリソースを使って解決する必要があります。

管理職に求められるものがないならセミナーや研修を活用しよう!

今回は、管理職に求められるものについて解説しました。

管理職になると部下ができるため、業務の円滑な遂行だけでなく、部下の成長にも力を入れる必要があります。

もちろん、業務においても課題の把握や適切な計画の立案、中長期的な目標達成力などが求められます。

そのため、いい加減に仕事をしていても管理職としては務まりません。

もし、あなたが管理職に求められるものが足りていないなら、必要なスキルを身に付けるために努力する必要があります。

具体的には、社内だけに目を向けるのではなく、社外で行われていることを聞いたり、セミナーや研修を受けたりすると良いでしょう。

管理職やリーダーシップについて学べるセミナーや研修は意外に多く、中には無料で受講できるセミナーも存在します。

あなたが現在管理職に就いている場合はもちろん、将来的に管理職になりたいと考えいる場合でも、まずはセミナーや研修をフル活用して管理職に求められるものを身に付けるようにしてください。