仕事にやりがいを感じ、ただまっすぐに取り組んできたものの、気が付けばプライベートの時間がなくなっていたという方もいれば、1日で終わる仕事量ではないことから毎日残業となり嫌気がさしたという方もいることでしょう。

そんな残業の多さが原因で転職をする場合、面接でそのまま理由を言ってもいいのか悩みどころです。

ここでは残業とは何か? その影響は? 面接官に転職理由が残業であることをどのように伝えればいいか? さらにその理由をポジティブに伝える方法などを考えていきます。

サービス残業や長時間残業で悩んでいる方はもちろん、転職を考えている方もぜひ参考にしてください。

残業とは?残業の定義についてチェック

「残業」と聞くとどのようなイメージを抱きますか?

「サービス残業」など悪いイメージがある一方で、お金を稼ぎたいので積極的にやりたいという方もいます。

サービス残業は違法なので別ですが、法に従い賃金がちゃんと支払われていれば当然悪いものではありません。

しかし、それでも残業量が多く、その仕事を続けられないということがあるのも事実です。

今回は退職理由が「残業の多さ」である場合、面接でポジティブな印象を持ってもらうにはどうすればいいかなど「残業」について考えていきます。まずは残業の定義について改めて確認してみましょう。

「残業」の定義

労働基準法で決められた時間(法定労働時間)を超えた時間に行う労働のことで、主に会社から求められている仕事量を法定労働時間内に処理できなかった場合に発生します。

残業時間の上限

労働基準法が改正され大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月より残業時間の上限が法律で定められました。

原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情が無い限りこの時間を超えることはできません。

臨時的な特別の事情がある場合も制限はある

「臨時的な特別の事情」がある場合は、原則として定められている上限を超えて残業をすることが認められていますが、その場合でも超えてはいけない残業時間が決まっています。

  1. 1.年720時間以内
  2. 複数月平均80時間以内
  3. 月100時間未満(休日労働も含めます)

原則である45時間を超える残業を認められるのは年間6ヵ月までです。

この期間を超えた場合、6ヵ月以下の懲役、または30万円以下の罰金を科せられる恐れがあります。

参照サイト:厚生労働省 時間外労働の上限規制

残業は明確に法律で規制されるようになったものの、それでも条件がそろえば最大で月100時間ほどさせることが認められており、まだまだ規制がゆるいと考えることもできます。

また、残業をしてはならないことを理由に終わらなかった業務の持ち帰りやサービス残業に追い込むなど、より悪い状況が生まれる可能性も否定できません。

残業時間をきちんと制限するには企業が表面の時間だけでなく、仕事量も合わせて減らすか労働力を増やし個々の社員の業務量を減らす必要があります。

残業による影響

残業をすることで自分にどのような影響が考えられるのかについて見ていきましょう。

睡眠不足

十分な休息をとれないため、睡眠不足になりやすいです。

体調が万全でなければ仕事中の集中力を維持することが難しいため、さらに残業をする悪循環に陥ってしまいます。

自分の時間が無くなる

定時で退社できる場合、仕事の後に自分の時間が確保できるため、やりたいことをできます。

しかし残業がある場合は残業と睡眠のループを繰り返してしまうため、自分の時間が確保できません。

健康への悪影響

長時間労働は疲労を蓄積するだけでなく、脳・心疾患との関連性が強いと考えられています。

参照サイト: STOP過労死|厚生労働省(最終確認2020/04/04)

平均時間80時間を超えると危険

残業を平均80時間以上2~6ヵ月していた、あるいは100時間以上を1ヶ月間した労働者が脳血管疾患・心臓疾患を発症した場合、残業が影響している可能性が考えられます。

精神障害による弊害の恐れも

肉体的精神的疲労から精神障害を起こし、正常な判断や選択ができなくなり、精神的抑制力がほとんど利かなくなってしまい、自殺に至る場合もあります。

残業時間の上限はギリギリ

残業時間の上限が決められたのは労働者の健康面を考える上で大きな一歩と言えますが、実際は厚生労働省が発表した危険とされるギリギリまで残業させることが可能なため、とても十分とは言えません。

労働者の中には体力がありもっと稼ぎたいという方もいますし、反対にこの基準では身体や精神が持たないという方もいます。

働きたい方は副業を認めるなど選択肢を広げると共に、残業をしたくない方はしなくてもいい仕組みを構築する必要があります。

退職理由に「残業」は十分認められる

残業がつらくて退職したい。でも「それは根性無しのわがままじゃないか。」と考えて退職をためらっていませんか?

日本人は現在でも精神論が大好きな方が多く、「努力」「根性」「頑張り」というようなものに陶酔しがちです。

しかし無理をして仕事を続け、精神のバランスや体調を崩しては、働くこと自体ができなくなってしまいます。

それに残業がつらいと感じて退職している人は意外に多いので、自分だけやわがままだとは思わなくて大丈夫です。

退職理由ランキング

厚生労働省「平成28年雇用動向調査」による退職理由は男女別で以下のようになっています。

退職理由は、「仕事に興味を持てなかった」「能力・個性・資格を生かせなかった」「職場の人間関係が好ましくなかった」「会社の将来が不安だった」「給料など収入が少なかった」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」「結婚」「出産・育児」「定年・契約期間の満了」「会社都合」「その他の理由」の12項目で調査されています。

男(退職理由上位3位まで)

区分

割合(%)
給料等収入が少なかった12.2%

労働時間・休日等の

労働条件が悪かった

9.5%
会社の将来が不安だった8.4%

※その他の理由、定年退職は除く

女(退職理由上位3位まで)

区分

割合(%)

労働時間・休日等の

労働条件が悪かった

12.3%
職場の人間関係が好ましくなかった12.1%
給料等収入が少なかった

9.9%

※その他の理由、定年退職は除く

参照サイト:平成28年雇用動向調査転職入職者の状況|厚生労働省

結果分析

その他の理由、定年退職は除いた結果で、男性では2位女性では1位の退職理由に「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」となりました。

ストレートに「残業」ではないため、土日が休めないなどの理由も考えられますが、労働時間や休日などの労働条件を理由に退職する割合は男女共多いのは間違いありません。

面接時、転職理由が「残業」と伝えるとき

残業を理由に転職する場合心配になるのは、前職を辞めた理由を面接官に聞かれたときの答えです。

素直に残業を理由に辞めたことを伝えて先方に悪い印象を与えないのか気になるところです。

転職理由に残業はセーフ

残業は退職理由でも上位になるため問題と考える必要はありません。

しかし、面接官に伝える際は誤解を与えないよう、「それだけ残業をさせられていたなら仕方がない」と思われるように説明が必要になります。

説明次第で印象が悪くなる恐れがあるのでしっかりと面接への準備が必要です。

「残業」が転職理由であることを伝える際の注意点

では勤務時間の超過、休日が取れないなどの理由で退職する場合、面接官に対しポジティブな印象を与えられる表現について考えてみましょう。

ポジティブな表現を加える

具体例を2つ紹介します。

  1.  仕事の効率を上げるために、心身をしっかりと休めることにしました。
  2. できた時間でスキルアップを目指し、より会社に貢献します。

このようにポジティブな表現を加えることで「残業を理由に退職した」というマイナスイメージを弱めます。

転職理由を話す時の5つのポイント

転職理由を面接官に答える場合、残業と答えてマイナスの印象を与えないようしっかりと準備しておく必要があることを確認してきました。

では、さらに踏み込んで転職理由を答える際の大切な5つのポイントを確認していきましょう。

虚偽の転職理由を作らない

虚偽の転職理由で内定を取れたとしても、入社後に本当の転職理由にあたる状況に陥ると再び退職することになります。

焦って転職してもそれが長続きしなければ意味が無いので、本当の理由を言って就職できない企業は自分には合わないのだとあきらめ、頭を切り替えて本当に自分に合う企業を探しましょう。

虚偽は言ってはいけないが話さないことは可

残業時間の多さが転職の理由と言っていても、実際は他にも転職をしたかった要因が存在する場合もあります。

しかし転職先で解決できるとは限らない問題は面接の時に話す必要はありません。

例えば配属されるまでどんな人が上司や同僚になるかわかりません。それでいて人間関係が辛かったことを話してしまうと面接官にも協調性がないと判断される恐れがあります。

ただし、セクハラやパワハラなどのハラスメントにあっていた場合は異なります。

ハラスメントに耐えられないと判断して雇用しない企業は、そこでもハラスメントが横行している可能性があるからです。

働く目的との一貫性

転職は自分が目指しているキャリアプランに現実を引き寄せるためにするのです。

働く目的を実現させるために前職は最適ではなかったという面から転職理由を分析し直すと、ポジティブな面を見出すことができます。

不満だけでなく、状況を具体的に説明する

不満だけ言ってしまうとネガティブな印象を面接官に持たれてしまいます。

そのために感情的にならずに客観的かつ具体的に状況を説明しなければなりません。

例えば「残業時間が月〇〇時間で体調が悪くなった」「休日出勤をしても代休が認められなかった」など判りやすく明確に伝えます。

また改善のために自分が何をしたかも重要です。

何もせずに直ぐに転職したと判断され、短絡的な人間との印象を与える恐れがあります。

何度か相談窓口や上司に相談したが改善されなかったなど、行動力があることをアピールしましょう。

前向きな姿勢

転職理由を答えると自分の弱点ともいうべき部分をさらすことになる場合があります。

そして面接官がそれに関して突っ込んだ質問をしてくればネガティブになりがちです。

だからこそ前向きに自信を持って答えることができれば、好印象を与えるチャンスとなるのです。

この5つのポイントを踏まえ面接対策を考え何度もシミュレーションをしておくと本番でも緊張せず実力を発揮しやすくなります。

転職理由をネガティブからポジティブに

前職のグチばかり言っているネガティブな人材と、転職先の企業で目的や夢を持って働こうとしているポジティブな人材、面接官の立場ならどちらを採用したいでしょうか?

ポジティブな人材のほうが一緒に仕事をしやすそうですし、継続して働いてくれることを期待できます。

そもそもがネガティブな退職です、どうすればポジティブに変換し面接に臨むことができるのかについて考えてみると良いでしょう。

退職理由を分析する

自分がなぜ退職したのか、改めて見つめ直してみましょう。

例)「残業」が原因

Q. 残業の何が嫌だったのか?A. 残業時間が長く自分の時間を持てなかった。
Q. なぜ残業時間が長かったのか?A. 上司が帰るまで仕事が無くても帰宅できないという暗黙のルールがあった。
Q. ではどのように働きたかったのか?A. やるべき仕事が終わったら直ぐに帰宅したい。
Q. それをポジティブに言うと?A. ON、OFFをハッキリさせ、効率よくメリハリのある働き方をしたい。

これはあくまで一例ですが転職したいという思いがある以上、現状に不満があることは共通しています。

不満を解消することはプラスのことなのでポジティブな要素を含んでいるのです。

そのプラスの要因の表現を変えて面接向けにするのはそれほど難しくはないはずです。

過去ではなく未来を見るとポジティブになれる

前職というのは今まで務めていた会社なのでこれは過去です。

それに対し転職先はまだ就職していないのだから未来と言えます。

不満があったからこそ辞めたので当然そこにはネガティブな思いが強く、面接で前職のことばかり話すのは得策ではありません。

むしろ転職先でやりたいことに重点を置けば、そこには希望があるため話自体もポジティブな方向へと向いていきます。

面接官に前職のことを聞かれたらなるべく客観的に答え、それを踏まえ転職先ではどうしたいかということを答えれば話はポジティブに終わらせやすいです。

残業が理由の退職でもポジティブに転職活動を

残業について改めて確認すると共に、残業の多さを理由に転職する場合の対策方法についても考えてきました。

退職自体はポジティブなものではありませんが、厚生労働省の調査では「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」が男女とも退職理由の上位になっており、残業の多さが退職理由でもそれほど引け目を感じる必要がないことがわかりました。

面接対策でも対象理由を分析していけばポジティブな部分を発見できるはずなので、恐れずしっかりと準備をしておきましょう。