自主的なサービス残業はダメ!違法になる可能性もあるし、そうでなくても周りはかなり迷惑

あなたの周りに「やらなければいけない仕事が終わらないから」「少しでも成果を上げたいから」という理由で、こっそりと禁止されているサービス残業をしている同僚はいませんか?

今回はそんな「自主的なサービス残業」について、違法性や問題点を紹介していきます。

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自主的なサービス残業、本人は良くても周りは大迷惑

自主的なサービス残業、本人は良くても周りは大迷惑

別に残業代が増えるわけではないし、好きにやっていて迷惑をかけているわけでもないのだから勝手だろ。

自主的なサービス残業をやっている本人は、そんな風に考えているかもしれません。

中には、「悪いことをしている」「ルールを守っていない」という自覚どころか、逆に「こんなに頑張っているんだ」と悦に浸っている人もいる人すらいます。

しかし、本当に「本人の勝手」で済ませて良い問題なのでしょうか。

本当に誰にも迷惑をかけていないのでしょうか。

決してそんなことはありません。

自主的なサービス残業は、実は様々な面で会社にも上司にも、そして同僚にも迷惑をかける行為です。

会社側が労働者に対して無理にサービス残業を強いるのも問題ですが、会社の指示・ルールを無視して勝手に残業を行う行為も決してやってはいけません。

自主的なサービス残業でよくあるパターン

自主的なサービス残業でよくあるパターン

自主的なサービス残業は、上司が黙認しない限りはこっそりばれないように行わなければいけません。

その為、以下のようなケースで行われる場合が多いです。

こっそり持ち帰って家で仕事

最も多いのが、書類などを持ち帰って仕事をするパターンでしょう。

会社で資料等の持ち帰りを禁止されているにも関わらず、ルールを無視してこっそり持ち帰っている人も多いです。

また、こっそりUSBにデータを書きだして家のパソコンで仕事をするなんて人もいますね。

ちなみに以下は厚生労働省の「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書」で報告されている、持ち帰り仕事有無やその頻度の調査結果です。

正社員は約3割と非常に高く、しかもその半数は最低でも週1回以上、1割の人は毎日持ち帰って仕事をしています。

もちろん、労働時間に対する仕事量が理不尽に多すぎて持ち帰って仕事をせざるを得ない、上司から持ち帰ってでもやってこいと指示されている、会社として持ち帰って仕事をするのが当たり前となっているなど、自分の意志に反してせざるを得ない状況に追い込まれている人が多いのですが、そうではない人も一定数いるはずです。

終業時間外に取引先・営業先などで打ち合わせ

取引先や営業先は、上司の目の届かない範囲です。

実は20時まで打ち合わせしても、上司には18時で仕事が終わり直帰したと言ってしまえばほとんどバレません。

実際、私の周りでも多かったです。

実際の打ち合わせ終了時間を過少申告したり(後輩だった私はその過少申告に付き合わされたこともありました)、有給休暇中に打ち合わせしたりする人もいました。

中には、有給休暇に遠方の会社まで打ち合わせに行き、交通費も自腹で出していた人もいたくらいです。

残業時間を短く申告する

本人の意思で、実際の稼働時間よりも残業時間を短く申告することも自主的なサービス残業です。

そもそも、残業時間は基本的に1分単位で計算します。

そのため仮に5分間であったとしても、過少申告が積み重なれば長時間のサービス残業を行っているのと同じ状態です。

在宅勤務で勤務時間の申告をしない

最近導入する企業も増えてきた在宅勤務。

柔軟な働き方ができるというメリットがある一方で、労働時間の管理が難しいというデメリットがあります。

資料等はすでに家にあるわけですから、自主的に残業しようと思えばいくらでもできてしまうのです。

支給しているパソコンのログイン時間などもチェックし、できる限りの労働時間管理を行っている企業はあるものの限界があります。

会社のみならず働いている本人がしっかりと意識しなければ、サービス残業が起こりやすいのです。

自主的なサービス残業、違法性やリスクは?

自主的なサービス残業、違法性やリスクは?

会社、上司が指示して残業させているのに残業代を支払わないのは当然違法です。

では指示も強制もなく、自主的にサービス残業を行った場合、違法性はあるのでしょうか。

この項目でリスクと合わせて紹介します。

自主的な残業が違法とみなされる可能性はゼロではない

会社からの命令なしで自主的な時間外労働(残業)は、基本的に労働時間とみなされません。

すなわち、そのサービス残業に対して会社側が残業代を支払わなかったとしても、すぐに違法と判断されるわけではないのです。

吉田工業事件(名古屋高裁・H2.5)でも、会社の指示がなく必要性もない業務を勝手に行った社員に対し残業代は不要という判決がでています。

しかし、自主的なサービス残業が常にこのように残業代不支給でも問題ないわけではありません。

業務量が多くて残業せざるをえない状況に置かれている場合、直接残業を指示していなくても「黙示の命令」となり労働時間に該当します。

残業代が支給されていなければ違法です。

またサービス残業として残業代を支払わないだけでなく、残業は月100時間以内までで、月の残業が45時間を超える場合は特別条項付きの36協定を結ぶ必要があるといった法律にも違反する可能性がでてきます。

自主的なサービス残業していることがばれて処分を受ける

上記で紹介したように、いくら自主的なサービス残業であっても、残業代が支払われない事実が違法とみなされ、処罰の対象となる会社があるのです。

ですから、会社としては自主的なサービス残業を当然禁止しますし、罰則を設けている場合もあります。

よかれと思って行った残業が、業務命令違反就業規則違反とされ懲戒処分となる可能性があるのです。

気づかなかった上司、部署全体が処分を受ける

自主的なサービス残業が上司にばれただけであれば、単に行った本人が怒られて済むかもしれません。

ただ、パソコンのログや取引先・営業先からの情報で人事や労働組合にばれてしまったらどうでしょうか。

処分は本人だけに行われず、行っていることに気づかなかった上司、場合によっては部署として処分を受けるなんてこともありえます。

機密情報漏洩などのリスクも

仕事を持ち帰る場合、機密情報漏洩のリスクも非常に高くなります。

資料の紛失してしまったり、自宅のパソコンがウイルスに感染していてデータが流出したりする事態もあります。

また、持ち帰る為のUSB自体にウイルスが入っていて、会社のパソコンがウイルス感染してしまうケースも考えられるでしょう。

万が一個人情報が流出したとなれば、会社全体の信用低下だけでなく、最悪の場合は倒産すらあり得ます。

下手したら会社から多大な損害賠償を請求されるかもしれません。

自主的なサービス残業は、自分にも周りの人にもデメリットが大きい

自主的なサービス残業は、自分にも周りの人にもデメリットが大きい

自主的なサービス残業は周りだけではなく、自分にも大きなデメリットがあります。

一時的なら多くの仕事量をこなせるメリットがあるかもしれませんが、長期的に見ると決して良い行為ではありません。

時間内に仕事をこなす能力が身につかない

決められた時間内に仕事をこなすのは非常に大切な能力です。

時間が限られているからこそ、色々と工夫をして時間短縮を図ったり、優先順位をつけたり取捨選択したりする能力が身についていきます。

しかしサービス残業ありきで仕事をしていると、その能力が中々身に付きません。

終わらなければ家でやればいい、それで済んでしまうからです。

サービス残業から抜け出せなくなる

サービス残業ありきで仕事を続けた場合、上司はその部下の本来の実力を誤認識してしまいます。

そしてそれ以降、その誤った実力が前提となって仕事を付与することになるのです。

そうなってしまったら、もうサービス残業から抜け出せません。

サービス残業ありきで仕事をしなければ、作業を終わらせられなくなります。

周囲との人間関係も悪化

自主的なサービス残業は周りにとってみれば迷惑です。

その人のせいで仕事が増えたり、サービス残業せざるを得なくなったりするかもしれません。

サービス残業を好んでする人なんてほとんどおらず、大抵の人は早く帰りたいし残業するなら残業代を貰いたいと思っています。

もし一人が原因でサービス残業を行う羽目になったり、求められる成果が高くなったりしたら、その原因を作った人に対して嫌悪感を抱くのは当然です。

周囲との人間関係は徐々に悪化してしまうかもしれません。

同僚に迷惑をかけ、人間関係が悪化する

自主的なサービス残業は同僚にとっても大きな迷惑です。

労働時間に対して適切な量ではなくても、上司はそれに気づけません。

そして、周りにも自主的にサービス残業している人と同じ量の仕事を与えるようになっていきますし、本当は人材不足なのに人を増やしてくれません。

たった一人のサービス残業が職場全体を苦しめる事態になりかねないのです。

特に後輩や若手は残業を申請しにくくなりますし、「仕事が多い」と言いにくくなってしまいます。

それがストレスとなり、体を壊してしまう人もでてくるでしょう。

自主的なサービス残業は、行っている本人だけではなく、会社、上司、同僚と非常に多くの人に迷惑をかけてしまう可能性がある行為なのです。

自分のためにも周りのためにも、自主的なサービス残業はやめよう

自分のためにも周りのためにも、自主的なサービス残業はやめよう

サービス残業は、自主的なものであっても迷惑がかかるやってはいけない行為です。

もしあなた自身がやってしまっているなら、同僚の為にも自分の為にもやらないようにする意識を持ちましょう。

そして仕事が終わらない時には、早めに上司や先輩に報告する勇気を持つことも大切です。

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