固定残業代制と聞くと、まず「ブラック企業」という言葉を思い浮かべる方も多いでしょう。
実際、制度を悪用して、労働者が損をするような違法行為を行う企業もありますからね。
ただ、「固定残業制を導入している企業=ブラック企業」かと聞かれると、決してそんなことはありません。当然ですが、固定残業制を導入しているホワイト企業もあります。
とはいえ、それをどう見分ければ良いのかなんて分からないですよね。
そこで今回は、固定残業制の実情や固定残業制をとっているホワイト企業を見極める方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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目次
固定残業代制(みなし残業制)でもホワイト企業はある?
固定残業代制とは、残業の有無にかかわらず、固定給に含めて毎月一定時間分の残業代(固定残業手当)が支払われる制度のことです。みなし残業制とも呼ばれています。
極端に言えば、その月の残業時間が0時間でも決まった金額を貰えるということですので、私たちにとってメリットが大きい制度といえそうですよね。
しかし、最近はこの制度に対する評判があまり良くありません。労働者にはデメリットばかりだ、導入しているのはブラック企業ばかりだという声が多いのです。
そういった悪い評判が広まって、固定残業制を取り入れている企業を敬遠する方は非常に多いです。誰だってブラック企業で働きたくはありませんから、当然のことだと思います。
とはいえ、もしこの制度を導入している会社にもホワイト企業があったとしたらどうでしょうか。ただ固定残業代というだけで最初から選択肢からはねてしまうのはもったいないですよね。
そして実際のところ、ホワイト企業が固定残業代制を導入しているというケースは多くあります。
最近では、トヨタ自動車が入社10年目の社員で希望者を対象に固定残業代制を導入しました。ちなみに、残業代は一律17万円というかなりの高額です。
さすがにそこまでではなくても、ホワイト中小企業でこの制度を導入しているところも少なくありません。
ですので、「固定残業制を導入している」だけで最初に選択肢から外してしまうのは非常にもったいないと思います。
固定残業代制(みなし残業制)は労働者にとってメリット大
そもそも固定残業代制(みなし残業制)は、法律に従い正しく運用されているなら労働者にとってメリットが大きい制度です。
固定残業代制では、あらかじめ残業時間、そしてその時間に対応する残業代が決まっています。
実際にその時間分の残業を行わなくても、規定の残業代が減らされることはありませんし、決められた時間を超えた場合は、その分も追加で請求することも可能です。
以下は、固定残業時間30時間、基本給20万円と仮定した場合の固定残業代と通常の残業の比較です。
固定残業制 (固定分30時間) | 通常 | |
0時間 | 30時間分 約4万5千円 | 0時間分 0円 |
10時間 | 30時間分 約4万5千円 | 10時間分 約1万5千円 |
20時間 | 30時間分 約4万5千円 | 20時間分 約3万円 |
30時間 | 30時間分 約4万5千円 | 30時間分 約4万5千円 |
40時間 | 40時間分 約6万円 | 40時間分 約6万円 |
残業時間が少なくなっても残業代が変わらない固定残業代の方が、労働者にとっては圧倒的にお得ですよね。
例えば、先ほど紹介したトヨタでは、もし一切残業せずに仕事を終わらせることができれば(仕事量的に困難ですし、そんなことすると仕事を増やされることになると思いますが)、何もしていないのに残業代17万円がもらえるということになります。
固定残業代制というのは決して悪い制度ではないのです。
なぜブラック企業が多い、ブラック企業ばかりだと言われている?
では、なぜこんなにも固定残業代制の評判は悪く、ブラック企業ばかりだと言われているのでしょうか。
主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
決められた残業以上に残業しても、残業代を一切払わない企業がある
本来の固定残業制は、実際の残業時間が少なかった場合でも同じ残業代を支給し、超えた場合はその分を加算して支払うという制度です。
支払わなければ、サービス残業となり労働基準法に違反します。
しかし実際のところ、固定残業代だからという誤った認識で、どれだけ残業しても残業代を支払わないというブラック企業が多く存在しているのです。これでは、固定残業制に悪い評判が多くても仕方ないでしょう。
深夜手当や休日出勤さえも払わない企業がある
超えた分の残業代のみならず、深夜手当や休日出勤さえも払わないようなブラック企業も存在します。
固定残業の時間分はあくまでも通常の残業のみに適用されるので、本来ならば割増率の高い法定休日の深夜勤務分や休日出勤分は別で支払う必要があるのですが、それを守らない企業が多いのです。
そのような企業は、固定残業代制だから手当は一律だ、どれだけ働こうとも手当はそれ以上出さないといった主張をしているようですが、立派な契約違反です。
参考:みなし残業時の休日出勤手当。固定だから手当なしは違法の可能性大で要注意!
固定残業代分で給料を多く見せかけて、基本給の低さをごまかしている場合がある
求人票を見ると、月給が固定残業代込みで書かれているケースが多くあります。
この場合、低い給料をごまかす目的で固定残業代込みで表記していることが多いので注意しましょう。
例えば、以下のような形です。この表記だけを見て、実際に基本給を計算してみてください。
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いかがでしたか。なかなか難しかったのではないでしょうか。
これらのそれぞれの基本給は以下の通りになります。
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このように残業代が含まれている分、金額が大きく見えるだけなのです。
ですから、皆さんは「月給25万円以上」と表記があっても「基本給17万円(固定残業代60時間分を含む)」の可能性があるということを忘れないでくださいね。
安い給料でサービス残業を強いる企業が少なくない
これまで紹介したように、固定残業代制度を導入している企業の中には、労働者がその制度について詳しくないことを良いことに、安い給料でさらにサービス残業をさせている企業が存在します。
そんな企業が多いことが、労働者にメリットがある制度にも関わらず「固定残業制をとっている企業はブラック企業ばかりだ」などと言われてしまう原因なのです。
固定残業40時間はきついかも
固定残業時間は会社によって設定が違いますが、40時間と設定されている場合は気をつけたほうが良いと思います。
たとえば、40時間と設定されていても実際には10時間~20時間に収まるならメリットは大きいですが、実際に40時間平均で残業をする前提であるなら残業時間はやや多めだと言えます。
残業40時間というのは、1日2時間残業が慢性的になっていることを意味しますので、固定残業で残業代がしっかり出たとしても、人によっては残業代よりもプライベートの時間がほしいと感じる方もいるでしょう。
40時間であれば絶対にやめるべき!というわけではありませんが、自分のライフスタイルを考慮して慎重に選択するようにしてください。
ホワイト企業で固定残業代制を導入している会社はある?その目的は?
では、固定残業制を導入している会社でホワイト企業はどれくらいあるのでしょうか、そして導入している会社はどういった目的なのでしょうか。
固定残業代を導入しているホワイト企業もある、ただ割合的にはブラック企業が多め
私が知っている範囲でも、固定残業代を正しく運営している会社はいくつかあります。
一つの会社を例に挙げれば、年間休日数は125日以上で給料もそこそこ。
固定残業は月30時間であるものの、基本的には超えることはなくだいたい20~25時間程度。超えたとしてもその分はしっかりと追加で残業代が支払われています。
このように、固定残業制を取り入れていてもホワイトな企業はあるのです。
ただ、割合的には正直少なめです。導入する必要がないからしていないという会社がやっぱり多いですね。
どうしても悪用して使っているブラック企業の方が多くて目立ってしまっているように感じます。
ホワイト企業が固定残業代制を導入する目的とは?
ブラック企業が固定残業制を導入するのは、わかりにくい制度でサービス残業をごまかすため。
では、ホワイト企業が固定残業制を導入する目的はどういったことが挙げられるのでしょうか。
給与計算を簡素化したい
一つ目は、給与計算の簡潔化のためです。
残業代が毎月変わったり、人それぞれで異なる残業時間であったりすると、計算するのも管理するのも非常に大変です。
そういった手間や工数を削減するために、この固定残業代制を導入している会社もあるのです。
基本的な残業代が決まっていれば、それを超過しない限り簡単に終わりますからね。
求人で注目を集めたい
二つ目が、求人で注目を集めるためです。
人材不足の社会では、求職活動をしている人の目をいかに自社の求人情報に止めさせるかが大切なポイント。
「基本給20万円、残業代は別途支給」と書いてあるよりも、「月収30万円、固定残業代10万円を含む」という書き方をしている方が高収入に見えるので、高収入の求人を探している人には注目されやすくなります。
企業側も人を集めるために必死なのです。
成果や能力によって差をつけたい
従来の残業制度だと、残業が多ければ多い方が給料は高くなります。
能力が高い人が仕事を早く終わらせ残業をしていない場合と、能力が低くて仕事も遅く残業をたくさんする場合では、基本給が同じであると後者の方が給料が高くなってしまうのです。
本当に評価すべきは前者であるにもかかわらず、給料を見ると後者の方が恵まれてしまうという現実。
全力でさっさと終わらせるよりも、だらだらと長い時間かけて残業しながら終わらせる方が給料が高くなると考えれば、後者の方がいいと考える人は少なくないでしょう。
そんな時、固定残業代制を導入すれば成果や能力が高い人ほど得ができるようになります。
能力が低い人、仕事をだらだらする人が固定残業時間30時間をフルに使い切った場合と、能力が高い人が残業10時間で終わらせた場合も給料に差はなし。
能力が高い人ほど早く帰ることができる、さらに時給が高くなるので、正しく人を評価できるようになります。
固定残業制を導入しているホワイト企業を見極めるには?
では、転職時に固定残業制を導入しているホワイト企業を見極めるためにはどうすればいいのでしょうか。
答えはずばり、以下の6つの項目をチェックすることです。一つ一つ一緒に確認していきましょう。
①固定残業代が高いか、超過分は別途支給されるか
固定残業代を導入しているホワイト企業は、固定残業代が高額です。だからといって、基本給が安く設定されているというわけでもないのが素晴らしいですよね。
先述の通り、自動車メーカーとして有名なトヨタは、希望者のみを対象に固定残業代を導入しました。その金額は約17万円。
基本給とは別にこれだけ高額の固定残業代が支払われるのなら、何が何でも残業時間を減らそうと思う人が増えて、結果、会社全体の業績はアップしているという実績があります。
また、固定残業代を導入しているホワイト企業は、超過分は必ず別途支給します。
超過分の別途支給があるということは、最低何時間残業する必要があるのかも明確になっているということです。
あらかじめ設定されている1か月分の残業時間が明確なら、従業員は安心して働けますよね。すべてをオープンにすることが会社全体の業績アップにも繋がることを分かっている会社だといえるでしょう。
②勤続年数が長いか
ホワイト企業と呼ばれている会社は、従業員の勤続年数が長いという特徴があります。
働きやすい環境であれば、長く勤めて頑張ろうと思う人がほとんどなので、必然的に勤続年数は長くなるのです。
会社の勤続年数は、有価証券報告書で確認できますので、過去5年間の有価証券報告書をチェックし、平均勤続年数を確認してみましょう。
③基本給が相場よりも高いか
ホワイト企業は、残業代で稼ごうとする人を防ぐために、基本給が相場よりも高い傾向にあります。
企業にとって残業を多くする人は良いことではありません。
残業代を支払わなければならないことはもちろん、体調を崩してしまう人がでれば大損害になってしまいますからね。そういった点をきちんと考慮できるのは、ホワイト企業の特徴でしょう。
また、基本給が相場よりも高い企業に勤めれば、それだけ生活が安定します。
仮に業績不振に陥っても、基本給がカットされるということもないので安心でしょう。
④福利厚生は充実しているか
福利厚生の充実さも注目すべき点です。
一般的に福利厚生と聞くと、有給休暇や通勤手当などを思い浮かべがちですが、福利厚生はこれだけではありません。
福利厚生が大変充実しているホワイト企業は、他に会社にはない福利厚生を設けていることが多いです。
例えば、誕生日休暇を取れたり、勤続〇年を記念して記念品を贈られたりなどですね。具体的な内容は企業によって様々ですので、しっかりチェックしておきましょう。
⑤会社の財務状況が安定しているか
ホワイト企業は財務状況が大変安定しています。
財務状況が安定していれば、それらは給料やボーナスに反映されます。
給料やボーナスの額は、生活に大きな影響を及しますので、きちんとチェックしておきましょう。
財務状況は有価証券報告書で確認できます。過去5年以上の有価証券報告書を見て、財務状況をチェックしてくださいね。
⑥ホワイト企業マークがついているか
ホワイト企業マークとは、厚生労働省や経済産業省がホワイト企業に対して制定しているものです。
このマークがついているということは、国から認められているホワイト企業ということですので、大きな目安になると思います。
・安全衛生優良企業公表制度ホワイトマーク
・健康経営優良法人大規模認定ホワイト500
・健康経営優良法人中小規模認定
・ユースエール認定(若年雇用)
・くるみん認定・プラチナくるみん認定(子育て支援)
・えるぼし認定(女性雇用)
主なホワイト企業マークは上記の通りです。
中でも「安全衛生優良企業公表制度ホワイトマーク」は、すべてのバランスが取れたホワイト企業の中のホワイト企業にのみ与えられるものですので、ぜひ参考にしてみてください。
ホワイト企業も決して少なくないが、転職時は慎重に
ホワイト企業でも固定残業代制を導入している会社はたくさんあります。
労働者側にとっても大きなメリットがある制度ですから、転職の際には考慮してみるといいでしょう。
しかしブラック企業が多いと言うのも紛れもない事実なので、固定残業制だからといってむやみに食いつかないよう慎重にならなければいけません。
もし転職を既に検討しているなら転職エージェントを利用しよう
多くの人はホワイト企業に転職したいと考えているはずです。
もしもいま転職を検討しているなら、転職エージェントを利用することも視野に入れてみましょう。
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