会社の業績が悪いと気付いたとき、このまま働き続けて大丈夫なのか気になるところです。上層部が打ち出す打開策に期待できないと感じた場合、減給やボーナスカットの可能性もあるでしょう。
大手企業では希望退職を募ることもありますが、これをきっかけに転職を考えるのも1つの手段です。
ただ、退職理由や転職理由を会社の業績悪化にして良いのか、聞かれたときにどう伝えるかは慎重な判断が必要です。
そこで、会社の業績悪化による転職について、今の会社で働き続けるリスクと退職理由・転職理由の考え方をまとめました。
業績悪化による転職を検討している方はぜひ目を通してみてください。
会社の業績が悪くて転職したいと考える人は多い
仕事をする上で退職したい理由は人それぞれで、今働いている会社の業績不振により転職を考えることは珍しいことではありません。
このまま働き続けていいのか、それとも安定した会社に転職した方がいいのかは、自分の生活を守るためにも必要な判断です。
2020年7月~2021年6月までの1年間に転職した人の転職理由を見てみると、給与や昇進などが上位を占めており、7位には業界・会社の先行きが不安という理由がランクインしています。
3位以下の転職理由はいずれも25.0%前後で推移していることから、会社の業績不振による転職をした人が一定数いることがわかります。
転職理由ランキング | ||
順位 | 転職理由 | 割合 |
1位 | 給与が低い・昇給が見込めない | 35.0% |
2位 | 昇進・キャリアアップが望めない | 29.4% |
3位 | 会社の評価方法に不満がある | 26.8% |
4位 | 社内の雰囲気が悪い | 26.7% |
5位 | 肉体的・精神的につらい | 24.3% |
6位 | スキルアップしたい | 24.0% |
7位 | 業界・会社の先行きが不安 | 23.9% |
8位 | 社員を育てる環境がない | 23.7% |
9位 | 労働時間に不満(残業が多い・休日出勤がある) | 23.5% |
10位 | 尊敬できる人がいない | 23.2% |
引用元:転職理由ランキング【最新版】 みんなの本音を調査! |転職ならdoda(デューダ)
業績が悪い会社に居続けることのリスクについて
会社の業績不振が気になっていても、このタイミングで転職するかは慎重な判断が必要です。業績不振が一時的な可能性もありますし、上層部からの打開策が功を奏する可能性もあります。
ですが、反対に業績不振が続いたとき、従業員はさまざまなリスクを抱えることになります。ここでは、業績が悪い会社に居続けた場合のリスクを考えていきましょう。
ボーナスがなくなる可能性がある
業績悪化で見られる傾向として、業績の悪化に伴いボーナスが支給されなくなることが挙げられます。
すべての企業が業績の良し悪しでボーナスの支給を決めているわけではありませんが、就業規則にボーナスは業績に応じて支給する内容が記載されている場合はボーナスカットの可能性が高くなります。
この場合はボーナスの支給月・支給額が明記されておらず、そもそも支給の有無が明確ではない状態です。業績が良かったとしても少額のボーナスを支給することもあるでしょう。
また、就業規則に「6月と12月に基本給の2ヵ月分を支給する」などのように明確な支給月や支給額が明記されている場合は、例え業績が悪化したとしてもボーナスをカットすることはできません。
就業規則の内容の違いでボーナス支給の可能性がだいぶ違うことがわかります。
もし、業績悪化によりボーナスがカットになった場合、自分の生活にはどんな影響があるでしょうか。
ボーナス払いでの買い物や各種ローンでボーナス払いがある人は支払いに困る事態となります。そのほか、ボーナスをあてにして旅行やレジャーを予定していたなら、中止せざるを得ないでしょう。
教育資金や貯蓄に回そうとしていた場合でも、すべて計画が狂ってしまい家計に大打撃を与える可能性もあるのです。
最悪会社が倒産する可能性がある
会社の業績悪化は最悪の場合、倒産を招く恐れがあります。会社が倒産した場合、会社は事実上消滅することとなり、従業員の仕事もなくなってしまいます。
倒産した会社が手掛ける商品やサービスがある場合、それを使用する業界や消費者にも影響を与えるでしょう。
倒産した会社の従業員は全員解雇となりますが、退職金や未払い賃金を受け取る権利があります。会社側も保有する財産から優先的にそれらを優先的に支払わなければなりません。
ですが、法律上では退職金や未払い賃金を受け取る権利があっても、倒産した会社が実際に支払うかは別の問題です。
会社側に支払えるだけの財産がなければ、それらの受け取りは絶望的になります。
もしも、会社側に支払う財産がない場合は、国が定める賃金の支払の確保等に関する法律に基づき、未払賃金立替払制度を利用することができます。
未払賃金立替払制度は、倒産した会社から賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康安全機構が未払賃金の一部を立替え払いする制度です。
立替払の対象となる未払賃金は、労働者が退職した日の6ヵ月前から立替払請求日の前日までの期間中に、支払期日を過ぎて未払いとなっている定期賃金と退職手当です。
ボーナスは対象外、未払賃金の総額が2万円未満のものは対象外となります。
また、立替払する金額は未払賃金の8割、そのほか退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限が設けられています。
倒産前に受け取っていた給料に比べると少なくなりますが、それでも未払賃金を受け取れるセーフティネットとして活用できるでしょう。
業績悪化の予兆を察知して早めに行動をとろう
会社の業績が悪化してくると、ボーナスのカットや減給に加え最悪、会社が倒産して退職金が受け取れなかったり給料が未払いになったりします。
そうなれば生活に支障が出てしまい、自分の状況を立て直すにも時間と労力を要するでしょう。
企業によっては業績が悪化しても自社で立て直すケースも多いですが、業績が良くなることに期待して居続けるにはリスクを伴うのも事実です。
業績悪化の影響を避けるためには、早い段階で業績悪化に気づき転職活動を始めることが肝心です。
ここでは、業績が悪化し始めた企業の特徴を紹介するので、当てはまる状況があるかチェックしてみてください。
さまざまな費用を節約し始める
会社の業績が悪化してくると少しでも費用を節約しようとして、オフィスの電気を部分的に消したり明るさを下げたりします。
また、エアコンも以前に比べて使用量が少なくなるなど、少しでも費用を抑えようとする動きがある場合は業績悪化の初期段階のサインです。
ただ、この時点で業績が悪化している確証はありませんが、コピー用紙やお茶・コーヒーなどの備品などを含めほかにも節約しているものがないか見てみると良いでしょう。
支店や工場が次々につぶれたりボーナスがカットされ始める
自分のオフィス以外では、地方にある支店や工場が閉鎖し始めたとき、閉鎖しないまでも稼働率が下がったときなども業績悪化のサインです。
小規模の支店や工場が閉鎖となるケースは珍しくありませんが、短期間に複数の拠点が閉鎖に追い込まれるようなら転職活動を始める方が良いでしょう。
転職活動は今の会社が倒産する前に転職する手段であり、また今の会社の業績が持ち直したときはいつでも辞められる保険のようなものです。
万が一に備えて、とりあえず準備だけはしっかりしておくことをおすすめします。
リストラが始まったらかなり深刻
会社全体でリストラが始まった場合、今いる会社の業績はかなり悪く深刻な状態になっているといえます。
自分自身がリストラされる前に、急いで転職することをおすすめします。
もし、自分がリストラされたとしてもこれは個人ではどうしようもできないことであるため、次の就職先で能力が低いとみなされることはありません。
ただ、転職活動は時間がかかるのでリストラされてからスタートしたのでは、転職先が見つかるまで無職の期間が長くなってしまいます。
業績悪化によるリストラで退職した場合は会社都合の解雇となり、失業保険が適用されますがそれでも十分な生活費を確保できるかはわからないところです。
失業保険は、公的保険制度の1つで正式には雇用保険といいます。加入者は失業した場合や自己都合で退職した場合、所定の手続きを経て失業手当(正式には基本手当)を受給できます。
保険期間と年齢により受給できる金額が変動するほか、原則として離職日の翌日から1年間の期限付きのため、失業保険の給付期間中に転職先が見つからなければ生活費に困るでしょう。
そのため、リストラの気配を感じたらすぐに転職活動を始めることをおすすめします。
退職理由と転職理由を考える際に押さえておきたいポイント
今の会社を退職するときや次の会社に転職する際は、退職理由や転職理由はほぼ間違いなく聞かれることです。
そのときに会社の業績悪化をストレートに伝えることはNGであり、ポジティブな言い換えが必要となります。
ここでは、退職理由と転職理由を考える際のポイントを紹介するので、いざというときの参考にしてください。
業績の悪化で退職する際の理由について
退職理由のほとんどは事実と異なることを伝える人が多いですが、退職した企業の業績悪化がニュースなどで世間に知られている場合は隠せないケースもあります。
そのときは、業績悪化により自分のやりたい仕事ができなくなったという方向で考えると良いでしょう。
例えば、業績悪化により事業縮小が決まり現状の仕事を続けたかったが部署異動となったため退職を決意した、などが挙げられます。
業績悪化について、次々従業員が辞めていった、サービス残業を強いられるようになったなどと伝えてしまうと、場合によっては企業批判と受け取られたることもあるので注意してください。
業績の悪化で転職する際の理由について
転職理由を述べる際は、業績が悪化するなかで頑張ってきたこと、これまでのスキル・経験を磨いてきた経緯とこれらを転職先でどのように活かせるか、応募した会社にどれだけ貢献できるかをメインに伝えていきます。
業績が悪化していく中で自分が会社のために貢献しようと頑張ってきた経緯は、採用担当者に対し苦境に立たされたとしても一緒に頑張ってくれるのではないかという印象を与えます。
また、前職では業績回復に貢献しきれなかったけれど、これまでのスキルや経験を活かして転職先のどんな仕事をがんばりたい、といった流れもおすすめです。
会社の業績悪化の事実を認めつつも悪く言わず、転職先でどんな仕事がしたいという思いと、自分ならどんな仕事ができるのかを伝えることが重要です。
全体にポジティブで意欲的な内容にするのもポイントなので、いくつかパターンを用意しておくと良いでしょう。
将来性のある企業に転職したいなら転職エージェントの利用がおすすめ
業績の悪化が理由で転職したのに、この会社も業績が悪化してしまってはせっかく転職しても意味がありません。
ですが、個人で企業の内部状況を把握することは難しく、ましてや転職活動中に調べることはなかなか困難です。
そこで利用してほしいのが転職エージェントです。彼らは転職のプロであり、企業の情報を詳しく把握しています。その情報を元にあなたの希望にマッチした企業を紹介してくれます。
転職の際に必要な履歴書作成や面接練習、企業との面接日程調整や待遇交渉などのサポートをしてくれるほか、転職のことならなんでも相談可能です。
企業の業績の安定度や将来性もある程度は相談できるので、転職エージェントとともに転職活動を進めることをおすすめします。
また、利用料は一切かからないのでまずは相談だけでもしてみるのが良いでしょう。