仕事で割り切れない理由
令和3年度の内閣府による国民生活に関する世論調査において、働く目的に「お金を得るため」という回答が全世代で1位になっています。
仕事は生活していくためのお金を稼ぐものという意識で働いているのに、人間関係や業務でかかるストレスが大きくなり、イライラしてしまうということがあります。
割り切って働いているはずなのに、吹っ切ることができないことに悩んでしまうこともありますが、人間である以上、感情をなくすことはできません。
お金をもらって働いているといっても、好きではない仕事でやる気を出すことは難しく、不快なことにストレスを覚えることを止めることは難しいものです、
しかし、全てを割り切ることができないからといって、悩む必要はありません。
ある程度割り切って働くことができる人でも、心の中で不満をくすぶらせている部分はあり、何も不満を感じずに働いているという人はほとんどいないのが現状です。
感情を無理矢理押し込めて見ないふりをしようとすると、却ってストレスに繋がってしまうことがあるため、嫌なことは嫌だと自分の感情を認めたうえで、どのように受け止め方や行動を変えていくのかと考えることが大切です。
まずは、仕事を割り切ることが出来ないタイプに自分が当てはまるかどうかをチェックしておきましょう。
参考:内閣府「国民生活に関する世論調査 調査結果の概要 働く目的は何か」
気持ちの切り替えが苦手
繊細であったり、感受性が豊かな方の場合、周りの人の感情を真正面から受け取り、気持ちを切り替えることが苦手ということがあります。
気持ちの切り替えが得意な方は、嫌なことがあったときでも「まあいいか」とすぐに立ち直ることができますが、切り替えが苦手な方は、終業後や翌日以降もひきずってしまいがちです。気持ちを切り替えることが苦手である故に仕事を割り切れないという理由が考えられます。
気持ちが上手く切り替えられないときには、誰かに話を聞いてもらったり、紙に書いたりして、自分の気持ちを吐き出すことでモヤモヤしている原因を言語化してすっきりとさせるなどのリセット方法を見つけることで改善していくことができます。
ひとつずつ方法を見つけて試していきましょう。
周りからの評価を気にしてしまう
周囲からの視線や評価を気にしてしまう性格の場合、仕事でのミスやちょっとした会話の中でも周囲がどう思っているか、噂をされているのではないかとネガティブな考えに囚われてしまいます。
周囲の目を気にしてしまう性格の人は、どうしてミスをしてしまったのか、次に同じことが起きたらどうするかという今後の対策に目を向けるよりも、自分自身を責めるような意識が働いてしまうため、仕事と割り切ることができずに、落ち込みをプライベートまで引きずってしまいます。
仕事は仕事だと思うことができず、ただ仕事でミスをしたという事実で、必要以上に自分を責めたり、自己否定に夢中になってしまうようなことに覚えがある方は、仕事を割り切ることが難しいでしょう。
他人と自分を比べてしまうということもほとんどの人に経験のあることですが、周りの評価よりも自分がどう成長しているか、自分の強みは何かというところに軸を置くようにすることで、周囲の視線を気にすることも減らしていくことができます。
主観で動いてしまう
仕事に対して好きか嫌いかの主観で考えてしまうという方も、仕事を割り切ることができていない可能性が高いです。
仕事に対して感情で動いてしまうということは、仕事を客観的に考えることができていない状態であるため、仕事が好きでも嫌いでもこだわってしまい、プライベートまでひきずってしまうことになります。
仕事が嫌いなだけではなく、仕事が好きな場合もこだわりすぎてしまうと悩みやストレスとして精神的な負担となってしまいます。
仕事を好きだから、嫌いだからという考えでストレスが溜まっている場合は、少し仕事との精神的な距離を空けてみて、客観的な視点から判断することで、仕事との上手い距離感を掴めることもできるでしょう。
仕事を割り切ることによるメリット
生活のためには働かなければならないけれど、仕事は嫌だとモヤモヤしてしまったり、仕事中の嫌なことをひきずってしまう方は少なくありません。
仕事は仕事、お金を稼ぐための手段を割り切って考えることには、どのようなメリットがあるのかを確認しておきましょう。
集中できる
仕事が嫌だという思いのまま始業してしまうと、仕事の間中マイナスの感情を引きずってしまうことになります。
業務に真摯に向かうことと、仕事はただの仕事だと割り切ってしまうことは別物であると考えることで、就業時間中に余計なことを考える必要がなくなり、仕事に集中することができるようになります。
仕事のストレスが減る
業務を行っていると、仕事量や仕事の進め方の処理が上手くいかなかったり、職場の人間関係での悩みを抱えたり、仕事に対する周囲からの評価や成果など、さまざまな感情や事柄が関連しているため、強いストレスへの引き金になりかねません。
仕事と自分という人間は別物だと割り切ることで、仕事上のストレスを軽減することができます。
目的や目標に対しての行動が明確になる
仕事は仕事と割り切ることで、感情でものを判断することが少なくなるため、目的や目標に向かって冷静で合理的な判断を下すことができるようになり、目的に到達するためにはどうすればいいのかという行動を明確にすることができます。
対人関係で悩まなくなる
仕事とプライベートは別物だと認識することで、仕事をする上で悩まされる人間関係があっても、仕事を終えてからも悩むということがなくなります。
仕事上での関係だと割り切ることができれば、仕事を円滑にするためにはどのように付き合えばいいのかということが見え、仕事に必要ではない噂話や愚痴などのマイナスな話題に付き合う必要もなくなるため、自分の気持ちも健全に保つことができます。
仕事を割り切るためのコツ
仕事は仕事だと割り切りたいのに上手くできないという場合、どのような点にポイントを置いていけばいいのかということをチェックしていきましょう。
周りの人に期待をしすぎない
周囲に「こうしてくれたらいいのに」と期待をしてしまうと、どうして思い通りにしてくれないのかとイライラしてしまい、仕事を割り切ることが難しくなってしまいます。
同じ職場で働いていても、人それぞれに性格が違えば、考え方や仕事の仕方も異なります。「こうなってほしい」と相手に変わってもらう期待をするのではなく、自分は仕事をどう行っていくのかということに軸を置くことで、仕事に感情を振り回されることを減らしていくことができます。
どうしようもないことはあると考える
自分がどんなに頑張ったところでうまくいかないことや変わらないことはあるという考えをもっておくことで、いつまでも悩んでしまうということを断ち切ることができます。
会社という組織で仕事を行う上では、責任が自分1人にあるということは少なく、何をしても上手くいかないことはありえます。
仕事のミスが自分のせいだと思い込んでしまうとプライベートまで引きずってしまうため、どうしようもないこともあると意識をもつことで、仕事を割り切ることができ、前向きな気持ちで次に進むことができるようになります。
悩むことがもったいないとポジティブな思考を意識する
職場の環境や業務上の悩みについていつまでも考え込んでしまうと、仕事のオンオフを付けることができず、悩みに意識が働いて業務効率が落ちたり、プライベートでのストレス解消ができないといったマイナスの影響が発生する可能性が高くなってしまいます。
悩んでいる時間があったらできることを思い浮かべたり、もったいない時間の使い方をしないとポジティブに考えることを意識づけることで、次第に悩みを引きずらないようにする訓練となります。
疲れているときにはどうしてもネガティブな考え方に陥ってしまいがちですが、最初は意識をしてポジティブな思考を持つようにすることで、仕事は仕事で、個人とは別ものだと割り切ることができるようになっていきます。
仕事以外での生きがいや集中できる趣味を見つける
仕事を割り切ることができないという方は、生活が仕事一辺倒になっていたり、一日中意識が仕事に支配されてしまっているという恐れがあります。仕事以外での生きがいや集中することのできる趣味、リフレッシュできる楽しみを見つけることで、仕事の外に意識を向けることができます。
プライベートに生きがいとなるものがあることで、仕事は仕事だと割り切ることができ、プライベートを楽しむために働こうという意欲にも繋がります。
仕事で疲れて趣味を見つける余力が残っていないという場合には、まずはゆっくり休む時間を作り、昔楽しんでいたことや自分のやりたいことややってみたいことをリストアップしてみるだけでも意識を仕事以外に向けることができるでしょう。
副業を始めてみる
どうしても仕事に意識が向いてしまうという場合、思い切ってもう一つ仕事を増やしてみるというのも一つの選択肢となります。
就業規則で副業が禁止されていないのであれば、副業を始めてみることで、嫌でも本業の外に意識を向けることができます。
ストレスが増えてしまうリスクもありますが、収入が増えたり、関わる人が増えることで悩みを分散させて軽くするなどのメリットも考えられます。
自分のやってみたかったことや趣味を副業として行うことで、息抜きにすることができたり、それを本業にしていく知識やスキルを身につけることができるという可能性もあります。
仕事を簡単に割り切るのは難しい。でも割り切れると一気に楽になる
仕事を割り切るというのは、一口に言っても簡単なことではなく、割り切ろうと考えていても上手くいかないと悩んでいる方も多いでしょう。
仕事を割り切れない時のケースはさまざまあるため、仕事の内容や人間関係など、自分にとって何が嫌なことなのかを客観的に把握することに時間がかかるということも珍しくはありません。
仕事は仕事だと割り切りたいという時には、普段の自分の思考の癖を見つめてみることで、ネガティブに考えすぎていることや仕事に重点を置きすぎているなど、課題を見つけて対応することができます。
一度割り切るためのコツを見つけてしまうと、業務に集中することができるようになったり、対人関係や仕事のストレスを軽減することができ、目的や目標の達成に向けて邁進することができるようになります。
ストレス負荷が減れば精神的にもグッと楽になり、ストレスが溜まりにくくなるため、仕事のパフォーマンスも高めていくことができます。
能率的に仕事を進められることで、仕事を早く終えることができるようになったり、プライベートを楽しむことができるように生活や仕事への取り組み方を変化させていくことができるでしょう。
いきなり仕事だと割り切ろうと考えると、できないことに悩みを抱えだしたり、却ってストレスが溜まってしまうということが考えられます。
そうならないためにも、自分の思考の棚卸しをしながら可能な範囲で割り切れる部分を増やしていくことを目指して、ストレスを溜めないような思考を持つようにしていきましょう。