企業によって採用時期は異なり、求人数が多い時期や少ない時期があります。
求職者数にも年間を通して増減があり、転職をするなら少しでもライバルが少ない時期を選びたい! と考える方もいます。
ライバルが少ない時期は、求職者が転職先を見つけたり新卒採用のあとの時期と考えることができますが、そのタイミングは本当にライバルが少ないかどうかはわからないものです。
希望する業界や職種によっては、ライバルが少ない=求人そのものが極端に少ないことも考えられるでしょう。
そこで、今回は転職活動でライバルが少ない時期があるのか、その時期の転職は有利なのかなど、転職する時期にスポットを当てて解説していきます。
転職でライバルが少なくなる時期はある?
転職活動においてライバルが少なくなる時期と求人数には密接な関係があります。
企業の採用活動と求職者の転職活動が盛んになる時期は、多くの転職活動が行われるためライバルが多いと判断できます。
つまり、求人数と求職者数が落ち着いているタイミングがライバルが少ないと考えることができるでしょう。
一般職業紹介状況(職業安定業務統計)によると、令和3年の新規求人数(パート除く)は、5月が最も少なく、10月が最も多くなっています。
新規求職者数は、12月が最も少なく次いで5月も少ないことがわかります。
この表では、新規求人数と新規求職者数がどちらも少ないのは5月となり、令和3年は5月が転職でライバルが少ない時期と判断することができるでしょう。
年度ごとに多少の波のばらつきはあるものの、求人が減り始める時期からはライバルも減りはじめ、次の波の前に増え始めるといったサイクルがあります。
このサイクルを上手く活用してなるべくライバルが少ない時期を選びたいなら、過去数年程度の新規求人数と新規求職者数のチェックや、転職を希望する会社の採用時期・中途採用時期なども調べておき、おおよそ毎年〇月がねらい目といったように見極めておきましょう。
下の表で5月に新規求人数が少ないのは新卒採用の準備をする企業が多いからで、特に新卒採用と中途採用の担当者が同じ場合は新卒採用を優先させる傾向があることも影響しています。
ライバルの少ない時期は、企業の事情を考慮すると転職に最適とは言いにくいものがありますが、転職を希望する人から見ればチャンスだと言って良いでしょう。
これまでの流れから考えると転職する際は、ライバルが少ない時期の方が有利になると解釈することができますが、実際は本当に有利になるのでしょうか。
次は、転職活動でライバルが少ない時期のメリットとデメリットを紹介していきます。
令和3年の新規求人数(パート除く)と新規求人数の推移 | ||||||||||||
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
新規求人数 | 478,968 | 456,112 | 497,844 | 466,065 | 424,232 | 498,735 | 474,767 | 451,498 | 508,773 | 526,173 | 482,435 | 507,659 |
新規求職者数 | 262,946 | 257,350 | 293,484 | 318,087 | 219,265 | 238,828 | 232,725 | 230,718 | 235,279 | 246,637 | 228,263 | 209,749 |
参考:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)|厚生労働省(最終確認2022/11/08)
ライバルが少なくなる時期のメリットとデメリット
転職活動をする上ではライバルが少ない方が希望する会社に入りやすいと感じる方もいますが、実際はライバルが少ない故のメリットやデメリットが存在します。
ここでは、ライバルが少なくなる時期に転職するメリットとデメリットを解説するので、リスクを感じる人はどのようなリスクヘッジが必要か考えてみてください。
はじめにメリットからチェックしていきます。
ライバルが少ない時期に転職活動をするメリット
倍率が下がる可能性あり
ライバルが少ない時期は、求職者数が少ないのでその分その会社への転職の倍率が下がる可能性があります。
倍率が低い=転職の成功率がアップするということではないものの、倍率が高いときよりは少し気楽に転職活動できるでしょう。
迷いにくく求人を絞り込みやすくなる
選択肢が一定に限られた中で求人を選ぶので求職者自身に迷いが生じにくく、求人を絞りやすくなるメリットがあります。
転職サイトで一通りの求人を見ただけでも複数の候補が見つかるように、求人が多いときはどれも気になるものです。
ですが、そういった迷いが生じにくい環境に置かれるため、本当の自分の希望に限りなく近い求人に絞り込みやすいでしょう。
企業側は応募者をじっくり見て採用できる
企業側としても、求人数や応募者数がピークよりも少ないので、応募者をじっくり見て採用できるメリットがあります。
ピーク時は一定の条件に達しない人は切り捨てるような企業もあるので、その点ではミスマッチも予防できる可能性が高いです。
企業側に面接で好印象を与えられれば一発内定も
求職者が少ないということは、必然的に求人への応募者数も少なくなります。
応募があったとしてもその数がピークに比べて少ないので、採用担当が応募者同士を比較して選ぶことも少なくなるでしょう。
そのため、企業側に面接で好印象を与えることができれば内定が早まる可能性も出てきます。
特に、年末でどの企業も忙しくなる12月は、求人数が増えるタイミングでありながらも求職者数が最も少ない時期です。
豊富な選択肢があるのに応募者が少なく、働きながら転職活動をしたい人が年末の忙しさに追われて活動できないと解釈することもできる時期です。
こうしたタイミングや季節的な忙しさも味方にすれば、ライバルが少ない時期に転職する方がメリットが大きいと言えるでしょう。
ライバルが少ない時期に転職活動をするデメリット
選択肢が少なく妥協せざるを得ない場合もある
一方、ライバルが少ない時期は求人数も少ないため、選択肢も少なくなることが挙げられます。
豊富な求人から選ぶことができず、ある程度妥協して求人を選ぶ人も出てくるでしょう。
妥協して選んだ会社に転職することは、妥協する部分にもよりますが長く勤められないか、妥協した部分を手にするために再度転職する理由にもなります。
自分の理想に叶う求人がなければライバルの多い・少ないはあまり関係ないため、転職を見合わせる決断も必要でしょう。
切りの良いタイミングでの転職は難しい
一般的には4月や9月の転職が多い中、足並みをそろえた切りの良いタイミングの転職は難しくなります。
面接で何か特別な事情や理由があるのではないか、そう疑われることや前職を辞めた理由なども細かく聞かれる可能性も出てきます。
企業側への対策も普段より入念に練っておく必要があるでしょう。
同期が少ない可能性
ライバルが少ない分採用される人材も多くはないことが挙げられます。
ピーク時に比べて同期が少ないか、いないということも覚悟しておかなければなりません。
ほかのタイミングで転職した方に比べると少し寂しい思いもあるでしょう。
ブラック企業に入社する可能性
本来なら企業は増員や欠員補充などの目的で、求職者数が増えるタイミングを狙って求人を出す傾向があります。
しかし、求職者数が少ないときにも求人を出し続ける企業は、よほど条件や待遇に問題があるか、常に離職者が絶えないブラック企業の可能性もあります。
求人を選ぶときはその企業の調査を入念に行い、少しでもブラック企業の香りがするようなら避けるようにしましょう。
転職をするなら時期を考えてからするのがおすすめ
転職を検討している方は、はじめに目安となる転職時期を決めてから動き出すことをおすすめします。
例えば、4月に転職したいなら2月~3月まで決める必要があり、9月なら7月~8月には動き出さなければなりません。
もっと早い段階で転職を決めてコツコツ準備を進めても問題ありませんが、長すぎる転職活動は心身や収入面の心配も出てくるので期間を決めた方が良いでしょう。
また、ビジネスパーソンの中にはボーナスをもらってから転職しようと考える方もいます。
その際にはボーナスの出る時期、対象となる期間などを事前に調べて把握しておきましょう。
ボーナスが転職成功までの生活費になる場合は特に、もらいっぱぐれることがないように慎重かつ正確な情報を集めることをおすすめします。
会社で働きながら転職活動をする場合は、退職してから転職活動をする人より早めに動き出すことがおすすめです。
転職活動に費やせる時間が少ないことや、情報収集できる量も1人では限界があるからです。
1日あたりの転職活動の時間が限られているので、あとはコツコツ地道に積み重ねていくよりほかないでしょう。
もしも、1人で取り組む転職活動に限界を感じる方、もっと詳しい企業情報を集めたいという方は、転職のプロである転職エージェントの利用も検討してみてください。
転職を考えたらまずは登録と相談をしよう
転職しようと思ったとき、1からすべての準備を1人ですることは時間と労力を考えても大変な作業です。
履歴書や職務経歴書など書類作成をはじめ、求人選びや企業調査なども含めると応募するまでの間に大量の作業があります。
そのため、転職を検討し始めたときに転職をサポートしてくれるサービスに登録しておき、相談しながら転職準備を進めるのも賢いやり方です。
もしも、サービスに登録したとき転職しようと思う気持ちがまだぼんやりしていて固まっていなかったとしても、いざ本気で転職活動に向き合おうと思ったときは、登録済みのアカウントを使って準備を進めることができます。
普段の隙間時間を活用してサービス内で履歴書や職務経歴書などを事前に作っておけば、ある程度の提出書類が出来上がった状態から転職活動を進めることができるでしょう。
内容や状況により修正が必要になったとしても、すべての書類を1から作り直すわけではないので気持ちや労力的にも負担を減らすことができます。
転職エージェント活用のすすめ
こうした転職系サービスの中でまず登録しておきたいのは、転職のプロである転職エージェントです。
ほかの転職系サービスとは異なり、自分のスキルや経験、転職に関することなら何でも相談できることや、提出書類作成の代行などもしてくれます。
また、自分がどんな方向で転職するのが良いか、今後のキャリアについてアドバイスを受けながら進めることができます。
今は転職への気持ちがぼんやりしている人でも、転職しようか迷っている状態なら相談してみる価値があるでしょう。
在籍する会社の現状を把握して、自分がどんな条件や業界を希望しているかを見つめ直す機会にもなります。
1人の利用者に対しキャリアアドバイザーが付くのも、転職エージェントならではの特徴です。
転職が成功するまではもちろん、入社後のアフターフォローまでしてくれるので、転職先の会社が合わなかった場合も安心です。
転職エージェントは、これらのサービスのすべてを利用でき登録や利用料金は一切無料で利用できます。
1人で転職することに不安がある方、迷いがある方の支えになる存在でもあるので、登録をしておくことをおすすめします。