ハローワークの招待状がなくても直接応募は可能か?招待状があるメリットともらい方ハローワークに行くと、企業の採用試験に受けるための招待状をもらえます。

しかし、近年はネット求人が増えていて、そのネット求人では招待状なしで直接応募できます。

では、なぜハローワークで就職活動していると招待状が必須なのか、直接応募ではダメなのか気になるところです。

また、招待状がある人と直接応募の人では、採用試験に違いがあるのかという点も疑問に感じるでしょう。

そこで今回は、ハローワークの招待状の効力と直接応募ではダメなのかという点について解説します。また本記事では、招待状を出している企業に直接応募してもOKかという疑問についてもお答えします。

ハローワークの招待状とは?

ハローワークの招待状とは?ハローワークの招待状とは、その名の通り「ハローワークからあなたの企業を紹介されました」と証明する書類です。

ハローワークが発行してくれる書類で、ハローワークを介して求人に応募してきたと分かるようになっています。

具体的にハローワークの招待状には、どのような内容が記載されているのか見てみましょう。

  • 求職者の氏名
  • 選考方法
  • 面接予定日
  • 企業の所在地や地図

以上の情報がハローワーク発行の招待状には記載されています。

次に、実際の招待状がどのようなものなのか見てみましょう。

画像:ハローワーク利用案内「招待状とは?」

招待状の左側には、以下の内容が記載されています。

【左側】

紹介状
◯◯ ◯◯様
先に申込いただきました求人について次の方を紹介いたします。
面接日 平成◯年◯月◯日◯時◯分

  • 求人番号
  • 求職番号
  • 所在地
  • 担当者名
  • 選考及び就業場所までの地図

そして、右側は以下の内容です。

【右側】

  • 合否結果
  • 求職番号
  • 求人番号
  • 採用職種・雇用予定日
  • 賃金見込み月額

この招待状は、本人確認書類としても使用します。そのため、求職者が企業の採用試験に行った際には、招待状を提出しなければなりません。

ちなみに、求職者がもらうハローワークの招待状はあくまでコピーです。原本はハローワーク側が保管しています。

では、なぜハローワークの招待状が必要となるのでしょうか。本人確認書類とはいっても、ネット求人などから直接応募した場合は、そのような書類がなくても問題ないはずです。

実は、ハローワークに求人を出している企業は「若年者等正規雇用化特別奨励金」「試行雇用奨励金(トライアル雇用奨励金)」といった助成金が出ていて、これらを受け取るための証明として招待状を発行してもらうのです。

招待状があれば、企業は若年者等正規雇用化特別奨励金として1人あたり月額25〜50万円が、試行雇用奨励金は1人あたり月額4万円がもらえます。

ハローワーク自身も、誰にどの求人を紹介したのかという記録として招待状を保管しているので、ハローワークにとっても企業にとっても大切な書類であることは間違いありません。

招待状があるメリット

招待状があるメリットハローワークが発行する招待状は、求職者であるあなたにとって大きなメリットはありません。

そもそも、ハローワークが発行する招待状の役割は以下がメインです。

  • 情報を追跡する
    どの求職者がどの企業に応募したのか、合否の結果はどうなったのかなどを保管・管理する

  • 企業が助成金を受け取る
    「若年者等正規雇用化特別奨励金」「試行雇用奨励金(トライアル雇用奨励金)」などの助成金を受け取るための証明書

しかし、稀に求職者にメリットとなるケースがあります。それが、再就職手当を受給するときです。

再就職手当とは、失業保険の給付を受けている期間中に再就職が決まった場合、支給残日数が3分の1以上あり一定の要件を満たしていれば、まとまった金額が支給されるという制度になります。

普通なら、就職が決まった時点で失業保険の給付が止まりそうですが、実際は余っている分の一部は受け取れるのです。

ただし、招待状がなければ再就職手当が受け取れないというのは、非常に稀なケースとなっています。

というのも本来、再就職手当は招待状がなくても受け取れます。しかし、雇用保険法第33条の給付制限を受けた場合は、招待状がないと再就職手当が受け取れません。

雇用保険法第33条の給付制限を受けた場合とは、「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇」なので、いわゆる刑法違反の規定に違反した解雇などを意味します。

やはり、よほどの理由がない限りは、求職者であるあなたのメリットになることはないのです。

ちなみに、招待状があった方が優遇されるなどのメリットは一切なく、採用試験も招待状ありと直接応募で異なる内容ではありません。

招待状のもらい方

招待状のもらい方ここでは、ハローワークの招待状のもらい方について解説します。

招待状発行までの流れ

まずは、招待状発行までの流れについて見ていきましょう。

  1. ハローワークに設置されたパソコンから求人を探す
  2. 希望の求人が見つかったら求人票を印刷する
  3. ハローワーク内の総合受付に求人票とハローワークカードを提出
  4. 相談員と募集条件を確認する
  5. ハローワークから応募先に連絡してもらい企業から承諾を得る
  6. 相談員が招待状を作成してくれる

以上が、ハローワークで招待状を発行する流れです。

ハローワークに掲載されている求人は、全国共通のデータを使用しているため、どの場所にあるハローワークに行っても見られる求人票は同じになります。

また、求人票を見るだけであれば自宅のパソコンやタブレット・スマートフォンでも可能です。ただし、招待状の発行だけは直接ハローワークに足を運ばなければなりません。

発行できる場所

招待状が発行できる場所は、全国のハローワークです。特定のハローワークでなければダメという決まりはないため、あなたの自宅から最も近いハローワークに行けば発行してもらえます。

ちなみに、ハローワークの求人票を見ると「受理安定所」と書かれた項目があり、「渋谷公共職業安定所」「新宿公共職業安定所」といった形で、どこのハローワークから受理したものか分かるようになっています。

中には、この受理安定所に記載されたハローワークでなければ、「招待状が受け取れないのでは?と心配する方がいますが問題ありません。

実際は、記載された受理安定所以外でも招待状はもらえるので、最寄りもハローワークに行って発行してもらえばOKです。

1日に発行できる枚数

1日に発行できる枚数に決まりはありません。基本的に何枚でも発行可能です。

実際、1日に複数の招待状を発行してもらえば、書類の準備や面接日程の調整などをまとめてできるため、効率良く転職活動が進められるでしょう。

ただし、あまりに多く応募すると日程の管理などが大変になるため、多くても3~4社程度に止めることをおすすめします。

発行が難しい時間帯

基本的にハローワークが開いている時間帯であれば、何時でも発行は可能です。

ただし、招待状発行の流れの中に、企業への確認という項目がありました。つまり、企業側と連絡が取りづらい時間帯は避けた方が無難でしょう。

例えば、昼の12時や13時に連絡すると企業がお昼休みに入っている可能性があり、スムーズなやり取りができない恐れがあります。

ちなみに、企業と連絡を取るのはハローワークの相談員です。しかし、招待状の受け渡しは求職者に対して手渡しで行われます。

郵送などで対応してもらうのはできないため、その場で確実に発行してもらえるタイミングを狙った方が手間はかからなくて良いでしょう。

招待状がなくても直接応募はできるのか?

招待状がなくても直接応募はできるのか?招待状がなくても企業の採用試験に直接応募することは可能です。

その企業が、ネット求人などを介して募集をかけていれば、そのサイトの手順に従って応募すればエントリーできます。

また、ハローワークの求人であっても、しっかり確認を取ったうえであれば直接応募ができます。

まず、いきなり応募するのではなく、会社の採用担当者に電話で連絡をして、招待状がなくても応募可能ですか?と尋ねてください。

すると、大抵の企業は「招待状なしでも大丈夫です」と回答してくれるでしょう。

ただし、求人票に以下のような文章が記載されている場合は、直接応募ができません。

✔ 直接のご連絡・お問い合わせはご遠慮ください。
✔ 応募にはハローワークの紹介状が必要です。

直接連絡ができないのであれば、「直接応募ができるかどうか?」と尋ねることはできません。当然、「招待状が必要です」と記載されている場合も直接応募は不可です。

ハローワークに掲載されている求人に関して直接応募は、あくまでも「可能性がある」というだけなので、必ず求人票の内容を確認したうえで、電話で確認するようにしてください。

招待状なしで直接応募する方法3つ

招待状なしで直接応募する方法3つ最後は、招待状なしで直接応募する方法について解説します。

企業のホームページから直接応募

1つ目の方法は企業のホームページから直接応募するというものです。

企業のホームページにアクセスすると、大抵の場合「採用」「RECRUIT」などの項目があります。そのページに行けば、現在採用活動を実施しているかどうか確認できます。

そして採用活動していれば、そこからエントリーできるようになっているので、直接応募してみてください。

もし、採用に関する記載がないなら企業に電話やメールで問い合わせしてみましょう。その際は、採用活動しているかどうかに加えて、「必要な書類は何がありますか?」「ハローワークの紹介状は必要ですか?」といった点も尋ねると良いでしょう。

求人情報誌から直接応募

2つ目の方法は求人情報誌から直接応募するというものです。

フリーペーパーの求人情報誌には様々な企業の求人が掲載してあります。その情報誌を介してであれば、直接応募が可能です。

ただし、フリーペーパーの求人情報誌は怪しい求人が多いため「初心者歓迎」「誰でも簡単」「高収入」といった謳い文句がある求人には気を付けてください。

気にある企業なら、インターネットで業者名を調べてから直接応募した方が良いでしょう。

転職サイトや就活エージェントから直接応募

3つ目の方法は転職サイトや就活エージェントから直接応募するというものです。

最近は、ハローワークに通わずネット求人だけで就職活動や転職活動する方が増えています。そのため、そのようなサイトはどんどん増えていて、企業側も積極的にネット求人から採用活動を行っています。

登録料も無料なうえに、エントリーは各サイトの流れに沿ってすればOKという単純なものです。

誰でも気軽に利用できるうえに、多くの企業の求人が見つかるため、直接応募したい方には最もおすすめの方法となっています。

このように、ハローワークに行くと必須の招待状ですが、最近では招待状なしで直接応募できる環境が整っています。

また、招待状があってもなくても採用試験の合格率に影響がないなら、わざわざハローワークに足を運んで招待状をもらう必要はないでしょう。

ハローワークの招待状は、「なければ応募できない」という時だけ発行してもらえばOKです。そのような理由がないようなら、招待状の有無を気にせずに積極的に直接応募してみてください。