最近徐々に導入する企業が増えてきたフレックス制度。
出社時間、退社時間に縛られず、自由に働くことができるという点で、かなり良さそうには見えますが、経験していないと実際にどうなのかわかりませんよね。
そこで今回は、実際にフレックスタイム制で働いている人に聞いた、働き方やその制度で良かった点、悪かった点を紹介していきます。
フレックスタイム制勤務とは
まずは簡単にフレックスタイム制勤務について紹介します。
フレックスタイム制とは、所定の労働時間働いていれば、始業及び終業の時間をそれぞれの労働者が決めることができるものであり、1987年に労働基準法が改正されて導入されました。
参考:厚生労働省「フレックスタイム制の分かりやすい解説&導入の手引き」
従業員はある決められた期間(最大で1ヶ月)で総労働時間を上回っていれば問題なく、それ以上に労働時間がオーバーすると残業として認められます。
具体例を挙げてみましょう。
先ほど述べた決められた期間は1週間、総労働時間が40時間となっている場合に以下のように働いたとします。
曜日 | 労働時間 |
月曜日 | 12時間 |
火曜日 | 8時間 |
水曜日 | 10時間 |
木曜日 | 9時間 |
金曜日 | 4時間 |
この場合、トータルでは43時間となるので、残業時間は3時間となりますし、金曜日にたった4時間しか働いていなくても問題はありません。
ではこんな働き方はどうでしょう。
曜日 | 労働時間 |
月曜日 | 12時間 |
火曜日 | 12時間 |
水曜日 | 12時間 |
木曜日 | 4時間 |
金曜日 | 0時間(休み) |
前半に長時間働いてトータル40時間を達成し、1日休みを増やすという方法になります。
しかし、ほとんどの場合はフレックスタイム制でもこのような働き方は認められていません。
フレックスタイム制勤務を導入している企業の大半は、「コアタイム」という必ず勤務をしていなくてはならない時間を設けています。
例えば10:00~15:00までは必ず勤務しなければならないといった形です。
これがある以上、丸一日休みにするのは不可能である場合が多いです。
実際に経験したフレックスタイム制の仕組み
では、ここからは実際にフレックスタイム制を勤務した人の話を紹介していきます。
フレックスタイム制と言っても、コアタイムの時間や1日に働かなくてはならない時間は企業によってさまざまで、かなり自由な働き方でできる場合もあれば、それほど自由度はないという場合もあります。
そこで、まずはどんなフレックスタイム制だったか、どんな働き方をしていたかという点から紹介していきます。
コアタイムは13:00から14:00
コアタイムは午後の業務が開始する13:00から14:00のみ。
その為、午前中は丸々休んで午後から出勤するということも可能だし、朝から働いて14:00で早々に帰るということも可能でした。
他のフレックスタイム制を導入している企業に比べると、コアタイムが1時間しかないというのはかなり少ない方だと思います。
1日最低でも4時間
コアタイムが1時間しかなくてもその1時間だけ働けば良いというだけではなく、最低でも4時間は働かなくてはならないというルールがありました。
したがって、13:00から勤務すると帰ることができるのは最短で17:00、14:00で帰ろうと思えば9:00から勤務を開始しなければなりません(12:00から13:00は昼休憩の為、会社にいるのは5時間)。
残業の仕組み
残業は1ヶ月が終わった時点で[8時間×稼働日]からオーバーした部分となります。
例えば稼働日が22日あるとすると最低限達成しなくてはならない労働時間は176時間ですが、もし200時間働いたとなれば24時間が残業となり超過勤務手当が支払われます。
もし月の労働時間が足りなかったら
総労働時間が最低ラインを上回っていれば問題ありませんが、逆に逆に下回ってしまう人が稀にいます。
ほとんどの場合、計算ミスが原因です。ちょうど残業ゼロになるように働いていたが計算を間違えていて、30分足りなかったということがあるのです。
そうなると、労働時間が足りないとその月の給料が減額されるだけではなく、ボーナスまで減額されていますし、上司も管理者としての確認不足ということで人事などから怒られます。
そこで、このミスがあった場合はたいてい本当は働いてない時間も働いたことにしてゼロに帳尻合わせしていました。
働いていないのに給料が増えるので得だと思うかもしれませんが、それ以上に上司から怒られるので良いことはあまりありません。
働き方
13:00から14:00というコアタイムがあるので、割と自由に働くことはできますが、結局は8:00から9:00には出勤して働くことがほとんどでした。
遅く出勤すればその分帰りも遅くなってしまいますからね。周りもそんな感じです。
プライベートで所用がある、前日が飲み会があったといった理由がなければ特別遅く出勤することはありませんでした。
ただ月が後半になってくると指示された残業時間を超えてしまっている場合が多いので、4時間勤務にする、6時間勤務にするといった調整はしていました。
稀に午前中は打ち合わせなどがなければ絶対に来ない人もいれば、毎朝6:30に来て早く帰るなんて人もいます。
フレックスタイム制のメリット
正直フレックスタイム制ってどうなの?と聞かれたら、私自身は迷わず良い!と答えます。
もちろんデメリットもありますが、メリットの方が大きくて正直もうフレックスタイム制以外では働けません。
ここでは、具体的にどういった点が良かったのかということを紹介します。
朝焦らなくて良い、通勤ラッシュも避けることができる
結局8:00から9:00くらいに出勤するので特別朝ゆっくりしていたわけではないんですが、急がなくては!と焦ることもないし、渋滞に巻き込まれても仕方ないかというくらいで終わります。
どうしても眠たかったらもう少し寝てからなんてこともできます。
朝が弱いという人にとってフレックス制は強い味方です。
柔軟さで色々と助かった
前日に飲み会があった、銀行や役所に行かなくてはならない、などで午前中は休んでから行くということができるのももちろんですが、それ以外にもフレックスタイム制の柔軟さに色々と助けられました。
金曜日は14:00で早々にきりあげて金土日で旅行に行くということもできましたし、体調不良の時に4時間で早々に切り上げて帰るなんてこともできました。
仕事面でも1ヶ月の内で負荷を考えて調整できるので、限られた残業時間内で仕事をするのには役立ちましたね。
寝坊しても問題なし
誰だって一度くらい寝坊するかもしれません。
普通であれば、寝坊して勤務時間に間に合わないと、給料を減らされたり、ボーナスにまで影響にでることもあるでしょう。
ただフレックスタイム制であれば、そもそも遅刻という考えがありません。
コアタイムの時間にさえ間に合えば遅刻にはなりません。
前半に頑張れば後半が楽
特別負荷に偏りがない場合、前半とにかく頑張って働いて後半楽をするなんてこともできます。
私自身もたまに、前半は多めに働いて、最後の1週間は毎日4時間だけ働くといったことをやっていました。
時間に余裕ができてストレス解消ができます。
フレックスタイム制のデメリット
では、逆にフレックスタイム制で悪かったことは何だったかについても話していきましょう。
新人は決まった時間に行かなければならなかった
新人はいくらフレックスタイム制と言えども決まった時間に行かなくてはならなかったです。
上司もしくは先輩が毎日来る時間次第で、遅れたとしても遅刻扱いにはなりませんが嫌味を言われます。
自由に出勤できるようになるのは一人で仕事ができるようになってからですね。
結局新人は上司や先輩の指示のもと仕事を教えてもらいながらこなしていくことになりますが、上司や先輩にだって都合があります。ばらばらの時間に来られても困ってしまいますからね。
何より新人は早く来るべきだなんて風習が残っていることも原因でした。
ちなみに入社したての新人の頃、朝早く来ても指導担当の人がまだ出勤してなくて何時間もすることなく放置なんてこともよくある話です。
上司によっては遅く出勤することが許されない
新人ではなくても、上司によっては遅く出勤することなんて許さないという人もいて、フレックスタイム制が機能していない場合があります。
元々朝決められた時間に出勤することに慣れてきた人にとって、制度としてどうであろうが認めないという人もいるんですよね。
あとは上司の立場からすると毎日必ず決まった時間に来るほうが管理をしやすいという面もあるかもしれません。
働き方を考えないと苦労する
フレックスタイム制は自由があるがゆえに計画をしっかり立てないと苦労します。
なんだかやる気がでないからと月の初めに短時間労働を繰り返した結果、後半になって毎日長時間労働せざるを得なくなったり、逆に何も考えず前半働きすぎて後半に時間がなくなったり、ということもあります。
正当な理由がないのに指示された残業を超えてしまうと評価を下げられてしまうような会社だったので、こっそり家に持ち帰って仕事をするはめになっていた人も何人かいました。
連絡を取りたい人がまだ出勤していないという場合が増える
自由に働くことができるのは自分に限った話ではありませんから、いざ社内の人に連絡をとろうと思った時にまだ出勤していなかったり、すでに帰ってしまっている場合があります。
急ぎの用事でも出勤していなければどうしようもありませんからね。
最後に
このようにもちろんデメリットはあるんですが、それ以上に良い部分があるフレックスタイム制。
自由な分、自分自身の計画力がより重要になりますが、自分に合った働き方がしたいという方にはおすすめです。
もしもっと自由に働きたいと考えている人がいたら、フレックスタイム制のある会社への転職を考えてみてはいかがでしょうか。
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