新卒が優遇される日本の採用活動。
20代前半、第二新卒であれば未経験の求人も豊富でハードルは低いですが、20代後半になると難易度が増してくるのが現実です。
ただ中には20代後半でも全く未経験の業界・職種へ、しかも名の知れた大手企業への転職を成功させた人もいます。
今回は、実際に筆者が29歳、未経験で大手企業への転職を成功させた話についてお話します。
現在転職するかどうか迷っている方、転職しようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
筆者の成功体験談
私が転職したのは約4年前。29歳の時にそれまでとは全く違う業界・職種へと転職しました。
新卒で就職してから転職まで
もともと仕事に対しては不満ばかりでした。
就職活動はあまり上手く行かず希望の業界には行けずじまい、職種も配属先も希望通りにいかずじまい。
仕事ができるようになってくれば楽しくなる、なんて言う人もいましたが、私の場合は残念ながらそんなこともありませんでした。
ただ、だからといって転職するという決断にはなかなか至らなかったのです。
「最初はとりあえず3年は働かないと」という思いが強く、勤めていた会社がそれなりに大手であったこともあり、待遇も決して悪くありませんでした。
仕事内容には不満があったものの、それなりに高い評価は貰っていて人間関係も良好。
結局3年たった後もずるずると働き続けて、気がつけば29歳。その頃にはもうこの仕事から離れることはないのかな、なんて気持ちを持つようになっていました。
転職活動をはじめたきっかけ
そんな私が転職活動を始めたきっかけは、偶然見かけた求人です。
とりあえず登録してそのままだった転職サイトで、たまたま大手企業の求人が出ていたのです。
条件は以下のようなものでした。
- 第二新卒と書かれていながらも、年齢は30歳未満なら応募可。
- あれば望ましい職種経験は書かれていたものの、必須の条件はなし。
- スキルとして歓迎されていた英語力は、海外勤務が1年だけあったのでそこそこ自信あり。
最低限の条件は満たしている、もしかするといけるのではないか?と思いました。
これがきっかけで転職を意識し、そこから転職エージェントに登録して転職活動を開始しました。
自信は無い、でもやるだけやってみた
転職エージェントに登録してみると、未経験でも応募可能で、自分の希望をそれなりに満たす求人があることを知りました。
しかし求人数は決して多くはなく、例の求人に至っては転職エージェントからはおすすめされませんでした。
ただ、最低限の応募要件は満たしていました。
もちろん応募要件を満たしているからといって、楽観的にはなれません。
未経験者なら若い人の方が有利、29歳というギリギリの年齢である自分が受かる可能性は低いと思いました。
でも受けてみるだけなら損はありません。やれるだけやってみようと思い、応募に踏み切ったのです。
転職活動でアピールしたこと
受けた5社のうち、3社は書類選考で落ちてしまいましたが、2社は面接に進むことができました。
結論から言うと、その2社から内定がでることになります。
どちらも大手有名企業。まさかここまで上手くいくとは思いませんでした。
転職活動では、前職でどういった仕事をやってきたか、どういう実績を残してきたか、具体的に数字を出して説得力を強めながらアピールしました。
特に強くアピールしたのは、どんな仕事でも通じるスキルです。
コミュニケーション力はもちろん、いかに周りを巻き込むか、いかに論理的に考えて行動するか、どのように目標を立てるかといったことを話しました。
その点を評価してもらえたのではないか、と今となっては思います。
転職後のこと
29歳で全く未経験の仕事に就く、ということに大変そうなイメージを持つ方は多いかもしれません。
ただ私の中では、新しい会社に慣れるのにそれほど苦労したという実感はありませんでした。
たしかに最初は知識が無いうえに会社のシステムもわからない、人脈もないので頼れる人もいませんでした。
しかし3ヶ月も経てばなんだかんだ仕事は進められるようになり、職場にも馴染むことができました。
29歳の転職市場
私はそれほど苦労することなく、29歳で未経験業界・職種へ転職することができました。
では実際に、29歳の転職市場はどうなっているのでしょうか。
dodaの調査した転職成功者の年齢割合では、以下のような結果が出ています。
29歳を含めた20代後半の割合は約40%。他の年代と比べて圧倒的に高い数字が出ています。
なぜ成功者が多いのか、その理由もあわせて29歳の特徴について掘り下げていきましょう。
29歳の特徴
若さとスキルを武器にできる年齢
転職市場において、20代は「若い」という括りに入ります。29歳は30代の一歩手前ですが、それでも数字は20代です。
若さと経験を兼ね備えている29歳は、吸収スピードがはやく優秀な人材に育つことが期待できるため、企業からのニーズが高い傾向にあります。
未経験に転職できるラストチャンス
30代になると、ポテンシャルに比べて圧倒的に経験が重視されるようになります。
一方20代のうちはポテンシャルも大きな評価に入るため、未経験業界へ挑戦しやすい年代だといえます。
30代目前の29歳は、ちょうどそのラストチャンスに当たる時期なのです。
転職難易度に男女の違いはない
特に29歳の女性が不安に感じるのが、企業側に結婚・出産を懸念されることだと思います。
しかし昨今では、多くの企業がスキルや人柄を重視しており、29歳の女性だからといって転職が特別不利になることはありません。
一部の企業では採用されにくい場合もありますが、そのような会社は女性への理解が低い企業だと判断して避けるようにしましょう。
29歳未経験の転職難易度について
筆者のように、29歳未経験者であっても大手に転職できる可能性があります。
ただ誰もがみんな、そんな簡単にできるわけではないというのも事実です。ここで改めて、29歳未経験の転職難易度について確認しましょう。
未経験の業界・職種、どっちが難しい?
未経験業界への転職に限ればそれほど難易度が高いものではありません。ただ職種を変えるとなると、難易度は格段に高くなります。
まず、選択肢はかなり少ないのが現実。
30歳未満可・年齢不問といった求人の多くは、販売職や営業職、中小企業が中心です。20代前半で第二新卒として転職する場合に比べると、選択肢はかなり減ってしまいます。
30歳になると可能性はもっと低くなる
28歳と29歳の違いと、29歳と30歳の違い、どちらもたった1歳差ではありますが、経験者採用と違って未経験者採用の場合は状況が変わってきます。
下記のグラフは、dodaの調査した異業種・異職種に転職した人の割合です。
29歳と30歳の間で、異業種の場合は約10%、異職種の場合は8%の差が生まれています。特に異業種の転職においては、他の年代と比べて落差が最も大きくなっています。
その他には、異業種への転職割合はどの年代でも過半数を超えているにもかかわらず、異職種ではまず過半数を超えていません。
元からハードルの高い異職種への転職。これが30代に入ることで3割を切ってしまうのは、転職者側にとって大きな打撃になります。
転職の成功ポイント
ここからは転職の成功ポイントについて、具体的に3つお伝えしていきます。
最後には職種ごとのアピールポイントを少し載せましたので、ぜひ参考にしてみてください。
キャリアプラン・ライフプランを明確に
転職をはじめる前に、まず5年後、10年後を見越したキャリアプランとライフプランを考えましょう。
29歳になると、大卒であっても7年程度の社会人歴を積んでいるはずです。
その経験から得た学びをもとに明確な将来設計を組めれば、面接で説得力のある志望動機を伝えることができます。
また女性の場合は前述もしましたが、もし将来的に結婚・出産の予定があっても「長期的にキャリアを築きたい」という旨を伝えて懸念を払拭しましょう。
年下20代に負けないよう、即戦力をアピール
体験談の中で述べたように、私が面接で強くアピールしたのは異業種・異職種でも活かせるスキルです。
29歳には20代前半にはない多くの経験があります。経験を通して気づいた自分の強みを、具体例を挙げながらアピールできれば、成功率はぐんと上がるはずです。
裏を返せば、29歳は20代のなかで最も経験やスキルをもっていて、最も即戦力になりやすい存在なのです。
大手を狙うなら、転職エージェントを利用する
求人を探すときには、転職サイトで調べるだけでなく、ぜひ転職エージェントを利用してください。
大手企業の場合、応募者の殺到を防ぐために非公開求人(転職サイトには掲載されない求人)を出しているケースが多くあります。
転職エージェントを介さないと応募できないものもあるので、大手に狙いを定める方は積極的にサービスを使っていきましょう。
職種別のアピールポイント
最後に、未経験から目指す方の多い事務職、営業職、プログラマーの3つの職種について、使えるアピールポイントを簡単にご紹介します。
事務職 |
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WordやExcelなど、事務処理に使えるスキルを持っていればアピールするとよい。他にも前職がサービス業などであれば、電話対応が得意なことも武器になる。 |
営業職 |
提案力がある、成果や数字として結果を感じられる環境がいいなど、説得力のある説明ができることや数字に敏感な姿勢を見せられるとよい。 |
プログラマー(ITエンジニア) |
チームで仕事をしたり常に新しい知識を学んだりする必要があるため、コミュニケーション力や向上心をアピールする。 またプログラマーは「どの言語がどのくらい使えるのか」が重要な指標になるので、言語の使用歴やスキルレベルがわかるポートフォリオを用意する。 |
転職サービスで求人をチェックしよう
もしあなたが今の仕事に不満があるなら、ぜひ転職サービスで求人をチェックするところから始めてみてください。
転職支援サービスのおすすめ順は以下の通り。
- リクルートエージェント
- マイナビエージェント
- doda
- マイナビジョブ20s
リクルートエージェント
対象の年代 | 20代~30代 |
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どんな人に向いている? | ・若年層の方 ・より多くの求人を紹介してもらいたい方 ・年収や入社日などの交渉を任せたい方 ・年収UPを実現したい方 |
転職エージェントといえば、まずリクルートエージェントが最大手として挙がります。
公開求人・非公開求人ともに15万件以上取り扱っており、業界No.1の転職成功実績があります。扱う求人数が多いので、経験者・未経験者、若年層・ミドル層などどんな方でも利用することができます。
キャリア相談から履歴書や面接対策、年収交渉などをして貰えるので、転職活動がかなり楽になるし、何より15万件以上ある非公開求人を紹介して貰えるというのが最大のメリット。
待遇の良い求人は応募が殺到する為、検索しても出てこない非公開求人となっている場合が多いです。優良企業、ホワイト企業に転職したいなら非公開求人抜きで考えるわけにはいきません。
もちろん、公開求人にも優良求人はたくさんありますので、公開求人を15万件から検索できるメリットは非常に大きいです。
求人の量・質、サポートなどの評判も良く、私も利用しましたが対応が良かったという印象を持っています。
とにかく転職活動するならまず大手。求人数だけではなく、企業への交渉力や情報収集力も強いので、あえて大手を外す意味はありません。
マイナビエージェント
対象の年代 | 20代~30代 |
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どんな人に向いている? | ・若年層の方 ・関東、関西で仕事を探している方 ・企業への連絡や面接対策など、エージェントに任せたい方 ・フリーター→正社員を目指したい方 |
新卒の就職時にマイナビを利用していた人は多いと思いますが、マイナビエージェントはそのマイナビの20代、30代に特化した転職エージェント。
求人数だけ見たら他にもっと多いものがあるんですが、首都圏、関西圏の20代、30代にとってはかなり良い転職エージェントです。
求人数は2万件以上、そのうち8割以上が非公開求人となっています。
年齢、地域を絞った割にはかなりの量だと言えるでしょう。
doda
対象の年代 | 25歳~34歳 |
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どんな人に向いている? | ・特に技術職、営業職を希望の方 |
dodaはリクルートエージェントに次いで求人数が多い転職エージェントです。
リクルートエージェントやマイナビエージェントは、転職活動を行う際、必ずエージェントのサポートを受けながら進めることになりますが、dodaではサポートが要らなければ受けないということも可能です。
エージェントを利用したからといって転職を強要されることはありません。しかし、すぐに転職する気がない方にとっては利用しづらいかもしれません。
その代わり、非公開求人を受けることができなくなりますが、「今すぐ転職したいわけではない」「いい求人があれば転職したい」などエージェントからのサポートを受けづらいと考えている方にとってはメリットがあります。
マイナビジョブ20s
対象の年代 | 20代 |
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どんな人に向いている? | ・20代の方 |
マイナビジョブ20sは20代のサポートに特化した転職エージェントです。
一度正社員として就職した方はもちろん、フリーター→正社員への転職にも強いのが特徴です。
扱っている求人はすべてが20代が対象です。サポートを担当してくれるエージェントも20代のサポートを専門としているので、あなたのポテンシャルを十分に引き出して転職成功へ導いてくれるでしょう。
転職を考えている20代の方は忘れずに登録しておきたい転職エージェントです。