企業で働く方の中には、今の職場に対して何らかの不満を持っている方もいることでしょう。
不満を解消するには転職をして環境を変える方法が有効ですが、人によっては後で転職しなければ良かったと後悔することもあります。
転職すれば不満を解消できると思っていたのに、なぜ後悔するのでしょうか。
働き手が減少し、複数回の転職経験を持っていても珍しくなくなった昨今、転職で失敗してしまうとせっかくの売り手市場も台無しです。
後悔しない転職をするには、自分がこのタイミングで転職した方が良いのか、本当は転職しない方が良いのか見極める必要があります。
それでは、今が本当に転職のタイミングなのか、一緒に確かめていきましょう。
転職したいと感じた理由は何? 転職理由を振り返ってみよう
今、転職を検討している方は、なぜ転職したいと感じたのでしょうか。
仕事内容が思ったものと違う、職場の人間関係が辛いなど、さまざまな理由があるでしょう。
まずは、自分が転職したいと感じたのはどんな理由からなのか、掘り下げて考えていきます。
具体的な転職理由を振り返り転職の本質を探る
転職活動を始めると、転職先の企業で面接が行われることが一般的です。
面接では必ずといっていいほど聞かれるのが、前職の退職理由と転職先企業への志望理由です。
前職の退職理由は、単純かつ重要な項目で転職に関する本質的な部分とも言えるので、もし今、面接官に退職理由を聞かれたら何と答えるか想像してみてください。
明確な内容がすぐに浮かんだならともかく、転職理由がぼんやりした内容だった方は、職場への不満が大きくなって辞めたいだけの可能性があります。
誰でも不満が大きくなると、そこから離れたくなるものです。
しかし、具体的な転職理由がないまま転職してしまうと、この先同じような困難や不満にぶつかったときも、今回と同じように会社を辞めたくなってしまうでしょう。
今後、実際に転職したときに後悔しないためにも、今、転職理由と向き合うことが大切なのです。
同時に、転職活動を行うなら、前もってやっておきたいことがあります。
それは、転職に向けた準備の1つでもあり、冷静に自分を見つめるためにも必要なことです。
次では転職活動を始める前に、やっておきたいことを解説します。
具体的な転職活動を始める前にやっておきたいこと
事前に企業や業界の情報収集を行う
転職したいと感じた段階で、具体的な転職活動に移る前にやっておきたいのが企業や業界の情報収集です。
転職するとしたらどんな業界を志望するのか、企業でいえばどこなのかなど、始めは理想の範囲からでも良いので情報を集めておきましょう。
広く情報を集めることで、今後の自分の方向性を見出すきっかけになることもあります。
また、実際に転職活動を行う際の選択肢を広げることにも繋がるでしょう。
それに、情報収集は会社を辞めてから始めたのでは遅いです。辞めた後は求人への応募や面接で忙しくなり精神的な余裕がない状況も考えられます。
前もって情報収集をしないでいると、転職に向けて十分な準備ができないまま面接に挑むことになります。
この状態ではせっかくのチャンスを無駄にするようなものです。
転職はしっかりと準備をして万全の状態で挑めるよう、早い段階から企業や業界の情報収集をしておきましょう。
転職の本質や自分の市場価値などの自己理解
なぜ転職したいのか的確な理由があり、だからこの企業に転職したいという流れがあることは、転職する上でとても重要なポイントになります。
転職の本質を聞いた面接官をはじめ、周囲の方を納得させるものがあります。
転職活動の前に自分自身を見つめ直す際には、転職の本質を見極めるほかに、自分の市場価値を分析することもおすすめします。
自分のこれまでの経験やスキルがどれほどの価値があるのか、また、今後どのくらいのニーズがあるのかなどもチェックしておきましょう。
転職すべき人の特徴
転職したいと感じたタイミングで転職すべき人には、共通した特徴があることを知っていますか。
今、転職を検討している方は、自分が当てはまるかチェックしてみてください。
自分がその特徴に近い状態になっているなら、転職するタイミングが近いと言っても良いでしょう。
それでは、転職すべき人の特徴について解説していきます。
転職する目的がはっきりしている
転職すべき人の特徴の中でも最も大切なのは、転職する目的が明確で、その理由を言葉で伝えられることです。
何となく転職しようと思って… というような状態ではなく、転職する目的がしっかり整理されて周囲に説明できる状態を指します。
そのため、前職の退職理由と転職先の志望理由に繋がりや一貫した流れが生まれ、説得力あるアピールができます。
転職先に求める条件が明確
転職すべき人は転職先に対しても求める条件も、はっきり明確になっている方が多いです。
転職先に何を求めるのか、どんなことをしたいのか、自分自身の中でビジョンを描ける傾向があります。
また、譲れないことや最低限のラインをしっかり持っていて、自分を安売りすることがありません。
自分を振り返り反省し改善できる能力が高い
自分を常に振り返り、欠点や失敗を反省し、それを改善できる能力が高い傾向があります。
また、ミスや失敗をしても、そこから学ぶ姿勢を持っていることも特徴的です。
ある意味では素直で現実的な面があるといえるでしょう。
転職しない方が良い人の特徴
転職を希望する方の3分の1は、転職したいと感じたタイミングで転職せずに現職に留まる方が良いといいます。
何らかの理由があって転職を希望しているはずなのに、なぜ転職しない方が良いのでしょうか。
転職しない方が良い人の特徴を解説していきます。
転職理由がはっきりしていない
転職するにはできるだけ明確な理由がある方が有利です。
しかし、何となく転職したいなどのように、ぼやけた理由の方は現職に留まる方が良いでしょう。
転職理由がはっきりしないと言うことは、職場での不満が大きいだけのケースもあるので、まずは不満の原因を探ることが必要です。
また、転職理由がはっきりしない方が転職先で面接を受けても、ほとんどの面接官には見抜かれてしまいます。
態度や話し方はもちろん、履歴書や志望動機などからも気づかれてしまうからです。
転職先の企業から見れば、何のために面接を受けにきたのかわからないので、面接に受かることはほぼありません。
明確な理由が見つからない方は、現職に留まり社内での自分の役割を見つめ直してみましょう。
自分の市場価値を把握できていない
企業の価値や企業内での役職を自分の価値として考えている場合、転職はうまくいかないことがほとんどです。
自分の市場価値というのは、企業や役職に関係なく、転職を希望する方の市場価値と企業が求める価値を知ることから始まります。
前職ではエース的存在で実績が豊富だったとしても、転職を希望する企業のニーズに合わなければ転職は失敗に終わるでしょう。
また、自分の市場価値は年齢によっても変化して、一般に30代以上の場合は即戦力になるかが問われます。
マネジメント経験があるかないかも影響し、経験が豊富な場合は価値を高めることに貢献します。
そのほか、自分の市場価値には次のようなものが影響します。
<自分の市場価値に影響するもの>
- 経験
- スキル
- 資格
- 人脈
- 年齢
自分の市場価値を自分自身で把握できたら、念のために転職エージェントへの相談をしてみましょう。
第3者の意見も参考にすることで、より自分の市場価値を認識することができます。
転職市場価値が高い人の傾向
転職市場価値が高いと評価されるためには、自分磨きが必要です。
過去の実績のみでは不十分で、日ごろからさまざまな努力が必要になります。
<転職市場価値が高い人の傾向>
- 自分の知らないことを積極的に学ぶ
- 思考力や問題解決能力が高い
- チームワークを大切にできる
- 行動力があり結果に繋げられる
- そのときの市場が求める専門性がある
特に、自分の知らないことを積極的に学べる人は、業種や業界を問わずさまざまな企業で必要とされます。
常に変化に対応できる力があり、新しいことを取り入れていける柔軟さはぜひとも備えておきたいものです。
転職市場価値が低い人の傾向
転職市場価値が低いと評価されてしまう方には、次のような傾向があります。
<転職市場価値が低い人の傾向>
- 与えられた仕事のみをこなす(指示待ち)
- 発想の柔軟性に欠ける
- 社会人としての基本的な能力に欠ける
指示を出さなければ何もできずボーっとしているような人は、どの企業でも歓迎されず仕事ができない人だと判断されます。
与えられた仕事+αで自分の課題を見つけて、改善する能力がなければ今後の転職は厳しいものになるでしょう。
また、何事も自分のものさしに当てはめて、「こうでなければならない」という思考が強すぎる場合、どんどん変化していく社会の流れについていけません。
できるだけ新しいものや情報を取り入れていく柔軟さに加えて、基本的な社会人としての能力も見直したいものです。
社会人経験が長くなると、基本的なビジネスマナーがおろそかになったり、業務を遂行する計画性が薄れたりします。
いわゆる自分のやり方にこだわる傾向があるので、転職しようと思ったこのタイミングで、自分の行動も振り返ってみることをおすすめします。
現職の不満のみで転職を考えている
転職のきっかけが職場の不平不満であり、今の環境から逃げたいだけの方は、仮に転職できたとしても同じ理由で転職を繰り返す可能性が高いです。
また、転職して実現したいことが定まっていない方は、結局また転職先でも不満を抱きやすい傾向があります。
不平不満の矛先が職場の誰かにある場合は、問題を解決して現職に留まるほうが良いでしょう。
辞めたいという勢いや思いだけで転職しようとする
転職を簡単に考えて辞めたい勢いや思いだけで仕事を辞めてしまうと、次の職場が見つからずに離職期間がどんどん長くなる傾向があります。
離職期間が長くなるほど気持ちが焦り、最終的にはどこでも良いから採用されれば良いと言う感覚になりやすいです。
転職はそもそも、多くの情報を集めるなどしっかりした準備が必要です。
それを楽観視して取り掛かってしまうと、結局どこの企業からも焦りや勉強不足を見抜かれてしまい、マッチする企業が見つからない事態を招くでしょう。
もしも、今辞めたい勢いだけで行動してしまっている方は、一旦頭をクールダウンしてもう一度本当に転職したいのか考えてみてください。
業務上繁忙期でなければ、何日か有給を使って会社から少し離れてみるのも良い方法です。
待遇のみを重視している
転職する上で待遇はとても重要ですが、それだけを重視しても転職はうまく行きません。
高い給与をもらうには、それだけの実力がなければ採用に至らず、採用された後は業務上の責任が大きくなるはずです。
転職先のニーズにマッチしているならともかく、そうではなくて待遇優先で考えている場合は、転職理由や志望動機などとブレが生じるでしょう。
高年収は魅力的でも、お金に目がくらんだことは面接でバレてしまうことが多いです。
35歳以上の方は転職しない方が良いのか
20代の転職に比べて30代以上の転職は何かと厳しくなります。
特に35歳以上ともなると、同業でもなかなか難しい傾向です。
ですが、35歳以上の方は転職しない方が良いということではなく、チャレンジすることは可能です。
どの企業でも30代以上の方には即戦力になる人材を求めているので、経験やスキルに自信がある方は万全の準備をして挑むと良いでしょう。
また、30代~40代をターゲットにしている転職エージェントを利用するのもおすすめです。
転職活動をするなら慎重に! 客観的に見てくれる人に相談しよう
今の職場から転職しようと思うとき、焦って次々求人に応募しても良い結果は得られません。
早く今の環境から逃げたいと思っていても、転職は、転職理由の整理や市場価値の把握など抜かりない事前準備が必要なのです。
すぐにでも転職したいと思うときこそ、会社とは関係ない人に相談してみることをおすすめします。
思い詰めた気持ちを吐き出して整理すれば、転職しないでがんばろう! と思えることもあるでしょう。
本気で転職しようと考えている場合でも、焦らずに情報収集を行い、出来る限り自分の専門性を磨くよう日頃から努力しておきましょう。
複数の専門的なスキルがあれば、市場価値がグンとアップします。
転職活動をするなら日頃から準備をして慎重に進めていきましょう。