昔は当たり前だった退職金も、今は退職金制度自体がない会社も増えてきました。
普通なら貰える退職金が貰えないわけですから、労働者側にとってはデメリットしかないと思ってしまいますよね。
ただ実際のところどうなのでしょう。
本記事では退職金制度がない場合のメリットやデメリットをまとめてみました。
目次
現在はおよそ2割の会社で退職金制度なし
法律に義務付けられているものではないものの、日本の多くの会社で取り入れられている退職金制度。
ただ成果主義へのシフトなど様々な理由から退職金制度自体をなくしている会社も多くはなっています。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、退職金のある会社の割合は80.5%。2割の会社は退職金がありません。
15年前は86.7%だったので、6%以上も落ちています。
しかもこの調査は企業規模が30人以上の会社。
大企業の方が退職金制度がある割合が高い、企業規模が小さくなるほど退職金制度がない割合が高いことを考えると、退職金制度がない会社というのは2割ではすみません。
退職金制度がない会社の特徴
徐々に制度自体がなくなっている会社が高いとは言え、まだ8割以上の会社では退職金制度があります。
退職金制度がない会社というのは少数派です。
ではそういった会社はなぜ退職金制度を設けていないのでしょうか。そして
成果主義制度を導入している
一つ目の理由は成果主義制度を導入しているという点。
退職金というのは、長く勤めれば勤めるほどに支給金額が上がっていきます。また定年まで勤めた人の方が高く、途中で自己都合で退職した人、転職した人の支給金額は少なくなります。
まさに年功序列制度の一つです。
ただ近年は年功序列制度をやめ、成果主義制度を導入する企業が増えてきました。
そして成果主義制度と導入している会社にとって退職金制度は、全てとは言わないものの相反することです。
その為、勤続年数が長いと言うだけで支給する退職金ではなく、高い成果を上げた人に対して、将来ではなくその時点で見返りを与えるようにする企業が増えてきました。
退職金制度がない代わりに、給与やボーナスを増やしている
退職金と言うのは、単なる会社の好意ではありません。従業員が会社に貢献し、利益を上げた分を積み立てて支給されているものです。
会社にとってみればそれも人件費の一つということになります。
一方で退職金制度がない会社というのは、将来の退職金に向けて積み立てる分がありません。
同じ人件費で考えるなら、その分を給料やボーナスといった部分にあてることができるわけです(もちろんその分を単に会社の利益や役員報酬をあてている場合もありますが)。
会社によっては、退職金制度がない代わりに給料に上乗せしていると明言している会社もありますね。
経営が厳しい、経営的に退職金制度をつくる余裕がない
ただ単純に、経営が厳しくて退職金制度をつくるほどの余裕がないという会社もあります。
特に中小企業で退職金制度ない会社は、たいていこの理由です。
退職金制度は一度つくってしまえば基本的に支払わなければいけない義務が発生します。支払う時期に経営が悪化しているからと支払わないなんてこともできません。
その為、毎年毎年、いつかくる退職金の支払いの為に積み立てていかなければいけないわけです。
当然利益は減るわけですし、調子が良い時なら大丈夫かもしれませんが、中小企業はいつ厳しくなるかもわかりません。
そんな中で退職金制度があるというのは大きな負担となってしまうのです。
退職金制度がない会社で働くメリットは?
退職金制度がないというのは、確かにデメリットとなってしまう場合は多いです。
同じ給料で働くなら、退職金制度があった方がいいですからね。
ただ必ずしもデメリットばかりではありません。いくつかメリットを紹介します。
毎月の給料、ボーナスが高くなる
全ての会社というわけではありませんが、退職金制度がない代わりに毎月の給料やボーナスが高く貰えることがあります。
これは大きなメリットです。
たとえば退職金制度がない代わりに年30万の上乗せがされているとすると、40年間で1,200万円にもなるわけですから、退職金に見劣りしませんからね。
また退職金というのは、貰えなくなってしまう可能性もゼロではありません。
たとえば会社が倒産してしまって支払い能力がないとなると、いくら退職金制度があったとしても貰えなくなってしまいます。
倒産等で本来支払われるはずの退職金が貰えなかった場合、「未払賃金立替払制度」を利用すれば一部を支給してもらえます。
ただ支払われる金額は8割で、かつ上限は300万円以下(30歳未満が88万円、30歳以上45歳未満が176万円、45歳以上が296万円)。
退職金の金額と考えると満足できるものではありません。
給料やボーナスに上乗せしてもらう方が、確実性は高いのです。
また上乗せした分について、自分で資産運用するといったことも可能になります。
転職時のしがらみがなくなり、転職に踏み切りやすくなる
退職金制度は、従業員をつなぎとめるというのも一つの目的です。
その為、転職等によって自己都合で辞める場合、退職金は著しく少なくなってしまいます。
これが原因で転職したいのに中々踏み切れないという人は多いはず。ついもったいない、将来的に損するということを考えてしまい、それがストッパーになってしまいます。
一方で退職金制度がない会社であれば、そういった心配もありません。悩むことなく、転職したい時に踏み切りやすくなります。
退職金に絶望しなくて済む
退職金制度がある会社で勤めていても、退職金がいくらもらえるのかがわからないという人は多いはずです。
退職金ってなぜかブラックボックスになっているんですよね。
一応就業規則に計算方法が書いているはずなんですが、わかりにくい場合が非常に多いです。
そして、実際に退職金を貰う時になって、思った以上に少なくてショックを受けるという人も少なくありません。
知り合いは転職で退職した時に、10年働いたから100万円くらいあるだろうと思っていた退職金が30万円程度しかなく、絶望していました。
退職金制度がなければそういったことありません。転職時にしろ、定年後にしろ、不明確な退職金に頼ることがないので、貯金額など目標も立てやすいです。
退職金制度がない会社で働くデメリットは?
ではデメリットはどういったことがあるでしょうか。
トータルで見ると収入が少なくなる
単に経営上の問題などで、給料が高くないのに退職金制度もないというのであれば、他の会社に比べて損しかしません。
上乗せしてくれていたとしても、定年まで勤めた場合に比べるとトータルの金額では劣っていることが多いです。
またもし本来退職金で貰えるはずの金額と同じ金額を上乗せして貰えていたとしても、手取り額は少なくなってしまいます。
退職金には退職所得控除があり、税金面でかなりの優遇を受けることができます。
たとえば30年働いたとすると、1,500万円まで税金は変わりません。
しかし給料に上乗せされている場合だと、当然税金や社会保険料が増えますから、手取り額が少なくなってしまうのです。
老後に備えて自分で貯金をしっかり行わなければならない
退職金がないということは、定年後の資金は全て自分で貯めなければいけないということです。
自制し若い頃から貯金をすることは大変。なかなか難しいという人もいるでしょう。
もしできないまま定年を迎えると、定年後に再就職し生活費の為に働き続けなければいけなくなります。
何かとお金がかかる転職時も、貯金でまかわなくてはならない
転職するとなると、何かとお金がかかってしまうものです。
転職活動時の交通費はもちろん、人によっては引っ越し等もあって数十万円かかってしまうこともあります。
また、転職後は最初のボーナスを満額貰うことができないという難点もあります。査定期間に在籍できていない為です。
その為、たとえ転職で年収アップできたとしても最初の1年はお金に苦労するということがよくあります。
またもしすぐに転職しない場合だと、生活費も必要です。失業保険を貰えるのは自己都合退職の場合だと3ヶ月以上先ですから。
そんな時に退職金があるのは助かります。実際、退職金があるおかげで貯金はなかったけど転職できたという人は少なくありません。
一方で退職金制度がない場合、その分を自分で補わなければいけません。
参考:転職後のボーナスで満額を貰えるのはいつから?最初は寸志程度?
お金がないことが転職に踏み切れない理由になってしまうことも
実際、お金がないということで転職に踏み切れずにいる人は少なくありません。
退職金制度がない会社で勤めている人以外も、たとえば入社3年以内でまだ退職金支給の条件を満たしていない人にもよくいます。
お金がないせいで転職できない、でも転職しないと給料は低いままで貯金はできない。そんな状況に陥ってしまう人も少なくはないのです。
退職金制度がないからと言って悪い会社とは限らない、総合的に見て会社を選ぼう
退職金制度がないからと言って、ただそれだけで悪い会社、やめた方がいい会社だとはなりません。
退職金制度がない会社でも、恵まれているところはたくさんありますからね。
会社選びで大切なのはあくまで総合的にみてどうかと言うこと。局所的な部分だけで良し悪しを決めるのはやめましょう。
これは退職金に限った話ではありません。
たとえば給料が高いというただそれだけで転職先を決めてしまえば後悔するし、仕事内容が合っているだけという理由で待遇面に大きく妥協してしまっても後悔するだけ。
仕事を選ぶ際はぜひ広い視点を持つようにこころがけてください。
待遇に不満があるなら転職を
待遇は同じ会社にいてもそう変わりません。出世すれば多少給料が上がるだけです。
退職金制度がない会社はいつまでたっても退職金制度はないし、休みが少ない会社はいつまでたっても休みは少ない。
だからこそ、もし待遇に不満があるならぜひ転職するということも視野にいれてみてください。
今の転職市場はかなりの売り手市場。あなたにとってもっと良い会社は、きっと見つかるはずです。
最後に、いくつかおすすめの転職サービスを紹介します。ぜひ活用してみて下さい。
転職支援サービスのおすすめ順は以下の通り。
- リクルートエージェント
- マイナビエージェント
- doda
- マイナビジョブ20s
リクルートエージェント
対象の年代 | 20代~30代 |
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どんな人に向いている? | ・若年層の方 ・より多くの求人を紹介してもらいたい方 ・年収や入社日などの交渉を任せたい方 ・年収UPを実現したい方 |
転職エージェントといえば、まずリクルートエージェントが最大手として挙がります。
公開求人・非公開求人ともに15万件以上取り扱っており、業界No.1の転職成功実績があります。扱う求人数が多いので、経験者・未経験者、若年層・ミドル層などどんな方でも利用することができます。
キャリア相談から履歴書や面接対策、年収交渉などをして貰えるので、転職活動がかなり楽になるし、何より15万件以上ある非公開求人を紹介して貰えるというのが最大のメリット。
待遇の良い求人は応募が殺到する為、検索しても出てこない非公開求人となっている場合が多いです。優良企業、ホワイト企業に転職したいなら非公開求人抜きで考えるわけにはいきません。
もちろん、公開求人にも優良求人はたくさんありますので、公開求人を15万件から検索できるメリットは非常に大きいです。
求人の量・質、サポートなどの評判も良く、私も利用しましたが対応が良かったという印象を持っています。
とにかく転職活動するならまず大手。求人数だけではなく、企業への交渉力や情報収集力も強いので、あえて大手を外す意味はありません。
マイナビエージェント
対象の年代 | 20代~30代 |
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どんな人に向いている? | ・若年層の方 ・関東、関西で仕事を探している方 ・企業への連絡や面接対策など、エージェントに任せたい方 ・フリーター→正社員を目指したい方 |
新卒の就職時にマイナビを利用していた人は多いと思いますが、マイナビエージェントはそのマイナビの20代、30代に特化した転職エージェント。
求人数だけ見たら他にもっと多いものがあるんですが、首都圏、関西圏の20代、30代にとってはかなり良い転職エージェントです。
求人数は2万件以上、そのうち8割以上が非公開求人となっています。
年齢、地域を絞った割にはかなりの量だと言えるでしょう。
doda
対象の年代 | 25歳~34歳 |
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どんな人に向いている? | ・特に技術職、営業職を希望の方 |
dodaはリクルートエージェントに次いで求人数が多い転職エージェントです。
リクルートエージェントやマイナビエージェントは、転職活動を行う際、必ずエージェントのサポートを受けながら進めることになりますが、dodaではサポートが要らなければ受けないということも可能です。
エージェントを利用したからといって転職を強要されることはありません。しかし、すぐに転職する気がない方にとっては利用しづらいかもしれません。
その代わり、非公開求人を受けることができなくなりますが、「今すぐ転職したいわけではない」「いい求人があれば転職したい」などエージェントからのサポートを受けづらいと考えている方にとってはメリットがあります。
マイナビジョブ20s
対象の年代 | 20代 |
---|---|
どんな人に向いている? | ・20代の方 |
マイナビジョブ20sは20代のサポートに特化した転職エージェントです。
一度正社員として就職した方はもちろん、フリーター→正社員への転職にも強いのが特徴です。
扱っている求人はすべてが20代が対象です。サポートを担当してくれるエージェントも20代のサポートを専門としているので、あなたのポテンシャルを十分に引き出して転職成功へ導いてくれるでしょう。
転職を考えている20代の方は忘れずに登録しておきたい転職エージェントです。