憧れて転職したスタートアップ。転職しても失敗リスクは高い。入社前に押さえておきたいベンチャー企業の現実

ベンチャーよりも革新性の面で優れているとされるのがスタートアップ企業です。

そんなスタートアップ企業に憧れをもって転職をするという場合、どのようなことを把握しておく必要があるのか、解説します。

ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い

ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い

まずはベンチャー企業とスタートアップ企業はどのような点で違うのかを解説します。

ベンチャー企業

ベンチャー企業のベンチャーは和製英語です。

本来はVenture Capital(投資企業)のVentureですが、日本では非常に広範囲の意味に使われています。

新しいサービス・ビジネス・事業を展開する企業のことを指し、設立して間もない企業や小規模な事業を展開する企業、会社の人員が少ない企業も含まれる場合があります。

スタートアップ企業

シリコンバレーで用いられるようになった単語がスタートアップ企業です。

スタートアップ企業に設立年は関係なく、重視されるのは「新たなビジネスモデル」を展開したかどうかのイノベーション性にあります。

例を挙げると情報アプリ「スマートニュース」・クラウド会計ソフト「freee」・AI事業「ブリファードネットワークス」があります。

また、FacebookやGoogleも革新的な事業を行い、短期間で大成功を収めたスタートアップ企業と言えるでしょう。

ベンチャー企業の中でも株式発行による資金調達をてこに急成長する企業のことをスタートアップ企業と言い、ベンチャー企業の中でも特に成長スピードが速いのが特徴です。

また、歴史が浅いことから、不安定でもあるというのが特徴です。

参考:ANTELOPE「ベンチャー企業とスタートアップの違いについて

MAG BOXIL「スタートアップ企業とは?ベンチャー企業との違い・意味や定義 | 転職・就職したい方必見!

押さえておきたい企業フェーズ

押さえておきたい企業フェーズ

企業フェーズとはベンチャー企業の状態を示す言葉です。

スタートアップ企業に転職する場合、企業フェーズを把握することで、そのスタートアップ企業がどの状態にあるのかを把握することができます。

創業期:シード・アーリーステージ

従業員1~20名、売上げ1憶未満が創業期にあたります。

まだ事業が確立・安定していないので、0からルールや方向性を模索している時期になります。

この時点では投資家や企業などから資金を獲得し、事業を展開していくのを重視しています。

また、創業期は人材の採用が抑えめなのも特徴ですが、情熱を持っている人が重点的に評価されます

拡大期:ミドル

資金を確保し、事業を確立と方向性が定まっているのが拡大期で、従業員20~50名、売上げ1~10億の企業規模になります。

事業をどんどんと広げ、さらなる資金調達を目指す時期です。

企業全体でスピード感をもって成長期まで持っていきたい流れになっています。

マーケティングや営業のスキルを持った人が望まれている状態と言えるでしょう

成長期:レイター

企業規模が従業員50~150名、売上げ10~30億ほどになったのが成長期です。

成長がある程度成熟し、事業展開が経営者の手から離れている状態になります。

ここでは、事業や組織の見直しと、安定を目指す時期です。

組織や仕組みを整える時期でもあるので、「経理」・「法務」・「人事」・「広報」などの専門分野に長けたスペシャリストの需要が発生します

安定期:上場後(メガベンチャー)

企業規模が従業員150名以上、売上げ30億以上になった企業が安定期(メガベンチャー)になります。

直近ではラクスルやメルカリが「メガベンチャー」と呼ばれています。

従来の組織や業務のスタイルを大幅に見直す必要が出てくるのが、この上場後です。

新たな事業チャンスを探したり、これまでになかった人材を探したりと、違う業種からの転職者を求める傾向にあります

 

以上がスタートアップ企業の企業フェーズになります。

自分が転職を希望する企業がどのフェーズにいて、どのような人材を求めているのかを冷静に判断しましょう。

 

参考URLのh1-2のベンチャー・スタートアップのフェーズと特徴を表にするとわかりやすいと思います。

参考:しごとカフェ「【リアルを暴露】ベンチャー・スタートアップ転職のすべて。一生後悔するかも

 

転職する前にベンチャー・スタートアップ企業が自分に合うかを考える

転職する前にベンチャー・スタートアップ企業が自分に合うかを考える

これまでの企業からの転職をする場合、転職先のベンチャー・スタートアップ企業が本当に自分に合っているのかを検討しないといけません。

ベンチャー企業は倒産のリスクがある

企業フェーズにも寄りますが、常に倒産のリスクがあるのがベンチャー企業です。

もしも転職をした企業が倒産をしても生活していけるか、それだけの蓄えがあるのかというのを意識しましょう。

また応募前には必ずどのような業務内容なのかを確認し、社員の声や業績も見ておいてください。この先、伸びていくのかはもちろん、自分が携わりたいと思えるのかどうかも考えてみるべきです。

ベンチャー企業のスピード感やカルチャーに軽いフットワークでついていけるか

安定期に入る前のベンチャー企業はとにかく事業を拡大させようという熱意と勢いを重視しています。

そのため、社風レベルでスピード感があり、常にトレンドについていけるフットワークが必要とされます

フットワークが軽いのがスタートアップ企業である以上、それについていくのは並大抵のことではありません。

自分には柔軟性があるのか、スピード感を持って行動できるのかを考えてみましょう。

休日返上をする気持ちくらいで働ける熱意があるか

ベンチャー企業は急成長を目指す企業であり、普通の仕事では企業が求めるラインに達することはできません。

休日もかまわず働き続けられるような情熱があるかが重要です。

生活よりも仕事、仕事が生活の一部と断言できるか自分に問いかけてみましょう。

将来有望なベンチャーほど優秀な人材が揃い、良く働くがそれに足並みを合わせられるか

新しい価値を創り出していくベンチャー企業は、やりがいがありますが、それだけ大変な仕事です。

成功するベンチャー企業は、人材の質が非常に高いので、そこで働くには足並みを揃えられる実力が必要と言えます。

場合によっては一生モノの劣等感を植え付けられかねません

応募前にどんな人が働いているのかHPでスタッフ紹介をしているならチェックしておきましょう。

給料や福利厚生が期待できなくても大丈夫か

ベンチャー企業は大企業や中堅企業と違い、明日も知れない身です。また立ち上げて間もない場合は、徐々に体制を整えていくため福利厚生がイマイチなこともあります。

したがって、給料を十分な金額だけもらうことや、有休取得、退職金をもらうことなどは難しい可能性があります

退職金の有無は生涯年収に深刻な影響を与えるので、注意が必要です。

ワイワイ楽しく働くことはできないが大丈夫か

過程よりもとにかく結果を重視するのがベンチャー企業です。

そのため、働いているスタッフも常に野心に溢れ、成果を出す方法を考えているので、アットホームな雰囲気は期待できません。

さらに、事業の原型も出来ていないことがあり、上司・先輩にわからないことを聞いて距離を縮めるというのも難しくなっています。

スタートアップ企業への転職で成功する人失敗する人

スタートアップ企業への転職で成功する人失敗する人

最後に、スタートアップ企業に転職をして成功する人というのはどういう人か、失敗する人というのはどういう人なのかを解説します。

【成功する人】

やりたいこと、実現したいことが明確というのは、スタートアップ企業に転職する上での重要な資質です。

新たな価値や事業を打ち出していくのがスタートアップ企業ですので、やりたい方向性があるというのは大きな武器になります

また、転職先のスタートアップ企業が求めている人材であったり、すでにヘッドハンティングを受けたりしているというのも順調な滑り出しになります。

スタートアップ企業はまだ安定期にいないことが大半なことから、人材の採用が絞られ気味ですが、自分だけが持っているスキルやネットワークがあれば、転職先でも重宝されます。

スタートアップ企業は採用する人材を絞っていますが、ユニークな人材を求めてもいるというのを覚えておきましょう。

そして、スタートアップ企業というのは生活よりも仕事を上に考えられる方に向いた企業です。

課題を自分で設定し、自分でどうやって達成するかを考えられる方に向いています

マニュアルがない分野を試行錯誤しながらやっていきたいという人に、スタートアップ企業は特におすすめと言えるでしょう。

 

【失敗する人】

スタートアップ企業に失敗するという方にありがちなのが「ここなら自分のやりたいことだけやれる」といった、具体性のないイメージのみで転職するケースです。

自由さや楽しそうな雰囲気というのは、通常の企業に務めていると魅力的に映るものですが、実際は自由があってもその分だけ仕事への責任が重く、求められる成果も大きいのがスタートアップ企業です。

また、給料も社会保険も不十分なことが多いので、安定した生活は難しくもあります

「少ない給料で毎日仕事をしないといけない」という極めて不自由な労働環境も覚悟しましょう。

加えて、自分はなんでもできるからスタートアップ企業こそ向いていると考える人も危険です。

普通の企業はマニュアルや顧客がすでにできてる状態で働くものですし、新人教育プログラムもあります。

それがないスタートアップ企業というのは、勝手がまるで違うのだとおぼえておきましょう。

スタートアップ企業に向いている人、向いていない人を紹介しましたが、転職に大切なのは、自分が何をしたいのか、何ができるのかということです

それらを深く考えるとともに、ベンチャー企業に対する正しい知識と覚悟を持って転職しましょう。

自分はなぜベンチャー企業に勤めたいのかを確認しよう

自分はなぜベンチャー企業に勤めたいのかを確認しよう

今は誰でも会社を設立できる時代です。

だからこそ、目新しいものやユニークなことを事業としている会社も多いのです。

自分はどうしてそんなベンチャー企業に入りたいのかを今一度考えてみましょう。

先輩も後輩もないみんなが同僚というような環境で働きたいのか、このスキルを存分に使える会社に勤めたいのか、日本に新しい風を吹かせたいのかなど、スタートアップ企業に応募してくる人はみんないろんなことを思っているでしょう。そんななかで自分はどう思っているのかを考えて、応募先を決めてみると「この企業なら」と思えるところが見つかります。

スタートアップ企業はスローガンを掲げているところが多いので、スローガンと業務内容、社内風習から雰囲気を感じ取ってみましょう