聞いたばかりの人の名前を忘れてしまった、あとで質問しようとしたことを忘れてしまった。

仕事をしていると「こんなことも忘れてしまうなんて…」と自分の記憶力の無さに嫌気がさしてしまうこともあることでしょう。

今回は少しでもそんな瞬間を減らせるよう、記憶力の高め方についてお伝えしていきます。

記憶力低下の原因とは?

あなたの周りにいる「デキる人」はどんな人ですか?

仕事を覚えるのが異常に早い、臨機応変に動ける、一度あいさつしただけで人の名前を覚えてしまうなんて人もいるかもしれません。

実は、これらには全て、記憶力が大きく関係しているのです。

さらに掘り下げると、記憶力の良い人は脳の前部分(前頭葉)の機能にあるワーキングメモリが活発にはたらく傾向にあります。

ワーキングメモリとは?

日常の出来事や情報を、ごく短い間だけ記憶する機能。

あくまで一時的に記憶する能力なので、個人差はあるが大容量の情報を記憶しておくことはできない。

ワーキングメモリの機能を例えるなら、脳内のメモ帳といえる。

このワーキングメモリのはたらきには、自分で考えて発言する、自主的に行動するといった主体性が強く影響しています。

記憶力が低いと感じている人の大半は、仕事に対して受け身であったり、無気力・無関心を抱えていたり、他人にすぐ頼ってしまうという心当たりがあるはずです。

「便利さ」がワーキングメモリを脅かしている?

日常生活で「わからない」と思うことがあったら、おそらく大半の方が「ググる」「SNSで検索する」のどちらかに走るでしょう。

また普段から暇があればスマートフォンを手にし、SNSやニュースを見て情報を絶えず流し込んでいるはずです。

この「便利さ」には実はデメリットがあり、人間の行動をマンネリ化させてしまうこと大量の情報に触れ続けて脳の疲労が蓄積してしまうことの2つが挙げられます。

つまり、あなたが肌身離さず持ち歩いているスマートフォンはあなたの生活を豊かにする一方で、延々と脳への情報処理を強制し、記憶力や仕事の効率を落とす要因を生んでいるのです。

しかしワーキングメモリの容量は先天的に決まっているものではなく、トレーニング次第で増やすことができます。

ワーキングメモリを鍛えるメリット

ワーキングメモリは仕事をする上で大事な要素です。鍛えると具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。

仕事を覚えるのが早くなる

仕事をするには、まず業務内容を理解していなければなりません。

わかっていないと何度も確認したり見直したりしなければならず、作業効率が落ちてしまいます。

でもワーキングメモリがうまく機能していれば業務の段取りをすぐに理解でき、さらに仕事の優先順位をつけるのも上手くなります。

複数のタスクを同時進行できる

1つの業務スピードが上がることはもちろん、ワーキングメモリを鍛えるとそのキャパシティ自体を広げることができます。

メモ帳のキャパシティが広がれば、おのずと同時進行できるタスクの数も増やせるのです。

決断が早くなる

決断とは、あらゆる情報を取捨選択し最適な答えを導くこと。

この流れをスムーズに行うには、よりキャパシティの大きいワーキングメモリの方が一瞬で処理できる情報量を増やすことができます。

臨機応変になれる

一瞬で大量の情報を処理できれば、トラブルや緊急時でも冷静に物事を判断し臨機応変に行動できます。

ワーキングメモリの動きが鈍いとすぐパニックに陥ってしまい、いざという時に動けない可能性が高くなります。

人の名前が覚えやすくなる

人間関係を円滑にできるのはもちろんのこと、営業ならクライントの名前、接客業ならお客さんの名前を瞬時に覚えやすくなります。

それを上手く活かして相手の特徴や好みも把握しておくと「この人はそんなことまで覚えてくれているのか」と、結果として信頼にまでつなげられるのです。

ワーキングメモリを鍛える2つの方法

ワーキングメモリを鍛えるメリットはたくさんあるとわかったところで、ここからは実際の鍛え方についてお伝えしていきます。

自分で考えることを習慣化する

前述した通り、自ら考えて発言する機会が減っていくとワーキングメモリは上手くはたらきません。

そこで、日々同じ業務をしていても「もっと良いやり方はないのか?」「工夫できないのか?」という自分の思考を挟んでみるようにしましょう。

仕事においてはもちろん、日常生活でもすぐに検索をかけずに、一度自分の力で考えてみることを習慣化するのも有効な方法です。

普段の生活に「いつもと違う」刺激を与える

暇があればスマホを眺めてしまう、といった行動のマンネリ化もワーキングメモリを衰えさせる要因です。

ちょっとしたことで頭を使う機会をつくるだけで、脳に刺激を与えることができます。

たとえば、スーパーで会計前に合計額を暗算してみる、普段読まないようなビジネス書を読んでみる、外国語を学んでみるなどが挙げられます。

特に外国語の勉強は普段使わない脳の部位も活性化されるので、脳全体の発達にもつなげることができます。

ワーキングメモリを最大限に引き出す3つの方法

アスリートは自分の能力を最大限に発揮するために、試合前は食事や睡眠でコンディションを整えますよね。

ワーキングメモリを鍛えたら、その力を最大限に発揮するためにやっておくと良いことがあります。

メモをとる

メモは、ワーキングメモリの容量を圧迫させないための有効な手段です。

というのも、人間はメモをとった情報は記憶から抜けてしまうという性質があります。

ワーキングメモリがすぐに埋まってしまわないよう、脳のメモ帳ではなく手元のメモ帳に書くようにしましょう。

いらないものは捨てる

デスク周りがごちゃついていると、視覚からの情報が過多になり大事な情報を抜き取るまでに時間がかかってしまいます。

またデスク周りだけでなく、デスクトップのアイコンの数も画面が埋まるほどつくっている方もいるかもしれません。

そこで、目に見えるものは必要最小限、関係のないものはしまうか捨てるかして、無駄なものを排除すると情報の処理工程を格段に減らせます。

休憩中は脳を休める

休憩中も自然とスマホを手にとってしまうのが現代人の性となりつつありますが、休憩のときこそ思いっきり脳を休めましょう。

SNSやニュースをただ眺めているだけでも脳は情報処理をしてしまうので、脳が無意識に疲弊してしまいます。

休憩のときは情報から離れ、さらにスマホを見るというマンネリ化した行動からも離れるようにしてみてください。

主体性が記憶力のカギ

思考を深く巡らせなくても、受け身で情報を手にできる現代。

便利さは生活を豊かにする一方で、私たちの「考える機会」を奪ってしまっています。

でも今ここで気づくことができれば、あなたはその支配下から抜けだして記憶力を高められるのはもちろん、仕事の生産性そのものを高めることができます。

 日常生活の些細な部分から主体性を取り入れ、ワーキングメモリを積極的に活性化させていきましょう。