大学で理系学部にを卒業した人のうち、大学院へ進学する人の割合は低くありません。
特に旧帝国大学など難易度の高い大学の理学部、工学部では大学卒業者のうち7~8割程度は大学院に進学し修士課程を修了後に就職する人が多くなっています。
ただ一方で、大学院に進学したものの卒業することなく途中で中退することになってしまうという人も実は少なくありません。
そこで今回焦点をあてるのは、その大学院中退者について。中退した場合の就職事情や就職活動で気を付けなくてはいけない点を紹介します。
意外に多い大学院中退
大学院を中退する人がどれくらいいるか聞いたことがありますか?
実は大学院中退者の割合は、意外に大きいのです。
大学院を中退する人の割合
文部科学省先導的大学改革委託推進事業が実施した調査結果によると、大学院中退の割合は以下の通りになっています。
- 修士課程中退率・・・5.13%
- 博士課程中退率・・・8.79%
修士課程でも20人に1人は中退すると言う結果になっています。
ちなみに上記の調査結果によると学部の中退率は2.41%。
大学院は大学に比べて2倍以上も中退者が多いのです。
大学院を中退することになる理由
ちなみに大学院の中退理由には以下のものが挙げられます。
- 経済的な問題
- 研究に対する精神的、身体的ストレス
- 人間関係
- モチベーションの低下
成績が優秀で学費が免除されていない限りは大学同様にそれなりに高い学費がかかってしまう大学院。
それに加えて一人暮らしをしている場合だと家賃や生活費もかかってくる為、経済的な問題によって中退せざるを得ないという人は少なくありません。
また大学院生活に問題があったという人も多いでしょう。
研究室によってはかなりハードで夜遅くまで研究に時間を費やさなくてはいけない場合も多く、身体的、精神的ストレスの大きさから卒業を断念してしまう人も少なくありません。
大学院を中退すると就職活動はどうなる?
ではもし大学院を中退した場合、就職はどうなってしまうのでしょうか。
大学卒業から3年以内は既卒枠で就職
大学卒業から3年以内であれば、卒業後に一度も就職したことがない「既卒者」として就職する場合が一般的です。
新卒採用に比べると選択肢は少なくなるものの、通年で既卒者を積極的に採用している企業は非常に多くなっています。
既卒者採用は一般的には新卒枠で十分な採用人数に達しなかった場合や、採用したものの退職者がでてしまった場合に行われますが、あえて最初から門戸を開いている大手企業もあるので、優良企業、ホワイト企業に就職できる可能性が低いわけではありません。
ただ留年していたり、中退後にすぐ就職活動をせずに大学卒業から3年以上たってしまった場合は既卒枠で応募できない企業が増えてくるので注意してください。
新卒枠で応募可能な会社もある
既卒の枠ではなくても、卒業後3年以内であれば新卒枠で応募可能となる会社も最近は増えています。
採用時期は新卒者同様、入社時期も4月となるので、この枠を活用するかはタイミング次第です。
ただ新卒者がライバルとなる為、既卒者であるという時点で不利になってしまうケースも多いので、難易度は多少なりとも上がってしまう傾向にあります。
大学院中退によるデメリット
大学院中退であるということは、就職活動においてやはりデメリットとなってしまう場合が多いです。
せっかく入学したにも関わらず中退したという事実に対し、粘り強さがない、忍耐力がない、意志が弱いなどの懸念を持たれ、何かあると途中で投げ出しすぐ辞めるのではないかと思われてしまう可能性があることが大きな理由です。
もちろんそれだけで採用活動の合否が決まるわけではありませんが、スタート時点では不利であり、それを覆すだけのアピールをしていかなくてはいけないという覚悟をもち、気合を入れて就職活動を進めていかなくてはなりません。
大学院中退後の就職活動での注意点
では最後に大学院中退後の就職活動における注意点を紹介します。
中退後はすぐに就職活動を。中退から就職まで時間を空けてはだめ
まず中退後はできるだけ早く就職活動を開始することが重要です。
ダラダラして大学卒業後3年たってしまうと既卒扱いではなくなり応募できる企業がかなり狭まってしまうし、そうでなくても中退してから就職するまで時間を空けてしまうと企業が感じる懸念点が増えてしまうことになります。
企業は学校にも行かず就職もしていない空白期間を特に嫌がります。
また大学院に進学しても中退した時点で学歴は大学卒業。
同年代の大学卒業者はすでにバリバリ働いているわけですから、時間が空けば空くほどに差がついていくわけです。
ですから、特別な理由がない限りは中退後すぐに就職活動を開始するようにしてください。
正社員を目指そう
派遣社員や契約社員など雇用形態は色々ありますが、どうしても短時間勤務ではなくてはいけないなどの特別な理由がない限りは正社員を目指すようにしてください。
確かに就職のハードルを考えると派遣社員や契約社員の方が楽ではあるものの、このタイミングで安易にその選択肢をとってしまうと、いずれ正社員になることが難しくなってしまいます。
正社員への就職を考えたら、派遣や契約社員から転職するよりも既卒から正社員に就職する方が圧倒的に楽です。
大学院への進学理由、中退理由は必ず答えられるようにする
就職活動の面接では、高い確率で「なぜ大学院に進学したのか」「なぜ中退したのか」という点を聞かれることになります。
先ほど述べているように大学院中退は企業にとって基本的にネガティブなこと。
それを覆す為には、この質問に対して納得できる理由を答えなくてはいけません。
これに関しては、以下で紹介する就職支援サービスに答え方を相談してみると良いでしょう。
就職支援サービスを活用しよう
現在は中退者でも既卒者向けの就職支援サービスが充実している為、積極的に利用することをおすすめします。
非公開となっている求人の紹介から履歴書対策、面接対策なども行ってくれる為、利用するか利用しないかでは労力も成功率も大きく変わるでしょう。
既卒者向けでおすすめなのがハタラクティブ。
20代の未経験者を対象にしたサービスとしては最大手で、サービスとしてもかなり充実。評判もかなり良いです。
■公式サイト:ハタラクティブ
またdodaなんかも良いでしょう。
dodaは転職者がメインとなっていますが、就職経験のない既卒者でも利用することが実は可能。
最近は若手の人材不足から就職希望者が非常に重宝されるので、しっかりとしたサービスを受けることができるはずです。
■公式サイト:doda
中退は仕方がない、落ち込みすぎないことも大切
経済的な事情により中退したくないのに中退せざるを得なくなった人はもちろんですが、自らの意思で中退することになった人でも、いざ中退となるとかなり落ち込んでしまうもの。
ただ中退することが決まってしまったらなら、もうそれは仕方がないこと。
大学を中退して学歴が高校卒業となってしまった場合に比べると、大学院を中退して大学卒業となってしまった場合の影響度というのは実はそれほど多くはありません。
就職活動をしっかり行い、就職後もキャリアを積んでいけば、大学院を卒業した人より上に行けるなんてのは良くあることです。
ですからあまり落ち込みすぎず、前を向いてできることをできる限りやっていきましょう。