部下を持つ立場になると、仕事ができない部下への対処に悩む人もいます。
指示どおりに動かない、ミスが多い、自発的に仕事に取り組まないなどさまざまなタイプがいるため、部下の成長を促すためにも指導といっても、一人ひとりに適切な指示を出すこともなかなか大変な作業です。
そこで、今回は仕事ができない部下への対処法を紹介していきます。
タイプ別の対処法に加え、成長を促すための3つのコツもまとめているので、仕事ができない部下に悩む方はぜひ目を通してください。
仕事のできない部下があなたに与える影響
仕事ができない部下を持つと、部署の仕事が回らなかったり指導に時間を割いたりと、上司としての仕事にも影響が出ることもあるでしょう。
部下の成長は上司として自分が頑張ればどうにかなるわけではないため、放っておきたい気持ちになる方もいるのではないでしょうか。
ですが、そんな部下を放っておいた場合、上司であるあなたの評価が下がる可能性が出てきます。
そうなれば給与や昇進にも影響するため、放っておくこともできない状況になるでしょう。
はじめに、仕事のできない部下を持つことで受ける可能性がある上司への影響を紹介していきます。
自分の職場と照らし合わせながらチェックしてみてください。
職場の雰囲気が悪化する
仕事ができない部下に対し、どんな指導を行っているでしょうか。
例えば、口頭で注意する場合、厳しい言葉や強い口調になっていると、部署内の社員にも聞こえてしまい職場全体の雰囲気が悪化してしまいます。
苛立ちなどのネガティブな感情は比較的周囲に感染しやすく、パンデミックになったときは職場の雰囲気が最悪の状況になると考えても良いものです。
また、仕事ができない部下の中には、ミスが多く反省がない人やサボり癖がある人もいます。
こうした仕事ができない以前の仕事への取り組み方に問題がある部下の存在は、周囲の社員にも悪影響を及ぼします。
周囲の社員から見ても反省がないことやサボっていることはわかるため、徐々に反省をしなくてもいいか、ちょっとくらいサボってもいいか、というように周囲の社員にも浸透する可能性があるでしょう。
そうなれば、職場全体の生産性が低下してしまい、部署として仕事を回していけなくなることも出てきます。
あなたの評価が下がる
仕事ができない部下が行う仕事は、ミスやサボりなどの影響から仕事の遅れへとつながります。
その遅れを、仕事ができる人がカバーする場合、個々の仕事量に偏りが生じてしまい不満を抱く原因になることもあるでしょう。
仕事だから仕方ないとはじめのうちは対応してくれたとしても、仕事量の偏りが慢性的な状況となれば離職の原因にもなりかねません。
もしも、仕事ができる人が仕事量の偏りに不満を抱き離職した場合、有能な人材を辞めさせる上司として評価される可能性も出てきます。
また、部下を育成できない上司として、あなたのマネジメント不足を指摘されることも考えられます。
仕事ができない部下の特徴別対処法
仕事ができない部下だからといって、厳しく接したり放っておいたりできない場合、個別に対処していくことが必要です。
一概に仕事ができないといっても一人ひとりにできない特徴があり、それに合う対処をしていくことで部下の成長を促すことが期待できます。
ここからは、仕事ができない部下の特徴別の対処法を確認していきましょう。
報連相を怠ってしまう部下
仕事ができない部下の中には業務時間開始ギリギリに欠勤の連絡をしてきたり、納期に間に合わないと分かっているのに事前に相談しなかったりと、社会人の基本である「報連相」ができていないことが多いです。
その理由として自分のミスを怒られるのが嫌、上司と話すことに萎縮してしまうなどさまざまなものが挙げられますが、部下本人に改善を期待することは難しいものがあるでしょう。
そのため、さまざまな理由に合わせて上司の方からアプローチを試み、適切な指導を行うことが必要です。
部下が相談しやすい環境を整える
もしも、部下本人が「報連相」ができていないことに悩む場合、部下が相談しやすくなるよう環境を整えるのも良い方法です。
例えば、普段から積極的にコミュニケーションを取り会話に慣れてもらう、相談や質問をしてくれたこと自体を褒めるなど部下の立場に立って考えてみると良いでしょう。
また、部下に対して理不尽に怒らない、声を荒げないようにするなども有効な手段です。
自分がどんな上司なら「報連相」しやすいか考えてみると、それぞれの職場や部署にふさわしい対応が見えてくるでしょう。
業務内容を覚えられない、覚えようとしない部下
業務内容を覚えられないばかりか覚えようとしない部下は、上司の指示をきちんと聞けずメモを取らない、1回で覚えようとする姿勢が弱いといったタイプであることが挙げられます。
こうしたタイプの人は、集中力がなく業務中に他のことを考えてしまったり、業務内容を覚えられないことに焦りがない傾向があります。
これらの特性は本人の意識次第で変えられるものですが、上司として意識改革をしてくことはなかなか難しいです。
メモを取ることの大切さを伝える
部下が業務内容をなかなか覚えられない場合は、メモを取るよう指導することが必要です。
その際は、メモを取ることの大切さを教えることが重要で、誰でも1度聞いただけですべて覚えられるわけではない、忘れてしまうからメモを取ることが大切だと伝えましょう。
メモを取れないことを否定したり、メモを取れ! などと命令したりすることは避けて、部下がメモを取る必要性を感じられるよう説明することが重要です。
また、部下の能力に合った分量で何度かに分けて教えるのも良いでしょう。
部下がメモを取るようになってきたら、褒めたり確認したりするとより効果的です。
ミスを連発しても反省せず、何度も繰り返す部下
誰でもミスすることはあり、一回のミスでひどく落ち込む必要はありません。ですが、ミスに対し反省がなく何度も同じミスを繰り返すこととは話が違います。
社内の人間にだけ迷惑がかかるならともかく、取引先や顧客を巻き込むような事態に発展すれば会社の信用低下にもつながるでしょう。
近年はパワハラに厳しく叱ることもはばかられる世の中ではあるものの、ミスに対する反省と対処についてはきちんと注意すべきです。
ただ、注意の仕方によっては部下がパワハラと感じてしまうこともあるので、さじ加減の難しいところだと言えるでしょう。
ミスをした際に、今後どう改善すべきかまで一緒に振り返る
ミスに対して全く反省がなく何度も同じミスを繰り返す部下には、ミスに対しきちんと反省すべきだと注意することが大切です。
その際に、注意して終わりではなく反省まで一緒にやることが効果的です。
ミスしたことを怒ってしまうとミスを隠すようになる可能性があるため、できるだけミスを反省しないことを目的として注意するようにしましょう。
そして、なぜそのようなミスや行動となったのかを部下に考えさせて、その上で対処法まで一緒に考えてあげると部下に寄り添う形となり指導しやすくなります。
また、徐々に部下に変化が出てきて改善されているようなら、タイミングを見計らって褒めてあげると良いでしょう。
完全に指示待ち状態で、自分から動こうとしない部下
指示を出せばその通りにこなせてもそれ以上何もしない、完全指示待ち状態の部下は近年増加傾向にあります。
新卒2年目くらいまでなら仕方ない部分もありますが、それ以上勤務しているならその部下にも後輩ができる可能性があります。
後輩ができたときのためにも、早急な改善が必要です。
指示をこなせたことは褒めつつ、少しずつ自分で動くように指導する
指示出せばきちんとこなせることはとても良いことです。指示通りに動けない人もいるので、素晴らしい能力といっても良いでしょう。
完全指示待ち状態の部下には、はじめに指示をこなせることを褒めてみてください。
その上で、部下本人にいつかは上司になって部下を持つこと、そのときはあなたが指示を出す立場になるといったことを伝えて指導してみましょう。
部下が自発的に仕事を探して動くためには、業務全体を見て俯瞰することも重要です。将来自分が指示を出す立場になる話をきっかけに、業務全体を把握できるよう補足的な説明をするのも良いでしょう。
くれぐれも厳しく言い過ぎないよう気をつけるとともに、少しずつ自発的に動くよう根気よく指導してみてください。
仕事ができない部下が成長するもしないもあなた次第。上手くやっていくための3つのコツ
仕事ができない部下に対して、時と場合によっては腹が立つこともあります。ただ、その部下が成長するもしないも上司であるあなたの行動次第です。
あなたが一生懸命アプローチしていけばきっとその思いは伝わります。
たとえ、伝わらなかったとしても周りにはあなたの行動を見ている人もいるのです。
仕事ができない部下と上手くやっていくための3つのコツを紹介するので、日々意識しながら取り組んでみてください。
部下の立場になって考えてみる
あなたが今「仕事ができない」と感じる部下は、好きで仕事ができないわけではありません。もしかすると、職場の雰囲気に馴染めずにいて緊張してしまいミスを連発している可能性もあるでしょう。
また、業務内容が部下の強みに合っていないことも含めると、一旦、部下の立場になって考えて対策を練ることも1つの方法です。
部下が萎縮せずにのびのびと働ける環境を整え、強みを活かせる業務を振ったなら、あっという間に仕事ができるようになるケースも考えられるでしょう。
そのため、「仕事ができない」と切り捨てるのではなく、部下の立場になって考え理解する努力をしてみてください。
自分の新人時代を思い出す
上司であるあなたが今、当たり前にできている仕事ができない部下に対し、腹が立つ気持ちはよくわかります。
ですが、自分が新人だったときはどうだったか一度考えてみてください。
自分が新人のときからしっかり仕事ができていたとしても、人はそれぞれに能力に違いがあり、仕事ができない部下に自分と同じレベルを求めては上手くいきません。
部下に対し自分と同じレベルを求めすぎていないか、自分自身が新人だった頃に理想としていた上司になっているか、今一度考えて行動してみてください。
自分と同じ立場の人に相談してみる
上司の悩みは上司にしかわからないものです。
仕事ができない部下の悩みは、あなたと同じく部下を持つ信頼できる同僚や上司に相談してみることをおすすめします。
同じ立場の同僚や上司なら、これまでに仕事ができない部下を持った経験があるかもしれません。
口に出さないだけで仕事ができない部下に悩んでいる人は意外と多いので一度相談してみましょう。
相談することで解決策が見つかる可能性や、思っていることを口に出すことで抱えるストレスの緩和も期待できます。
仕事ができない部下には上手く対処しよう
部下を持つ立場になり仕事ができない部下を持つと、その対処法に悩む人は意外と多いです。
報連相ができない、ミスを反省しない、仕事を覚えようとしないなど、仕事ができない要因はさまざまありますが、業務の遅れやフォローに費やす時間を考えると頭の痛いところでもあります。
仕事ができない部下への指導について悩むより、放っておいた方が良いと思う人もいると思いますが、放っておけば部下の仕事の影響が部署や社内に広まり、上司であるあなたの評価に悪影響を及ぼす可能性もあります。
仕事ができない部下に対し、指導することも放っておくこともできない現状を打破するには、今回紹介した対処法を試すとともに部下に寄り添った対応を取ることをおすすめします。
くれぐれも悩みを一人で抱え込みすぎないよう、ときには信頼できる同じ立場の人に相談してみてください。
プレーヤーとして働きたい、もっとレベルの高い会社で働きたいと感じた方は、転職を検討するのもアリ
仕事ができない部下に悩むとき、もしかしたら自分には部下を管理する能力がないのかもと落ち込む方や、社員のレベルが高い会社の方が自分に合っているのでは? と考える方もいることでしょう。
仕事ができない人材を採用する会社にも問題がありますし、社内全体で仕事のレベルが低いと感じるなら、転職することも選択肢の1つです。
部下を持つ経験があることは転職の際にプラスの要素になりますし、その経験を活かしてプレーヤーとして活躍したいなら、今よりレベルの高い会社に転職することで仕事ができない部下への悩みは解消されるでしょう。
転職を検討する際は、一人で転職活動をするよりも転職エージェントの利用をおすすめします。
転職エージェントは、転職活動のプロであり転職検討先の条件を詳しく把握しています。あなたの希望に合った企業への転職を実現するためにマストな存在です。
あなたの希望を丁寧にヒアリングして転職検討先をピックアップしてくれるほか、あなたのスキルや経験を効果的にアピールできるよう、履歴書や職務経歴書などを添削してくれます。
また、面接日程の調整などもしてくれるので、今の会社に在籍しながら転職活動をする場合でも手厚いサポートを受けられます。
加えて、転職エージェントの利用は利用料が一切かからないので、仕事ができない部下への対処に疲れてしまう前に、相談だけでもしてみることをおすすめします。