仕事はやりがいとお金どっちを優先する?
大人になれば仕事をするのが当たり前というのが社会通念でありますが、なんのために仕事をするのかというモチベーションは、人それぞれで違ってきます。
内閣府が行った令和3年度の国民生活に関する世論調査によると、「お金のため」と答えた方の割合が最も高く61.1%、次点に「社会の一員として務めを果たすため」と答えた方が12.1%、「自分の才能や能力を発揮するため」と答えた方が7.2%、「生きがいをみつけるために働く」と答えた方が13.9%と続いています。
働く上でしばしば議論に上がるのが、仕事を選ぶときにお金とやりがいのどちらを重視したらいいのかというテーマですが、調査では圧倒的にお金のために働いている方が多いという結果が出ています。
都市規模別に見ていくと、東京都区部では「お金のため」が61.5%、「生きがいのため」が4.4%、大都市圏では「お金のため」が62%、「生きがいのため」が10.4%、町村部では「お金のため」が58.9%、「生きがいのため」が19.2%となっており、都市部よりも町村部の方がやりがいを求めて仕事をしている割合が高いということがわかります。
令和3年度の調査からは調査方法が変わったため、直接的な比較はできませんが、平成28年度の調査から「お金のため」の割合は右肩上がりに増えており、反対に「やりがいのため」の割合は年々下がり続けています。
どちらがいい、悪いということはありませんが、自分はどちらを優先した方がいいのかと迷っている方は、やりがいと優先している方とお金を優先している方は、何を基準に選択しているのかをチェックしていきましょう。
やりがいを優先する方場合
やりがいを優先させて仕事をしている方は、どんな理由を元にその選択をしているのでしょうか。
仕事に対しての精神的な充実度が高い
やりがいを優先して仕事を選ぶことで、充実を感じながら1日を過ごすことができ、生活の満足度を高めることができます。
仕事は1日の大半の時間を占めているため、仕事に充足感を得ることが人生を謳歌することに繋がります。
精神的に満足度が高ければ仕事でのストレスが軽減され、メンタルヘルスが崩れることによる体調不良の心配が少なくなります。
また、苦しい時期が合ってくじけそうになることがあっても、やりがいのある仕事であれば、困難を乗り越えることができようになります。辛いことが合っても前向きに仕事に没頭することができるため、長く続けることのできる一生涯の仕事になる可能性が高いです。
楽しい、やる気が出る
目指しているものや叶えたい夢と仕事が繋がっていることは、楽しく働く原動力となり、毎日夢中になって仕事に励むことができます。
収入が多少低くてもそれがストレスにならずに仕事に邁進することができ、辛いことがあってもそれすら楽しんで乗り越えるということすらあり、積極的に仕事に取り組むことができるため、将来的な給料アップや成功に繋がります。
モチベーションを長い期間維持できる
やりがいを感じられる仕事は、仕事への意欲を失いにくいため、高いパフォーマンスを発揮することに繋がるため、収入を求めて仕事をしなくても、結果的に高い給料を得ることに繋がるということが考えられます。
モチベーションを維持することで、効率のよい仕事の仕方やスキルアップを考えながら仕事を工夫し、自分を成長させていくことができます。また、やる気が周囲に伝わると、上司に仕事ぶりを認めてもらうことや部下のやる気も引き出すといったことにも繋がるため、人間関係にいい効果が生まれることもあります。
お金を優先する場合
お金を優先させて仕事をしている方は、どんな理由を元にその選択をしているのかという詳細を確認していきましょう。
余裕のある生活ができる、生活が安定しやすい
平均的かそれ以上の安定した収入を得ることができると、余裕のある生活を送ることができます。収入が少ないと、したくてもできないことが多くなり、いつも節約を心がけて心がキリキリしてしまい、ストレスになってしまいます。
安定して暮らすことのできる収入があれば、仕事で疲れたときに自分へのプチご褒美を買うことができたり、趣味や娯楽などプライベートを楽しむことができるでしょう。
生活に余裕があることで、心にもゆとりが生まれるため、ライフワークバランスを取りやすくなります。
プライベートを充実させたい
仕事にはやりがいを求めていないが、プライベートで楽しみたい趣味がある方や資格の勉強をなどをしたいという方もいます。
その場合は、無理に仕事にやりがいを求めるのではなく、趣味やプライベートを充実させるために、仕事はお金を優先させるというのも一つの選択です。
活動に対しての評価として給料が反映されていると達成感がある
給料とは、自分の仕事の実績や日頃の成果として反映されるものなので、給料が高いことは自分の仕事ぶりが認められているという実感につながります。
やりがいとは少し違いますが、自己承認欲を満たすことや達成感を得ることができるため、仕事へのモチベーションに繋がります。
給料が高い仕事・会社だと大きなプロジェクトに関わる可能性が高くなる
給料が平均より高かったり、大手などの規模の大きい仕事を行っている企業に所属していると、大きなプロジェクトに関わることのできる可能性が高くなります。
大きなプロジェクトというのは、社を賭けて行われたり、長期にわたって一つの案件を皆で成功に導くというものになります。
チームのメンバーに選ばれるということは、力量を認められていると感じやすいと言えるでしょう。
日頃から関わりたいというアピールが必要となりますが、プロジェクトチームに関わることで、今までとは違う仕事を経験することができたり、新たなスキルを身につけることができる可能性があります。
どちらも良し悪しがあるのでバランスを取るのが大事
やりがいとお金はどちらかだけが必要というわけではなく、仕事を続けていく上ではどちらも重要なものになります。
どちらを優先するかを選択する必要がありますが、バランスを上手く取ることがポイントとなり、どちらかが極端になってしまうと仕事が長続きしない可能性が高くなるなどのデメリットが出てきてしまいます。
やりがいが少ない場合
モチベーションが上がらない
プライベートが大事にできればいいと給与を重視しすぎて、極端にやりがいのない仕事に就いてしまうと、仕事に対するモチベーションが上がらず、仕事に行くことがストレスになってしまうという可能性があります。
空しいという気持ちが出てくる
給与がよくても、やりがいが全くない仕事である場合、なんのために仕事をしているのだろうと空しくなってしまい、仕事が続けられなくなってしまうことがあります。
仕事に空しさを感じてしまうようになると、プライベートも空しくなってしまったり、反対にプライベートにのめり込みすぎて仕事を疎かにしてしまうという事態になりかねず、仕事の評価も落ちてしまうことが考えられます。
仕事が大変な時に踏ん張るのが難しくなる
どんな仕事でも、忙しくなったり困難が降りかかることがありますが、仕事にやりがいを見出すことができない場合、大変な時に踏ん張ることができず、気持ちが辞めてしまう方へと傾いてしまうということがあります。
お金が少ない場合
生活が苦しくなる
やりがいを優先して収入が平均より低くなった場合、生活が苦しくなる可能性があり、いくらやりがいのある仕事をしていても私生活のストレスによって仕事に上手く集中できなくなってしまうなどの可能性があります。
仕事の対価をしっかりもらっている感覚がなくなる
やりがいがあればお金なんてどうでもいいと考えてしまうと、極端に低い給料で長時間労働をさせられるといったブラック体質に染まってしまうことや、仕事の対価として給与をもらっているということを忘れてしまうということがあります。
やりがい搾取という言葉がありますが、「自分がやりたいのだから、給与が安くてもいい」という考えでいると、心身の体調を崩してしまったり、やりがいだけでは仕事が続かなくなり挫折してしまうということに繋がりかねません。
モチベーションが上がらなくなる
やりがいを持って働いていると、仕事へのモチベーションが高いというメリットがありましたが、あまりに給与が低いと生活が苦しくなったり、体調を崩す可能性があります。
そのせいで仕事内容に対してはやりがいがあっても、モチベーションが上がらずに、楽しかったはずの仕事に意欲的に取り組むことに疑念が生じる可能性があります。
やりがいとお金のバランスはライフステージによって大きく変わる
やりがいを重視して仕事を選んだ、もしくはお金を優先して就職したという方でも、ライフステージの変化によって、選択が変わることは当然です。
例えばやりがいを持って仕事をしていても、結婚をしてこどもが出来たときに、このままの収入でこどもを育てていけるのかと不安になったり、子どものためにもっと収入のいい働き方に変えようと意識が変わることはよくあることです。
やりがいとお金のバランスはその時の状況によって変化するため、夢を諦めてしまったと考えたり、昔の自分はこんなことを考えなかったと悩む必要はありません。
その時の自分にとって必要と感じるものは何かを考える機会に、よい環境を作れる職場を探して転職を検討するのは一つの選択としてアリです。
自分の優先したいことを満たせる職場に転職するには
今の自分にとって優先したいものを満たせる職場に転職をするには、求人票や面接の時に条件や待遇、会社の規模などを確認する必要があります。どのような点に注意して会社を選べばいいのかをチェックしておきましょう。
やりがいを優先したい場合
業務内容が細かく記載されているか
やりがいを優先して仕事を探すときに重要なのは、自分のやりたいことがしっかりと叶えられるかどうかという点になるため、求人票の業務内容が細かく書かれているかどうか、内容をよく読み込むことが大切です。
自分の望むポジションへの転職ができそうか
なりたいポジションがある場合、そのポジションに本当に転職ができるのかどうかということが鍵になります。
募集しているのはどのポジションなのか、希望とは異なる配属になる可能性があるのかどうかということを調べておきましょう。
会社の規模
大手なのかベンチャーなのかという会社の規模によっても、働き方や裁量の幅が異なるので、自分が何を求めているのかということを分析しましょう。
大手では大きなプロジェクトなどを行うこともありますが、社員が多いため、1人1人の仕事の幅は小さかったりチームワークが重要であることが多く、ベンチャーでは人数が少ない分、裁量の幅が大きかったり、チャレンジ的な仕事ができるといった可能性があります。
お金を優先したい場合
給与が自分の希望する水準に届きそうか
お金を優先して転職を考える場合、自分の考えている年収を得られるかどうかということが重要になるため、企業の平均的な給与に対し、自分のスキルや経歴が活かせるかどうかを見直しましょう。
入社後の給与の上がり方に希望が持てるか
入社直後には年収が低かったとしても、給与の上がり方が大きい企業であれば、希望を持って働くことができます。給与が上がっていくかどうかということを調べるには、上司や先輩に当たる方の年収と入社時の年収を比較することで確認することができます。
給与の変動はどのような評価制度の元で行われているか
上司や先輩の給与の上がり方に希望が持てるものであったとしても、評価制度の仕組みによっては考えていたように上がっていかないという可能性があります。自分がその評価の条件を達成することができるかどうかを、自分のスキルと照らし合わせて考える必要があります。
仕事はやりがいとお金どちらも大事
仕事に対してやりがいを求めるか、それともお金を求めのるかという議論はよく行われますが、どちらかが極端に振り切れていることはあまりよいことではありません。
結論から言うとどちらも大事なものであるため、両方とも満たされていることが一番ではありますが、必ずしもそのような職場を見つけることができ、入社できるかというと可能性はあまり高くないというのが現実でしょう。
しかし、やりがいとお金のどちらかを優先して考えたとしてもバランスの取れるものを選ぶことが大事であり、どの部分を優先して、どの部分は妥協できるのかをしっかりと理解して職場選びをすれば、満足度の高い職場に出会う可能性が高まります。