音楽業界への転職は厳しい?あなたは音楽業界への転職をしたいと考えていませんか?

音楽業界といえば華やかなイメージがあり、音楽に関心があるなら多くの方が一度は働くことを夢見る業種でしょう。

しかし、音楽業界と一言で言っても職種は様々なので、「各職種が具体的にどんな業務を担当するのか?」「自分にはどの仕事が適しているのか?」など疑問点が多々あるはずです。

また、未経験だけど音楽業界で働きたい気持ちがあり、業界に関する基本的な勉強をしてから転職活動を始めたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、音楽業界へ転職を考えているあなたに向けて、求められる能力や転職を成功に導くための3つのポイントについて解説します。

また、音楽業過にはどのような職種があるのかもまとめてみました。

音楽業界の転職状況の特徴

音楽業界の転職状況の特徴

まずは、音楽業界の転職状況について解説します。

そもそも求人数が少ない

近年、音楽業界の景気は低迷していて、それに伴って求人数も非常に少なくなっています

そもそも、近年の音楽シーンは配信によるダウンロードが主流となっていて、以前のように音楽CDが売れない時代となっているのです。

確かに、楽曲自体はダウンロードという形で売れてはいるものの、やはりCDとしての売り上げと比べると少なくなってしまいます。

そのため、CD販売の全盛期だった頃と比べると音楽業界全体の規模は縮小しているのです。

また、音楽業界ではアルバイトから正社員になるケースが非常に多いのも相まって、他業界と比べると正社員の採用枠が非常に少なくなっています。

都心部に仕事が集中している

音楽業界は、芸能関係の仕事でもあるため、どうしても職場は都心部に集中してしまいます。

東京都以外で仕事場があったとしても、大阪などの大都市になるでしょう。

地方で音楽業界の仕事に就くのは非常に困難なので、地方に住んでいる方は上京を覚悟した方が良いというのが現状です。

残業が多い

音楽業界は、残業が多いとされる仕事です。

実際、音楽業界で働く人の口コミをみると、以下のような実態が見えてきます。

制作や宣伝など、アーティストに関わる部署は、深夜までスタジオの立会いをして、始発でそのまま会社に行き、朝礼や会議に出ます。

引用元:en Lighthouse「エイベックス株式会社の評判・口コミ」

このように、深夜から明け方まで仕事をするという日もあるので、残業が嫌という方にとっては大きな壁となるでしょう。

音楽業界では、万が一トラブルが発生すれば深夜まで残業するケースもあるようです。

平均給与

音楽業界の平均給与は、企業の規模や職種によって大きな差があります。

というのも、音楽業界といっても誰もが知る有名レコード会社もあれば、一般的にはあまり知られていない映像などの編集をするような企業まであるのです。

そのため、職種や企業によって所得は大きく違ってきます。

例えば、有名な企業であるエイベックスや日本コロムビアなどは、日本の平均給与である441万円(*1)を超える金額です。

*1:国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」

【有名企業の平均給与】

  • エイベックス:697万円
  • スペースシャワーネットワーク:667万円
  • 日本コロムビア:664万円

それに対して、職種別に平均給与を見てみると日本の平均である441万円に近い金額か、それ以下の金額となっています。

【職種別】

  • 映像・イベント関連:328万円
  • 編集・デスク:419万円

このように、有名企業の正社員なら日本人の平均所得を超える金額ですが、すべての職種が平均年収を超える金額とは限らないのです。

職種や企業によっては、正社員であっても日本人の平均所得を下回る可能性があるでしょう。

*参考:DODA「職種別平均年収ランキング【最新版(2019年)】」

音楽業界の仕事内容とそこからいえる求められる能力

音楽業界の仕事内容とそこからいえる求められる能力

音楽業界と一言で言っても、その仕事は多岐にわたっています。

そのため、求められる能力は企業や職種によって大きく異なるのです。

まずは、音楽業界を大きな分類に分けて、どのような仕事があるのか確認していきましょう。

ちなみに大きな分類とは、専門職と音楽ビジネスの会社の2つです。

専門職とは?

専門職とは、言葉の通り専門的な仕事を担当する職種で、主に以下のような職種が挙げられます。

  • 作詞家:楽曲メロディーに言葉を当てはめる
  • 作曲家:曲を作成する
  • 編曲(アレンジャー):楽曲メロディー以外を作成する
  • プロデューサー:楽曲・ミュージシャンをプロデュースする
  • スタジオミュージシャン:演奏でレコーディングやライブをサポートする
  • レコーディングエンジニア・ミキサー:音色を加工、録音する時のマイクセット
  • コンサートプロモーター:コンサートの全体を取り仕切る
  • PAエンジニア:ライブの音響を操る
  • 舞台美術・照明:ライブの美術や照明を担当する
  • 雑誌編集者:音楽メディアで編集を担当する

一般的に知られている音楽業界の専門職といえば、作詞や作曲、編曲といった仕事でしょう。

また、その他にもアーティストをプロデュースする仕事や、コンサートを取り仕切る仕事など数多くの専門職があります。

ただし、これらの専門職と呼ばれる仕事は、特別な知識やスキルがないと実務は難しいのが実情です。

そのため、専門学校に通うなどした方が就職を目指すのが一般的となっています。

もちろん、社会人の方がインターネット上で受講できる講義を受けてから目指すのは可能なので、興味がある方はまずは勉強するところから始めてみてください。

音楽ビジネス会社とは?

音楽ビジネス会社とは、CDを制作して販売するレコード会社や歌手などの仕事を取ってきたり、スケジュール管理をしたりする事務所などがあります。

レコード会社

レコード会社では、以下のような仕事を担当します。

  • CDを売る:店舗においてもらえるように図ったりする
    必要なスキル:コミュニケーション能力
  • ライブの企画・運営:企画の方向性など市場調査や顧客層から分析する
    必要なスキル:分析力・企画力・発想力
  • アーティストのメディア出演手配:テレビやラジオ、雑誌の取材などに出してもらえるように手配する
    必要なスキル:コミュニケーション能力

主に以上のような仕事を担当します。

こちらは、専門職のような特別なスキルは必要ないので、未経験の方でも取り組みやすい職種となっています。

事務所

事務所では、所属するアーティストが売れるように、あらゆる面からサポートするのが仕事となっています。

具体的には、以下のような仕事を担当するのです。

  • マネージャーとしてアーティストを売り出す:管理・サポートする側として多角的な視点からアドバイスする
    必要なスキル:柔軟性・発想力
  • アーティストの心身の健康を管理する:アーティストとコミュニケーションを図り心身をケアする
    必要なスキル:コミュニケーション能力
  • アーティストと方向性を合わせる:アーティストのやりたいことと会社の方向性が異なる場合は折衷案を考える
    必要なスキル:コミュニケーション能力

このように、所属するアーティストと二人三脚になって売れることを目指すのが事務所の役割です。

もちろん、ただ闇雲に売り込むのではなく、同じアーティストでも様々な切り口から売っていくことが必要となります。多角的なものの見方と情報のキャッチ力が求められる仕事です。

未経験でも転職可能か?

未経験でも転職可能か?

音楽業界への転職で、最も気になるのは未経験でもOKなのかという点でしょう。

結論を言ってしまうと、未経験でもOKかどうかは職種によって違ってきます。

例えば、全く音楽の知識や経験がなくて楽器演奏などもできない方が、いきなり楽曲のアレンジ(編集)なんてできるはずがないでしょう。

作詞くらいなら未経験でも始められるかもしれませんが、作詞ができるのと仕事として成立するかどうかは別なので、やはり未経験では難しいと言わざるを得ません。

では、未経験では始めるのが難しい職種とは何なのでしょうか。

基本的には、専門職と呼ばれる仕事は難しいでしょう。

反対に、専門的なスキルが必要ない職種であれば、未経験の方でも始められる可能性が高くなっています。

  • 未経験では難しい職種:作詞・作曲家/アレンジャー/スタジオミュージシャン/レコーディングエンジニアなど
  • 専門スキルが必要ない職種:音楽雑誌編集/ライター/ファンクラブスタッフ/レコード会社の社員など

このように、音楽を作ったりする作詞家・作曲家や専門機材を操作したりするエンジニアなどは、専門知識やスキルが必要なので、未経験では難しい職種になります。

反対に、音楽に関連した雑誌の編集やライターなどは専門的なスキルがなくても始められるので、未経験の方でも受け入れてもらいやすくなっているのです。

未経験から音楽業界に転職する際の3つのポイント

未経験から音楽業界に転職する際の3つのポイント

最後は、未経験から音楽業界に転職する際の3つのポイントについて解説します。

ポイント1.雇用形態にこだわらない。

音楽業界では、経験者を求められる場合が多いため、最初から正社員からの採用を狙わないようにしてください。

まずは、アルバイトなど比較的チャレンジしやすい雇用形態から音楽業界で経験を積み、自分の望む雇用形態への転職がおすすめです。

実際、音楽業界で正社員として働く方の多くは、アルバイトなどの非正規雇用から正社員登用されています。

焦らずにアルバイトなどから始めてみましょう。

ポイント2.ビジネススキルをアピールする

音楽が好きな気持ちはもちろん大切です。

しかし、それ以上に自分がどのような活躍ができるのかアピールした方が転職はうまくいくでしょう。

音楽業界で強みとなるスキルとしては、以下のようなものが挙げられます。

【音楽業界で強みとなるスキル】

  • 企画力:過去の実績や、自分ならどういう企画にするのか具体的に説明するなど
  • デザイン:画像作成可能なソフトやスキルの能力

一見すると、音楽業界とは無関係と思えるスキルや経験であっても、視点を変えてみると役立つ可能性があるものです。

あなたに以上のようなスキルがあると証明できる実績がある場合は、積極的にアピールしてみてください。

ポイント3.体力・強いメンタルがあることをアピールする

音楽業界は、勤務時間が不規則になりやすく、体力的にハードな仕事であるという点は間違いありません。

またハードスケジュールにもかかわらず、正社員や売れているアーティストでないアルバイトなどは給料が安いことが多くなっています。

つまり、仕事の辛さに対して報酬が見合っていないと感じる可能性があるという訳です。

それを理解したうえで音楽業界への転職を考える場合は、体力はもちろん簡単にくじけないという強いメンタルをアピールできると採用してもらえる確率が上がるでしょう。

このように、音楽業界は未経験からでも始められる一方で、いきなり正社員になるのは難しく、始めて間もないうちは収入も低いので、長い年月をかけてコツコツとステップアップするしかありません。

これらの点をよく理解したうえで、今までの実務経験から音楽業界に応用できるスキルはないか考えて、しっかりとアピールしてみてください。