銀行員にどんなイメージを持っていますか?
テレビドラマ「半沢直樹」でも注目を浴びていますが、その影響で銀行という組織にあまり良い印象を持てないかも知れません。
実際、辛い職業とも言われますが、その一方で銀行員は収入も高く安定していると考えられてもいます。
今回は、銀行がしている仕事、なぜ銀行員が辛いと言われているのか、銀行員のメリット、そして銀行員に向いている人と向いていない人の違いなどを紹介していきます。
銀行員に転職を考えている人はぜひ参考にしてください。
銀行の仕事内容
個人や企業に関わらず誰もが利用することになるのが銀行です。
日本には三菱UFJフィナンシャル・グループやゆうちょ銀行などの世界最大級の銀行から地元に密着した地方銀行、そしてインターネットの普及により生まれた店舗を持たない楽天銀行など、ネット銀行まで様々な銀行があります。
お金を預けたり借りたりする銀行ですが、具体的にはどのような業務をしているのでしょうか?
主軸業務は預金・貸出・為替業務です。また、企業に対しては事業の融資から戦略の立案まで幅広く関わっています。お金と社会を繋いで流通させていく役割を果たすのが銀行です。
それでは更に詳しく銀行の仕事の内容を確認してみましょう。
仕事内容1. 預金業務
銀行口座を通してお金を預けたり引き出したりする顧客の預金を管理するのが「預金業務」です。
預金業務は銀行の支店で行なう場合と法人に営業をする場合があります。
支店で働く場合
お客様の銀行預金口座の作成、各種変更手続き、預金商品のおすすめなどを行ないます。
法人営業の場合
担当企業の経営者の預金管理、またその企業の新入社員の給与口座や経費口座を新規開拓するための営業をします。
余談ですが、ここでは「預金」という言葉を使いましたがお金を貯めることを「貯金」ともいいます。
この違いはなんでしょう?
実はどちらもお金を預けるという意味で使われているので違いはないのですが、「郵便貯金」という言葉がある通り、「貯金」はゆうちょ銀行にお金を預ける場合に使われます。
これは郵便貯金法に「貯金」と記載されているからです。
同じく「水産協同組合法」「農業共同組合法」にも「貯金」と記載されているので漁協と農協でも「貯金」を使用しています。
「預金」はそれ以外の金融機関にお金を預ける場合に使われます。
つまり銀行にお金を預ける場合は「預金」なのです。
仕事内容2. 融資業務
資金を必要としている人にお金を融資する業務が「融資業務」です。
企業が事業拡大のための運転資金を確保するときや、個人が住宅を建てるために大金を必要とするときに、その資金繰りの土台を支える役割を果たします。
万が一融資先が資金を返せなくなった(倒産や破産などで)場合、銀行は大損害を被ります。
そのため銀行員の調査や審査が大変重要になるのです。
仕事内容3. 為替業務
「為替業務」とは口座間の資金移動を行う業務で、振込や送金、そして口座振替など、代金支払や金銭授受を行ないます。
為替業務は現金を直接扱わずに口座間の資金移動が出来るのです。
企業の決算業務に利用されます。
仕事内容4. 営業
個人や法人に対して融資や金融商品の販売の「営業」をする業務です。
法人営業は「預金業務」の項目でも紹介しましたが、経営者の預金管理なども含まれます。
このように銀行では預金の預かりや引き出しだけではなく、為替業務や営業などもしているのです。
銀行の種類
冒頭でも少し触れましたが銀行にも色々と種類があります。
どのような種類があるのかも確認しておきましょう。
都市銀行
明確な法的基準はないのですが、「みずほ銀行」「三菱東京UFJ銀行」「三井住友銀行」「りそな銀行」「埼玉りそな銀行」の5行を指すのが一般的です。
地方銀行
各都道府県に本店があり地元を中心に営業展開している銀行です。
そのため地元の住民、企業、行政機関などとも深い結びつきを持っており、地域経済にも大きな役割を果たしています。
ネット銀行
限られた店舗、あるいは店舗を持たない銀行で、インターネットで取引(インターネットバンキング)を中心にしています。都市銀行や地方銀行に比べ手数料が安い傾向になるのも特徴です。
信託銀行
「銀行業務」だけではなく「信託業務」と「併営業務」を行なっているのが「信託銀行」です。
信託業務とは
個人や法人から財産を託され運用すること。
貯蓄との大きな違いは財産を託す「委託者」、管理・運用する「受託者(信託銀行)」、そして利益を受け取る「受益者」の三者が存在することです。
併営業務とは
企業の株主名簿の管理や不動産の売買の仲介、そして遺言の保管や遺言執行などの業務を意味します。
もちろん信託銀行は「銀行業務」を行なっているので貯蓄や融資も行なっています。
このように「銀行」と一口に言っても、規模はもちろん目的やどこに主軸を置いているかなど色々違いがあるのです。
番外編:銀行と信用金庫・信用組合の違い
街で見かける金融機関は銀行の他に信用金庫と信用組合がありますが、これらの違いにも簡単に触れておきます。
いずれも金融機関ですが、大きな違いは銀行が営利法人なのに対し、信用金庫と信用組合は非営利法人ということです。
銀行は預金業務、融資業務、為替業務、営業を行なう金融機関ですが、都市銀行、地方銀行、ネット銀行、そして信託銀行などの種類に分かれており、それぞれ特徴があります。
銀行員の仕事が辛いと言われる理由
銀行がどんな仕事をしているかを確認してきましたが、そこで働く銀行員は辛いと言われています。
どうして辛いと思われているのでしょうか? 主な4つの理由を紹介します。
理由1. 正確な作業が求められる
特に事務処理の正確性が求められ、一円でも帳簿と合っていなければ支店全員でその原因を突き止めなければなりません。この作業をきついと感じる方も多いです。
銀行員は「お金」を扱う職業なので、企業の根幹の部分に関わる仕事とも言えます。
融資の仕事などでお金が回収できないと大きな損害になるので正確性と冷静さも求められるのです。
理由2. 色々なことが出世に響く
銀行員は多くのことが出世に関わってくるため、営業の成績はもちろん職場の人間関係なども気を遣う必要があります。
ノルマが達成できなかった、大きな失敗をした、上司の機嫌を損ねた、こういった事が原因で出世レースから外れてしまうと、同期や後輩が自分より出世していくのを何もできずに見ていることになってしまいます。
理由3. 膨大なノルマが課せられる
ほとんどの場合、銀行員にはノルマが課せられます。中にはノルマという言葉を使用せずに「目標」と呼ぶケースもあるようですが、結局のところ同じです。
銀行業界全体的な不況が大きく影響していてかなり高いノルマが課せられ、達成できないと他の銀行員の足を引っぱることにもなるので大きなプレッシャーになります。
ではどのようなものにノルマが課せられるのか確認してみましょう。
- 貸出金
- 貸出金新規
- 預金
- 収益目標
- 外為収益目標
- クレジットカード
- 保険
- 投信
上記のように様々な項目があり、それぞれノルマが課せられています。
ノルマが達成できないと上司から責められるだけでなく、出世にも悪影響が出るので人によってはかなりきついです。
理由4. 仕事と並行しながら勉強を続ける必要がある
銀行員は金融商品についてはもちろん、世界経済に関する幅広い知識が必要となるため勉強をし続けなければなりません。
日々仕事で疲れている上に、さらに勉強を重ねていかなければならないので心身のバランスを崩しやすくなります。
このように様々なノルマに追われ、少しのミスも許されない厳しい業務の中で、勉強もし続けなければなりません。このような環境に適応できない方には非常に辛い職場となります。
銀行員のメリット
銀行員が辛いと言われる理由を確認してきましたが、逆に銀行員になることのメリットは無いのでしょうか? 辛くても続けている人がいると言うことは当然それに見合うこともあるのです。
ここでは代表的な銀行員のメリット4つを紹介します。
メリット1. 様々な知識を得ることができる
銀行の業務は多岐に渡るので様々な知識が必要になります。
業務を通して金融についてはもちろん経済の事なども学びますし、資格を取るための勉強もします。
そのため必然的に専門的な知識を身に付けることにつながります。
メリット2. 経営者目線で様々な業界の人と関わることができる
銀行はあらゆる企業に融資をしているため、どの業界にも関わることができます。
そのため様々な業界のことを幅広く学び、多様な業界の人たちと繋がりを持つことが可能です。
また、一社員にも関わらず経営の目線に立って戦略を考えていけるのは銀行員ならではです。
メリット3. 目標達成力がつく
どの銀行でも目標・ノルマが課せられている場合がほとんどなので目標にコミットする力がつきやすいです。
メリット4. 福利厚生が充実している
家賃補助があったり、休みが取りやすかったりすることが多いです。
メリットを確認していくと、デメリットの裏返しがほとんどです。
勉強を続ける必要があるので知識がどんどん身に付いていき、様々なノルマがあるからこそ色々な業界に出入りすることになり、さらにノルマが厳しいからこそ達成力も鍛えられるのです。つまり考え方次第とも言えます。
その一方で銀行員がハードな仕事であることも事実。そのためメリットとデメリット(辛いこと)から、行員に向いている人とそうでない人がいることも分ります。
銀行員に向いている人
どのような人が銀行員に向いているのでしょうか。
向いている人1. 学ぶことが好き
日本だけでなく世界の経済状況を把握したり、担当している企業の業界での動向なども捉えたりしなければなりません。
そのため広く深い知識を身に付けなければならず、日々学び続ける必要があります。
このようなことから銀行員には、情報収集が得意な人・学ぶことが好きな人が向いていると言えます。
向いている人2. 分析能力がある
企業のデータや数字などを読み解き、分析することが求められるので分析能力がある人は向いていると言えます。
学ぶことが好きで分析能力がある人は銀行員に向いていると考えられます。
銀行員に向いていない人
銀行員に向いている人が分ったところで、今度はどのような人が向いていないかを確認しましょう。
向いていない人1. 勉強が嫌い
銀行員は新卒の社員だけでなく、ベテランになっても新しい資格の勉強などが必要です。
そのため勉強が嫌いな人は向いていないと言えます。
向いていない人2. 時間・期限にルーズ
銀行員は正確性や信頼が非常に大切です。そのため時間や期限にルーズな人は信用を失う可能性が高く、信用を失えばノルマを達成することも難しくなります。
ノルマに厳しい銀行で時間・期限にルーズな人は向いているとは言えません。
向いていない人3. ノルマにプレッシャーを感じる
プレッシャーが励みになる人もいますが、逆に精神的に追いつめられてしまう方もいます。
今まで何度も言いましたが銀行のノルマは厳しく、達成できない場合は自分のいる支店に迷惑がかかるのです。
連帯責任とも言える体質を持っているため、上司によってはノルマを達成できないと厳しく問いつめる人もいます。この状況に精神的に耐えられない人は銀行員に向いていないと言えます。
銀行員に向いていないのは、勉強が嫌いでルーズ、そしてプレッシャーに弱い方と言えます。
こう言うとかなりダメな人と感じるかも知れませんが、銀行員の厳しさはここまで紹介してきた通りです。
むしろ向いている人が少数派ではないでしょうか。
また上記とは全く別の意味で日本の銀行員に向かない人もいます。
外資系の銀行に向いている人
銀行員に向いている人の中でも、日本の銀行には向いていないタイプがいます。
それは成果主義でどんどん出世していきたいと考えている人です。
日本の銀行は未だに年功序列であり、自分のやり方で仕事を進めたくても本部や上司からの管理下で仕事をしなければならず、職場のルールにも縛られるため自由がききません。
またズバ抜けた成績を上げたとしても銀行内の規定の年次までは自分ほど成績を上げていない他の同期と待遇は変わらないのです。
自分のやり方で実力をぞんぶんに発揮したいという人は、成果主義の色が濃い外資系銀行に向いていると言えます。
まず自分が銀行員に向いているかを判断する
銀行員が辛いと言われる主な4つの理由をはじめとし、銀行員のメリット、向いている人と向いていない人などを確認してきました。
銀行員は年収が高いと言われ転職を考えていた方の中には、このコラムを読んで悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
厳しい業界で、せっかく採用されても働いてみたらついていけないという恐れもあるため、働き始める前にしっかりと自分の性格を見極めることが大切です。
まず銀行員が本当に自分に向いているかを客観的に判断するのがおすすめです。
もちろん銀行員が天職の方もいますし、中にはよりスピード出世を望むので外資系の銀行がいいという方もいるでしょう。
人にはそれぞれの適性があるので自分に合った仕事を見つけてください。