ITエンジニアと言っても、求められるプログラミング言語には偏りがあります。
そのため、どの言語がITエンジニアの求人で多く求められているのか把握しておけば、転職の成功率や高収入を目指せる可能性を高めることができます。
ITエンジニアへの転職を考えているあなたは、どの言語が多く求められているのかを知っていますか。
ITエンジニアとしての経験がある方なら、どのプログラミング言語が多く用いられるのか、ある程度把握しているので必要な言語も分かるでしょう。ところが未経験の方になると、「プログラミング言語の多様性に違いなんてあるの?」といった感覚になります。
しかし、プログラミング言語には、C言語やPHP、JavaScriptなど数多くあります。そして、言語によって求人が多くあるものと、求人が少ないものがあるのです。
そこで今回は、ITエンジニア求人で多いプログラミング言語は何なのか解説します。また、プログラミング言語別の収入ランキング、各プログラミング言語における最近の傾向、業種別の押さえておきたい言語についてもまとめてみました。
求人で多いプログラミング言語は? ランキングTOP5を発表!
求人で多いプログラミング言語としては、JAVA、PHP、Rubyなどが挙げられます。中でも断トツに需要が高いのは、JAVAというプログラミング言語です。
プログラミング言語別の求人数については、ITエンジニア・Webクリエーター専門の転職エージェントである「レバテックキャリア」が実施した調査結果を基に確認していきましょう。
レバテックキャリアでは、2018年度の新規正規雇用の求人データを基に、どのプログラミング言語の求人数が多いのか調査をしました。
調査概要
調査対象:「レバテックキャリア」の正社員向け新規求人データ
調査期間:2018年度4月1日~2019年度3月31日
調査方法:対象期間中の新規発生求人データを基にランキング化
その結果、以下のような割合となりました。
順位 | プログラミング言語 | 割合 |
第1位 | ジャワ | 31.10% |
第2位 | PHP | 14.96% |
第3位 | ルビー | 8.24% |
第4位 | C#/C#.net | 6.61% |
第5位 | JavaScript | 6.55% |
このようにJAVAとPHPが多いのが確認できます。この2つだけでも、全体の求人の46.06%を占めるという結果です。
ちなみに2017年度と2018年度を比較したデータを確認してみると、以下のような内容となっていました。
画像元:https://career.levtech.jp/guide/knowhow/article/563/
JAVAが第1位でPHPが第2位という点と、この2つが求人の大多数を占めているという点は変わりありません。
しかし、PHPは多少ではあるものの求人数が減るという結果です。それに対して、JAVAは2018年度になると求人数さらに増えるという結果となりました。
JAVAの求人数が増えている背景としては、需要拡大が加速するスマホの決済サービスが考えられます。また、投資が気軽にできるようになったことによるブロックチェーン業界の活性化も、JAVAの需要が増加した理由と考えられるでしょう。
これらの点から考えても、JAVAが断トツで需要が高いというのが理解できたでしょう。
参考:レバテックキャリア「プログラミング言語別求人ランキング【2019年6月発表】」
プログラミング言語別の収入ランキング
プログラミング言語別の収入ランキングは以下のようになっています。
順位 | プログラミング言語 | 求人年俸平均額 |
第1位 | R言語 | 474~831万円 |
第2位 | Go言語 | 463~791万円 |
第3位 | TypeScript | 460~787万円 |
第4位 | スカラ座 | 459~789万円 |
第5位 | コトリン | 452~754万円 |
このランキングは「HRog」が公開しているデータで、2020年におけるプログラミング言語別の給与をランキング形式で発表したものです。
この順位を見ると、求人数が多かったプログラミング言語が1つも入っていないのが分かります。ちなみに需要が高いJAVAは392万円(求人数11,526件)、その次に需要が高かったPHP(求人数7,383件)は384万円という結果です。
年収が多いプログラミング言語は、R言語の求人数は1,056件で、2位のGo言語は932件と、非常に少ないのが確認できます。
つまり、需要が高いJAVAやPHPは、求める企業の増加に伴って学習する人も増え、その結果スキルを持つ人が増えて飽和状態にあるので、年収も低くなったと考えられるのです。反対に、年収が高い言語というのは、習得している人が少ないから高水準となっています。しかし、求人が少ないので、勉強しようとする人が少ないのも実情です。
- 求人数が多いプログラミング言語=できる人が多いから年収が低い
- 求人数が少ないプログラミング言語=できる人が少ないから年収が高い
もちろん、年収が低いプログラミング言語であっても、しっかりと勉強すれば、スキルアップは目指せます。そもそもIT業界は人材不足を感じている企業が多いので、どの言語であっても重宝される存在になれるでしょう。
参考:HRog「需要の高いプログラミング言語とは?年収が高い&人気の言語を紹介」
プログラミング言語における最近の傾向
プログラミング言語における、最近の傾向がどのようになっているのか、ここでは以下の3つのポイントから確認していきましょう。
- 人気度
- 将来性
- 汎用性
人気度
人気度が高いプログラミング言語として、断トツなのはJAVAです。
やはり求人数の多さが人気の理由となります。またインターネットや書籍でも解説している教材が多くあったり、セミナーや学校といった学べる環境が多数あったりする点も、人気の秘訣のようです。
現在でもインターネット・Web業界や情報処理サービス業界、ソフトフェア業界、ハードウェア業界など、数多くの業界が活用していて、その需要が衰える心配がありません。
ちなみにJAVAは、プログラムをコンパイル(機械が認識できるように翻訳)する必要があるので、少々難度は高くなるものの、その専門性がかえって企業から重宝されていると考えられます。
将来性
将来性が高いプログラミング言語として挙げられるのはPythonです。
Pythonは、AI(人工知能)に関するライブラリが豊富なので、AI業界では広く用いられるプログラミング言語となっています。今後はAIの需要の高まりに伴って、どんどんとPythonの需要も拡大するでしょう。
またPythonは、AI以外の将来性がある分野でも使われているのです。
そのIoTとは、「物のインターネット」と訳されるもので、今までインターネットに接続されていなかったような商品が、インターネットに接続されるようになることを意味しています。
このIoT分野では、個人でも簡単に使用できるマイコンボード「Raspberry Pi」(小型のパソコンのようなもの)とPythonとの相性が良いので、広く活用さえると期待されています。
その他にもVR分野や投資で活用されるブロックチェーンなどでもPythonは用いられるので、将来性を考えるならPythonは抜群に優れていると言えるのです。
年収が高くて求人が少ないのは、実用化が進む過程だからでしょう
汎用性
汎用性が高いプログラミング言語としてはJAVAやPython、Rubyなどが挙げられます。
まず、人気が高く需要も高かったJAVAは、汎用性の高さにも優れています。というのも、JAVAはWebサイトの作成から、Webアプリの開発、スマホアプリの開発、業務システムの開発など、幅広いシステム開発ができます。これだけ幅広い環境で使えるのはJAVA最大の魅力と言っても過言ではありません。
また、将来性が高いとして解説したPythonも汎用性が高いという特長があります。
Webアプリの開発はもちろんAIの開発など、JAVAほどではないものの高い汎用性を誇るのです。
今後はAI業界の拡大によっては、さらに汎用性が高くなる可能性も考えられます。
JAVAやPythonに次ぐ汎用性の高さとして、日本で誕生したRubyも高くなっています。
その理由の一つとして、分方が読み書きしやすく初心者向けのプログラミング言語だからです。
簡単に使えるという点が、多くの環境で使われるようになって、高い汎用性を誇るに至りました。
結局なところどのプログラミング言語を学べば良いのか?
ここまで求人数の多さ、年収の高さ、人気度、将来性、汎用性など、様々な視点からプログラミング言語を確認してきました。
しかし結局なところ、どのプログラミング言語を学べば良いのでしょうか。
結論を言ってしまえば、何を学べば良いという正解はありません。
というのもプログラミング言語は、あくまでも手段でしかないのです。
たとえば、料理をする際に使用する包丁には、魚をさばく際に用いる出刃包丁、野菜を切る際に用いる菜切包丁、パンを切る際に用いるパン切り包丁など、その用途に合わせて様々な種類を使い分けます。プログラミング言語というのも、基本的にはこれと同じなのです。
あなたが幅広いシステムの構築をしたいならJAVAを選べば良いし、AIに携わりたいならPython、まずは簡単なプログラミング言語から始めたいならRubyといった形で、あなたが活躍した業界などを明確にして、それに合わせて選べば良いでしょう。
また、プログラミング言語は1つしか覚えてはいけないという決まりはありません。実際、複数のプログラミング言語を習得している方は大勢います。というよりも1つの言語しかできない方の方が少ないほどです。
そのため、最初にRubyを学んだけど、JAVAが使えた方が良いと思えば、後からJAVAを学んでも良いでしょう。
大切なのは、あなたが進みたい業界を明確にして、その業界ではどのプログラミング言語を使っているのか調べることです。この点については、次の項目で解説するので参考にしてみてください。
転職先業種別の押さえておきたい言語は?
ここでは転職先の業種別に押さえておきたいプログラミング言語を解説します。
- Web系のプログラマーを目指すなら
- 組み込み開発を目指すなら
- オープン系プログラマーを目指すなら
- ソーシャルゲーム業界を目指すなら
Web系のプログラマー
あなたがWeb系のプログラマーを目指すなら、PHPやRuby、JavaScriptなどを学ぶと良いでしょう。
そもそもWebプログラマーというのは、Web系のシステムを構築する職種なので、将来的にはシステムエンジニアを目指す人が選ぶ職業となります。
そして、これらの職業では、PHP、Ruby、JavaScriptを求める求人が非常に多くなっているのです。
もしもあなたがWeb業界でシステムエンジニアなどを目指すなら、PHP、Ruby、JavaScriptの3つを学んでみてください。
組み込み開発を目指すなら
あなたが組み込み開発を目指すなら、C言語やC++などを学ぶと良いでしょう。
組み込み開発とは、携帯電話や自動車といった幅広い機器の開発に携わる業種です。
例えば、自動車の自動ブレーキシステムなどは、組み込み開発の分野に属します。そして、これらの開発では、C言語やC++などが用いられるのです。
もしもあなたが、車の自動運転や携帯電話の更なる進化に関わりたいと考えるなら、C言語とC++の2つを学んでみてください。
オープン系プログラマーを目指すなら
あなたがオープン系プログラマーを目指すなら、JAVAやC++などを学ぶと良いでしょう。
オープン系プログラマーとは、UNIX・LinuxといったOSを用いて、サーバー上で動作するシステムを開発する業種です。
ちなみにUNIXやLinuxは、サーバーの開発や管理でも広く用いられるOSとなります。そんなオープン系プログラマーは、JAVAやC++といった言語を使って、システム開発を行うのです。
もしもあなたが、オープン系プログラマー目指すなら、JAVAとC++の2つを学んでみてください。
ソーシャルゲーム業界を目指すなら
あなたがソーシャルゲーム業界を目指すなら、C#やC++などを学ぶと良いでしょう。
ソーシャルゲーム業界のプログラマーは、スマートフォンやタブレットなどで動作するゲームのシステムを開発する職種です。そして、ソーシャルゲーム業界では、複数の機材に対応するゲームエンジン・Unityを使用しているケースが多いので、Unityで使用されるC#やC++が用いられています。
もしもあなたが、スマートフォンなどでプレイできるゲームの開発をしたいなら、C#とC++の2つを学んでみてください。
まとめ
今回は求人数の多さ、年収の高さ、人気度、将来性、汎用性など、様々な視点からプログラミング言語について確認してきました。
そして、人気が高いものや将来性があるもの、年収が高いものなど様々あるけど、最終的には自分がどのような職業に就きたいのか明確にして、その業界で使用されるプログラミング言語を学ぶのが最適だと理解できたでしょう。
各業界によって用いられる言語には違いがあるので、どの業界に行くのか明確になったらプログラミング言語選びに進んでください。