法人営業とは企業などを対象に営業をする業種のことを言います。
個人を相手にする個人営業と違い、企業そのものを相手にすることから、商談成立まで根気強いアプローチが必要になります。
そんな法人営業はきつい業種とされていますが、実際のところはどうなのか、特徴も含めて紹介していくので転職の参考にしてみてください。
法人営業をきついと感じるところ8つ
なぜ、法人営業はきついと言われるのか、その理由を解説していきます。
営業ノルマがきつい
個人営業もですが、法人営業には目標というノルマが課されることが多いです。
そうでなくとも、契約の数が少ないと上司や先輩に怒られる可能性やストレスを強く感じることもあるでしょう。
営業職の仕事はひたすらに顧客候補と話し、契約を取って企業に利益をもたらすことを要求されます。
そのノルマを達成できない場合は、法人営業の契約までの道のりの長さも相まってキツイものとされがちです。
新規のアポを取りづらい
企業を相手に営業をするには、アポイントメントを取るのが大前提になります。
しかし、企業というのは常に忙しく、仕事にさして関係があるわけでもない部外者を相手に時間を割くのは難しい場合が多いです。
新規のアポを取れるかどうかは営業で契約を取れるかどうかにも直結する極めて重要な要素です。
それができないと、法人営業に向いていないと考えてしまっても不思議なことではありません。
受付突破のハードルが高い
法人営業はまず営業先の企業の受付に行くか電話をし、そこで営業を直接行う代表者に会わせてもらう必要があります。
しかし、代表者は常に多忙ですし、そこに営業で時間を取らせるというのは困難なものがあります。
したがって、受付で常に終わってしまい、その先に行けなくて営業成績が奮わないというケースも十分にありえます。
法人営業は個人営業よりも新規開拓が困難な業務というのは覚えておきましょう。
稟議を通すこと(ひんぎ・りんぎ)
営業が成功しても、次は稟議を通すというのをする必要があります。
稟議とは、導入したいシステムや採用したい人材の承認を上長から受けるまでの流れのことを指すものです。
個人では使えない会社のお金やシステムについて、上層部や会社の事前決済を受けます。
法人企業は動くお金が非常に大きく、その分だけ利益は大きいですが、手続きは非常に長いものになります。
接待や飲み会が多い
法人営業は個人で企業に営業することになることから、営業先との親密な付き合いが要求されます。
そのため、大口の契約を結ぶためなら日常的に営業先との飲み会や接待をする必要がでてきます。
接待・飲み会が苦でない方はともかく、そうでない方は非常に辛い気持ちになることでしょう。
お酒が苦手という方は、法人企業という業種そのものを続けるかどうかを考えないといけません。
人間関係がきつい
営業先・企業内どちらでも営業が直面する問題が人間関係です。
社内ノルマがあることから生じる嫉妬や、営業先の企業によく扱われないことからくるストレスは心身に強い負担をかけます。
人間関係が悪くなったことで足を引っ張られると、業務を順調に進めるのが難しくなります。
営業は営業先以外にもさまざまなことに気を遣わないといけません。
休みの日でも対応する
こちらが休日であっても営業先の企業が休みではない場合、問い合わせの電話が来ることがあります。
休みの日でも問い合わせには対応する必要があり、トラブルが発生した場合は休日返上で対応に追われる可能性もあります。
休日でも気が休まる時が無いというのは法人営業の大きなデメリットと言えるでしょう。
また、せっかくの家族や友人達と過ごす時間でも拘束・制約が多くなってしまいます。
拘束時間が長い、残業が多い
法人営業は事務職などと違って決まった就業時間は存在しません。
営業先と付き合う必要があり、営業先に合わせて生活を調整する必要があります。
複数の営業先があることで、結果的に拘束時間が非常に長引き、残業も多くなります。
自分の時間を確保するのが非常に難しいのが法人営業だというのを覚えておきましょう。
きつい営業スタイル
次に営業スタイルにおけるキツイ要素を紹介します。
ルート営業
すでに契約や取引をしている企業に営業をしていくのをルート営業と言います。
新規の企業を相手に営業をしていくのよりも実績がすでにある企業に営業をしていく方が、成功の可能性が高く楽だという声もあります。
しかし、ルート営業は顧客を選ぶことができず、たとえ相性が悪い客でも、大事な取引先ということから関係を保つために接待や飲み会などもしていく必要が出てきます。また売上目標として商品によっては納品数を増やしてもらったり、取引先のことを考えたイベントの考案などもあったりします。
ただ顔を出せばいい、関係を良くしていればいいということではなく、営業成績をあげるような努力も必要ということなのです。
新規開拓
取引をしていなく、契約を取ったこともない企業に営業をするのを新規開拓と言います。
しかし、取引のない企業にアプローチをする場合、受付で断られる可能性が高く、担当者・代表者に会えないまま何年も同じ企業に営業をしているということもあります。
特に、アポイントメント無しに受付に飛び込むスタイルの営業は、その場で帰らされる可能性が高く、非常に辛いものがあります。
新規の場合は、接待・飲み会を何度もしたのに結局契約が取れずに終わることもあり、圧倒的に辛い営業スタイルだと言えるでしょう。
きつい法人営業の主な業界
それでは法人営業が特にキツイ業界についても触れていきます。
広告・メディア業界の営業職
常に事態が動く広告・メディア業界の営業は、クライアントによっては激務になることがあります。
相手の予算が膨大なことが多いことから、大口の契約を取るチャンスはありますが、クレームや注文が非常に多く、対応に追われがちです。
また、広告は出稿サイクルが早いことから、常にあの手この手で営業をしていく必要があり、接待・飲み会の数も多くなります。
企業が扱っている媒体が多岐に渡る場合は、それぞれの媒体の知識を持った上で対応する必要も出てきます。
IT業界の営業職
事務処理・顧客対応が多いのがIT業界の営業職になります。
対面・電話問わず、契約を取るには相手が何に困り、何を求めているのかを詳細に理解する業界の専門知識が必須です。
このことから、コミュニケーション能力の中でもヒアリング力に秀でていないといけません。
また、問題が起きた場合に専門スタッフなしで対応できるフォロー力とメンテナンス力がないと、取引先の信用を失う危険もあります。
時間との勝負な業界であることから、顧客からのクレームにより、怒られるケースも多いです。
メーカー系の営業職
ルート営業がメインの営業スタイルになるのがメーカー系の営業職です。
繋がりが非常に重要になることから、個人的には苦手な顧客であっても接待・飲み会を通して付き合っていくこともあります。
欠品やクレーム対応、配送ミスなど他のスタッフのミスへの対応、社内調整に時間がかかるなど対応の種類もバリーションがあり、予想外のことが起きるリスクがあります。
高い接待能力と業務能力が夜九されるのがインフラ系の法人営業です。
インフラ系の営業職
生活に根付くインフラ系業界は非常に強い安定感があります。
しかし、安定性があるからこそ歴史が古く、永く事業・業界を支えてきた自負がある大規模企業が多いので、保守的な傾向もあります。
このため、個人の提案は認められることが少なく、新規開拓も困難なことから、営業マンとしての成長が見込めない可能性があります。
また、歴史が古く、保守的なことから上下関係を重視し、必要のない飲み会も多くあり、出費がかさみますし、接待の頻度も高いです。
法人営業に向いている人と向いていない人
法人営業は以上のように厳しい・キツイ・苦しい要素が強くあります。
しかし、コミュニケーション能力に自信があり、論理的に考えられて企業を納得させられるプレゼン能力のある方や、そういう能力を育みたい方には向いた仕事と言えます。
加えて、相手に嫌われてもあまりひきずらない方にも適正があるといえるでしょう。
反面、内気な傾向があり、知らない人にプレゼンをするのが苦手で、飲み会・接待に向いていない方には厳しいのが法人営業です。
社内ノルマから来る締め付けに耐えられなかったり、人間関係を乗り切る自信が無い方も注意が必要です。
法人営業はきついがやりがいもある
法人営業は業績が具体的な数値で可視化される業種です。
そして、コネクションが強力な武器になり、さまざまな企業を相手にしてきたという自負によって実力と自信をつけることも可能です。
法人営業を通じて育んだ能力は、転職をしてからも十分に役立ちます。
成績が報酬に直結し、動く金額が大きいことから、個人営業に比べて年収が高くもなります。
お金を貯めたい、家族に良い暮らしをさせたい、子供の学費を稼ぎたい、留学費用を貯めたいといった目標を持っている方にとって、法人営業は高い利点を持っています。
ビジネスの成功がダイレクトに自社の利益に直結するため、社会貢献・企業貢献の要素も強く、法人営業はキツイ分だけやりがいもある業種です。
仕事にやりがい・高年収を求め、なおかつコミュニケーション能力に自信がある方は、法人営業がおすすめです。