証券会社は女性でも働きやすい? 仕事のやりがいや大変さとは2021年卒就職企業人気ランキング(日経新聞・マイナビ2022)によれば、文系女子に人気の企業は旅行業やホテル業、運輸業(航空機)に人気が集まっています。コロナ禍において、このような業種は採用が絞られています。一方で、堅実で、女性が働きやすい金融関係、特に証券会社はおすすめです。

証券会社の業務内容と職種について

証券会社の業務内容と職種について証券会社とは何をするところか。お付き合いがあるという学生は少ないかもしれません。
証券会社は、主に株式の売買を取り次ぐ場所です。株式は資金を集めるために企業が発行したもので、その株式は証券取引所で自由に売買することができます。

投資家は直接証券取引所に注文を出すことはできず、証券会社を介して注文を出します。証券会社では、株式の注文発注、株式の提案、その他投資信託ななどの金融商品の提案を行います。

また、証券会社では株式の提案だけでなく、そもそも企業が資金を集めるときの株式発行や債券発行をを手伝うことや、発行する株式をさらに広く投資家に買ってもらうため証券取引所に株式を新規上場する準備をサポートする業務があります。

証券会社の主な仕事は以下になります。新卒者の大部分が営業職に就きます。

  1. 営業職
    主に、法人または個人に顧客のニーズに合わせて株式、投資信託、債券などの金融商品を提案、取引の発注をします。法人営業では、金融商品の提案だけではなく、M&AやIPO(新規株式公開)などの提案やアドバイスをする部署もあります。

  2. 事務職
    営業職のサポートとして、注文に誤りがないかや適正なコンプライアンスのもと提案されているかどうか管理します。ときには、顧客と営業職の通話記録や提案経過などを見て、不適切な部分があれば営業職に指摘、改善を求めることもあります。

  3. アナリスト職
    銘柄分析やマーケット分析を行い。営業職や顧客の投資判断に参考となる資料を提供します。

  4. ディーラー職
    会社の大きな資金を使って、先物取引や裁定取引を行います。自社の営業外損益を左右する大きな利益を追求します。

  5. コールセンター
    証券取引や手続にかかわる質問に答えたり、取引を取り次いだりする仕事です。ほとんどが外務員資格を持つ派遣社員の方が担っています。

証券会社の女性比率はどのくらい?

証券会社の女性比率はどのくらい?証券会社の女性比率は、以下のように高いのが特徴です。

  • 野村證券(日本) 2021年3月期在職者 男56% 女44% /新卒 男59%女41%
  • 大和証券グループ 2020年3月期在職者 男61%女39%/新卒男53.1%女46.9%
    (大和証券では女性比率50%目標として採用活動をしている)
  • SMBC日興証券 2017年9月末時点在職者男62% 女38% 

平成27年の国勢調査によれば、女性の割合が高い業種として、医療・福祉75.9%、宿泊業・飲食サービス62.3%には及ばないものの、金融・保険業は55.2%と非常に高く、製造業の30%、IT26.7%、不動産39.6%を大きく引き離しています。

女性の割合が多いと、その分管理職に女性の割合も多く、女性が働きやすい環境・制度が整っているといえます。

証券会社の女性にうれしい制度

証券会社の女性にうれしい制度

サポート制度が充実

女性の比率が高く、証券会社には女性のきめ細やかなサービスは必須であり、女性の存在が必須であることから、様々な制度が充実しています。

  • 地域総合職がある
    証券会社は基本転勤がありますが、地域総合職を選択すれば総合職と同じ仕事内容で転居を伴う転勤はありません。また、結婚して夫が転勤したときにはそれについていき、現地の支店で働くということも可能です。昔は転勤を伴う総合職と賃金格差がありましたが、最近では営業成績を上げれば同様の賃金水準が期待できます。

  • 残業が少ない
    証券会社では夜遅くまでの残業がありません。そして、全く残業をしない「NO残業Day」が週1回設けられています。その日は17時台に帰社することができます。その代わり、朝がとても早く、始業時間も早いです。

    営業職の1日

    5:30起床
    5:45モーサテを見ながら日経新聞朝刊を読む
    6:00~6:30出勤
    7:00 ~7:30出社
    8:00~8:30会議
    8:45 寄付前に顧客に電話、受発注を行う
    9:00寄付スタート
    9:10~16:00アポがあれば外交に出るまたは電話営業
    17:00 全体会議または課で会議
    17:~18:00 取引記録や営業日誌を記録、お客様への手紙を書くなどの事務作業
         この時間に新商品やコンプライアンスの勉強会等が入ることもある
    17:00~18:00帰社
    18:00~アポがあれば稀に外交に出ることもある

  • 休みが多い
    証券会社は土日祝日、年末年始の12月31日、1月元旦~3日が休みです。休みに仕事をすることもありません。証券会社のシステムは会社外で利用することはできず、会社は休日しまっており入ることもできません。休日は仕事を全く忘れて休むことができます。
    証券会社にはお盆休みがありませんが、年に2回平日1週間休み土日含む最大9日間の長い休暇がとれます。平日1週間休むことができるのでお盆を避けた時期を指定すれば、安い価格帯の期間に海外旅行や長い国内旅行に行くことができるので、旅行好きの女性に最適です。家族がいる方は子どもに合せてお盆に休みをとる人も多いです。また、体調不良や子どもなど家族の体調不良は簡単に休むことができます。基本的には、プロジェクトを誰かと一緒に進めているというわけではないため、休んで迷惑をかけるという意識は他の企業に比べて少なく、休みやすいです。休んでも後で、営業成績で取り戻せばよいということになります。大事なアポがある場合は、顧客を持たない課長がサポートをしてくれるので安心です。

  • 女性の上司も多い
    女性の役員や支店長、課長も多く、実力さえあれば昇進もしやすくなっています。営業は数字が目に見えるので、評価も公平に行われやすいです。

  • 子どもが3際まで育児休暇可能
    法定期間は1歳になるまでですが、3歳になるまで育児休暇が取得可能です。また、カムバック制度といって一度退職しても10年以内なら正社員で再度採用してもらえる制度があるところもあります。小学校卒業まで早帰り、小学校3年生まで残業免除などの制度もあります。また、子どもの体調不良や予防接種、授業参観などで時間単位から1日単位まで年次有給休暇とは別に休みをとれる制度もあります。

  • 男性社員の育児休暇取得率が高い
    証券会社では社内結婚が多いですが、男性社員の育児取得率が高いため、社内結婚した場合において育児を手伝ってもらえます。

  • 提携託児所や保活サポート
    託児所と提携しこどもを預けられることで、認可保育園に入れなかったとしても職場復帰をすることが可能です。託児所を利用すると認可保育園より利用料が高くなってしまいますが、その費用またはベビーシッターの補助がある会社もあります。

休みを長く取れるので、海外旅行を毎年楽しむことも可能です。また、ライフスタイルが変わる女性には、それに応じた休暇やサポートを受けられるのでこどもが生まれても働きやすい環境が続きます。

また、そのそも女性が多い職場であり、男女公平に評価され働きやすい職場環境です。営業の数字が物言う職場であるため、男性よりも評価されたり、昇進したりすることがよくあります。

精神的負担は大きい

女性に働きやすい環境ではあるものの、その分精神的負担は大きいことがあります。
常に毎月末に営業目標が与えられ、その達成に向けて精神的プレッシャーを抱えます。

また、自分だけ営業目標を達成できたとしても、課や支店の目標が達成できていないとそのプレッシャーは続きます。

育児休暇などの長期の休みを取る場合には、お客様の資産を預かっており長期間担当者が不在とはできないため、1年にわたる期間休む場合にはお客様を他の担当者へ引き継がなければなりません。そして、子どもの体調不良など急な休みがある時期や時短勤務の期間は大事なお客様を預かりにくいという現状もあります。

また、自分の営業成績のみ達成できていても、課や支店が達成できていない月末は早く帰りづらいと感じることもあるかもしれません。

証券会社の特徴として、元本毀損リスクのある資産を扱っているので、良いと思って提案した商品でも、顧客の資産が結果として減ってしまうことがあります。そんなときは顧客に対面することは心苦しいことではありますが、顧客に丁寧な説明が必要となります。顧客の保有する資産に関する相場変動が気になってしまうことは多いです。

このような理由から、男女関係なく証券会社の離職率は高いのが現状です。

証券会社は女性に働きやすい職場

証券会社は女性に働きやすい職場精神的プレッシャーはあるものの、そのようなプレッシャーを気にしないマイペースな方なら、働きやすい環境や制度が整っているとても女性が働きやすい職場です。

資格

証券会社に入社すると、「証券外務員資格Ⅰ・Ⅱ種」「生保一般、専門、変額外貨建」を取得し、その後も必須資格はないものの、FP、CFP、証券アナリストの資格を取得していきます。取得費用は会社が全額または一部負担してくれ、FP、CFP、証券アナリストなら合格すれば報奨金が出ます。

また、証券会社に入ることで、その前にまったく株式などの金融知識について詳しくなかったとしても、必ず詳しくなります。毎日、株式相場を見て、アナリストレポートや周りの先輩方からの情報を得て、新しい金融商品について勉強していれば自ずと詳しくなります。

身に付く能力

証券会社では入社時からマナー研修など徹底されており、顧客から大切な資産を預かっている金融機関として丁寧な言葉遣いや行儀作法が身につき、営業の中で人に好かれるコミュニケーション能力を身に付けるけることができます。

さらには、地域の有力者や企業の社長などに接する機会も多く、自分では経験できないであろう様々な人生経験豊かなお話を聞くことができます。

このような資格や経験は、もし証券会社を離職したとしても、転職する場合に役立ちます。

転職にも有利

証券会社で取得した「証券外務員一種」「証券外務員二種」は、銀行等で投資信託などの金融商品を販売する場合に役立ちます。

また、「生保一般課程試験(生保募集人試験)」「専門課程」は、銀行や保険会社に転職する場合に役立ちます。

離職後2年以内に生命保険募集人登録を行えば「生保一般課程試験(生保募集人試験)」「専門課程」の復活を行うことができます。だた、「変額保険販売資格」「外貨建保険販売資格」は引き継げず再度講習と試験を受けなければなりません。

FP、CFP資格は金融関係に転職するなら、転職に有利な資格で、独立することも可能です。個人に割り振られる営業目標が育児しながら達成するのが難しいと考えるのであれば、その期間は目標を与えられない窓口やコールセンターなどの配置換えを希望することもでき、または金融関係なら転職もしやすいので他の働きやすい金融機関に転職するのも手です。

まとめ

証券会社では金融関係で働くのに必要な資格を幅広く取得しており、証券会社を退職した人では、保険会社や保険の相談窓口、銀行など他の金融関係に就職する割合が高いです。

また、証券会社で培われた営業としての高いコミュニケーション能力の高さや丁寧な言葉遣いや姿勢は、金融関係に限らず、他の業界の営業としても高く評価されます。

そして、転職だけでなく、証券会社に身に付けた知識は、自分の人生設計や資産運用による資産形成にも役立てることができます。