長時間労働による問題が注目され、改善に動き始めている会社も少なくはありませんが、まだまだ常態化している会社が多いというのも現実です。
中には単に残業が多いどころか、その残業のほとんどがサービス残業となり、計算してみると最低賃金以下で働かせられているという人もまだまだいるでしょう。
もしあなたがこういった働き方をしているなら、本当に今のままでいいのかを考えてみなくてはなりません。
実際にその働き方をしていた人の一つの事例を紹介します。
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14時間労働が当たり前、帰宅は毎日深夜
私がつい数か月前まで働いていた会社は、毎日深夜まで勤務が当たり前といういわゆるブラック企業でした。
そこで4年少し働いていた時の話を少し紹介します。
毎日の残業は6時間近く、月100時間以上
働いていた会社の基本的な勤務時間は9時から18時(昼休憩1時間)でした。ただ残業が全くゼロという日は入社してから数日あったくらいです。
帰宅はだいたい24時。終電ぎりぎり。早いと21時で帰れることもありましたが遅いと終電を超えて1時過ぎまでやることすらあり、平均すれば1日6時間以上、14時間労働となっていました。
残業時間は正確に計算したことはありませんが、120時間は普通に超えていたと思います。
普通にきつかったし、辛かったです。
友人から毎日2、3時間残業があって辛いなんて話を聞いた時、「全然楽じゃん」という感じで腹が立ったこともあります。普通に考えればそれでも多い方なのに。
そんな中で4年。よくもったと今更ながら思います。
みなし残業で残業代はごくわずか
これだけ残業していても残業代がでていれば良かったのですが、残念ながら残業代はごくわずかしか貰えませんでした。
みなし残業制をとり、いかなる時でも月の残業代は20時間分で固定。100時間以上分がただ働き。
残業代が出るのは1日1時間程度しかなく、毎日4時間分はサービス残業でただ働きしていたのです。
なけなしの深夜勤務手当
毎月50時間程度の深夜勤務があったのですが、その深夜手当はなぜかしっかり支給されていました。残業代は出さないのに。
ただその金額なんてごくわずか。たったの2万円程度です。貰えるこしたことはないのでしょうが、サービス残業があまりに多すぎてその程度で満足できるわけがありませんでした。
でも残業代は出さないくせに深夜勤務手当を出していた理由ってなんなんでしょう。
残業代はみなし残業で固定の残業代を支払っていれば残業代は出ないと従業員に誤認識させることができるから?深夜勤務手当はさすがにごまかせないから?
いや、みなし残業でもそれ以上にやらせて残業代を出さないというのが違法だと言うことは、ほとんどの人が知っていますが。
まあとりあえず毎日14時間働いていた私が貰える給料は基本給と20時間分の残業代と2万円程度の深夜勤務手当だけでした。
土曜日は隔週出勤
土日休みがあれば良かったのですが、残念なことに土曜日は隔週で出勤でした。土曜日はさすがに7時から8時くらいに帰ることができましたが。それでも残業はしているのですけどね。
2週間に1回という高い頻度で訪れるたった1回しか休みがない週。
6日働き、1日しか休めずにまた5日働く。しかも1日14時間。まあきつかったですね。
労働者を酷使することに躊躇がないブラック企業。残業が多い代わりに休みが多いとか給料が高いとか有給をとりやすいなんてことはなく、全てが労働者にとって辛いことばかりです。
周りはそれが当たり前になってしまっていた
そんな会社、誰も声を上げないのか、文句を言わないのかと言う人もいるかもしれません。辞めた今となっては私自身思いますし。
ただ実際に働いている時、周りも含めてそれが当たり前になってしまっていて、組織を変えようと動くなんてことはありませんでした。
私が入社する前、一度労基署に密告した人がいて何かの改善策が行われたようですが結局無駄に終わったということもあって、その事実が余計にそうなっていたのかもしれません。
まあ組織を変える労力をするくらいなら、さっさと転職した方が楽ですしね。実際、転職していく人はそれなりに多かったです。
仕事自体は楽しかった、だからこそずるずると働いてしまった
こんなやばい労働環境。辞めて当たり前だと思います。実際、私と一緒に入社した同期の4人中2人は2年以内に転職していきました。
ただ私は4年以上働き続けました。理由は仕事自体が楽しかったから。
自分が昔からやりたいと思っていたことだったし、その仕事をやる為に大学を選んで進学した。毎日残業ばかりで辛かったけど、仕事の楽しさが私を引き止めていました。
やりたかった仕事を辞め、転職した理由
こんな感じで仕事を続けていた私でしたが、数か月前に私はとうとうその仕事を辞め転職に踏み切りました。
なぜ転職に踏み切ったのか、その話をします。
さすがに辛く、仕事も楽しくなくなってきた
毎日こんなにも働き、プライベートは週末にほんの少しだけ。そんな状態で働き続けていればほとんどの人は嫌気がさすのではないでしょうか。
私もさすがに辛くなり、なんでこんな仕事をしているのだろうかと悩むことも増えていきました。
それと同時に、やりたかった仕事、そして楽しかった仕事に対しても、やりがい等を感じることはなくなってきたという部分もありました。
仕事に対し慣れ、それと同時に飽きてきたということもあったのですが、楽しさよりも長時間労働に対する辛さが大きくなったことで仕事に対する意識がプラスからマイナスに一気に変わってしまったことも要因だと思います。
好きなことであればしんどくたって大丈夫。昔はそんなことを考えていましたが、それではいつまでも続かないんだなと悟った時期でもあります。
友人の後押しがあった
転職しようかどうか悩んでいる時、実際に転職した友人から後押しして貰ったというのも私が今の会社へと転職した一つの理由です。
今の会社はひどすぎる、もっとちゃんとした会社はある、今のまま働いていては体を壊す。
そんなことを言ってもらい、私の心は「転職する」ということで固めることができました。
外を見ればもっとまともな会社がたくさんあった
実際にに転職活動をしてみてからわかったのが、まともな会社はたくさんあるのだなということです。
業種・勤務地から考えて、この業界なんてこんなもんだ、仕方がないと思っていた部分がありましたが、実際に自分で見てみると全くそんなことはなかったんです。
結局、今の仕事とそう変わらず、身につけたスキルや経験を活かすことができる仕事で以前よりずっとずっとまともに働くことができました。
もしも今、以前の私と同じような状況で働くことを強いられているならば、ぜひ仕方ないと思って思考停止・行動停止をするのではなく、外に目を向けるようにしてもらえればと思います。
14時間労働の問題点や違法性
今回紹介した人と同じような働き方をしている人はまだまだ少なくはないでしょう。
最後にこういった働き方の問題点や違法性について確認していきましょう。
過労死ライン超えの労働時間
健康を害するリスクが高まり、労働災害との因果関係判定に用いられる「過労死ライン」。
その基準は2~6ヶ月にわたる月80時間を超える時間外労働、もしくは1ヶ月で100時間の時間外労働です。
たとえば毎日14時間労働をしているとした場合、月の残業時間は100時間超え。この過労死ラインの基準を超えています。
すなわち、こんな働き方をしていれば体を壊してしまっても何らおかしくないということです。
頭が痛い、夜眠れないなど体に異変を感じてはいませんか?
みなし残業でも残業代は支払われないといけない
みなし残業を導入しているからと言って、あらかじめ決められた残業時間を超えた分については残業代が支払われなくてはいけません。
たとえば今回のように20時間のみなし残業とした場合、もし15時間しか残業しなくても20時間分の残業代が支払われます。
しかし20時間のみなし残業に対して120時間残業したら、超えた100時間分の残業をあらかじめ決められた20時間分の残業に加算して支払われなくてはいけません。
「みなし残業だからいくら残業しても残業代は変わらない」それは大きな間違いです。
みなし残業はサービス残業をそれっぽく行わせる為にブラック企業でよく用いられているので注意が必要です。
残業代が支払われていてもここまでの残業はNG
もし残業代が正しく支払われていたとしても、1日14時間労働、月120時間超えの残業時間は基本的にすることもさせることもできません。
残業を行う場合、会社と労働者側は労働基準法第36条に基づき36協定を結ぶのですが、その協定内では残業の上限時間が月45時間、年360時間までと決められています。
ただし臨時的な特別の事情があった場合は以下の通りまで延長は可能です。
- 年720時間以内
- 複数付き平均80時間以内(休日労働含む)
- 月100時間未満(休日労働含む)
- 45時間を超えることができるのは1年に6ヶ月だけ
もし14時間労働が常態化していれば、年720時間を超えるし、平均80時間も余裕で超えるし、月100時間も超える。そして1年に6ヶ月までというルールも守れません。
まあここまでの残業をさせている会社はそもそも残業代を支払っていない場合が多いでしょうし、この上限を超えることに対して何も思わないかもしれませんが。
参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
参考:厚生労働省「働き方改革」
※延長時の残業時間の上限規制は2019年4月から開始したが、中小企業には猶予期間があり1年後に適用
最後に
長時間の残業は、あなたの健康を大きく損なわせる要因になります。
そうなって手遅れになってしまう前に、ぜひもっとまともに、そして健康に働くことができる会社を探してみてください。
今の転職市場はかなりの売り手市場。きっと今より良い会社が見つかるはずです。
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