一般的な働き方として、週5日連続で働いて2日休むという形をとっている会社が多いものの、みんながみんなそんな働き方をしているわけではありませんよね。
6連勤が当たり前で週に1日しか休みがないなんて人もいるし、シフト制の仕事であったり休日出勤が多い仕事だと、8連勤や9連勤することすら当たり前なんて会社も少なくはありません。
今回はこの8連勤、9連勤という働き方についての違法性や、働く上での問題点について紹介していきます。
違法ではない8連勤、9連勤という働き方
8連勤や9連勤なんてきつい働き方、そもそも法律で認められているの?と考える人は少なくないと思います。
しかし、労働基準法上ではいくつか条件は必要であるものの、8連勤や9連勤、さらにはそれ以上行ったところで本題はないというのが実情です。
休日のルールは1週間に1日、もしくは4週間に4日
労働基準法では休日に関するルールとして、以下のように定められています、
労働基準法第35条
- 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
- 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
1項を適用している会社であれば、1週間に1日は休みとなるので6連勤までしかできません。
しかし2項を適用すれば、28日のうち4日の休みと範囲を広げることが出来る為、極端なことを言えば24連勤して4日連続で休みをとるなんてこともやろうと思えば可能です。
さすがにそんな働き方を強いる会社はよっぽどのブラック企業でなければありませんが、8連休や9連休程度であれば割りと当たり前のように行われていたりもします。
休日出勤すればそれは休日扱い
先ほど述べた法律の1項、1週間に1回の休みを適用している会社でも休日出勤扱いとしその分手当と支給すれば、その日は休日扱いとなります。
たとえば月~金まで仕事で土日が休みの会社で働いていても、土日どちらも休日出勤をすれば、いくらでも連続勤務が可能ということです。
休日出勤の代わりに代休や振休をとれたとしても8連勤以上には普通になるし、もし代休をとれなければそれ以上、12連勤というあまりにきつい働き方になることも法律上で問題なくありえます。
週40時間を超える場合は超過勤務手当が必要
労働基準法では1週間の労働時間に関して40時間までと定められています。
労働基準法第32条
- 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
- 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
これを超える場合、超過勤務手当として1.25倍以上の割増賃金を支給しなくてはいけません。
労働基準法第37条1項
使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
たとえば1日8時間で月から翌週の火曜日まで9連勤したとしましょう。すると、月~日までの1週間での労働時間は56時間となり、上限である40時間を16時間上回ります。
その為、16時間分については超過勤務手当として2割5分以上に割り増しされなければいけないということになります。
変形労働時間制を適用している場合は超過残業手当がなくても良い
4週4日制の休日制度を取り入れている会社の場合、1週間に40時間以上勤務をすることになってしまうのは多々あることですが、給与明細を見ると全然割増されていないという人も多いでしょう。
その場合、おそらく変形労働時間制が導入されているはずです。
変型労働時間制を導入した場合、1週間で40時間という上限を1週間単位ではなく、1ヶ月や1年などの広い範囲で平均して判断することが可能となります。
たとえば1週目から3週目まで48時間ずつ行ったとしても、4週目は休みが多くて16時間しか働かなかったとしたら平均労働時間は週40時間。上限を超える時間がなくなる為、割増賃金は発生しません。
参考:東京労務管理総合研究所「変形休日制の実施」
8連勤、9連勤が違法となる場合とは
このようにすぐには違法とはならず、合法的に行うこともそう難しいことではない8連勤・9連勤という働き方ですが、いかなる場合も違法とならないというわけではありません。
たとえば以下のような場合には問題があります。
- 変型労働時間制を導入していないのに割増賃金が貰えない
- 4週4日制のなのに起算日が明らかにされていない
- 休日出勤扱いなのに手当が貰えない
- 休日出勤で超過労働勤務時間が100時間を超える
変型労働時間制や4週4日制が正しく運用されていない
中小企業だと経営者が正しい知識を持っていなかったり認識が甘いせいで、変形労働時間制や4週4日制を正しく運用されていないケースが多々ありますので注意しなくてはなりません。
それぞれのルールは好き勝手やっていいものではなく、制限もあるし就業規則への記載等も必要となります。
その場その場でできるだけ給料が少なくて済むようにと、好き勝手に使っていいものではないのです。
休日出勤手当が貰えない
本来休みの日に働いたなら手当を貰うのは当たり前のことです。もし貰えないなら当然違法です。
手当が支給されないという件は、さすがに知識がないという話ではありません。違法とわかっててやっています。
そんなブラック企業はあってはいけないのですが、周りの話を聞くと意外に多いようにも感じるのが実態としてあります。知り合いは1ヶ月で1日しか休みがないのに手当がでないと嘆いていました。
1ヶ月の残業時間が100時間を超える
これまでは特別条項付き36協定を結ぶといくらでもできてしまった残業や休日出勤も、法律が改正されて上限を定められました。
- 原則は月45時間・年360時間以内
- 臨時的な場合であっても年720時間以内
- 複数月平均80時間以内(休日労働含む)
- 月100時間未満(休日労働含む)
- 月45時間を超えることができるのは、年間6ヶ月まで
普段の残業も多い中で8連勤、9連勤、さらにそれ以上を休日出勤等を使って頻繁に行っていると、月100時間未満や複数月平均80時間以内という上限を超えてしまう可能性は十分にあります。
たとえば1日3~4時間残業して、かつ休日出勤で8時間を4日間行うと、100時間を超えてしまいます。
参考:厚生労働省「働き方改革支援のご案内」
違法でなくてもとにかくきつい8連勤・9連勤という働き方
制度を正しく利用する、休日出勤の場合は手当をしっかり出す、月の残業を100時間以内に抑える(複数月なら80時間)ということさえ行えば、8連勤や9連勤というのは違法性なく割と簡単に行うことができます。
しかし、違法でなければそれでいいのかというと決してそんなことはありませんよね。
やっぱり問題点は多々ある働き方です。
土日休みなはずなのに休めないし、いつ休みかも不明だし休みも少ない
土日休みの会社なのに休日出勤ばかりあると、自分にとってはもはや土日休みではなくなります。
そのせいで家族や友人と予定が合わないというデメリットが生じます。
また土日であろうといつ出勤があるかもわからないし、代わりに休みをとるにしても中々いつ休みを取れるかがわからないしで、休日の予定が立てられません。
ちなみに私が同じような働き方をしていた時は、旅行の計画をたてていたのに休日出勤が入ってしまったせいで、旅行に行けなかったばかりか手当以上のキャンセル料がかかってしまったなんてこともありました。
また土日どちらも出勤してしまうと、2日分の休日を平日に回すなんて忙しくて中々できません。とれてもどちらか1日分。手当を貰えるので給料は増えるものの、休みは少なくなってしまいます。
8連勤、9連勤はさすがに体力的にきつすぎる
6連勤でもきついし、7連勤ともなるとくたくたになります。8連勤や9連勤なんてもう体力的にきつくてきつくてたまりません。
まだ年に1,2回とかなら仕方ないと頑張れますが、頻繁にあるとさすがに頑張れません。
実際、それが当たり前のようにある働き方をしてしまうと、体を壊してしまう人だってでてきてもおかしくない働き方です。
やっぱり最低でも週に1日、できれば種に2日ないと長い間働くことを考えると厳しいです。
有給休暇を使いにくい
そもそも忙しい上、平日に休みをとるとするなら休日出勤の代休を使うことになるので、有給休暇を使いにくいということもデメリットの一つとして挙げられます。
労働者にとってみると、代休ではなく有休休暇を使った方が休日出勤分の手当をまるっと貰えるので良いのですが、それができにくい雰囲気の会社って割りと多いです。
結局使えないまま有給休暇が繰り越され、時効がきてただ消滅していくだけになってしまい。労働者としては大きな損を被るだけになってしまうのです。
きついと思うのは当たり前、頻繁にあるなら転職することも視野に
ホワイト企業であっても、ごくたまに、どうしてもやむを得ない理由から8連勤や9連勤をしなくてはいけなくなるということはあると思います。
ただごくたまにではなく、頻繁に当たり前のように行わているとなったら、ちょっと考えなくてはいけません。
やっぱりきついと思うのが当たり前の働き方です。デメリットも多いです。
無理をせず、もっと働きやすい環境で働く為、転職するということも視野にいれてみて下さい。