IT営業は資格がなくてもできるので、未経験から目指しやすい職種の1つです。
しかし、資格があると業務に必要な知識・スキルがあることを証明できるので、スキルアップして信頼を獲得することや、専門性の高い仕事に携わり年収アップを図ることを目的に取得することをおすすめします。
ここでは未経験者と経験者でできる仕事が異なるように、IT営業に活かせる資格も経験の有無で異なるので、IT営業におすすめの資格を目的別に紹介します。
IT営業が資格を取得した方が良い理由
IT営業は資格を保有していないとできない仕事ではありませんが、営業でIT技術者と関わる機会が多く、ITに関する知識がある方が話をスムーズに進められる、信頼してもらえるといったメリットがあります。
身につけた知識を活かして幅広い仕事をすることでスキルアップにもつながるので、経験の有無に関係なくIT営業に携わる方は資格取得でキャリアアップの可能性が広がるでしょう。
スキルアップにつながるから
IT営業は技術者などITに関する知識が豊富でスキルの高い方がクライアントになるので、技術的な話になることは少なくありません。
クライアントもエンジニア出身の営業でなければ専門性の高い知識までは求めませんが、IT業界で働くなら最低限知っておいてほしいことも知らないとなると、要望を伝えにくい、ニーズをくみ取ってもらえないなど営業担当者に不安を抱く可能性があります。
一方、資格を取得していると知識があることを証明でき、幅広い仕事に携わることのできる可能性が高まります。
多くの仕事をこなしていくことで、売上につながるために営業ができることに自発的に取り組めるようになるでしょう。
エンジニアを経て営業になる方もいること、クライアントによっては営業でも特定の分野の知識がある方が好ましいと考える方もいることから、クライアントのサービスなどに関係するIT分野の知識も身につけておいて損しないでしょう。
ITに関する知識に限らず、どの業界の営業にも共通して求められるスキルや知識を身につけることで効果的な営業ができるので、営業職のスキルアップにつながる資格取得もおすすめです。
年収が上がる可能性があるから
ITや営業に関する資格があると、ITの知識が必要な仕事に携わったり営業のスキルを活かして提案をしたりと高度な仕事ができるようになります。
高度な仕事ができると会社からの評価が上がり、基本給を上げてもらえる、成績に応じたボーナスを貰えるなどで年収が上がる可能性が高くなります。
資格手当のある会社であれば、資格手当による収入アップも期待できます。
転職時に有利になる可能性があるから
IT営業の経験を活かしてキャリアアップのために転職する場合、IT営業に必要な知識やスキルがあることを証明できる資格があると、強みの裏付けに使えます。
自己PRの際、得意なことやできることを伝えるだけより、会社に貢献した実績や強みを裏付けるエピソードがある方が納得されやすいことから、取得した資格の知識を活かして工夫したことや活かされたことなどは自己PRに盛り込ることが可能な点で、転職時に資格があることは有利となります。
営業に必要な知識やスキルが身につく資格があれば、IT以外の営業職への転職でのアピールに活かすこともできます。
IT営業としての実力を証明できる資格3選
IT営業に限りませんが、営業なら高い営業力に加えて経営の知識も必要なので、営業に必要なスキル・知識が身についていることを証明する資格取得と経営に関する知識の豊富さを証明できると、実力のある営業と思ってもらえるでしょう。
営業士検定
営業士検定とは日本営業士会(JSP)の資格検定制度で、合格するとマーケティングとセールスのスペシャリストであることを証明する「営業士」に認定されます。
営業士は製造業、メーカー業、サービス業にとどまらず、IT系や金融系や医療系など幅広い業界のあらゆる商品・サービスに活かせる営業、マーケティング、マネジメントに関する知識とスキルが求められます。
検定は「初級」「上級」「マスター」の3つのレベルに分かれています。
初級は営業に必要な基本的な知識やスキルが身についていることを証明します。
上級は営業に関する知識やスキルに加えて企画、マーケティング、マネジメントといった応用知識を身につけることも求められ、中堅幹部クラスが対象となります。
マスターは経営に関する専門性の高い知識があり、営業事業評価、営業戦略立案・実行、コーディネート手法など、実践的な知識も求められ、幹部クラスが対象となります。
営業力強化検定
営業力強化検定とは営業担当者に必要な知識やスキルを測る資格試験で、営業の目的や目標設定、商品知識やマーケティングや顧客心理、ビジネスマナーやセールスマナー、コミュニケーションスキル、提案書の作成方法、クレームの考え方と対応、顧客管理などが問われます。試験はWEBテストと団体受験(教育機関、法人、企業などの団体)で実施されます。
MBA
MBAとはMaster of Business Administrationの略で、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される経営学修士の学位のことです。
学位なので資格のように取得していれば特定の業務を担当できるわけではないといった点で資格と異なりますが、事業戦略、マネジメント、マーケティング、財務・会計、ロジカルシンキングといったビジネスで活かせるスキルを習得していて、経営者や経営をサポートできる高い能力のある人材であることが期待される点で、資格取得者への考え方と共通します。
MBA取得には2年間大学院に通って単位を取得することが一般的でしたが、1年間の短期コース、eラーニング講座、夜間コース・講座など、働きながらでも取得しやすいようになってきています。
IT営業としてステップアップできる資格3選
ITに関する知識や企業経営に関する知識・スキルの専門性が高くなると、ITコンサルタントのような高度な知識やスキルが求められる仕事ができる可能性が広がります。
また、営業職が取得しておくと有利な傾向にあるだけではなく、IT業界の海外マーケットの拡大も考慮して英語の資格取得もおすすめします。
TOEIC
英語の資格はいくつかありますが、ビジネスシーンで使える英語力を測るTOEICはおすすめです。
TOEICは日常生活からビジネスシーンでの英語力を測る世界共通のテストで、「読む」「聞く」「話す」「書く」4つの力を確認できます。
TOEICにはTOEIC TestsとTOEIC Bridge Tests2つのテストがありますが、TOEIC Bridge Testsは英語学習を始めたばかりの方を対象としていること、日常生活で使える英語力を測ることを目的としていることから、就職・転職活動でアピールするならTOEIC Testsの受験がおすすめです。
中小企業診断士
中小企業診断士とは中小企業法第11条に基づいて経済産業大臣に登録される国家資格です。専門知識に基づく企業の成長戦略の決定・実行ができること、企業と行政や金融機関をつなげることなどが求められます。
一般社団法人中小企業診断協会が実施する「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理(オペレーション・マネジメント)」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」について問われる第1次試験に合格し、中小企業診断士に必要な診断・助言スキルを問う第2次試験合格後、15日以上の実務補習を修了するか診断実務に従事することで中小企業診断士として登録されます。
第1次試験は多岐選択式の筆記試験、第2次試験は筆記と口述試験が実施されます。第1次試験合格後、中小企業基盤整備機構、または、登録要請機関が実施する養成課程を修了することでも登録できます。
ただし、登録期間は5年間で、更新には理論政策更新研修の修了、論文審査の合格、理論政策更新研修の講師としての指導経験いずれかが合計5回以上あることと、30日以上の実務実績が必要です。
基本情報技術者
基本情報技術者とはITの基本的な知識とスキルを身につけ、企業や社会のニーズを満たす戦略立案やシステムの設計・開発・運用ができることが求められます。
IT営業初心者・未経験者が取得すべき資格3選
未経験から目指しやすいIT営業ですが、WordやExcelやPowerPointの使用に問題がない、企業の経営・財務を把握できる能力がある、最低限のITの知識があるなど、社会人なら身につけておきたい知識が身についていることを証明できる資格は取得しておくと良いでしょう。
ITパスポート
ITパスポートとは情報技術に関する基礎的な知識を習得し、利用する情報機器とシステムの活用、安全な情報収集と活用、ビッグデータやIoTといった新しい技術の知識と活用、業務の分析やシステム化支援などができることが求められる資格です。
幅広い業種・職種でITに関わるなら知っておきたいITに関する知識が身につきます。試験はコンピューターを利用したCBT方式で実施されます。
日商簿記検定3級・2級
日商簿記検定とは日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験で、企業の経営活動を記録・計算・整理することで経営成績と財政成績を正しく公開できるスキルを測ります。
検定は「原価計算初級」「簿記初級」「3級」「2級」「1級」に分かれます。
営業なら商業簿記の基礎を身につけて小規模企業での実務を通じながら経理関連の書類を適切に処理できるようになるのに求められる「3級」か、高度な商業簿記と工業簿記(原価計算含む)を身につけて企業活動の適切な分析や会計実務の処理ができるようになるのに求められ、経営管理にも役立ち、企業から取得を求められることの多い「2級」がおすすめです。
MOS(Excel・Word・PowerPoint)
MOSとはマイクロソフトオフィススペシャリストのことで、WordやExcelなどマイクロソフトオフィスのスキルを証明できる、世界で試験が実施されている資格です。
試験は「Word」「Excel」「PowerPoint」「Access」「Outlook」に分かれ、バージョンごとに実施されます。WordとExcelは基本的な機能の理解力を測る一般レベルと、高度な機能の理解力を測る上級レベル(エキスパート)に分かれます。
IT営業に限りませんが、営業の方は業務で使用頻度の高い「Word」「Excel」「PowerPoint」の取得がおすすめです。
その他取得した方が良いIT営業の資格
IT営業でキャリアアップを目指すために、ITと経営についての専門性の高い資格取得が有効ですが、ビジネスに関する法律の知識もあると、できる仕事の範囲が広がったりクライアントとスムーズにやりとりできたりといった大きなメリットを受けられるでしょう。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーはITの専門分野を持ち、システム開発プロジェクトの責任者としてプロジェクトを計画・実行・管理してプロジェクトを成功へ導くのに必要な知識やスキルがある方のことです。
組織戦略とシステム全般の基礎、実行可能なプロジェクト全体の計画作成、人員・予算・スケジュール・品質・リスクなどを管理しながらのマネジメント、プロジェクトの結果を分析・評価できることなどが求められます。
ビジネス実務法務検定2級
ビジネス実務法務検定とは営業・販売・人事など幅広い職種で必要な法律知識を問う、東京商工会議所の検定試験です。契約内容の不備・不利益の有無のチェック、業務上のリスク回避などに役立つとして多くの企業で評価されています。
「3級」「2級」「1級」に分かれ、3級は社会人として知っておくべき基礎的な法律知識が身につきますが、キャリアアップには高度な知識やスキルの習得は欠かせないので、企業での実務経験があること、弁護士など外部の専門家とやりとりできる程度の知識があることを基準とする2級は取得しておくと良いでしょう。
ITストラテジスト
ITストラテジストはITの専門分野を持ち、ITを活用した事業改革、業務改革、新たな製品・サービス開発の企画・推進のために基本戦略を提案・決定・推進するのに必要な知識やスキルがある方のことです。事業やIT動向の分析などを基に事業戦略を立て、戦略を評価して経営者にフィードバックすることなどが求められます。
システム監査技術者
システム監査技術者はITの専門分野を持つ、情報システムや組込みシステムから独立した立場で点検・評価・検査をし、リスク対処のための改善を促せるようになるための知識・スキルがある方のことです。
システムの企画・開発・運用・利用・保守などに加えてシステム活用の目的とリスクに関する知識など多くの専門性の高い知識にとどまらず、監査結果について分かりやすくまとめる、改善に効果的な提案を行うなどでフォローアップできることも求められます。
ITサービスマネージャー
ITサービスマネージャーはサービスの計画立案、設計、移行、提供、改善を組織で行えるように組織の活動と資源の指揮・管理できる知識・スキルがある方のことです。
顧客のニーズを満たす安全で信頼できるITサービスの提供には、組織を管理するだけではなく、顧客との関係構築、ハードウェア・ソフトウェアの機能の拡張、障害修復などができることも求められます。
IT営業はITと経営に関する資格取得が有利に
IT営業は未経験から挑戦しやすい職種ですが、ITや経営に関する知識があるとクライアントとスムーズに取り引きできて多くの仕事に携わることにつながる可能性が高くなるメリットがあります。
IT営業としてスキルアップ・キャリアアップできると年収アップや良い条件の転職先で働ける可能性が高くなることからも、IT営業に慣れてきても知識やスキルを吸収し続けることは大切です。
IT営業に必要な知識・スキルがあることを証明するには、ITや経営に関する資格の取得をおすすめします。英語力やパソコンについての知識・スキルを証明できる資格もあると、仕事の幅が広がるでしょう。