仕事はとりあえず3年間続けろと言われたり、石の上にも三年ということわざがあったりするため、3年以内に退職するのは良くないことといった印象が強いでしょう。
働く側からすると新卒3年間は学びの時期なので、仕事に慣れておらずミスを繰り返す方も多いはずです。
そのような状態が続くと、「向いていないのかも?」と思って退職を考えてしまいます。
では、新卒3年以内での離職率は高いものなのでしょうか。
一般的に、新卒3年以内での離職率が高ければ次の就職でも不利になりませんが、離職率が低いと転職で悪い印象が強くなり、内定がもらいにくくなる可能性があります。
本記事では、新卒3年以内の離職率をご紹介します。
また、新卒3年以内で退職する人はどのような理由で辞めるのかについてもお話するので、退職を検討している方はぜひ最後まで一読ください。
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新卒3年以内の離職率は?
新卒3年以内の離職率が高いのか低いのか気になるところでしょう。
まずは、新卒3年以内の離職率がどのくらいなのか紹介します。
以下の表は、厚生労働省が発表した学歴別3年以内の離職率です。
学歴 | 年数 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 |
中学卒 | 1年目 | 45.4% | 42.6% | 41.1% | 36.5% | 35.8% |
2年目 | 14.4% | 13.0% | 13.6% | 14.7% | 12.5% | |
3年目 | 7.9% | 8.5% | 7.7% | 8.5% | 6.8% | |
合計 | 67.7% | 64.1% | 62.4% | 59.8% | 55.0% | |
高校卒 | 1年目 | 19.5% | 18.2% | 17.4% | 17.2% | 16.9% |
2年目 | 12.0% | 11.6% | 11.7% | 12.3% | 11.9% | |
3年目 | 9.3% | 9.6% | 10.1% | 10.0% | 8.1% | |
合計 | 40.8% | 39.3% | 39.2% | 39.5% | 36.9% | |
短大等卒 | 1年目 | 18.3% | 18.1% | 17.5% | 17.7% | 17.9% |
2年目 | 12.0% | 12.2% | 12.4% | 13.3% | 13.0% | |
3年目 | 11.0% | 11.2% | 12.0% | 12.0% | 10.6% | |
合計 | 41.3% | 41.5% | 42.0% | 43.0% | 41.4% | |
大学卒 | 1年目 | 12.3% | 11.9% | 11.4% | 11.6% | 11.6% |
2年目 | 10.6% | 10.4% | 10.6% | 11.4% | 11.3% | |
3年目 | 9.4% | 9.5% | 10.0% | 9.9% | 8.3% | |
合計 | 32.2% | 31.8% | 32.0% | 32.8% | 31.2% |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移」
このように、1年目・2年目・3年目と各年数で少しずつ離職する人がいて、3年以内にまとめるとかなりの新卒社員が退職しています。
中卒だけ見ると、3年以内の離職率は5~6割にも上ります。
大卒を見ても、実に3割もの新卒社員が3年以内に離職しているのです。
以上のデータを見る限り、新卒3年以内の離職率は決して低くないと言えます。
もし、あなたが新卒3年以内で仕事を辞めるのは良くないと考えているなら、過剰に心配する必要はないというわけです。
新卒3年以内の離職率はなぜ高い?辞める原因6つ
新卒3年以内の離職率が高いと分かったところで、続いては3年以内で辞める人が多い理由について考えていきましょう。
給与に満足していない
1つ目に考えられる離職率が高い理由は、給与に満足していないという点です。
どんなに仕事内容が自分に合っていて人間関係も良好だとしても、作業量に見合った給与がもらえなければ仕事を続けたいと思わないでしょう。
実際、新卒として初めて社会人になると、社会保険料の控除額に驚く方も多いはずです。
想像以上に給与が少ないと感じて、3年以内に離職するケースが後を絶ちません。
仕事に対して面白さを感じない
2つ目に考えられる離職率が高い理由は、仕事に対して面白さを感じないという点です。。
仕事内容のミスマッチによって離職する人は非常に多く、内閣府の調査によると実に43.4%もの人が「仕事が自分に合わなかったから」と離職しています。
やはり、仕事は実際に取り組んではじめて分かる部分が多いため、どうしても自分の適性と与えられた仕事のミスマッチが起きてしまうようです。
また、入社して間もないと仕事への愛着がないので、すぐに「辞めたい」と考えてしまうのでしょう。
ノルマが厳しすぎる
3つ目に考えられる離職率が高い理由は、ノルマが厳しすぎるという点です。
これは営業職に多く見られる離職理由で、仕事に慣れていない時からノルマに追われると心身共に疲弊してしまいます。
会社としては、早く活躍してもらいたいからと思ってノルマを設けていても、新入社員からしてみれば辛い環境となります。
この先もノルマに追われる日々を考えると、「早く辞めたい」と思うのも無理はありません。
会社によってはノルマを目標と言い換えて、ニュアンスで求めるところもあります。
これもまたストレスでしょう。
社風に馴染めない
4つ目に考えられる離職率が高い理由は、社風に馴染めないという点です。
社風は会社の方向性が色濃く表れる部分なので、経営者の考え方に納得できないと会社の流れに付いていけず辛い思いをします。
もちろん、多少の不満があったとしても、そこで頑張りたいという理由があれば働き続けます。
しかし、そこまで魅力的な環境がないのであれば、入社したての社員は簡単に退職を決断するでしょう。
上司や同僚に相談できない
5つ目に考えられる離職率が高い理由は、上司や同僚に相談できないという点です。
新入社員にとって上司や同僚のサポートは必要不可欠です。
分からない点があっても周囲のサポートが充実していれば、悩みを解決でき社会人として成長していけます。
しかし、上司や同僚に相談しにくい環境だったり、相談しても話をまともに聞いてくれなかったりすると、新入社員は孤立して働きたくなくなります。
新入社員でなくても人間関係が理由で退職する人が多いので、慣れない職場に入ったばかりの新卒なら人間関係を理由に辞める人が多くても不思議ではありません。
キャリアアップが見込めない
6つ目に考えられる離職率が高い理由は、キャリアアップが見込めないという点です。
3年程度働いていると、その会社の評価制度やキャリアアップの可能性などが分かるようになってきます。
そして、「この会社で働いていても未来がない」と思ったのなら、ずるずると働き続けるより退職して別の会社を探した方が良いと考えるでしょう。
また、将来的に結婚して子供を産みたいと考えている方なら、育休や産休といった制度を見て残るか転職するか判断するかもしれません。
どちらにしても、社員が将来的に見ても働き続けたいと思えないようなら、3年以内という早い段階で転職を考えるのは必然的です。
新卒3年以内に離職するメリット・デメリット
続いては、新卒3年以内に離職するメリット・デメリットを紹介します。
4つのメリット
まずは、4つのメリットについて確認していきましょう。
第二新卒として求人に応募できる
1つ目のメリットは第二新卒として求人に応募できることです。
第二新卒とは、一般的に「学校卒業後3年以内に転職・就職を希望している人」を指し示しています。
つまり、新卒3年以内の離職であれば、まだ第二新卒として求人に応募できます。
第二新卒なら、新卒採用と変わらない環境で転職活動できるので、求人数が豊富で内定をもらえる難易度も新卒採用と同じくらいです。
未経験の業界・職種にチャレンジできる
2つ目のメリットは未経験の業界・職種にチャレンジできることです。
第二新卒として転職活動に臨めるため、企業側も新卒と同じような扱いで人材募集をかけています。
つまり、全く未経験の業界や職種であっても、問題なく採用してもらえるわけです。
ちなみに、社会人経験が長くなると今までの経験やスキルをアピールする必要があるので、未経験の業種へのチャレンジは難しくなります。
年収アップを狙える可能性がある
3つ目のメリットは年収アップを狙える可能性があることです。
転職すれば、今より年収が高い仕事が見つかる可能性は大いにあります。
特に新卒3年以内での離職となれば、まだまだ年収が高くなる前での転職になるので、長く勤めて実績を積んだ人よりも年収の高い仕事を見つけやすいでしょう。
キャリアアップできる可能性がある
4つ目のメリットはキャリアアップできる可能性があることです。
新卒3年以内での離職なら、新卒採用と変わらない条件でチャレンジできます。
そのため、新しい会社でも十分にキャリアアップが見込めます。
今の会社で出世するのが難しいと思うなら、早めに別の会社に転職した方が良いかもしれません。
5つのデメリット
続いては、5つのデメリットに就いて解説していきます。
忍耐力がないと思われる恐れがある
1つ目のデメリットは忍耐力がないと思われる可能性があることです。
仕事は最低3年間継続した方が良いと考えている方は多いため、それより短い勤務年数だと忍耐力がないと思われる恐れがあります。
転職で忍耐力がないと思われると、「うちの会社でもすぐに辞めるのでは?」と思われて内定がもらいにくくなります。
転職では、面接官が納得するだけの退職理由を用意するようにしてください。
経験者とみなされない可能性がある
2つ目のデメリットは経験者とみなされない可能性があることです。
新卒3年以内だと、会社によっては中途採用という位置づけで求人を出しています。
しかし、3年程度だと社会人としての経験があると判断されない可能性があるので、中途採用という枠組みだと不利になる可能性があります。
転職では経験やスキルではなく、今後の伸びしろを重視した採用活動を行っている企業を見つけられるかが成功へのカギです。
人間関係を一から構築する必要がある
3つ目のデメリットは人間関係を一から構築する必要があることです。
新しい仕事を始めれば、当然新しい人間関係を構築する必要があります。
しかし、人との信頼関係などは一朝一夕で築けるものではありません。
長い年月が必要となるため、新しい会社に行けば再び根気強く良好な人間関係を作り上げる必要があります。
今より環境が悪くなる可能性がある
4つ目のデメリットは今より環境が悪くなる可能性があることです。
転職は今より良い環境を求めてスタートさせるものですが、必ずしも今より良い職場に出会えるとは限りません。
転職活動をしている最中は今より良い会社だと思っても、入社したら前の方が良かったというケースは多々あります。
転職する際は、新卒採用のとき以上に徹底した企業研究をするようにしてください。
退職金や福利厚生の恩恵が受けられない
5つ目のデメリットは退職金や福利厚生の恩恵が受けられないことです。
一般的に福利厚生や退職金は、勤務年数が長ければ長いほど恩恵が受けられるとされています。
特に、退職金は勤続年数と給与額によって計算されるため、3年程度の勤務年数だと恩恵を最大限に活かせません。
新卒3年以内に離職したいと思ったときの対処法4つ
最後は、新卒3年以内に離職したいと思ったときの対処法をご紹介します。
今いる職場で問題解決できないか考える
1つ目の新卒3年以内に離職したいと思ったときの対処法は、今いる職場で問題解決できないか考えることです。
働き始めて3年程度だと、まだスキルや経験が不足していて悩んでいるだけのケースが多々あります。
その場合、仕事に関する勉強をしたり業務に関連する資格取得を目指したりするだけでも、問題が解決する可能性があります。
すぐやめると、何度も転職を繰り返す恐れがあるので、今の職場で改善できる問題なら改善を試みてください。
上司などに相談してみる
2つ目の新卒3年以内に離職したいと思ったときの対処法は、上司などに相談してみることです。
自分でもなぜ辞めたいのか分かっていない可能性があるので、その場合は上司に相談してみてください。
上司も、あなたと同じような悩みを抱えていた過去があるかもしれないので、良いアドバイスがもらえるかもしれません。
今の会社で部署異動を願い出てみる
3つ目の新卒3年以内に離職したいと思ったときの対処法は、今の会社で部署異動を願い出てみることです。
部署が変われば仕事内容が変わって、もしかしたらあなたに合う作業が見つかるかもしれません。
もし、今の部署にいるから問題が発生しているのなら、現職場で部署の異動を願い出てみてください。
部署異動では問題が解決できないと分かった場合は、4つ目も対策を講じる必要があります。
転職を検討する
4つ目の新卒3年以内に離職したいと思ったときの対処法は、転職を検討することです。
ここまで紹介した3つの対策を試しても解決できないと分かったのなら、今の職場が本当にあなたに合っていない可能性があります。
その場合は、転職を検討してみてください。
新卒3年以内での転職はデメリットこそあるものの、第二新卒として求人に応募できるなど大きなメリットがあるので、ずるずる続けるより良いでしょう。
無理をして心身を害してはいけないので、どうしても続けるのが難しい場合は、新卒3年以内という事実は気にせず転職活動をスタートさせてみてください。
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