「仕事を辞めたいけど、上司に直接言うのは怖い…。」
そんな思いを抱え、できることなら退職連絡を電話で済ませたいと考えている人も少なくないでしょう。
そこで今回は、そもそも電話で退職を切り出すことはありなのかを確認した後、電話をする際の注意点や退職連絡後の流れなどの知っておきたい情報を紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
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仕事を辞める時の本来の流れは?
まずは、仕事を辞める場合の本来の流れを確認しましょう。
- 上司に退職することを伝える
- 会社で決められた退職の手続きを行う
- 上司から許可されたら同僚にも退職を伝える
- 自分の仕事の後任者に仕事の引継ぎを行う
- 私物を持ち帰る
- 関係者に挨拶周りをする
- 退職する(退職日は退職を伝えてから最低でも2週間後)
- 退職時に必要なものを会社に返却する(健康保険証、社員証、備品関係)
- 退職後に必要なものを郵送で受け取る(離職票、年金手帳、源泉徴収票、雇用保険被保険者証)
退職連絡は通常、「直属の上司」に対して「直接口頭で」行います。その後に退職届を提出することが望ましいとされており、この流れがいわゆる退職時のマナーです。
したがって、このマナーを無視して退職連絡を電話だけで済ませるのは、よっぽどの理由がなければ許容されないことであるのは覚えておきましょう。
また、「退職日は退職意思を伝えてから2週間後以降に設定すること」、「返却すべきものをきちんと返却すること」、「受け取るものをしっかり受け取ること」は、マナーではなくルールですのでしっかり守るようにしましょう。
ちなみに「退職日を2週間後以降に設定しなかった」場合は、民法267条に違反したことになってしまいますし、「会社の備品を返却しなかった」場合は、横領罪にあたってしまいます。
「受け取るべきものを受け取らなかった」場合も、失業保険の手続きができなかったり、年末調整や確定申告ができなかったりと、何かと面倒なことになってしまいますので注意が必要です。
仕事を辞めることを電話で伝えるのはあり?
では、改めて正社員が退職連絡を電話で済ませるのはありなのかについて考えてみましょう。
先ほどお伝えした通り、本来は直属の上司に対して、直接口頭で伝えるのが転職時のマナーです。そのため「円満に退社したい」、「退職後も良好な関係を続けていきたい」という方は、電話での連絡は避けた方が良いでしょう。
ただし、上記の内容はあくまでもマナーですので、必ず守らなければならないわけではありません。ですので、やむを得ない事情がある場合は、電話で退職を伝えても問題ないといえます。
「直接言ったら何を言われるか分からないから怖い。」、「精神的に辛くて、上司とこれ以上話をしたくない。」そんな思いを抱えている方は、無理をせずに電話で退職の意志を伝えてくださいね。
電話で伝えても良い3つのケース
ここでは、電話で退職を切りだしても受け入れてもらえる可能性の高いケースを3つ紹介します。
ご自身の状況に当てはまる方は、ぜひ参考にしてみてください。
①出社できないほどの体調不良
長期入院が必要な怪我をしてしまった、うつ病などの精神的な病気を患ってしまったなど、出社すること自体が困難になるほどの体調不良であれば、退職を電話で切り出しても全く問題ありません。
きちんと事情を説明すれば、会社側も理解してくれるはずですので、あまり心配しないでください。
また、事情を説明しても出社を強要してくるような会社は、はっきり言っておかしいですから、無理に従う必要はありません。何よりもあなた自身を大切にしましょう。
②ハラスメントを受けている
職場でパワハラやセクハラなどの被害にあっている場合は、電話で退職連絡を済ませても全く問題ありません。この場合、会社側に100%非がありますので、自信を持ってください。
電話で連絡した理由については、正直に「パワハラやセクハラが原因で、恐怖で会社に行けなくなった」と伝えれば大丈夫です。その後の対応は、会社の指示に従いましょう。
もし、直属の上司から被害を受けていて、電話することすらも恐怖に感じる場合は、人事の担当者に直接電話するのもおすすめです。
③家族を介護しなければならない
家族が倒れ、急遽実家に戻っての介護を余儀なくされた場合は、退職連絡を電話で行っても問題ありません。
介護レベルにもよりますが、重度の場合は介護対象から離れることもできないと思いますので、その旨を正直に伝えましょう。たとえ出勤を命じられたとしても、無理に従う必要はありませんので安心してくださいね。
電話で伝える場合の注意点は?
ここでは、電話で退職を切りだす際に注意すべき点を10個紹介します。
電話で退職を切り出すことを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
①真っ先に直属の上司に電話する
退職を真っ先に伝えるべきは直属の上司。電話であってもそこは変わりません。
誤って直接人事に連絡した場合、「直属の上司は誰ですか?その人に連絡してください」と指示を受け、二度手間になってしまう可能性があります。
また、何らかの事情があって上司と話したくないという方は、人事の担当者に連絡しましょう。
退職関係を扱っている人に取り次いでもらい、事情を話して退職の話を進めていけば大丈夫です。その際に、人事経由で上司に伝えてもらうことを忘れないでください。
②退職の意志をはっきりと伝える
電話では上司に退職意志をハッキリと伝えましょう。
曖昧な言い方をしてしまったことで、退職ではなく無断欠勤として扱われ、結果的に懲戒解雇になってしまった…という事例も過去には存在します。
懲戒解雇されてしまうと、退職金が支給されなかったり離職票に記されてしまったりと何かと不都合なことが多いですので、注意してください。
③電話する時間帯に気をつける
電話は相手の時間を強制的に奪ってしまうものなので、かける時間帯に注意が必要です。
基本的には、始業30分前または終業後1時間以内の「上司があまり忙しくないと思われる時間帯」を選ぶと良いでしょう。
早朝や深夜は必ず避け、できる限り業務時間内も避けるようにしてください。業務時間を避ける理由は、退職連絡はあくまでも自己都合であるからです。
④マナーに反していることを詫びながら伝える
少しでも穏便に退職を伝えたい場合は、お詫びをしましょう。
「本来であれば、直接お話しなければならないことであるにもかかわらず、電話という形になってしまい申し訳ございません。」と一言加えるだけで、上司は「本当にどうしようもない状況なんだな」と、理解を示してくれるはずです。
決して電話での退職連絡が当たり前かのような態度をとってはいけません。
⑤退職理由を細かく伝えない
退職の理由は必要以上に細かく伝えないようにしましょう。
給与に不満がある、人間関係に疲れたなど、具体的な理由を挙げてしまうと、給料を上げる、違う部署に配属できるよう手配する、などと引き止められる可能性が高まります。
もう退職を決めているのに、引きとめにあって連絡が長引くのは面倒くさいですよね。本当の理由を伝えなければならないといった決まりはないので、「一身上の都合」を貫き通して深堀りさせないようにしましょう。
⑥退職日は退職を伝えてから最低2週間後に設定する
退職日の設定は、退職を伝えてから2週間後以降にしましょう。これは法律で決められたことですので、必ず守ってくださいね。
また、恐らくこの2週間は会社に籍を置きながら有給休暇を消化して過ごすということになりますので、その旨を電話できちんと伝えてください。
有給休暇取得は会社側も拒否できませんので、この2週間はゆっくり休んでくださいね。
もしも「辞めるやつに有休なんかとらせない」と言われた場合は、それが法律違反であることを冷静に伝えましょう。
⑦退職届を内容証明郵便で送付する
退職を伝えたということを証明する為にも、退職届を内容証明郵便で送付するようにしてください。
電話で伝えるだけであると「言った」「言ってない」の水掛け論に発展する可能性がありますので、それを防ぐ為にも確実に送付しましょう。
⑧電話は録音しておく
退職の意思表示は口頭でも法的な効力を持っており、雇用契約の解除が可能です。
しかし、退職届も提出せずに退職する場合は、退職の意思表示をしたという証拠が残らないため、後にトラブルに発展するリスクがあります。
そこで、退職の意思表示を行った証拠を残すためにも、電話の内容を録音しておくようにしましょう。
⑨できれば引き継ぎの資料をこっそり作っておく
電話で退職を伝え、そのまま退職日まで有給休暇を取得してしまえば、仕事の引き継ぎをせずに退職することになります。
そうなると残された同僚は非常に困りますし、退職後に何度も確認の電話がかかってくるなどあなたにとっても面倒なことになりかねません。
そこで、自分の担当していた仕事の内容と進捗をまとめた引継ぎ資料を作成することをおすすめします。
⑩私物は事前に持ち帰り、会社の備品は必ず返却する
私物は必ず事前に持ち帰り、後々取りに行くことを避けましょう。 たとえ捨てて良いものであっても、処分に困りますので放置はしないようにしましょう。
また、会社の備品など返却しなくてはならないものは、後日必ず返却しましょう。
直接行くのが難しければ郵送でも大丈夫ですので、とにかく忘れずに返却してください。
電話で伝えたあとの動きは?
電話で退職を伝えた後の動きは、会社からどのような指示を受けたかによって異なります。
一緒に確認していきましょう。
出社してほしいと言われて出社できる場合
会社から「出社してほしい」と言われ、出社できる場合は日程を調整して出社しましょう。
恐らく内容は、退職理由などを詳しく聞かれたり、各種手続きの相談をされたりといったものだと思われます。退職する際には様々な書類を提出する必要があり、郵送でのやり取りとなると意外に面倒なので、可能であれば一度出社するのがおすすめです。
出社してほしいと言われたけど出社したくない場合
会社に「出社してほしい」と言われた場合でも、ハラスメントや体調不良などを理由に「出社をしたくない」という方は断っても全く問題ありません。
やむを得ない事情があって電話で退職を伝えているわけですから、ここで無理をしなくても良いのです。
もし、断ったのに出社を強要される場合は、労働局の労働相談コーナーや労働問題に強い弁護士に相談しましょう。ご自分の身を守ることを第一に考えて下さいね。
出社しないでも問題無い場合
出社しないでも問題ない場合は、会社からの指示に従って退職手続きを進めましょう。
「必要書類(退職届)などを会社に送る」、「返却する必要があるものを確認してすぐに郵送する」などは重要な手続きですので、少し面倒であってもきちんとこなすことが大切です。
身分証明書にあたるようなデリケートな品物は簡易書留で送り、「確実に会社に届いたか」まで確認すると良いと思います。
電話するのも無理だと思ったら
極度のストレスで退職の電話をすることすら無理だと感じている方も、「電話もせずにバックレる」のは避けたほうが良いでしょう。懲戒解雇をされて転職時に不利になったり、退職金が支払われなかったりとあなたにとってデメリットが多すぎます。
どうしても電話できないのであれば、退職電話の代行サービスを利用しましょう。
退職電話代行とは、その名の通り退職代行業者があなたに代わって退職の意思を伝え、退職手続きを進めてくれるサービスのことです。
金額は1回につき3~5万円で少々値は張りますが、「退職を切り出す」という最大のストレスを回避できますし、先ほど挙げたデメリットも受けずに済むので、どうしても自分で電話できないという方にはおすすめです。
他人任せにすることに罪悪感を感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、バックレて退職したり、我慢して働き続けて身体を壊してしまったりすることの何倍もましです。
転職に向けて
本来であれば直属の上司に対して、直接口頭で伝えるのが転職時のマナーです。そのため、基本的には、電話での連絡は避けた方が良いでしょう。
しかし、上記の内容はあくまでもマナーでありルールではないので、やむを得ない事情がある場合は電話で退職を切り出しても全く問題ありません。
何よりも大切なのはあなた自身ですので、決して無理をしないでくださいね。
また、仕事を辞める際には、当然転職のことも考えておかなくてはなりません。
もしすぐに仕事を決めたいと思っておらず、しばらくは貯金や失業保険で過ごそうと考えている方であっても、いずれは転職をすることになるのですから、その為の準備はしておきましょう。
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