リストラによる会社都合の退職は、あなた自身が望んで辞めるわけではないため、様々なデメリットがあります。しかしその一方で、場合によっては失業手当が早くもらえたり、受け取れる金額が多かったりするメリットもあるのです。

あなたは、リストラによる会社都合の退職と自己都合の退職に、どのような違いがあるか知っていますか。

自己都合と聞くと転職先の目処が立っているケースが多く、不安なども少ないでしょう。

それに対して会社都合と聞くと、急に仕事がなくなる不安に襲われるうえ、生活が送れなくなる危険まで伴うので、誰もが避けたいと思うものです。

しかし、具体的にどのような違いがあるのかと聞かれると、説明できる方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、リストラによる会社都合の退職と自己都合の退職の違い、会社都合に該当する退職、メリット・デメリット、そして転職に不利になるのかについても解説していきます。

会社都合の退職とは?

会社都合による退職とは、務めている企業が経営破綻したり、業績悪化に伴う人員削減をしたりする際に起きるものです。

つまり、会社側が社員を雇えなくなったため、やむを得ず退職してもらう状況だといえます。

例えば、会社が倒産すれば当然社員を雇えなくなるので、解雇せざるを得ません。また業績悪化が深刻になれば、社員に給料が支払えなくなり人材削減をするでしょう。

このように、会社側が社員を雇える状況ではなくなるとリストラという形で会社都合の退職が生まれるのです。

会社都合退職と自己都合退職の違い

会社都合退職と自己都合退職にはどのような違いがあるのか、確認していきましょう。

会社都合退職

前述した通り、会社都合による退職は会社の経営不振や倒産といった理由から、一方的に労働契約を解除することを指します。

会社都合によって退職した場合、失業保険の支給待機期間や最大支給額などが自己都合より寛容です。

やはり会社都合の退職は社員にとって寝耳に水の状態なので、精神的な不安を和らげるためにも救済システムが整っているといえます。

自分都合退職

自分都合退職は、社員自らが望んで退職する形なので、しっかりと次の働き先を見つけたり、生活費にも余裕がある状態で辞められたりするのが特徴です。

ただし、自分都合で辞めた場合は転職先や生活費の当てがあると考えられるため、失業保険の支給開始時期や最大支給額が、会社都合退職よりも不利になります。

生活や精神面における負担が、会社都合退職との一番の違いといえるでしょう。

会社都合に該当する退職理由

会社都合に該当する退職理由としては以下のものが挙げられます。

  • 倒産や大量のリストラがあった場合
  • 解雇された場合(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)
  • 職場の上司などからイジメやパワハラなどの嫌がらせを受けた場合
  • 勤務場所・勤務時間・賃金・職種などが労働契約時のものと著しく違う場合
  • 賃金が大幅に削減されたり、未払いとなっていたりする場合
  • 会社から退職を促す“退職勧奨”を受けた場合(早期退職優遇制度等への応募は除く)
  • 当該労働契約が更新されない事態になった場合

このように、会社側が退職を促した場合は会社都合となり、労働契約の内容と労働環境が著しく違っている場合も、会社都合として認められるようです。

また、“退職勧奨”を受けて離職した場合も当然会社都合となります。ただし退職勧奨があったとしても、その後に早期退職優遇制度の募集があり、社員自らが応募して離職した場合は会社都合とはなりません。

退職勧奨を受けた際の基本的なフロー

「辞めないか?」と退職勧奨を受ける

拒否する

承諾する

解雇

雇用継続

会社が手続きする

自ら退職する

不当な扱いにより退職

働き続ける

会社都合退職

自己都合退職

退職勧奨は基本的に拒否することが可能です。しかし、中には無理やりにでも退職勧奨に応じさせようとするケースがあるので、その場合は会社都合による退職に該当します。

ちなみに、懲戒処分の対象となるような問題を起こして免職・解雇となった場合は、自己都合退職の扱いです。もちろん、退職させられた理由に納得ができないようなら、不当な懲戒処分の可能性もあるので、企業側に詳しい説明を求める必要があるでしょう。

会社都合退職で退職届を求められた時の対処法

会社都合退職にも関わらず、退職届の提出を求められた際は、会社側には“退職届の提出を求めた”という旨を記載してもらい、あなたは「貴社、退職勧奨に伴い」と記すなどの対処が必要になります。

そもそも退職届とは「従業員が自ら退職の意思を示す書類」なので、自己都合による退職を表すために必要なものです。

しかし、会社都合にも関わらず自己都合にすり替えようとしてくるケースもあるので、退職届を求められた際は注意しなければなりません。

なぜ会社側はそんな手間を取ろうとするのか、その理由について説明していきます。

  • 厚生労働省から出る助成金の停止を防ぎたい
  • 一方的な解雇によって不当解雇と訴えられるトラブルを避けたい
  • 退職金を払いたくない or 減額したい

まず、会社都合による退職が発生すると、厚生労働省から出る助成金の支給が停止される恐れがります。

それを防ぐために退職届を出させて、自分都合退職にしようとしているわけです。

また一方的な解雇をすれば、労働者に不当解雇だと訴えられる恐れもあるので、その危険を回避する目的があります。

もしくは、自分都合退職にしてしまえば、支払う退職金が少なくなったり、払う必要がなくなったりするため、それを狙っている可能性も考えられるのです。

 

以上のような理由から、退職届を出させようとしている場合は退職金が減ったり、失業保険の支給額が減ったりと、あなたが不利な状況に陥るリスクが高くなります。

このような被害を受けないためにも、会社側に退職届の提出を求めた旨を一筆書いてもらい、退職理由の部分を「一身上の都合により」ではなく「貴社、退職勧奨に伴い」と記載しましょう。

ただし、企業側が退職勧奨の成立を記録したいという理由から退職届を求めるケースもあるので、求められる理由を事前に明確にしておく必要があるともいえるでしょう。

会社都合退職のメリット・デメリット

ここからは会社都合退職のメリット・デメリットについて解説します。

3つのメリット

会社都合による退職には以下の3つのメリットがあります。

メリット1:失業手当が早くもらえる

1つ目のメリットは、失業給付金(失業保険)の給付が優遇されるという点です。

自己都合退職の場合、ハローワークに離職票を提出した後、待機期間7日+3か月が経過しなければ、失業給付金を受け取れません。しかも、最大支給額は約118万円です。

それに対して会社都合退職の場合は、ハローワークに離職票を提出した後、待機期間7日が経過すれば失業給付金が受け取れます。しかも、最大支給額は約260万円です。

また給付日数も、自己都合退職の給付は日数90~150日なのに対して、会社都合退職の給付日数は90~330日と長く設定されています。

やはり会社都合退職は、転職や生活費の当てがないケースが多いので、失業給付金などについては優遇されるようです。

 

会社都合

自己都合

失業給付金

最短支給開始日

7日後

3か月+7日後

失業給付金

支給日数

90~330日

90~150日

失業給付金

最大支給額

約260万円

約118万円

失業給付金

給付制限

なし

あり

国民健康保険税

最長2年間軽減

通常納付

履歴書の記載内容

会社都合により退職

一身上の都合により退職

メリット2:被保険者期間が1年未満でも失業保険が受け取れる

2つ目のメリットは、被保険者期間が1年未満でも失業保険が受け取れるという点です。

自己都合退職の場合、最低でも1年間は被保険者として保険料を納めている必要があるので、もし1年未満なら失業保険の受け取りはできません。

それに対して会社都合退職なら、被保険者として保険料を納めた期間が半年以上であれば、失業保険の対象となるのです。

メリット3:会社から「解雇予告手当」がもらえる

3つ目のメリットは、会社から「解雇予告手当」がもらえるという点です。

解雇予告手当とは、会社都合による解雇をする際、企業側は労働者に対して離職日の30日以上前に解雇の予告義務があり、その予告がない場合に受け取れる手当になります。受け取れる手当の金額は30日分以上の平均賃金です。

ちなみに自己都合退職の際は、退職までに働いた賃金や退職金以外の支払いはありません。

もちろん労働者に対して解雇予告があった場合は受け取れませんが、会社都合退職は倒産などが多いので解雇予告手当が出るケースは多いでしょう。

1つのデメリット

会社都合による退職にも、1つだけデメリットがあります。

デメリット1:転職で不利になりかねない

会社都合退職の唯一のデメリットとしては、場合によって転職で不利になるかもしれない点です。

転職をする際は当然履歴書を作成し、履歴書には前職や離職した理由を記す必要が出てきます。

もしも、あなたの履歴書に「会社都合退職」と記載されていた場合、面接官は以下のような理由を考えることがあります。

「個人の業績不振や実力不足なのでは?」

「労働態度に問題があったのでは?」

「人現関係でトラブルがあったのでは?」

もちろん、会社都合退職の理由が倒産などの個人以外の問題であれば良いのですが、そうでなければ転職活動はかなり不利になる可能性があります。

これについては、次の項目でさらに詳しく解説していきます。

会社都合による退職は転職活動に不利?

会社都合退職であったとしても、不利になる場合と不利にならない場合があります。

不利になるケース

不正行為や反社会的な行動によって、会社に不利益をもたらした「懲戒解雇」の場合は不利になります。また、能力不足などによる「普通解雇」や「退職勧奨」の場合も、採用活動にマイナスとなる可能性があるでしょう。

不利にならないケース

会社や仕事の状況によって労働者が「退職せざるを得ない」と判断したような、正当な理由がある場合は不利になりません。

もしくは、事業主の働き掛けによる退職の中でも、会社倒産などによる「整理解雇」がされた場合は、労働者に非がないので、転職活動にマイナスとなる心配はないといえます。

この場合は誤解を招かないためにも「会社の倒産により解雇」「業績不振により整理解雇」と履歴書に明確に表記するようにしましょう。

会社都合退職の盲点を忘れずに

今回は会社都合退職と自己都合退職との違い、メリット・デメリットなどについて解説しました。

会社都合による退職は、失業給付金の受け取りが早くできたり、金額が多かったりするメリットがあったりするので、一見するとメリットが多いように感じるかもしれません。

しかし転職活動の際には、図らずも面接官への印象を悪くしてしまう恐れがあるので、「会社都合退職」の言葉の使い方には注意が必要です。

やむを得ない理由による会社都合退職は致し方ないとして、失業手当がもらえるなどの理由だけで会社都合退職をするのは避けるようにしてください。